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パメラ夫人の逮捕から六日後、私はシェロート伯爵に呼び出された。
「息子が何をされたのか、とても女性には聞かせられない……嘘であってほしいと思うが、あの傷は……否、それはあなたには関係ないことだ。今日は来てくれてありがとう──ありがとうございます、レディ・ヒルデガルド」
ウィリスとの婚約期間とは全く異なる関係になったとはいえ、この状況で咄嗟に出た口調や態度など問題にもならない。
ニコラス王太子の言った生き証人という言葉が事態の深刻さを表しているだろう。
「様子は如何ですか?」
私は見舞客として尋ねた。
シェロート伯爵は疲労と混乱が窺える酷い顔色ではあるものの、努めて私に丁寧な対応を心掛けている。
「気難しい怪我人です。ニコラス王太子は一月後を目途に慰問にいらしてくださると。それまでに正気に戻さなければ……」
歩きながら受けた報告によると、シェロート伯爵家の主治医に治療を任せているらしい。
ニコラス王太子の慰問と言うが恐らく証言を取る為の使者が来るのだろう。宮殿内で王太子と王女の兄妹がどのようなやりとりをしているか知る由もないが、場合によってはニコラス王太子が直々に来るかもしれない。
ソフィア王女は私の人生を狂わせた。
少なくとも宮廷裁判で潔白を証明するまでは、そう考えられる状況だった。
今は違う。
私の元婚約者が人生を狂わされ、私はそれに巻き込まれたのだ。
そうとしか思えない。
「あなたと二人きりで話ができたら、心が休まると言うので……」
「はい」
婚約者の私を残酷な形で裏切ったウィリスだが、今は身も心も酷い傷を負っている。他人ではないというより他人事ではないから要望に応じた。
私には見舞う義務があるように思えたのだ。
ウィリスの寝室は昼の太陽を存分に取り入れ、清潔に整えられていた。当然なのだが、救出時の錯乱を思えば暗がりで蹲っていてもおかしくないと懸念していたので私は少し安心した。
「二人きりになりたい」
ウィリスは看護人の方を見ずに告げる。
シェロート伯爵家の主治医と看護人は私に頭を下げて素早く退室した。
ウィリスはベッドに背を起こして座り、明るい窓の外を睨んでいる。
やはり肌が見えるべきところは全て包帯に覆われ、痛々しい怪我人の様相だ。
「気分はどう?」
「どうって……」
「食欲は?きちんと食べられているの?」
「……」
私との対話を望んでいると聞いて訪問したが、ウィリスがもう以前の状態ではないことも、礼節を弁えられる心境ではないのも当然だと思える。
「いい子ぶって」
ウィリスは早速声を荒げた。
「自分は綺麗なままでよかったって、僕を笑っているんだろう?いい気味だと思ってるくせに」
「……」
我儘を聞きに来た。
八つ当たりを受けに来た。
それで心の傷をある程度乗り越えられるなら、力になろうと思った。
覚悟はできている。
生き証人を、証言ができるところまで回復させるのに私が必要なら、私は私を捧げるまでだ。
「思わないわ」
「嘘だ!君は、僕を恨んだはずだ!その僕が、作り話の君と違ってしっかり汚されて帰って来たんだから嬉しいに決まってるじゃないか!」
「……」
私は必要以上にはベッドに近づかないよう気を付けながら、そのわずかな目の表情を見極めようと注意深く距離を詰める。
窓から目を剥がし、ウィリスは私を睨んだ。
私に憎しみをぶつける。
相手が目の前にいないのだから、こうなるのは仕方ない。
「それを私に言いたかったの?」
尋ねるとウィリスが声を引き攣らせ泣き始めた。
全身を包帯で覆わなければならないような酷い怪我を負い、理性を保てという方が酷だ。ウィリスは元婚約者というより身も心も重傷を負った一人の悲しい病床人だった。
「そうだよ!君に思い知らせたかった!僕がどれだけ酷い目に遇ったか知って一緒に汚れて欲しかったんだよ!それで僕と結婚するんだ!」
「結婚?」
愛情や未練ではないということは、その激しい口調でわかる。
ウィリスは私をも恨み、憎んでいるのだと。
「そうだ!もう僕に未来はない!まともな人間として生きてはいけない!だってもう人形なんだから!君だけ自由にしてやるか!君もこうなるべきだったんだ!だから僕が生きていく為に、絶対、元々するはずだった結婚をするんだよ!妻になれ!妻だ!!一生僕を面倒見るんだ!ほら、この僕の顔を見ろ!!」
とても正気とは思えない言葉を吐きながら、ウィリスは不自由そうに震える手で乱暴に顔の包帯を解いた。
「!」
酷いなどという言葉では生温い無数の傷が肌を覆っている。
初めて損傷を負った肉体を目の当たりにした私は、悲鳴をこらえ口を覆った。
「あいつらは僕を麻痺させて全身を切った!殴った!蹴った!ぐちゃぐちゃにした!」
ウィリスが傍に立て掛けてあった杖を掴んだ。
ベッドから下り此方へ向かって歩いてくる。素早い動きではなく普段であれば簡単に逃げられた。併し私は驚愕し、恐怖し、動けなかった。
「何で拷問したと思う!?僕は関係ない!全く関係ない!練習だ!王太子を拷問して壊す為の練習だったんだよ!!」
「!?」
痛々しい体に、正気を疑うようなあり得ない求婚。
それに続く言葉の衝撃があまりにも大きすぎて私は凝然とウィリスを見つめていた。
ガツン、と目が眩むような衝撃を受けたかと思うと、私は横向きに絨毯の上に転がっていた。
「君がどうして男娼を買ったことにされたと思う!?それだって、とばっちりなんだ……ハハッ!ちょっと王妃に雰囲気が似てる君を淫乱女って揶揄って遊びたかったんだって!ハハハ!狂ってるんだよ馬鹿がぁっ!!」
「!」
私は必死で顔と頭を庇い続ける。
ウィリスは何度も私の体を杖で打ちながら狂ったような言葉を叫び続ける。
「どっちが汚れてるんだよ、くそばばあッ!僕が汚されたんだ!!ヒルデガルド!君は!僕の!ものだ!僕の!人形にッ!なるんだ!!僕が!君をッ!汚して!ぶっ壊してやるんだッ!!」
ウィリスは正気を失っていた。
私はあまりの激痛に泣き始めていた。
「おやめください、ウィリス様!誰か!誰か来てぇッ!!」
「……っ?」
使用人の一人が乱入してきて、私を庇い助けを呼んでくれた。
すぐさま人が立て続けに駆け込んでくるなりウィリスを抑えつけ、私も支えを受けて体を起こした。
「君は僕のものだぁッ!結婚するんだぁッ!」
「……」
ウィリスは狂ってしまった。
私は初めて受けた激しい暴力に混乱し、酷い動悸と悪寒をどうすることもできない。
併し、私より遥かに過酷な苦痛を味わったであろうウィリスが目の前で錯乱している様を見ると、却って理性が留まり続けた。生理的に溢れる涙も徐々に落ち着くだろう。
ウィリスの妄言にもし事実が含まれているとしたら、ソフィア王女は謀反を企てていることになる。
「ウィリス!」
シェロート伯爵が駆け込んでくる。
そして足元で使用人に抱き起こされている私に気づき、悲愴な悲鳴を上げた。
「ああっ、なんということだ……!」
シェロート伯爵の狼狽は凄まじく、そのまま卒倒し心労で息絶えてしまうのではないかと此方が心配になるほどだ。
「結婚する!僕はヒルデガルドと結婚する!絶対する!!」
「何を言っているんだお前は……ああ、レディ・ヒルデガルド申し訳ございません……!」
「結婚するんだぁ!脱げぇぇッ!!」
クローゼル侯爵家での屈辱を思い出すような辱めだったが、相手は狂人なのだからどうしようもない。睨みつけるくらいしか私にはできなかった。
ウィリスがどれだけ酷い傷を負っていても、杖で何度も打たれ侮辱されると憐れみなど忘れてしまう。
私は今ウィリスから自分を守らなくてはいけない。酷い薄情者だと思うが、私の存在はウィリスにとって何の助けにもならないだろう。
私が同じ目に遇うことを望んでいるのだ。
私たちはもう同じ未来を見ることはできない。永遠に。
「今日は失礼いたします」
私が立つまでシェロート伯爵家の使用人はしっかりと体を支えてくれた。
もしかすると私がウィリスと結婚し此処で生活することを一度ならずとも想像してくれていた人物なのかもしれない。
「ありがとう。もう大丈夫よ」
「ヒルデガルド様……」
「足は無事だから、歩けます」
私はシェロート伯爵の謝罪とウィリスの忌まわしい求婚、両方の叫び声を背中に受けながら辞した。少し膝が震えたが歩くことは諦めなかった。
私にはやるべきことがある。
驚きと恐怖だけで立ち止まってはいられない。
私の歩みが止まらないよう神は見守っていてくださる。
「ヒルデガルドは僕のものだぁッ!!」
馬車に乗りこむ直前、ウィリスの絶叫が微かに届いた。
「違う」
私は低く吐き捨て、痛む手で手摺りを掴み勢いをつけて地面を蹴る。
行くべき場所がある。
私の体も、心も、ウィリスの分は一欠けらも残っていない。
今度こそ汚されたような気がした。
レオンに会いたい。
「息子が何をされたのか、とても女性には聞かせられない……嘘であってほしいと思うが、あの傷は……否、それはあなたには関係ないことだ。今日は来てくれてありがとう──ありがとうございます、レディ・ヒルデガルド」
ウィリスとの婚約期間とは全く異なる関係になったとはいえ、この状況で咄嗟に出た口調や態度など問題にもならない。
ニコラス王太子の言った生き証人という言葉が事態の深刻さを表しているだろう。
「様子は如何ですか?」
私は見舞客として尋ねた。
シェロート伯爵は疲労と混乱が窺える酷い顔色ではあるものの、努めて私に丁寧な対応を心掛けている。
「気難しい怪我人です。ニコラス王太子は一月後を目途に慰問にいらしてくださると。それまでに正気に戻さなければ……」
歩きながら受けた報告によると、シェロート伯爵家の主治医に治療を任せているらしい。
ニコラス王太子の慰問と言うが恐らく証言を取る為の使者が来るのだろう。宮殿内で王太子と王女の兄妹がどのようなやりとりをしているか知る由もないが、場合によってはニコラス王太子が直々に来るかもしれない。
ソフィア王女は私の人生を狂わせた。
少なくとも宮廷裁判で潔白を証明するまでは、そう考えられる状況だった。
今は違う。
私の元婚約者が人生を狂わされ、私はそれに巻き込まれたのだ。
そうとしか思えない。
「あなたと二人きりで話ができたら、心が休まると言うので……」
「はい」
婚約者の私を残酷な形で裏切ったウィリスだが、今は身も心も酷い傷を負っている。他人ではないというより他人事ではないから要望に応じた。
私には見舞う義務があるように思えたのだ。
ウィリスの寝室は昼の太陽を存分に取り入れ、清潔に整えられていた。当然なのだが、救出時の錯乱を思えば暗がりで蹲っていてもおかしくないと懸念していたので私は少し安心した。
「二人きりになりたい」
ウィリスは看護人の方を見ずに告げる。
シェロート伯爵家の主治医と看護人は私に頭を下げて素早く退室した。
ウィリスはベッドに背を起こして座り、明るい窓の外を睨んでいる。
やはり肌が見えるべきところは全て包帯に覆われ、痛々しい怪我人の様相だ。
「気分はどう?」
「どうって……」
「食欲は?きちんと食べられているの?」
「……」
私との対話を望んでいると聞いて訪問したが、ウィリスがもう以前の状態ではないことも、礼節を弁えられる心境ではないのも当然だと思える。
「いい子ぶって」
ウィリスは早速声を荒げた。
「自分は綺麗なままでよかったって、僕を笑っているんだろう?いい気味だと思ってるくせに」
「……」
我儘を聞きに来た。
八つ当たりを受けに来た。
それで心の傷をある程度乗り越えられるなら、力になろうと思った。
覚悟はできている。
生き証人を、証言ができるところまで回復させるのに私が必要なら、私は私を捧げるまでだ。
「思わないわ」
「嘘だ!君は、僕を恨んだはずだ!その僕が、作り話の君と違ってしっかり汚されて帰って来たんだから嬉しいに決まってるじゃないか!」
「……」
私は必要以上にはベッドに近づかないよう気を付けながら、そのわずかな目の表情を見極めようと注意深く距離を詰める。
窓から目を剥がし、ウィリスは私を睨んだ。
私に憎しみをぶつける。
相手が目の前にいないのだから、こうなるのは仕方ない。
「それを私に言いたかったの?」
尋ねるとウィリスが声を引き攣らせ泣き始めた。
全身を包帯で覆わなければならないような酷い怪我を負い、理性を保てという方が酷だ。ウィリスは元婚約者というより身も心も重傷を負った一人の悲しい病床人だった。
「そうだよ!君に思い知らせたかった!僕がどれだけ酷い目に遇ったか知って一緒に汚れて欲しかったんだよ!それで僕と結婚するんだ!」
「結婚?」
愛情や未練ではないということは、その激しい口調でわかる。
ウィリスは私をも恨み、憎んでいるのだと。
「そうだ!もう僕に未来はない!まともな人間として生きてはいけない!だってもう人形なんだから!君だけ自由にしてやるか!君もこうなるべきだったんだ!だから僕が生きていく為に、絶対、元々するはずだった結婚をするんだよ!妻になれ!妻だ!!一生僕を面倒見るんだ!ほら、この僕の顔を見ろ!!」
とても正気とは思えない言葉を吐きながら、ウィリスは不自由そうに震える手で乱暴に顔の包帯を解いた。
「!」
酷いなどという言葉では生温い無数の傷が肌を覆っている。
初めて損傷を負った肉体を目の当たりにした私は、悲鳴をこらえ口を覆った。
「あいつらは僕を麻痺させて全身を切った!殴った!蹴った!ぐちゃぐちゃにした!」
ウィリスが傍に立て掛けてあった杖を掴んだ。
ベッドから下り此方へ向かって歩いてくる。素早い動きではなく普段であれば簡単に逃げられた。併し私は驚愕し、恐怖し、動けなかった。
「何で拷問したと思う!?僕は関係ない!全く関係ない!練習だ!王太子を拷問して壊す為の練習だったんだよ!!」
「!?」
痛々しい体に、正気を疑うようなあり得ない求婚。
それに続く言葉の衝撃があまりにも大きすぎて私は凝然とウィリスを見つめていた。
ガツン、と目が眩むような衝撃を受けたかと思うと、私は横向きに絨毯の上に転がっていた。
「君がどうして男娼を買ったことにされたと思う!?それだって、とばっちりなんだ……ハハッ!ちょっと王妃に雰囲気が似てる君を淫乱女って揶揄って遊びたかったんだって!ハハハ!狂ってるんだよ馬鹿がぁっ!!」
「!」
私は必死で顔と頭を庇い続ける。
ウィリスは何度も私の体を杖で打ちながら狂ったような言葉を叫び続ける。
「どっちが汚れてるんだよ、くそばばあッ!僕が汚されたんだ!!ヒルデガルド!君は!僕の!ものだ!僕の!人形にッ!なるんだ!!僕が!君をッ!汚して!ぶっ壊してやるんだッ!!」
ウィリスは正気を失っていた。
私はあまりの激痛に泣き始めていた。
「おやめください、ウィリス様!誰か!誰か来てぇッ!!」
「……っ?」
使用人の一人が乱入してきて、私を庇い助けを呼んでくれた。
すぐさま人が立て続けに駆け込んでくるなりウィリスを抑えつけ、私も支えを受けて体を起こした。
「君は僕のものだぁッ!結婚するんだぁッ!」
「……」
ウィリスは狂ってしまった。
私は初めて受けた激しい暴力に混乱し、酷い動悸と悪寒をどうすることもできない。
併し、私より遥かに過酷な苦痛を味わったであろうウィリスが目の前で錯乱している様を見ると、却って理性が留まり続けた。生理的に溢れる涙も徐々に落ち着くだろう。
ウィリスの妄言にもし事実が含まれているとしたら、ソフィア王女は謀反を企てていることになる。
「ウィリス!」
シェロート伯爵が駆け込んでくる。
そして足元で使用人に抱き起こされている私に気づき、悲愴な悲鳴を上げた。
「ああっ、なんということだ……!」
シェロート伯爵の狼狽は凄まじく、そのまま卒倒し心労で息絶えてしまうのではないかと此方が心配になるほどだ。
「結婚する!僕はヒルデガルドと結婚する!絶対する!!」
「何を言っているんだお前は……ああ、レディ・ヒルデガルド申し訳ございません……!」
「結婚するんだぁ!脱げぇぇッ!!」
クローゼル侯爵家での屈辱を思い出すような辱めだったが、相手は狂人なのだからどうしようもない。睨みつけるくらいしか私にはできなかった。
ウィリスがどれだけ酷い傷を負っていても、杖で何度も打たれ侮辱されると憐れみなど忘れてしまう。
私は今ウィリスから自分を守らなくてはいけない。酷い薄情者だと思うが、私の存在はウィリスにとって何の助けにもならないだろう。
私が同じ目に遇うことを望んでいるのだ。
私たちはもう同じ未来を見ることはできない。永遠に。
「今日は失礼いたします」
私が立つまでシェロート伯爵家の使用人はしっかりと体を支えてくれた。
もしかすると私がウィリスと結婚し此処で生活することを一度ならずとも想像してくれていた人物なのかもしれない。
「ありがとう。もう大丈夫よ」
「ヒルデガルド様……」
「足は無事だから、歩けます」
私はシェロート伯爵の謝罪とウィリスの忌まわしい求婚、両方の叫び声を背中に受けながら辞した。少し膝が震えたが歩くことは諦めなかった。
私にはやるべきことがある。
驚きと恐怖だけで立ち止まってはいられない。
私の歩みが止まらないよう神は見守っていてくださる。
「ヒルデガルドは僕のものだぁッ!!」
馬車に乗りこむ直前、ウィリスの絶叫が微かに届いた。
「違う」
私は低く吐き捨て、痛む手で手摺りを掴み勢いをつけて地面を蹴る。
行くべき場所がある。
私の体も、心も、ウィリスの分は一欠けらも残っていない。
今度こそ汚されたような気がした。
レオンに会いたい。
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