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第18章 未来
第110話 究極の選択
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お姉ちゃんの話を聞いた後僕らはテントの中に入った。
入ってすぐ目の前に気絶した時見た映像と同じ光景が目に入り、「アリス」僕が目の前のアリスに声を掛けた。
するとアリスは僕らの方を振り返った。その顔はやはり泣き顔であった。
「レ、レックス!」と言って僕に抱き付いてきた。
「マ、マーシュがわ、私を庇って······」アリスを抱き止めて「うん、お姉ちゃんから聞いたよ」と言った。
近くにはバーミリアン先生が項垂れて座っていた。理由もお姉ちゃんから聞いてて分かっていた。
そこへ、「待たせたな」という声が聞こえたので入口の方を見たら、「「ドクトリー先生!」」がお姉ちゃんに連れ添われて入って来た。
ドクトリー先生。王都内の診療所の主治医で、僕達もよく頼み事を引き受けたりしていたので顔見知りの仲であった。
「せ、先生」アリスの様子を見てドクトリー先生も無言で頷き、マーシュの容態を見たが「······チッ、やはりか」と呟き皆の方を見て衝撃の発表をした。
「残念だが、彼を治す事は無理だ」「「「ええっ!?」」」先生の発言を聞いて皆が驚いた。
すると「な、何故だ! ドク! 何故治せないんだ!」「落ち着け、バーミリアン」バーミリアン先生がドクトリー先生に詰め寄った。
そこでドクトリー先生は「彼が受けたのはおそらく"コールドポイズン"と呼ばれる毒で、体が徐々に凍っていってしまうものだ。そして早ければ24時間、遅くとも48時間で完全に体内が凍ってしまい、そのまま凍死状態となってしまうんだ」「そ、そんな······」
「コイツを治す治療薬が有るにはあるんだが、その薬を作るための材料の一部を切らしているんだ。しかもその材料が期限までに手に入る可能性も今は無いんだ」「そ、それは何だ! 俺が絶対に取ってきてやる!」
「無理だ、バーミリアン」「無理って、何故そう言い切れるんだ!」「······足りない材料と言うのは、デザートフラワーだからだ」「「えっ!?」」デザートフラワーと聞いて全員が驚きの声を上げた。
「デ、デザートフラワー······」「しかも、1本や2本なら探し回れば手に入れられるかもしれないが、薬を作るには3、4本は必要なんだ」「そ、そんなに」
「少し前までは診療所にもそこそこの在庫が有ったんだが、つい先日使い切ってしまい、数日後にしか入ってこないんだ」
ドクトリー先生の言葉を聞いてバーミリアン先生は手を離してその場に崩れ、アリスも「マ、マーシュー!」と言いながらマーシュが寝かされているベッドに泣き付いた。
「······」そんな光景を背にして僕はテントを出た。
(レックス?)その僕の姿を見て兄ちゃんが追おうとしたら、お姉ちゃんがそれを制し自分がテントを出て行った······。
テントを出てフラフラ歩きながら先ほどのドクトリー先生のーー足りない材料と言うのは、デザートフラワーだからだ~~3、4本は必要なんだーーと言う発言と、以前、そう1年の学年末試験の時に兄ちゃんらに付き添って蜃気楼の泉に行った時、デザートフラワーを5本摘み取っていた光景を思い出していた。
(あの時のデザートフラワーを渡せばマーシュを助けられるけど、マーシュは······)そこであの運命の洞窟の水晶玉が映し出した3人の人物の顔を思い出した。
(僕を殺すかもしれない奴なのに、助けて良いのか?)と考えていた。
そこへ「レックス君」僕を呼ぶ声が後ろから聞こえたので振り返ったら、「お姉ちゃん」が立っていて、「······あっちの方で話そうか」と森の方を指したので、黙って頷き僕は後に付いて行った······。
そしてこちらも気絶した時見た2つ目の映像に映っていたのと同じ木の上に座った。
するとお姉ちゃんが「レックス君。あの時、何本デザートフラワーを摘んだの?」と聞いてきた。
流石にそれを聞いて僕も驚いてお姉ちゃんを見たら、お姉ちゃんは全て承知していると言わんばかりの笑顔を僕に向けていた。そのため僕も「······5本です」と正直に答えた。
「やっぱり。あの時チラッと視界に摘んでる姿が見えたから、何本か摘んでいたのね」と答えた。
本当にお姉ちゃんも何でも承知しているなぁと思った。
そして「レックス君」と呼ばれたのでまたお姉ちゃんに視線を向けたら、その時のお姉ちゃんの顔が今まで見せた事の無い真剣な顔になっていて驚いた。
「お姉、ちゃん?」「レックス君、そのデザートフラワーをドクトリー先生に、とは言わないわ」「えっ?」
「そのデザートフラワーをどうするのかによって君の、そして······」そこで先ほどのテントの方を見て「多くの人の未来が大きく変わるだろうから、そのデザートフラワーを"どうすればいいのか"や、"どうしたいのか"はレックス君1人で考える必要があるはずよ。多分、これも神様から与えられた試練だろうから」と聞いて僕は更に驚いた。
(やっぱり、そうだよね)お姉ちゃんの言葉を聞いて自分でもそう思ったため項垂れてしまった。
しかしその後お姉ちゃんは「その代わり、答えを出すまでずっと傍にはいてあげるから」と言ってきた。
「えっ?」そう言われてお姉ちゃんを見たら、いつもの笑顔に戻っていて「本当に1人きりで考えるより、落ち着いて考えられるはずでしょ? 相談には乗って上げられるし」と言ってくれたので、思わず「お姉ちゃん」と言いながら無意識に涙が出始めていた。
そんな僕をあの映像のようにお姉ちゃんは僕の体を自分の体に抱き寄せてくれた。その後僕は目を閉じこれからどうするべきかを考えだした。
(確かに、マーシュが亡くなれば僕を殺す可能性の人物が減る事になり、将来生き残れる可能性が高くなるはずだけど······)そこで先ほどのアリスの姿やバーミリアン先生の様子が頭に浮かんだ。
(アリス、バーミリアン先生。それに······)これまでマーシュと関わってきた出来事(海鉱石を取りに行った事や魔石を探しに行った事など)を色々と思い返していた。
更にさっきのアリスがベッドへ泣き付いていた雰囲気が、前世でトロルの大群に村が襲われ、戻った時に両親のなれの果ての姿を見てアリスが号泣していた姿とそっくりだった事を思い出した。
(······ああいった悲劇を避けるために人生をやり直しているはず何だから······やっぱり!)そう思ったところで目を開けた。
そしてお姉ちゃんに「答えは出せた?」と聞かれたので、ハッキリ「うん!!」と答えた。
そうしてまず僕はハウル様を探しだして王都の寄宿舎に飛ばしてもらった。
そして部屋に行ってデザートフラワーを取ってこようと部屋に入ったら、既にベアーズがデザートフラワーを4本口に咥えていた。
その姿を見て「お、お前それどうやって引き出しから出したんだ?」と疑問をぶつけた。
確かにデザートフラワーは引き出しに閉まっておいた筈なのにと思ったが、「まぁいいや」と言ってベアーズからデザートフラワーを取って部屋を出た。
ベアーズの足下に落ちていた白く光輝いた何かの毛の事も気付かずに······。
寄宿舎を出てハウル様にまた元の場所へ飛んでもらって救護所テントに向かって走って行った。
そんな僕の姿を見てハウル様は「レックスの奴、また何か成長出来たようじゃな」と呟いた。
救護所テントの前でお姉ちゃんが待っていてくれて、2人して中に入った。
そして全員の治療が終わっていたので「ドクトリー先生!」とドクトリー先生に声を掛けた。
「何だい? レックス君」「これを、マーシュの治療に使って下さい!」と持ってきたデザートフラワーを渡した。
「これは······デザートフラワー!? どうして君が?」ドクトリー先生の声を聞いてアリスとバーミリアン先生も反応した。
「前に蜃気楼の泉に行った事がありまして、その時数本何かの時のためにと摘んでおいたんです」と僕が言ったらアリスも思い出したような反応をした。
「良いのかい、使っても?」「はい!」僕の返事と顔を見聞きして「分かった。使わせてもらうよ」と言ってすぐ調合作業に向かった。
「レ、レックス」と言ってアリスが僕の方に近付いて来た。
僕が無言で笑顔に首を縦に振ったら、「レックスー!」と泣きながら僕に抱き付いて来た。
「あ、ありがとう! 本当にありがとう!」「良いんだよ、アリス」(本当に、これで良かったんだ。たとえ未来がどうなろうと、今はこれで······)アリスを抱き締めながらそう思っていた。
そんな僕らを離れた所から優しい眼差しで見ていたお姉ちゃんに兄ちゃんが近付き、一瞬見つめ合って兄ちゃんがお姉ちゃんの体を抱き寄せながら再び僕らを見ていた。
こうして、僕達とダークエルフとの騒動は本当に幕を閉じたのだった······。
少しして重症者など自分で歩けない者を皆で協力して王都の診療所や学校の保険室に運び込んだ。
入ってすぐ目の前に気絶した時見た映像と同じ光景が目に入り、「アリス」僕が目の前のアリスに声を掛けた。
するとアリスは僕らの方を振り返った。その顔はやはり泣き顔であった。
「レ、レックス!」と言って僕に抱き付いてきた。
「マ、マーシュがわ、私を庇って······」アリスを抱き止めて「うん、お姉ちゃんから聞いたよ」と言った。
近くにはバーミリアン先生が項垂れて座っていた。理由もお姉ちゃんから聞いてて分かっていた。
そこへ、「待たせたな」という声が聞こえたので入口の方を見たら、「「ドクトリー先生!」」がお姉ちゃんに連れ添われて入って来た。
ドクトリー先生。王都内の診療所の主治医で、僕達もよく頼み事を引き受けたりしていたので顔見知りの仲であった。
「せ、先生」アリスの様子を見てドクトリー先生も無言で頷き、マーシュの容態を見たが「······チッ、やはりか」と呟き皆の方を見て衝撃の発表をした。
「残念だが、彼を治す事は無理だ」「「「ええっ!?」」」先生の発言を聞いて皆が驚いた。
すると「な、何故だ! ドク! 何故治せないんだ!」「落ち着け、バーミリアン」バーミリアン先生がドクトリー先生に詰め寄った。
そこでドクトリー先生は「彼が受けたのはおそらく"コールドポイズン"と呼ばれる毒で、体が徐々に凍っていってしまうものだ。そして早ければ24時間、遅くとも48時間で完全に体内が凍ってしまい、そのまま凍死状態となってしまうんだ」「そ、そんな······」
「コイツを治す治療薬が有るにはあるんだが、その薬を作るための材料の一部を切らしているんだ。しかもその材料が期限までに手に入る可能性も今は無いんだ」「そ、それは何だ! 俺が絶対に取ってきてやる!」
「無理だ、バーミリアン」「無理って、何故そう言い切れるんだ!」「······足りない材料と言うのは、デザートフラワーだからだ」「「えっ!?」」デザートフラワーと聞いて全員が驚きの声を上げた。
「デ、デザートフラワー······」「しかも、1本や2本なら探し回れば手に入れられるかもしれないが、薬を作るには3、4本は必要なんだ」「そ、そんなに」
「少し前までは診療所にもそこそこの在庫が有ったんだが、つい先日使い切ってしまい、数日後にしか入ってこないんだ」
ドクトリー先生の言葉を聞いてバーミリアン先生は手を離してその場に崩れ、アリスも「マ、マーシュー!」と言いながらマーシュが寝かされているベッドに泣き付いた。
「······」そんな光景を背にして僕はテントを出た。
(レックス?)その僕の姿を見て兄ちゃんが追おうとしたら、お姉ちゃんがそれを制し自分がテントを出て行った······。
テントを出てフラフラ歩きながら先ほどのドクトリー先生のーー足りない材料と言うのは、デザートフラワーだからだ~~3、4本は必要なんだーーと言う発言と、以前、そう1年の学年末試験の時に兄ちゃんらに付き添って蜃気楼の泉に行った時、デザートフラワーを5本摘み取っていた光景を思い出していた。
(あの時のデザートフラワーを渡せばマーシュを助けられるけど、マーシュは······)そこであの運命の洞窟の水晶玉が映し出した3人の人物の顔を思い出した。
(僕を殺すかもしれない奴なのに、助けて良いのか?)と考えていた。
そこへ「レックス君」僕を呼ぶ声が後ろから聞こえたので振り返ったら、「お姉ちゃん」が立っていて、「······あっちの方で話そうか」と森の方を指したので、黙って頷き僕は後に付いて行った······。
そしてこちらも気絶した時見た2つ目の映像に映っていたのと同じ木の上に座った。
するとお姉ちゃんが「レックス君。あの時、何本デザートフラワーを摘んだの?」と聞いてきた。
流石にそれを聞いて僕も驚いてお姉ちゃんを見たら、お姉ちゃんは全て承知していると言わんばかりの笑顔を僕に向けていた。そのため僕も「······5本です」と正直に答えた。
「やっぱり。あの時チラッと視界に摘んでる姿が見えたから、何本か摘んでいたのね」と答えた。
本当にお姉ちゃんも何でも承知しているなぁと思った。
そして「レックス君」と呼ばれたのでまたお姉ちゃんに視線を向けたら、その時のお姉ちゃんの顔が今まで見せた事の無い真剣な顔になっていて驚いた。
「お姉、ちゃん?」「レックス君、そのデザートフラワーをドクトリー先生に、とは言わないわ」「えっ?」
「そのデザートフラワーをどうするのかによって君の、そして······」そこで先ほどのテントの方を見て「多くの人の未来が大きく変わるだろうから、そのデザートフラワーを"どうすればいいのか"や、"どうしたいのか"はレックス君1人で考える必要があるはずよ。多分、これも神様から与えられた試練だろうから」と聞いて僕は更に驚いた。
(やっぱり、そうだよね)お姉ちゃんの言葉を聞いて自分でもそう思ったため項垂れてしまった。
しかしその後お姉ちゃんは「その代わり、答えを出すまでずっと傍にはいてあげるから」と言ってきた。
「えっ?」そう言われてお姉ちゃんを見たら、いつもの笑顔に戻っていて「本当に1人きりで考えるより、落ち着いて考えられるはずでしょ? 相談には乗って上げられるし」と言ってくれたので、思わず「お姉ちゃん」と言いながら無意識に涙が出始めていた。
そんな僕をあの映像のようにお姉ちゃんは僕の体を自分の体に抱き寄せてくれた。その後僕は目を閉じこれからどうするべきかを考えだした。
(確かに、マーシュが亡くなれば僕を殺す可能性の人物が減る事になり、将来生き残れる可能性が高くなるはずだけど······)そこで先ほどのアリスの姿やバーミリアン先生の様子が頭に浮かんだ。
(アリス、バーミリアン先生。それに······)これまでマーシュと関わってきた出来事(海鉱石を取りに行った事や魔石を探しに行った事など)を色々と思い返していた。
更にさっきのアリスがベッドへ泣き付いていた雰囲気が、前世でトロルの大群に村が襲われ、戻った時に両親のなれの果ての姿を見てアリスが号泣していた姿とそっくりだった事を思い出した。
(······ああいった悲劇を避けるために人生をやり直しているはず何だから······やっぱり!)そう思ったところで目を開けた。
そしてお姉ちゃんに「答えは出せた?」と聞かれたので、ハッキリ「うん!!」と答えた。
そうしてまず僕はハウル様を探しだして王都の寄宿舎に飛ばしてもらった。
そして部屋に行ってデザートフラワーを取ってこようと部屋に入ったら、既にベアーズがデザートフラワーを4本口に咥えていた。
その姿を見て「お、お前それどうやって引き出しから出したんだ?」と疑問をぶつけた。
確かにデザートフラワーは引き出しに閉まっておいた筈なのにと思ったが、「まぁいいや」と言ってベアーズからデザートフラワーを取って部屋を出た。
ベアーズの足下に落ちていた白く光輝いた何かの毛の事も気付かずに······。
寄宿舎を出てハウル様にまた元の場所へ飛んでもらって救護所テントに向かって走って行った。
そんな僕の姿を見てハウル様は「レックスの奴、また何か成長出来たようじゃな」と呟いた。
救護所テントの前でお姉ちゃんが待っていてくれて、2人して中に入った。
そして全員の治療が終わっていたので「ドクトリー先生!」とドクトリー先生に声を掛けた。
「何だい? レックス君」「これを、マーシュの治療に使って下さい!」と持ってきたデザートフラワーを渡した。
「これは······デザートフラワー!? どうして君が?」ドクトリー先生の声を聞いてアリスとバーミリアン先生も反応した。
「前に蜃気楼の泉に行った事がありまして、その時数本何かの時のためにと摘んでおいたんです」と僕が言ったらアリスも思い出したような反応をした。
「良いのかい、使っても?」「はい!」僕の返事と顔を見聞きして「分かった。使わせてもらうよ」と言ってすぐ調合作業に向かった。
「レ、レックス」と言ってアリスが僕の方に近付いて来た。
僕が無言で笑顔に首を縦に振ったら、「レックスー!」と泣きながら僕に抱き付いて来た。
「あ、ありがとう! 本当にありがとう!」「良いんだよ、アリス」(本当に、これで良かったんだ。たとえ未来がどうなろうと、今はこれで······)アリスを抱き締めながらそう思っていた。
そんな僕らを離れた所から優しい眼差しで見ていたお姉ちゃんに兄ちゃんが近付き、一瞬見つめ合って兄ちゃんがお姉ちゃんの体を抱き寄せながら再び僕らを見ていた。
こうして、僕達とダークエルフとの騒動は本当に幕を閉じたのだった······。
少しして重症者など自分で歩けない者を皆で協力して王都の診療所や学校の保険室に運び込んだ。
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