序・思わぬ収穫?

七月 優

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はじまりはじまり

気がつけばそこは

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 一応は、年号H生まれ。Sが何年に終わるかなんて知らない、そんな世代の一人だった。
 初めての彼氏が自分を正式に恋人と認識してくれていたのか疑惑を持ったまま、私は高校三年生で車にはねられて死んだ。
 
 そこで人生初、幽体離脱体験をした。
 放物線を描いて宙に投げ出された自分の体を見ながら、これで良かったのかもしれないと思ったものだ。
 そう、私はきっとそこで生きることを諦めた。

 寒空の十二月、もう少しで十八歳になるところだった。高校を無事卒業したら、念願の海外留学に行ける予定だった。でも、もうそれはきっと叶わない。夢は夢で終わった。

 そして私は、前世地球の日本で生きた生に幕を閉じた。


 ……はずだったんだけどな。


 * * * * *
 

 ふと、息苦しさに、目を見開きました。
 気がつけばそこは……ここどこでしょう?
 ” Where am I ? ” にもほどがあります。

 ただ一つはっきりと言えるのは、どこからどう見ても、日本でも地球でもないんだろうなという事実。
 
 取り合えず日本らしからぬ、どちらかと言えば、西洋や北欧風の部屋。
 そして、まるで超能力かと突っ込みたくなるほど、時に物が宙を浮き飛び交い、何もない場所に突如物体が出現。それをさも普通の日常のことのように行っている、どっちかというとアニメーション加工されてるようなお顔と外見の人たち。

 走馬燈代わりに、こんな不思議な夢を見ているのでしょうか?
 あんな最期を迎えた私に、せめてものたむけのように。

 それならそれで、この一時の夢を堪能しようじゃありませんか。
 
 そう思い、体を奮い立たせて起き上がります。
 その時初めて、違和感を覚えました。目線が、以上に低いです。
 にぎにぎと動かし、眼前に入る自分の手の小ささに驚愕します。どこからどう見ても子ども、いえ、幼児のそれでした。

 まさかの幼児退行?
 それが最期の夢とか、ちょっとひどすぎやしませんでしょうか?

 ……ってまあ、夢に贅沢求めても、しょうがありません。
 見渡せば、おそらくは今の夢の中の自分と、同い年くらいの子どもたちがたくさんいます。ここは、託児所的な施設なのでしょうか?

 幼児特有の頭が重く転びやすい、というのをまざまざ実感しつつ、取り合えず動き回ります。
 そして、発見したのです。
 この世界ならではの、姿見らしき鏡を!

 そこに映ったおそらく現在の自分に、驚きました。
 ” Who am I ? ”

 鏡には、幼児服を着た、薄葡萄色の紫の髪と瞳の、絶対地球ではありえない髪色と瞳の色をした幼児が映し出されていたのですから。驚くのも無理ありません、ぺたぺた両手で自分の顔を触れば、鏡にも反映されます。

 そして、実にオーソドックスですが、頬をつねります。

 それによって生じる痛みに
「夢じゃ……ない?」
私は上手くろれつが回らない口と舌を行使し、小さく小さく呟きました。
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