apocalypsis

さくら

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suggestio veri, suggestio falsi

septem

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 質問で返した斎に、サイラスは困ったように頭を掻いた。
「本人が話しとるんやったらええかと思ったんやけど、その様子じゃ予想通り、何も知らんみたいやしな……」
 サイラスの言葉に、天弥は総て知っているのかと考える。だが、天弥はネクロノミコンを読めないと言っていたし、興味もなさげだった。真実を知っていて隠していたのか、それともサイラスが間違っているのか、どちらなのかと考え込む。
「あー、ちなみに普段の天弥やのうて、ものごっつベッピンの方の天弥やで」
 いきなり、斎は胸が締め付けられる感覚に襲われる。
「会ったのか?」
 斎は、自分の胸の中に渦巻く感情を必死で押さえ込む。
「会ったで」
 自分の感情を抑えるかのように、斎は拳を握り締める。
「いつだ?」
 なぜ、自分ではなくサイラスなのか、不安と嫉妬が入り混じった黒い感情の塊が、斎の中で膨れ上がる。
「一週間以上前やで。先生と手合わせする前やな」
 その時、何を話したのか、何があったのか、知りたいという激しい欲求に支配される。自分は何一つ知らないというのに、目の前の相手は、まるで総てを知っているかのように話す。いや、おそらく総てを知っているのだろう。
 もし、自分よりも先にサイラスに出会っていたら、天弥は彼を選んだのかもしれない。それにこの先も、何も知らない自分よりも、サイラスを取る可能性もある。
 自分の考えに胸を引き裂かれそうな痛みに襲われ、無意識に胸元を掴む。天弥の望みは、叶えてきたつもりでいた。だが、傍にいるということだけで、具体的に何をするのか分からないため、正否が分からない。
 考えれば考えるほど、斎は不安に嘖まれる。もしかしたら、既に天弥に見限られているかもしれない。違っていたとしても、明日にはそうなるのかもしれない。次々と不安が、奥底から湧き上がってくる。
 サイラスは、表情に浮かんだ不安を隠そうともしない斎を見つめた。それは、隠そうとしていないのではなく、表情に出ている事に斎本人が気付いていないのかもしれない、そう思えるほどだった。
 斎が何を不安に思っているのか、考えるまでもなく天弥の事だというのは理解できる。その天弥の事で不安に思うとすれば、斎の立場では相手の心変わりだろうかと、当たりを付けた。
「天弥は……」
 震える声で、斎が言葉を発した。サイラスはその続きを待つが、なかなか次の言葉が出てこない。
「天弥がどないしたんや?」
 しびれをきらし、サイラスが尋ねる。その問いに考え込む姿は、いつもの矜持を持った斎の態度とは違い、憂慮の面持ちだ。
「天弥は何か言っていたか?」
 震える拳を押さえ込み、不安を乗せた声と共に言葉を搾り出す。
「何かって、先生のことか?」
 頷く事も返事をする事も出来ずに、斎は沈黙を守る。
 斎の様子を見て、サイラスはどうするべきかと少し考える。このままの方が面白そうだとは思うが、斎の様子は見るに忍びないほどだ。
「先生の事は、恋人やって言っとったで」
 そう答えながらもサイラスは、それがあの天弥の本意だとは思えなかった事を思い出す。普段の天弥とは違い、斎の事を想っているような感じではなかった。
「そうか……」
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