上 下
177 / 224
第24章 王国騎士団

第177話 任務5~強敵討伐遠征~

しおりを挟む
 スカルキャッスルでの魔法部隊との合同任務の翌日、早速次の任務が言い渡された。その内容はもちろん······。

「「キマイラとケルベロスの討伐!?」」「そうだ。北東部の高山地帯でその2体が先日目撃され、今のところ人的被害は出ていないが今後の事を考えて今のうちに討伐しておくべきとなった」

「お、俺達だけでその2体を討伐しに行くんですか?」「いや、今回はアッシュ副隊長の小隊との合同任務となる」「「ふ、副隊長の隊と!?」」(に、兄ちゃんの隊と!?)

「そうだ。それに現地近くに野営地も設営されているとの事だ」「や、野営地まで。凄い」「それだけ今回の任務が危険なものだという事だ!」「っ!」オリバー隊長の言葉で改めて緊張感を持った。

「既に他の者達は現地に向かったとの事なので、我々も10分後には出発する。それまでに準備をして馬小屋前に集合するように!」「「了解!」」と言って僕達は部屋に戻った。

 部屋に戻りながら僕は(だから兄ちゃん昨日をベッドに置いていったんだな)と納得していた。
 
 そう、昨日スカルキャッスルでの任務を終えて部屋に戻って自分のベッドの上を見たら紙が置いてあったので見てみたら、(っ! 兄ちゃんから)兄ちゃんからのメモでその内容は、~~レックス、次の任務で現地に行く時あの短剣を念のため持って来い~~だった。

(あの短剣って、聖なる短剣ホーリーダガーの事か)と理解した。そのため、部屋に戻ってきていつもの短剣と聖なる短剣の2本を帯刀して部屋を出た。

 そして馬小屋に集合し馬に乗って現地の野営地へと向かった。

 
 暫くして野営地に到着し「「おぉー!」」騎士団の野営地を見るのが初めての3人は驚きの声を上げた。

 馬の待機場所にウッディ達を止めた後「すぐに本部テントに向かうぞ!」「「はい!」」オリバー隊長に言われ本部テントに向かった。

 その際周りをキョロキョロ見渡していたら、(ん? 今のって······アリス?)アリスの姿を見掛けたような気がしたが、取り敢えず気にせず皆に続いた。

「第1小隊到着しました!」本部テントに入るとそこには兄ちゃん達とパーシバル団長、他数名の団員が待機していた。

「来たか」((だ、団長まで来ている!?))パーシバル団長もいた事に聞いていなかった僕達、とりわけジャック達は相当驚いていた。

「着いて早々だが早速作戦会議を始める」「分かりました」「「は、はい!」」僕達も空いている椅子に各自座ってキマイラとケルベロス討伐の作戦会議が行われた。

 
 少し前に諜報部隊が見に行ったところ、2体の存在を確認したのでいるのは確実だと分かった。そこで、2組に分かれてそれぞれが1体ずつ相手をする事にした。

 キマイラを相手にするのは僕と兄ちゃん、それにライアンとジャックで、ケルベロスを相手にするのはオリバー隊長とデビット、そしてフレッドさんにボブさんとなった。

 討伐へは明朝出発するので今日は1日ゆっくり休むよう言われ、取り敢えず僕達は解散となった。

 
 本部テントを出て僕達が待機、宿泊するテントに案内してもらい、荷物を置いた後僕は先ほど見掛けたアリスらしき姿が気になったのでテントを出た。

 そして野営地を歩いていたら「あ、レックス!」前方からやはりアリスとメリーが駆け寄って来た。

「アリス! やっぱりいたんだ。それにメリーまで」「アリスと同じ隊になったから」「そうなんだ。当然2人とも治療担当として参加するの?」

「うん、そうよ。だからいくら怪我しても心配ないから」「······ハハハハ」などと暫く2人と会話してテントに戻った。

 その日はその後特に何もせず大きな動きも起こらずに過ぎた。そして翌朝······相手をする魔物別に分かれて作戦会議を行った。

 
 僕達の方は兄ちゃんから、取り敢えず僕はいつものように集中スキルの覚醒で弱点を探り、分かるまでは他の3人で徐々にダメージを与え、キマイラが特殊攻撃を仕掛けてきたらライアンの槍スキル"ロールガード"で防ぐ事にした。そして弱点発覚後はその場所に応じて考える事になった。

 ちょうどオリバー隊長達の方も終わったところで準備を整えて「よし! 出発だ!」「「はい!」」それぞれの魔物の下へ向かったのだった。


 その頃、亜人領内中央部にそびえ立っている聖なる火山ホーリーヴォルケーノ内の火口部分にて、かつてレックスが訪れた時彼と対峙した火竜ファイアードラゴンが寝そべっていた。

 すると突然ファイアードラゴンが目を開け首を上げてある方向を睨みだした。そして翼を広げて上昇し、そのまま睨んでいた方向へ飛び立っていったのだった。


 一方僕達は、途中までケルベロスを討伐に向かうオリバー隊長達と一緒に向かっていたが、途中で分かれて暫く進んだところ、「っ! 止まれ!」「っ!」「見つけたぞ!」キマイラを発見したのだった。

「「っ!!」」目の前のキマイラを見て僕達は改めて緊張感を持ち出した。

「準備は良いな?」兄ちゃんが聞いてきたので、僕達は3人で顔を合わせて頷いた後兄ちゃんにも同時に頷いてみせた。

「よし······行くぞ!」兄ちゃん達はキマイラに向かって行き、僕は集中スキル覚醒を発動した。

 ところが、いくら待っても弱点の反応が出なかった。(やっぱりか。それなら······)僕は聖なる短剣を持って改めて覚醒を発動させた。すると真ん中の獅子の顔部分が反応したのだった。

 それが分かってすぐ兄ちゃんに知らせた。それを聞いた兄ちゃんは(それなら)「ジャック! クロスボウで獅子の顔を狙え!」「了解!」「ライアン! 攻撃を与えながらキマイラが攻撃をしてきたらロールガードで防いでくれ!」「了解!」「レックスは俺と攻撃を続けるぞ!」「分かった!」とそれぞれに指示を出した。

 そしてその指示の通り各自攻撃を与え、たまにキマイラが炎を吐いてきたらライアンの槍スキル"ロールガード"で防いだ。

 そうして攻撃を食らい続けたキマイラは明らかに弱まりだし、ジャックが放った数本目の矢を獅子の顔の額に受けた直後、大きな悲鳴を上げて倒れ、そのまま動かなくなった。

 
 兄ちゃんが近付いて確認したところ息絶えている事を確認して僕達に伝えた。それを聞いて「「や、やったぁーー!!」」と僕達は大喜びした。

「本当によくやったな、お前達!」「「はい!」」「しかしまだケルベロスが残っているかもしれないからな」「っ!」

「レックス、集中スキルでケルベロスのいる場所を探してくれ」「分かった!」と僕はすぐ集中スキルを発動させた。

 
 するとある方向から強い反応を感じてその事を兄ちゃんに伝え、僕達はその方向へ向かった。暫く行くとまだオリバー隊長らがケルベロスと戦っている場面に出くわした。

 そのため「レックス、ケルベロスの弱点を探るんだ!」「分かった!」兄ちゃんに弱点を探るよう指示され、僕も聖なる短剣を持って集中スキル覚醒を発動しようとした。

 その直前、遥か空の彼方の方から突然「グッギャアァーーーッ!!」とてつもなく大きな何かの雄叫びが聞こえた。

 
 レックス達の聞いた雄叫びは野営地にいたパーシバル団長やアリスらも聞き、野営地にいた者達も「な、何だ! 今のは!?」や「今の雄叫びは?」などと言って混乱し騒然とした。

 暫くすると誰かが「お、おい! あ、あれ!?」と空の彼方を指差し皆に何かがこちらに近付いて来るのを知らせた。

 皆がその方向を見上げてその何かを見て、ようやくほとんどの者が正体に気付いた。

「あ、あれは······」「ま、まさか······」そう、野営地近くに飛んできたのはまさしく「「ファ、ファイアードラゴン!?」」だった。

 そのファイアードラゴンは野営地を素通りして飛び去り、レックスやアッシュ達が向かった方向に飛んで行った。その光景を見ていたアリスはレックスらが心配になり、不安な表情になっていた······。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

「私の好き嫌い」

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

運命の番を見つけることがわかっている婚約者に尽くした結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:11,963pt お気に入り:256

【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:230

烏丸相談屋はあやしい悩みで満ちている

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:6

浮気の認識の違いが結婚式当日に判明しました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,665pt お気に入り:1,219

処理中です...