幼馴染か私か ~あなたが復縁をお望みなんて驚きですわ~

希猫 ゆうみ

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「あなたの人生は誰のものなの?ハリエット?」
「それは僕のものだけど、彼女は一人では立ち直れない。そして、幼い頃からの絆がある僕の支えを求めているんだ。お願いだ。わかってくれ、レイチェル」
「……」

私は並んで座っていたソファーの最大限端に寄り、マシューと可能な限りの距離を取った。

「レイチェル」

マシューは真剣に懇願している。
そして私の手を掬いあげ両手で包んだ。

「君だから頼んでいるんだ。世界で誰よりも信頼している君だから」
「でも……」

混乱する。
感情は激しく渦巻いて生理的な涙を誘うけれど、私は感情に任せて素直に泣ける性格ではない。泣いても始まらない。

「彼女に支えが必要だとしても、他人の結婚を邪魔するような立ち直らせ方をさせては駄目よ」

申し訳ないけれど、それは成長にはつながらない。
ただ嘆き悲しみ感情を処理する時間は必要だろう。でも、だからって、ハリエット自身、幼馴染の結婚を先延ばしにしてまで構って欲しいのだろうか。

「そう。君は他人だ。でも僕にとってハリエットは妹みたいな存在なんだ」
「仮に妹だったとしても、妹の離婚を理由に結婚を延ばす必要はないでしょう?」
「無神経なことを言わないでくれ」
「え?」

マシュー……
まさか、苛立っているの?

心なしか私の手を握る力が、無遠慮に強くなっている気が、しないでも、ないけれども……

え?

「離婚されて傷ついているハリエットに僕自身が結婚をして見せるなんて、とてもできない」
「私はどうなるの?」
「だからこうして待って欲しいと頼んでいるんだ。それなのに君は自分の結婚の話ばかり」
「……はい?」
「君には繊細なハリエットの気持ちがわからないだろう。それを責める気はない」

いえ、充分責められているけれど。
マシューの態度は怒りと不満と焦燥でしかない。

「だが僕の決断に不満があるなら」

一方的に結婚を延期されて、不満を抱かない女がいるなら、会ってみたい。

「君とは結婚後も上手くいかないと思う」
「……」
「それは双方にとって不幸なことだ」
「……」

双方にとって?

「あなたが勝手に延期を決断したんでしょう?」

私も静かな怒りに燃えてきた。
怒鳴っても泣いても見苦しいだけ。だから、とりあえずマシューの手の中から自分の手を引き抜いた。

「……っ」

何故かマシューが傷ついたような表情を浮かべる。

「私の人生をあなたの一存で決める権利はないわ」

傷付いたのは私だ。
せめて相談してほしかった。決定を押し付けるのではなく。
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