序・思わぬ収穫?

七月 優

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はじまりはじまり

孤児院生活において

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 私がお世話になっている孤児院。
 前世の公立学校並みに、そこそこの大きさだったりします。
 外壁が全て白色で、白い建物といっても過言ではありません。屋根は青色か赤色で塗られているようですけど、それよりも白がやはり目立ちます。

 孤児院にいる子どもたちは、百人はゆうにいました。
 そして孤児院の責任者らしき男性が一名と、彼の部下に相当する役割をする大人の女性陣が数名。彼らの統制下で、私たちがここで暮らしていけるって感じです。

 小学生以上の子どもたちは、日中不在になることがほとんどです。おそらく、学校に通っているのでしょう。学校は、孤児院の外から見える、栄えていそうなあの集落にありそうですね。午前中、小学生以上くらいの年齢の子どもたちがみんな一様に、そこへ向かっているのがいい証拠です。
 で、多分学校は週末休み。

 今までの様子を眺めていたら、そのくらいのことが予想できた次第です。
 時計やカレンダーや絵本・児童書を考慮して、その他いろんな発見がありました。

 前世同様、一日二十四時間。でも、私が幼児だからか、時間の流れが前世よりもかなりゆっくり流れている気がします。
 月も十二か月あると思われます。驚いたことに、一月ひとつきはいずれも二十八日しかありません。
 つまり、一年は三百六日となります。
 一週間もおそらく七日。学校が休みになるのは、一・八・十五・二十二日と七・十四・二十一・二十八日に相当する曜日なはずです。

 さて、この孤児院における高校生くらいの子どもは、片手で数えるほど。おそらくそのくらいには、ここを卒業する決まりがあるのだと思います。
 私も早く自立して、ここを出なければいけません。そう、心に誓っています。
 四六時中誰かがいて、一人になれない環境って、やっぱりきついものがありました。保護者的立場が目を光らせなきゃならない今の年齢が、かなり憎まれますとも。

 あと、食事も地味に辛いのですよ。
 提供される食事の有難みは分かっています。作ってくれる側の負担も、理解してます。
 しかし、それで思い出されるのは前世の給食。第三者が決めたメニューしか食せない制限は、やはりストレスであります。私が前世通った保育園・小中学校の、虫入り・不味い・手抜きが十八番だった給食よりは、孤児院の食事はまだましですけどね。
 給食よりは自分で作るお弁当の方が断然良かった側としては、せめて自分で料理したものを口に入れるようになりたいと願うばかりです。
 孤児院を探検して調理場を観察した結果、食事を作るのは大人組、ときどき孤児院の子どもが何名かお手伝いしていることが判明。ただ、お手伝いする子どもは、最低小学生くらいの年齢でないといけないことを察しました。
 自分一人の食事のために、調理場を貸してもらうなんてことは、無理そうです。
 けれども、成長してゆくゆくはお手伝い組に回り、メニューに少々進言するくらいはできそうな予感。それに淡い期待を抱き、早く成長することを希望します。

 言語習得はじめ、こちらの世界の常識を知るなど、これからすべきことはたくさん。
 そうやって忙しくして、何かに夢中になってないと、いけません。

 だって未だに、ふと気づけば彼のことを思い出してしまうのですから。未練たらたらすぎて、自分が嫌になりますね。
 悲嘆にくれたって、泣いたって、何も変わってくれません。失ったものは取り戻せません。
 そんなの、よく分かっているはずなんですけどね。

 孤児院では、毎日幼い子どもたちの誰かしら泣いています。泣き声が、耳に入ります。
 彼らは、今のうちに思う存分泣けばいいのです。
 将来、泣きたくても泣けない状況だってあるでしょうから。泣かせてもらえないことだって、あるのですから。
 泣いて甘やかされるのが許され、悲しみを共に分かち合ってもらえるときに、我慢せず泣くのは、きっと大事でしょう。

 私が泣くのは、就寝時の真っ暗闇の中がほとんど。昼間どうしてもというときは、トイレの中で泣くと決めています。
 泣く際、声なんて出しません。誰かに慰めて欲しいわけじゃないのですから。静かに袖を濡らせれば、それでいいのです。

 こう思うと、生まれ変わったのが今の状況で良かったと思えました。孤児で、本当に良かったです。
 こちらの世界で、血のつながった家族と暮らす家庭に生まれず、私は幸せ・・・・でした。前世、早くあんなろくでもない親と縁を切りたかった距離を置きたがった身としては、血のつながった家族なんて今更煩わしいとしか思えません。
 良好な関係を築けた家族を持つ人からすれば、私はとんだ異端でしょう。一般的に幸せとされる家庭で育った者には、幸せでなかった家庭に育った者の気持ちは、大抵理解できませんものね。

 なんらかの事情で、私はこの世界にいたはずの親族と切り離されてここにいます。それが全てです。
 いずれ事情を知る日は、来るのかもしれません。
 それでも、私は彼らに会いたいとは思いませんし、二度と会えなくて結構です。向こうから今更会いに来られても、困ります。一緒に暮らそうなんて提案をされたら、非常に困ります。
 ですので、そんなことがないよう、切に願います。

 どんな経緯があったにしろ、私は孤児という今の現状に不満はありません。
 生みの親たちを、恨んじゃいません。むしろ、私を育てられないときちんと判断し、私を孤児院に来させたのなら、拍手ものだとすら思っています。
 世の中には、ろくに育てられないのに、子どもに酷いことを強いる保護者だっているのですから。
 だから、血のつながった家族がこの世界のどこかにいるというのなら、私のことなど完全に記憶から抹消して、幸せに生きてくれていればそれで構いません。
 互いにそれぞれの道を歩めれば、それでいいじゃありませんか。
 子どもはいつか親元から巣立つもの。私の場合、それが早まっただけに過ぎません。

 私は、孤児院からも完全に巣立つ自立するのが目標。その目標に向かって進む決意を固めながら、成長していくのみです。
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