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第19章 最終学年

第123話 コンビ復活

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 ある日の午前中、王都近くの森の中。ガサゴソ、ガサゴソ、ひょこっ。
 
 茂みが揺れたかと思ったら、そこからベアーズが顔を出し、キョロキョロと辺りを何か探していた。目的の物が見当たらなくて茂みから出て来て移動した。

 少し歩いてようやく目的の薬草が見付かると、「ガウ、ガウ! ガウガウ!」誰かを呼ぶように吠えた。
 
 その声に呼応して「見付かったの? ベアーズ」女の子の声が聞こえた。

 直後「あったぁ!」その場所に着いて目的の物だと確認して、アリスは歓喜の声を上げた。

 そして「ありがとう! ベアーズ」ベアーズにお礼を言い、ベアーズもしっぽを振って応じた。

 すぐにアリスはその薬草を摘んでギルドに提出し、受けていたクエストを完了させた。


「ホントにベアーズのお陰でクエストをスムーズにこなせて助かるわぁ」とアリスに言われ一瞬アリスを見上げたが、また前を見だした。

「んもぅ。ホントにそこは相変わらずね」と言いながら学校に向かって歩いていた。

「でもベアーズ」不意にアリスに声を掛けられ、ベアーズは再びアリスを見上げた。

「レックスと全然会ってないけど、寂しくないの?」と聞かれ、暫くベアーズは何の反応も示さなかったが、少しして寂しい顔をアリスに見せてまた前を見だした。

 その顔をアリスは見ていたので、「やっぱり寂しいんだ」と言ったが今度は無反応だった。

 そして学校に着いたと思ったら、トコトコとどこかに向かって歩いて行ってしまった。それをアリスは黙って見送り、自分は食堂に向かった。


 そのベアーズはある人物の下を訪れ、「ん? どうした、ベアーズ?」訪問を受けたマックス先生は、ベアーズにここへ来た理由を尋ねた。しかしベアーズはじっとマックス先生を見続けていた。

「······フッ。まさかお前の方が先に音を上げるとはな」と言われたが、ベアーズはやっぱりただマックス先生を見続けていたのだった。

 そうして「分かった、良いだろう。レックスの所に行っても良いぞ」と言われ、笑顔を作ってその場を離れた。

「全く」と言って体の向きを変えたところで(ん? そういえばあいつ、今レックスがどこにいるのか知っているのか?)と疑問に思ったのだった······。


 そのレックスは······。「うわぁーー!」以前授業で実施したクエスト"バイオレントビーの蜂蜜集め(Bランク)"を実行中、当のバイオレントビーの大群に追っ掛けられていた。

(あんなところで転ぶなんて、ツイてない!)そう、原因は蜂の巣に近付いていた時、足元の木の根に引っ掛かり、転んだ事でバイオレントビー達に気付かれたからだ。

 現在バイオレントビーは後方からしか追い掛けて来ていないが、前方を見たら別のバイオレントビーの大群が近付いて来ていた。

(げ、囲まれた!)そう思った時には遅かった。

 すっかりバイオレントビーに囲まれてしまったので(仕方ない)と臨戦体制に入り、襲ってくるバイオレントビーに応戦したのだった。

 初めは何とか応戦出来たが、徐々に体力がなくなってきたため劣勢となってきた。

(ここまでか)と思っていたら、「ガァーーッ!!」と叫び声が聞こえ、声のした方を見たら、ベアーズがこちらに走って来ていた。

(べ、ベアーズ!?)と思っていたらすぐ近くにやって来て、バイオレントビーの大群を睨みだした。

「······」暫く黙っていたが、口許に笑みを浮かべ「行こう! ベアーズ!!」「ガウ!」と言ってベアーズと共にバイオレントビーの大群に向かった。


 そして······。「ハァ、ハァ、ハァ」何とかバイオレントビーの大群を撃退する事が出来た。倒し終えて倒れている僕にベアーズが近寄って顔を舐めた。

「ベアーズ、どうしてここに?」と聞いたが、ベアーズは舐めるのをやめてじっと僕を見ていた。

「······マックス先生が許してくれたの?」と聞いたら、首を縦に振った。

「そっか。ならいっか」と言ったところでベアーズを見て笑みを浮かべた。ベアーズも釣られてか笑みを浮かべた。

「またよろしくな。ベアーズ······あれ?」ベアーズによろしくと伝えて頭を撫でようとしたら、ベアーズは踵を返してそそくさとその場を離れてしまった。

「お、おいベアーズ。何でそそくさと行くんだよ。おい!」と言ったが、ベアーズは無視して姿が見えなくなった。

「······ムシかぁーー!」と僕の叫び声がこだましたのだった。


 その後、結局1人で蜂蜜を集めて入口まで運び、そこにちょこんと座って待っていたベアーズと合流し依頼人に引き渡してクエストを完了させた。

 その後念のためマックス先生の下を訪れ、再び一緒に行う事を正式に許可されたのだった······。

「まさかお前が先にマックス先生に頼み込んでいたとはな」歩きながらベアーズに話し掛けたが、ベアーズは無反応だった。

(ハァ)「まっ、改めて、これからもよろしくな、ベアーズ」と言ったところで、ようやく立ち止まってこちらを一瞬見たが、すぐ前を向いて歩きだした。

「お前本当にそういうところは相変わらずなのね」と言って顔を項垂らせながら歩いた。

 逆にベアーズは歩きながら口許をニヤつかせたのであった······。
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