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ジェイドと再び顔を合わせたのは月に煌々と照らされる夜遅くになってからのことだった。
「帰りました」
総帥が用意した上質すぎる部屋を持て余し長椅子に座って考え込んでいた私は、ジェイドの声を聞き、その温和な顔を目にして安堵する。
「ジェイド……!」
私が駆け寄るとジェイドはしっかりと抱きとめてくれた。
「無事でよかった……」
見かけよりずっと逞しいジェイドの体に腕を回し、強く抱きしめる。抱きしめるというより、縋りつくといった方が正確かもしれない。
「殿下は安全です」
ジェイドに耳打ちされ、私は更に深い安堵に満たされ溜息をついた。
「実は、総帥も姫様の命を奪わないと言ってくれたの」
「そうですか」
「あの方が何処かで生きていれば私の希望になると言っていたわ。あの人、恐ろしいほど私に優しい」
「ええ。でも、油断しないで」
「わかってる」
私はジェイドの胸から顔をあげた。
間近で見上げると、ジェイドの温もりや存在を強く感じられる。
「あなたは、大丈夫?」
「私はこの通り無事です。戦力外と思われていても、今や総帥のお嬢様の想い人ということで、同僚全員が腫れ物に触るようではありますが手厚く保護してくれるんです。中尉をね。情けないですね」
「よかったわ」
細やかな笑みを交わす。
「姫様は、何処へ?」
尋ねると、ジェイドはまた耳打ちするため顔を寄せた。
「私の隠れ家です」
「……」
隠れ家。
そんなものを持っているの?
「不義の子は窮屈ですから、いつか国を出ようと思って各地に休憩用の小屋を建てておいたんです。一時凌ぎには事欠かない程度の設備も整えてあります。どの方向から逃げるかの経路は状況によって変わりますからね。はは。臆病者の悪足掻きがこんな時に役立つとは」
ジェイドは自身を卑下するように苦い笑みを浮かべて言った。
「そうなの……」
「一緒に来てくれますか?」
優しい声音で問いかけられ、ふと我に返る。
誘いそのものは掛値なく嬉しいが、私にはまだやらなければならないことが残っている。
「スカーレイ様の埋葬が」
「ええ、もちろん。その後、あなたはどうします?彼女の眠るこの地で生きていきたいですか?」
先のことなど考えられるような状況ではなかった。
問われて初めて、自分が生き延びない前提で動いていたと気づく。
スカーレイのいない世界で……
「姫様を」
私は緩く首を振りながら無意識に呟く。
そうだ。
フローラ姫を迎えにいって安全を確かめなくては。
それに逃亡先でフローラ姫に仕える人間がいないと不便だろう。私は……私に務まるのであれば役に立ちたいという思いがあるにはあるものの、スカーレイを喪った悲しみを乗り越えられるかどうか、自信がない。
「殿下について話しておくことがあります」
「?」
ジェイドに促され再び長椅子に腰を下ろす。その体温を感じられるほど傍にジェイドが居てくれるだけで、勇気が湧いてくる。
フローラ姫は無事なのだ。
よかった。
「ロヴネル一家が殿下を守ろうとする意志はとてつもなく固いようです」
「そうなの」
よかった。
「ロヴネル夫人は陽気な乳母という印象でしたが、相当な剣の使い手です」
「え?」
「殿下をしっかり守り抜きました」
「……」
どうして過去形なのか、私は冷たい恐怖に固唾を呑んだ。
「彼女は無事です」
私の心を読んだかのようにジェイドは断言したが、その表情は硬い。
何か問題があるのは確かだ。
「ロヴネル家は平民ですが、騎士の一家でしたね」
「ええ」
「二十三年前、夫妻は年齢的に少年と少女でした。レイクシアの滅亡とアスガルドの建国という動乱の時代を生き抜いた」
「……そうね」
「平民のロヴネル夫人が殿下の乳母に抜擢されるには理由が必要ですが、恐らく、彼女は軍関係者です」
「え!?」
私は驚きに任せ声を上げた。
ジェイドは冷静に続ける。深い湖色の瞳が私を見つめている。
「或いは、総帥と個人的な繋がりを持っている」
「……」
どういうこと?
あの、優しくて大らかで明るいロヴネル夫人が、クーデターを起こし遺体を踏みしめて笑うような総帥と、どのような関係にあるというのだろう。
でも、一方では納得できる。
平民のロヴネル夫人が宮殿で自由気儘に過ごせていたのは、国の英雄である総帥と何らかの関係にあると国王が承知していたからだと考えれば、全て腑に落ちる。
「年齢は、近いようだけど」
私は覚束ない合いの手を挟み口籠った。
ジェイドが頷く。
「宮殿内にはレイクシア王国の……というより、レイクシアの信仰を固く守っている一派が存在し、その集団も殿下を亡き者にしようと計画していたようです」
「アヴァロン?」
その名を口にするとジェイドが目を丸くした。
「御存じでしたか」
「今日、何人かの騎士が《アヴァロンの徒》を名乗って私を連れて行こうとしたの。スカーレイ様を奪還すると言って。でも私、もうスカーレイ様が死んでしまったのを知っていたし、間に合わなかったのが許せなくて……」
「何もされませんでしたか?」
「軍の人が守ってくれたから」
「そうでしたか」
言いながら、ジェイドは宥めるように私の腕を撫でる。
「私が発見した時、殿下は《アヴァロン》に襲われていました。ロヴネル夫人が相手の剣を奪い、ラーシュが殿下を連れて逃げました」
「……そんな」
言葉を失った。
スカーレイを奪還すると言った彼らが、クーデターの混乱に紛れて堂々とフローラ姫を襲ったのだ。酷い。フローラ姫はたった八才の少女なのに、二つの勢力から命を狙われていた。その恐怖はどれほどのものだっただろう。
「ラーシュだって、子どもなのに」
「彼は立派ですよ。まるで国の崩壊を予期して教育されたかのように、充分、大人の騎士のように振舞っています。一緒に育ったこともあり殿下は妹という感覚なのでしょう。だいぶ扱い慣れていましたよ」
「……迎えに行かないと」
一緒に逃げたのがロヴネル夫人なら、世渡り上手な上に剣の腕まであると知った今、彼女に任せておけば安心だと思えた。
ラーシュを疑うわけではないがやはり子どもで限界がある。それに子ども二人の国外逃亡など、大人でさえ危険なのにその脅威は数倍に膨れ上がる。誰か大人がついていなければならない。
「勿論そのつもりです。だから私の隠れ家に誘導したんです」
「そうよね、よかった。ありがとう」
ジェイドの頼もしさに私は再び安堵する。
「あなたが行けるなら、そのまま四人で異国へ逃げてしまいましょう」
「隠れ家は安全なの?」
「そのはずです」
「だったら、私……スカーレイ様を埋葬して、姫様のところへ行くわ。放っておけないもの。厳しい環境で生きていくだけなら私すごく慣れているし、役に立てる。そして、姫様が大人になったら、スカーレイ様のところへ帰ってくるわ」
「…………そうですか」
ジェイドは含みのある沈黙の後、私の我儘を非難せず頷いてくれた。
わかっている。
国が倒れたという緊急事態に、スカーレイ様の眠る土地を離れたくないというのは我儘だ。
「スノウ。総帥は二人の国王を裏切り、二度のクーデターを起こしました。たとえ統治したとしても、またいつ戦乱に巻き込まれるかわかりません」
「わかってるわ。でも……」
ジェイドの懸念は理解できる。
私の養父は英雄と呼ばれながらも多くの恨みを買っている。
もし総帥が倒されたらその時こそ私は殺される。
もう只の〝罪の子〟ではない。
総帥の娘は、安寧だけではなくその咎も同じだけ背負うのだ。
「死んでしまった、ばかりなの……」
スカーレイ様のことが頭から離れない。
ジェイドは労わるような表情で私を抱きしめた。私はジェイドの肩に頭を預け、暫し彼の与えてくれる安堵に縋る。
「彼女の葬儀は、いつ?」
頭の上から優しい声がした。
私は数回瞬きしてから答えた。
「宮殿内の遺体を運び出して、整理してから。数日かかると言われたわ。スカーレイ様は……エクブロム大尉が綺麗に保管してくれているって……それに、もうすぐ冬が来るから」
極寒の冬が遺体の腐敗を防いでくれる。
「……」
私は身を起こした。
ジェイドと見つめ合う。
「姫様は冬を越せる?」
「厳しい旅になるでしょう」
「早く……」
春を待ってはいられない。
スカーレイ様の埋葬を急がなくてはならない。
「お迎えに……」
行かなければ。
「え?」
私は唐突に気づいた。
ジェイドの腕を掴む。
「どうして四人なの?私とあなたと姫様、もう一人は……」
ラーシュが行くなら、ロヴネル夫人は?
ロヴネル夫人が行くなら、子どものラーシュは?
「五人ではないの?」
「もう一人はラーシュです」
ジェイドが答える。
「乳母の、ロヴネル夫人は……?」
彼女がいれば、安心なのに……
「それが……」
「帰りました」
総帥が用意した上質すぎる部屋を持て余し長椅子に座って考え込んでいた私は、ジェイドの声を聞き、その温和な顔を目にして安堵する。
「ジェイド……!」
私が駆け寄るとジェイドはしっかりと抱きとめてくれた。
「無事でよかった……」
見かけよりずっと逞しいジェイドの体に腕を回し、強く抱きしめる。抱きしめるというより、縋りつくといった方が正確かもしれない。
「殿下は安全です」
ジェイドに耳打ちされ、私は更に深い安堵に満たされ溜息をついた。
「実は、総帥も姫様の命を奪わないと言ってくれたの」
「そうですか」
「あの方が何処かで生きていれば私の希望になると言っていたわ。あの人、恐ろしいほど私に優しい」
「ええ。でも、油断しないで」
「わかってる」
私はジェイドの胸から顔をあげた。
間近で見上げると、ジェイドの温もりや存在を強く感じられる。
「あなたは、大丈夫?」
「私はこの通り無事です。戦力外と思われていても、今や総帥のお嬢様の想い人ということで、同僚全員が腫れ物に触るようではありますが手厚く保護してくれるんです。中尉をね。情けないですね」
「よかったわ」
細やかな笑みを交わす。
「姫様は、何処へ?」
尋ねると、ジェイドはまた耳打ちするため顔を寄せた。
「私の隠れ家です」
「……」
隠れ家。
そんなものを持っているの?
「不義の子は窮屈ですから、いつか国を出ようと思って各地に休憩用の小屋を建てておいたんです。一時凌ぎには事欠かない程度の設備も整えてあります。どの方向から逃げるかの経路は状況によって変わりますからね。はは。臆病者の悪足掻きがこんな時に役立つとは」
ジェイドは自身を卑下するように苦い笑みを浮かべて言った。
「そうなの……」
「一緒に来てくれますか?」
優しい声音で問いかけられ、ふと我に返る。
誘いそのものは掛値なく嬉しいが、私にはまだやらなければならないことが残っている。
「スカーレイ様の埋葬が」
「ええ、もちろん。その後、あなたはどうします?彼女の眠るこの地で生きていきたいですか?」
先のことなど考えられるような状況ではなかった。
問われて初めて、自分が生き延びない前提で動いていたと気づく。
スカーレイのいない世界で……
「姫様を」
私は緩く首を振りながら無意識に呟く。
そうだ。
フローラ姫を迎えにいって安全を確かめなくては。
それに逃亡先でフローラ姫に仕える人間がいないと不便だろう。私は……私に務まるのであれば役に立ちたいという思いがあるにはあるものの、スカーレイを喪った悲しみを乗り越えられるかどうか、自信がない。
「殿下について話しておくことがあります」
「?」
ジェイドに促され再び長椅子に腰を下ろす。その体温を感じられるほど傍にジェイドが居てくれるだけで、勇気が湧いてくる。
フローラ姫は無事なのだ。
よかった。
「ロヴネル一家が殿下を守ろうとする意志はとてつもなく固いようです」
「そうなの」
よかった。
「ロヴネル夫人は陽気な乳母という印象でしたが、相当な剣の使い手です」
「え?」
「殿下をしっかり守り抜きました」
「……」
どうして過去形なのか、私は冷たい恐怖に固唾を呑んだ。
「彼女は無事です」
私の心を読んだかのようにジェイドは断言したが、その表情は硬い。
何か問題があるのは確かだ。
「ロヴネル家は平民ですが、騎士の一家でしたね」
「ええ」
「二十三年前、夫妻は年齢的に少年と少女でした。レイクシアの滅亡とアスガルドの建国という動乱の時代を生き抜いた」
「……そうね」
「平民のロヴネル夫人が殿下の乳母に抜擢されるには理由が必要ですが、恐らく、彼女は軍関係者です」
「え!?」
私は驚きに任せ声を上げた。
ジェイドは冷静に続ける。深い湖色の瞳が私を見つめている。
「或いは、総帥と個人的な繋がりを持っている」
「……」
どういうこと?
あの、優しくて大らかで明るいロヴネル夫人が、クーデターを起こし遺体を踏みしめて笑うような総帥と、どのような関係にあるというのだろう。
でも、一方では納得できる。
平民のロヴネル夫人が宮殿で自由気儘に過ごせていたのは、国の英雄である総帥と何らかの関係にあると国王が承知していたからだと考えれば、全て腑に落ちる。
「年齢は、近いようだけど」
私は覚束ない合いの手を挟み口籠った。
ジェイドが頷く。
「宮殿内にはレイクシア王国の……というより、レイクシアの信仰を固く守っている一派が存在し、その集団も殿下を亡き者にしようと計画していたようです」
「アヴァロン?」
その名を口にするとジェイドが目を丸くした。
「御存じでしたか」
「今日、何人かの騎士が《アヴァロンの徒》を名乗って私を連れて行こうとしたの。スカーレイ様を奪還すると言って。でも私、もうスカーレイ様が死んでしまったのを知っていたし、間に合わなかったのが許せなくて……」
「何もされませんでしたか?」
「軍の人が守ってくれたから」
「そうでしたか」
言いながら、ジェイドは宥めるように私の腕を撫でる。
「私が発見した時、殿下は《アヴァロン》に襲われていました。ロヴネル夫人が相手の剣を奪い、ラーシュが殿下を連れて逃げました」
「……そんな」
言葉を失った。
スカーレイを奪還すると言った彼らが、クーデターの混乱に紛れて堂々とフローラ姫を襲ったのだ。酷い。フローラ姫はたった八才の少女なのに、二つの勢力から命を狙われていた。その恐怖はどれほどのものだっただろう。
「ラーシュだって、子どもなのに」
「彼は立派ですよ。まるで国の崩壊を予期して教育されたかのように、充分、大人の騎士のように振舞っています。一緒に育ったこともあり殿下は妹という感覚なのでしょう。だいぶ扱い慣れていましたよ」
「……迎えに行かないと」
一緒に逃げたのがロヴネル夫人なら、世渡り上手な上に剣の腕まであると知った今、彼女に任せておけば安心だと思えた。
ラーシュを疑うわけではないがやはり子どもで限界がある。それに子ども二人の国外逃亡など、大人でさえ危険なのにその脅威は数倍に膨れ上がる。誰か大人がついていなければならない。
「勿論そのつもりです。だから私の隠れ家に誘導したんです」
「そうよね、よかった。ありがとう」
ジェイドの頼もしさに私は再び安堵する。
「あなたが行けるなら、そのまま四人で異国へ逃げてしまいましょう」
「隠れ家は安全なの?」
「そのはずです」
「だったら、私……スカーレイ様を埋葬して、姫様のところへ行くわ。放っておけないもの。厳しい環境で生きていくだけなら私すごく慣れているし、役に立てる。そして、姫様が大人になったら、スカーレイ様のところへ帰ってくるわ」
「…………そうですか」
ジェイドは含みのある沈黙の後、私の我儘を非難せず頷いてくれた。
わかっている。
国が倒れたという緊急事態に、スカーレイ様の眠る土地を離れたくないというのは我儘だ。
「スノウ。総帥は二人の国王を裏切り、二度のクーデターを起こしました。たとえ統治したとしても、またいつ戦乱に巻き込まれるかわかりません」
「わかってるわ。でも……」
ジェイドの懸念は理解できる。
私の養父は英雄と呼ばれながらも多くの恨みを買っている。
もし総帥が倒されたらその時こそ私は殺される。
もう只の〝罪の子〟ではない。
総帥の娘は、安寧だけではなくその咎も同じだけ背負うのだ。
「死んでしまった、ばかりなの……」
スカーレイ様のことが頭から離れない。
ジェイドは労わるような表情で私を抱きしめた。私はジェイドの肩に頭を預け、暫し彼の与えてくれる安堵に縋る。
「彼女の葬儀は、いつ?」
頭の上から優しい声がした。
私は数回瞬きしてから答えた。
「宮殿内の遺体を運び出して、整理してから。数日かかると言われたわ。スカーレイ様は……エクブロム大尉が綺麗に保管してくれているって……それに、もうすぐ冬が来るから」
極寒の冬が遺体の腐敗を防いでくれる。
「……」
私は身を起こした。
ジェイドと見つめ合う。
「姫様は冬を越せる?」
「厳しい旅になるでしょう」
「早く……」
春を待ってはいられない。
スカーレイ様の埋葬を急がなくてはならない。
「お迎えに……」
行かなければ。
「え?」
私は唐突に気づいた。
ジェイドの腕を掴む。
「どうして四人なの?私とあなたと姫様、もう一人は……」
ラーシュが行くなら、ロヴネル夫人は?
ロヴネル夫人が行くなら、子どものラーシュは?
「五人ではないの?」
「もう一人はラーシュです」
ジェイドが答える。
「乳母の、ロヴネル夫人は……?」
彼女がいれば、安心なのに……
「それが……」
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