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記憶
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床のゴミを寄せ、確保した場所でお気に入りの本を読む。世界を知らなかった少女が、冒険をして成長してゆく話だ。
私も、この少女のようになれると思っていた。けれど、現実は箱の中で、外なんか見せてすらもらえない。
もしかしたら、ここで一生を過ごし、死を遂げるのではないかと何度も考えた。
――殴られて殴られて、明方の暗い内だけ外に出られて、帰って夢の中で二人にあって、起きて現実を見て、本を読んで過ごして、また殴られて。
そんな生活は繰り返される。きっと、この先もずっと続いていく。
あーあ、こんな生活もう嫌だなぁ。
二人の所へ、私も行きたい。
*
いつも朝前には帰るパパが、今日は帰ってこなかった。けれど、こういう事は珍しくない。
その時だけは、怖い思いをしなくて済むから嬉しかった。
特別なことは何も出来ないけど、痛くないだけで幸せだった。
翌朝も、パパは家に居なかった。お酒の匂いも無いから、多分帰ってきてすらいない。
お腹が鳴った。けれど、食べ物はない。あるのは花瓶と、枯れてしまった花だけだ。
「……ママ、私悪い子でごめんなさい……いっぱい謝るから許して……」
年々消えてゆく思い出を手放さないよう、繰り返し脳内に巡らせた。
*
四個上のお兄ちゃんと、私は似てなかった。お兄ちゃんは、とても強かったし優しかった。だから、よくパパに殴られているママを守っていた。
でも私は、怖くて出来なかった。
だから、ママは私を嫌いになったのかもしれない。お兄ちゃんだけを連れて行ったのかもしれない。
そう考えれば考えるほど、納得出来てしまった。
だって、こうなったのは私の所為なんだから。
だからきっと、パパは私を殴るのだろう。駄目な子には、お仕置きをしなければならないから。
夜になり、緊張してきた。いつもこうだ。鍵の回る音に怯え、何も手に付かなくなる。
今日はどこを殴られるのか、どんな風に殴られるのか、それだけが巡るのだ――。
*
けれど、今日もパパは帰ってこなかった。
お腹が空いて、散らかった所から食料を探したら、何とか食べられそうな物が見つかった。
だが、一回で食べてしまい、次の分まで確保出来なかった。
不安が過ぎる。正直を言うと、帰ってこなかった方が嬉しい。でも、続いたら私が死んでしまう。
家の中は、相変わらず酷い臭いだ。慣れきった鼻でも異臭と感じるほど酷い。
ただ、今は冬だから良い方だ。これが夏になると、もっと大変なことになる。
変な物を食べた所為で、何度死にそうになっただろう。明日は、ちゃんとした物が食べたいな。
私も、この少女のようになれると思っていた。けれど、現実は箱の中で、外なんか見せてすらもらえない。
もしかしたら、ここで一生を過ごし、死を遂げるのではないかと何度も考えた。
――殴られて殴られて、明方の暗い内だけ外に出られて、帰って夢の中で二人にあって、起きて現実を見て、本を読んで過ごして、また殴られて。
そんな生活は繰り返される。きっと、この先もずっと続いていく。
あーあ、こんな生活もう嫌だなぁ。
二人の所へ、私も行きたい。
*
いつも朝前には帰るパパが、今日は帰ってこなかった。けれど、こういう事は珍しくない。
その時だけは、怖い思いをしなくて済むから嬉しかった。
特別なことは何も出来ないけど、痛くないだけで幸せだった。
翌朝も、パパは家に居なかった。お酒の匂いも無いから、多分帰ってきてすらいない。
お腹が鳴った。けれど、食べ物はない。あるのは花瓶と、枯れてしまった花だけだ。
「……ママ、私悪い子でごめんなさい……いっぱい謝るから許して……」
年々消えてゆく思い出を手放さないよう、繰り返し脳内に巡らせた。
*
四個上のお兄ちゃんと、私は似てなかった。お兄ちゃんは、とても強かったし優しかった。だから、よくパパに殴られているママを守っていた。
でも私は、怖くて出来なかった。
だから、ママは私を嫌いになったのかもしれない。お兄ちゃんだけを連れて行ったのかもしれない。
そう考えれば考えるほど、納得出来てしまった。
だって、こうなったのは私の所為なんだから。
だからきっと、パパは私を殴るのだろう。駄目な子には、お仕置きをしなければならないから。
夜になり、緊張してきた。いつもこうだ。鍵の回る音に怯え、何も手に付かなくなる。
今日はどこを殴られるのか、どんな風に殴られるのか、それだけが巡るのだ――。
*
けれど、今日もパパは帰ってこなかった。
お腹が空いて、散らかった所から食料を探したら、何とか食べられそうな物が見つかった。
だが、一回で食べてしまい、次の分まで確保出来なかった。
不安が過ぎる。正直を言うと、帰ってこなかった方が嬉しい。でも、続いたら私が死んでしまう。
家の中は、相変わらず酷い臭いだ。慣れきった鼻でも異臭と感じるほど酷い。
ただ、今は冬だから良い方だ。これが夏になると、もっと大変なことになる。
変な物を食べた所為で、何度死にそうになっただろう。明日は、ちゃんとした物が食べたいな。
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