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第六話『二人しか知らない』
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――キス、してる。
そう思ったのも束の間、唇は「ちゅ」と軽く触れ合うだけですぐに離れてしまった。
熱は瞬く間に引いていき、それを名残惜しいな思っていたら、
「……ごめん、嫌じゃない?」
と悠斗がおずおずと尋ねてくる。
なぜそう聞かれるのかはすぐに理解できた。きっと悠斗は先ほど吉井に襲われたことを気にしてくれていて、すぐそこで揺れる瞳はもしかすると勝手にキスをしたことを後悔しているのかもしれない。
もとより比べようもない二人だけれど、瑛はきっぱりとした口調で告げた。
「悠斗だから嫌じゃない。悠斗となら――」
「したい」と口にした言葉は、吐息とともに飲み込まれていた。
触れ合い、すぐに離れ、今度は惜しいと思う間もなく悠斗に頬を包まれて、再び唇を塞がれる。
ちゅ、ちゅ、と角度を変えながら何度もキスを重ねて、そのうちに焦れたように悠斗の舌が唇の間をつついた。
え、と驚いた拍子に開いた口の中に、悠斗の舌がぬるりと侵入してくる。
それを戸惑いながらも受け入れて、恐る恐る自分のものを触れ合わせれば信じられないくらい気持ちがよかった。
いやらしい音を立てながら粘膜同士が絡み合う。
ただ触れるだけでは物足りないと思っていた心の隙間が、舌を押し込まれるごとに埋められていくようだった。
深くなるキスに強張っていた体からくたりと力が抜けていく。
逆に悠斗はどんどん勢い付いて、気づけばわずかにあったスペースに押し倒されていた。
口角から溢れた唾液を舐め、唇を甘噛みした悠斗が再び口内に戻ると、熱い舌であちこちをかき混ぜていく。
「――ふ……んっ……はぁ……」
ようやく唇が離れれる頃にはお互いの呼吸はすっかり乱れていた。
肩で息をしながら「なんだこれ」と他人事のように思いながら、「まだ足りない」と飢えにも似た気持ちを抱く。
「アキちゃん」
まつ毛が触れるほどの距離に悠斗の顔があった。
その瞳の中には見たことのない色が揺れていて、ドキッと心臓が跳ねる。
悠斗は親指の腹で瑛の濡れた唇を拭うと、またひとつ触れるだけの小さなキスを落とす。
「アキちゃんの全部が欲しい」
ああ、一緒だ。
そう思ったら、返事をするよりも先に今度は自分から唇を寄せていた。
そう思ったのも束の間、唇は「ちゅ」と軽く触れ合うだけですぐに離れてしまった。
熱は瞬く間に引いていき、それを名残惜しいな思っていたら、
「……ごめん、嫌じゃない?」
と悠斗がおずおずと尋ねてくる。
なぜそう聞かれるのかはすぐに理解できた。きっと悠斗は先ほど吉井に襲われたことを気にしてくれていて、すぐそこで揺れる瞳はもしかすると勝手にキスをしたことを後悔しているのかもしれない。
もとより比べようもない二人だけれど、瑛はきっぱりとした口調で告げた。
「悠斗だから嫌じゃない。悠斗となら――」
「したい」と口にした言葉は、吐息とともに飲み込まれていた。
触れ合い、すぐに離れ、今度は惜しいと思う間もなく悠斗に頬を包まれて、再び唇を塞がれる。
ちゅ、ちゅ、と角度を変えながら何度もキスを重ねて、そのうちに焦れたように悠斗の舌が唇の間をつついた。
え、と驚いた拍子に開いた口の中に、悠斗の舌がぬるりと侵入してくる。
それを戸惑いながらも受け入れて、恐る恐る自分のものを触れ合わせれば信じられないくらい気持ちがよかった。
いやらしい音を立てながら粘膜同士が絡み合う。
ただ触れるだけでは物足りないと思っていた心の隙間が、舌を押し込まれるごとに埋められていくようだった。
深くなるキスに強張っていた体からくたりと力が抜けていく。
逆に悠斗はどんどん勢い付いて、気づけばわずかにあったスペースに押し倒されていた。
口角から溢れた唾液を舐め、唇を甘噛みした悠斗が再び口内に戻ると、熱い舌であちこちをかき混ぜていく。
「――ふ……んっ……はぁ……」
ようやく唇が離れれる頃にはお互いの呼吸はすっかり乱れていた。
肩で息をしながら「なんだこれ」と他人事のように思いながら、「まだ足りない」と飢えにも似た気持ちを抱く。
「アキちゃん」
まつ毛が触れるほどの距離に悠斗の顔があった。
その瞳の中には見たことのない色が揺れていて、ドキッと心臓が跳ねる。
悠斗は親指の腹で瑛の濡れた唇を拭うと、またひとつ触れるだけの小さなキスを落とす。
「アキちゃんの全部が欲しい」
ああ、一緒だ。
そう思ったら、返事をするよりも先に今度は自分から唇を寄せていた。
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