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牛追い女、お屋敷に行く
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ソルガご夫妻は、噂どおりとても柔和で笑顔が素敵な方たちでした。突然の訪問だったのに、彼らは上等の紅茶で私たちを歓迎してくださいます。
「本当にありがとう。見つからないかと思って諦めていたのよ」
ミレイ夫人が心から喜んでいただけているのが分かり、少し緊張していた私たちはほっと胸を撫で下ろします。
「うんうん。その場にいた側近を総動員して暗くなるまで探したんだけど、泥の中に落ちてたんじゃそりゃ見つからないのも無理はなかったな」
ソルガ男爵が感心したように言いました。
「牛が泥浴びをしていて、ねえ・・・・・・。確かにあの巨体でなら、泥を底から掘り返すようなものだからな。効率的に探せたというわけだ」
「そうねえ。牛のおかげで助かったのだわ」
お二人が顔を見合わせてそう朗らかに言い合っているのを見ると、なんだかこちらまでほんわかした気持ちになってきます。このお二人はまさに・・・・・・。
「それにしても、あなた方お似合いの二人ねえ。ご夫婦なの?」
そう夫人から言われ、私の横でアッシュが紅茶を噴き出しました。
「ちちちっ、違います!彼の工芸品屋で、私は働いているんです!」
私もあわあわと、なぜか取り繕うような言い方をしてしまいます。ちょうど今私がソルガご夫妻について思っていたことを、ぴったりそのまま言われてしまったのもあり動揺してしまいました。
「まあ素敵!工芸品屋さんなのね!」
「そそっ、そうです!私はただの従業員です!」
ソルガ男爵が笑いながら、「はっはっは、そうかそうか。ところで、牛が泥浴びをしたがっているなんてよく分かったね」と話の流れを変えてくださったので、私はそちらに飛びつくことにします。
「そっ、そうなんですの!昔から牛たちとは親友同然に育ちましたので、普通にしていてもどことなく心が通じ合っているように感じておりますわ」
私たちがお紅茶をいただいている居間からは、お屋敷の中庭がよく見えました。そこに置かせていただいている私の牛を見つめながら、私は目を細めます。
私の話に、ソルガご夫妻は目を丸くします。
「ほほう、不躾ながら、お嬢さんは言葉遣いからして上流階級と縁がありそうな気がしていたが・・・・・・・。まあ深くは聞くまい。しかしそこまで繊細に牛の機微を感じ取れるとはすごいな」
「そうでしょうか?牛と長くすごすお仕事の方ならば、これくらいは皆さんできそうな気がいたしますが・・・・・・」
私は首を傾げますが、ソルガ男爵はなおもこのように言ってくださいます。
「いやいや、その歳でというのが大したものだ」
「・・・・・・あなた、このお嬢さんならもしかしたら」
夫人がこそっとソルガ男爵に耳打ちしています。
「うむ、確かに。ちょいとお二人さん、私の話を聞いてもらえるかな?」
何やら静かに興奮している様子のソルガご夫妻の前で、私とアッシュはきょとんとするのでした。
「本当にありがとう。見つからないかと思って諦めていたのよ」
ミレイ夫人が心から喜んでいただけているのが分かり、少し緊張していた私たちはほっと胸を撫で下ろします。
「うんうん。その場にいた側近を総動員して暗くなるまで探したんだけど、泥の中に落ちてたんじゃそりゃ見つからないのも無理はなかったな」
ソルガ男爵が感心したように言いました。
「牛が泥浴びをしていて、ねえ・・・・・・。確かにあの巨体でなら、泥を底から掘り返すようなものだからな。効率的に探せたというわけだ」
「そうねえ。牛のおかげで助かったのだわ」
お二人が顔を見合わせてそう朗らかに言い合っているのを見ると、なんだかこちらまでほんわかした気持ちになってきます。このお二人はまさに・・・・・・。
「それにしても、あなた方お似合いの二人ねえ。ご夫婦なの?」
そう夫人から言われ、私の横でアッシュが紅茶を噴き出しました。
「ちちちっ、違います!彼の工芸品屋で、私は働いているんです!」
私もあわあわと、なぜか取り繕うような言い方をしてしまいます。ちょうど今私がソルガご夫妻について思っていたことを、ぴったりそのまま言われてしまったのもあり動揺してしまいました。
「まあ素敵!工芸品屋さんなのね!」
「そそっ、そうです!私はただの従業員です!」
ソルガ男爵が笑いながら、「はっはっは、そうかそうか。ところで、牛が泥浴びをしたがっているなんてよく分かったね」と話の流れを変えてくださったので、私はそちらに飛びつくことにします。
「そっ、そうなんですの!昔から牛たちとは親友同然に育ちましたので、普通にしていてもどことなく心が通じ合っているように感じておりますわ」
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何やら静かに興奮している様子のソルガご夫妻の前で、私とアッシュはきょとんとするのでした。
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