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序章

第4話 決戦、そして転生

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 勇者パーティーや連合軍と魔王軍との激突が始まった。

 僕達連合軍は主に同族同士で、時には別の種族と協力して魔王軍の魔物達と闘った。

 僕も騎士団の仲間らと共に目の前の巨大な魔物などに挑んだり、小隊長の命令で別の部族と共闘して別の魔物に挑んだりした。

 また1度だけアッシュ兄ちゃんが指揮する隊と共に魔物に挑んだ時があり、その時自分の不注意で敵の攻撃を受けようとした時、カーンッ! 「大丈夫かっ! レックス!」

 金属同士がぶつかりあう音が聞こえたすぐ後にアッシュ兄ちゃんの声が聞こえたので目の前をよく見たら兄ちゃんが立っていた。

「う、うん。大丈夫」「油断してるんじゃないぞ!」そう言って兄ちゃんは自分が指揮すべき隊の方向へ走って行った。

(やっぱり兄ちゃんは凄いや)僕は改めてアッシュ兄ちゃんを尊敬した。養成学校卒業後1年も経たずして騎士団の一個小隊の指揮官に任命され、この決戦の前には騎士団副団長の1人に任命されたのだから。

(それに)そう思いながら身体を起こしてチラリと後方の、魔法部隊が連なっている辺りのさらに後方の支援部隊が駐留している辺りに目をやった。

 そこでは主にエルフ族の人達やサポート科卒業の人達が治療やらアイテムなどの補充作業を行っていた。その中には当然サポート科を卒業したアリスの姿もあった。

 アリスもアリスで養成学校時代から村での生活のお陰もあって薬草系の知識は同学年の中では抜きん出ていて、この決戦の場面では治療班の班長の1人に抜擢された。

 僕も2人に負けてはいられないと思い直して自分の部隊に戻ろうと歩み出そうとした直後、グサッ!(えっ?)

 腹に何かが刺さった感じがしたので顔を見下ろしたら確かに背中から腹を貫通して何か、いやこれは僕達騎士団が使用している小剣が刺さっていた。 

(な、何で? 誰が······??)そう思いながら意識が薄くなって倒れつつも刺した相手を見た。

(······っ!?)相手の姿を見た直後、やはり騎士団の中の誰かであると判断出来た。それどころか僕はその人物を以前から、恐らく養成学校にいた頃から知っているような気がしたが、誰だったか思い出す前に意識がなくなってしまった······。


 意識がなくなってどれくらい時間が経っただろうか。突然頭の中に直接話し掛けてくる声が聞こえるようになった。

「レックス、レックスよ。目覚めるのだ、レックス・アーノルド!」その声に反応してゆっくり瞼を開けた。

 意識が徐々にはっきりしていくにつれ、そこが上空の一部だけ光が射している他は真っ暗な空間である事が分かった。

「こ、ここは?」「目覚めたか? レックスよ」先程から僕に語り掛けてきているのはその射し込んできている光の中からであった。

「あ、あなたは?」「儂か? 儂とは近いうちに遭うこととなるが、今は神の使いと言っておこう」「か、神って、神様の使い?」「そうじゃ」

 ま、まさか? 神様の使いって······光の中の声の言った事に呆気に取られていたら再び声が語り掛けてきた。

「レックスよ、まだ覚えているとは思うが、そなたは魔王軍との闘いの最中に死んでしまったのじゃ」

 そうだ! 僕は魔王軍との闘いの際に味方であるはずの騎士団の誰かに小剣で腹を刺されたんだった。

「じゃが、実はお主の死は神も予期してはおらぬ事態だったのじゃ」

 えっ? 僕の死が神様も予期してなかったって?

「しかも、そなたが死んだ事であの闘いの後の世界に大きな悪影響が及ぶ事となると神が危惧なさっておるのじゃ」お、大きな悪影響って、どういうことなの??

 僕が今までの会話の内容に混乱していると、「そこで特例ではあるがそなたに再び生命を授け、もう一度人生をやり直す機会を神がお与えになられたのじゃ」

 えっ?「も、もう一度人生をやり直す?」「そうじゃ。少なくとも魔王軍との闘いまでは今まで歩んできた通りに生きるも良し。多少の事であれば今までと違う人生を送るも良し。転生した後は全てそなた次第じゃ」

 ま、まさか? 本当に生き返ることが?「ほ、本当に生き返らせて頂けるのですか?」「うむ。さらに生き返った際はそれまで培った記憶も残し、身体能力も死んだ時の状態にして下さるとの事じゃ」そ、そこまで!

 でも、「なぜそこまでして頂けるのですか?」「先程も申した通り、お主が死んだことで世界に発生する悪影響をなんとしても阻止したいという神の意思じゃ」

「その悪影響とは一体?」「それは今お主が気にする事ではない。とにかくお主は何がなんでも死なないように気を付ければよいのじゃ。分かったか?」「······はい、分かりました」「ではそろそろ転生を行うゆえ、目を閉じ心を無にするのじゃ」

 そう言われて頷いた後、言われた通り目を閉じた。(これでまた人生をやり直せるんだ)そう思っていると射し込んでいた光が徐々に薄くなり、意識もなくなってきた。

 ······そして、再び意識が戻った時はどこかの部屋の中だった(うーん、ここは?)。
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