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1.プロローグ
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久しぶりの新作投稿です。
予告を兼ねて一話目だけですが、先行投稿します。
お読みいただければ幸いです。
では、物語の始まりです。
~~~~~~
バーデンウッド王国はこの世界で一番大きな大陸の西海岸に位置した小国である。
小国と言ってもこの大陸で十二国ある中の上から七番目の大きさだった。
そして、私が生まれたカーネリアン辺境伯領は北の隣国と接した場所にある。
なので、その隣国ヘマタイト王国とは昔から小競り合いが多かった。
けれど、ここ百年ほどは国王が変わる度に不可侵条約が更新され、小競り合いが年に二、三度あるくらいで割と平穏な方だと思う。
バーデンウッド王国の王都は西海岸にある領内で一番大きな港街アクアマリンだ。
現カーネリアン辺境伯である父の元で、六人兄弟姉妹の四番目(三女)という微妙な位置に生まれた私は、その位置が示すようにあまりパッとしない、特に目立った容姿でもなく特化した能力を持っている訳でもない平々凡々と評される人間だった。
(優秀な上下に挟まれた谷間とか、じゃない感満載とか揶揄されている(-ω-;)
が、他の貴族家令嬢のように淑女教育だけを受けていればいいと言う訳でもなく、辺境伯家に生まれたからには有事の際には戦力になれるようにと、剣術や体術等の武術も幼い頃から学ばされていた。
(しかも父が教える武術に関してはスパルタだった。その他は家庭教師。)
そして、戦になればいつ命を失うかわからないからという理由で(辺境伯家だけかもしれないが)早婚の為、幼い内に婚約者が決められていた。
しかも、早ければ早い方がいいとばかりに生まれた時から婚約者がいる者もいた。
例に漏れず、私にも幼い頃に婚約した相手がいた。
幼い頃と言っても五歳の時で六歳になる直前という、辺境伯領では遅い方だった。
(普通は三歳ぐらいまでに婚約者が決まっている。)
相手は他領と王都を挟んだ王国南部にある辺境伯領、ガーネット辺境伯家の長男(嫡男)で、私よりも七歳上のライアン・ガーネット卿だった。
長男にも拘わらず(かなり)遅い婚約だったのは、中々本人が首を縦に振らなかったかららしいが、“気難しいから”、“心に決めた人がいる”等の色々な噂が飛び交っていたが真偽のほどは定かではない。
そして婚約後、彼が私を婚約相手に選んだのは「度重なる見合いにウンザリして半ば投げ遣りに決めた。(自棄糞とも言う。)」といった話がそれまでの噂に加わる事となる。
私は婚約が決まった後の初顔合わせで対面した彼に一目惚れした。
流れていた噂などまだ幼かった私にわかる筈もなく、ツヤツヤの烏の濡れ羽色をしたサラサラの黒髪、ガーネットのような瞳、細くもマッチョでもない程よい筋肉のついた体躯、それでいて強面ではない優しげで爽やかな笑顔の眉目秀麗な彼に惚れない女はいないだろう事にすら思い至らなかった。
この時に何故この様な優良物件なのに婚約者が決まっていなかったか、疑問に感じるだけの脳ミソが私にあれば良かったのだが、如何せんラッキーとしか思えない脳ミソだったのが現在の状況に繋がっているとしか思えてならない。
だからこんな事になったのだろう。
十六歳の長期休暇で実家に戻っていた私は、お茶会と言う名の話し合いの日に少し早く着いたからと、最後になるかもしれないこの邸の庭を見納めとばかりに、侍女の案内を断り、勝手知ったる何とかではないが庭の奥にあるガゼホに向かう途中のバラ園で、情熱の籠もった視線を交し合い、見つめ合った後抱き合う二人を植え込みの陰から見てショックを受け、一歩も動けず自嘲的に笑う事しかできなかった。
『彼と出会ったのも好きになったのも私の方が先だったのに……。』
少し前までそう思い、そう信じていた。
でも、実際は彼と出会ったのも、彼が好きになったのも彼女の方が先だったのだと今では知っている。
『できればそんな事、知りたくもなかった。
そこまで自分がお目出たい馬鹿だったのだという事実も…。』
しかし、真実は目の前にあった。
残酷なまでに鮮やかに。
予告を兼ねて一話目だけですが、先行投稿します。
お読みいただければ幸いです。
では、物語の始まりです。
~~~~~~
バーデンウッド王国はこの世界で一番大きな大陸の西海岸に位置した小国である。
小国と言ってもこの大陸で十二国ある中の上から七番目の大きさだった。
そして、私が生まれたカーネリアン辺境伯領は北の隣国と接した場所にある。
なので、その隣国ヘマタイト王国とは昔から小競り合いが多かった。
けれど、ここ百年ほどは国王が変わる度に不可侵条約が更新され、小競り合いが年に二、三度あるくらいで割と平穏な方だと思う。
バーデンウッド王国の王都は西海岸にある領内で一番大きな港街アクアマリンだ。
現カーネリアン辺境伯である父の元で、六人兄弟姉妹の四番目(三女)という微妙な位置に生まれた私は、その位置が示すようにあまりパッとしない、特に目立った容姿でもなく特化した能力を持っている訳でもない平々凡々と評される人間だった。
(優秀な上下に挟まれた谷間とか、じゃない感満載とか揶揄されている(-ω-;)
が、他の貴族家令嬢のように淑女教育だけを受けていればいいと言う訳でもなく、辺境伯家に生まれたからには有事の際には戦力になれるようにと、剣術や体術等の武術も幼い頃から学ばされていた。
(しかも父が教える武術に関してはスパルタだった。その他は家庭教師。)
そして、戦になればいつ命を失うかわからないからという理由で(辺境伯家だけかもしれないが)早婚の為、幼い内に婚約者が決められていた。
しかも、早ければ早い方がいいとばかりに生まれた時から婚約者がいる者もいた。
例に漏れず、私にも幼い頃に婚約した相手がいた。
幼い頃と言っても五歳の時で六歳になる直前という、辺境伯領では遅い方だった。
(普通は三歳ぐらいまでに婚約者が決まっている。)
相手は他領と王都を挟んだ王国南部にある辺境伯領、ガーネット辺境伯家の長男(嫡男)で、私よりも七歳上のライアン・ガーネット卿だった。
長男にも拘わらず(かなり)遅い婚約だったのは、中々本人が首を縦に振らなかったかららしいが、“気難しいから”、“心に決めた人がいる”等の色々な噂が飛び交っていたが真偽のほどは定かではない。
そして婚約後、彼が私を婚約相手に選んだのは「度重なる見合いにウンザリして半ば投げ遣りに決めた。(自棄糞とも言う。)」といった話がそれまでの噂に加わる事となる。
私は婚約が決まった後の初顔合わせで対面した彼に一目惚れした。
流れていた噂などまだ幼かった私にわかる筈もなく、ツヤツヤの烏の濡れ羽色をしたサラサラの黒髪、ガーネットのような瞳、細くもマッチョでもない程よい筋肉のついた体躯、それでいて強面ではない優しげで爽やかな笑顔の眉目秀麗な彼に惚れない女はいないだろう事にすら思い至らなかった。
この時に何故この様な優良物件なのに婚約者が決まっていなかったか、疑問に感じるだけの脳ミソが私にあれば良かったのだが、如何せんラッキーとしか思えない脳ミソだったのが現在の状況に繋がっているとしか思えてならない。
だからこんな事になったのだろう。
十六歳の長期休暇で実家に戻っていた私は、お茶会と言う名の話し合いの日に少し早く着いたからと、最後になるかもしれないこの邸の庭を見納めとばかりに、侍女の案内を断り、勝手知ったる何とかではないが庭の奥にあるガゼホに向かう途中のバラ園で、情熱の籠もった視線を交し合い、見つめ合った後抱き合う二人を植え込みの陰から見てショックを受け、一歩も動けず自嘲的に笑う事しかできなかった。
『彼と出会ったのも好きになったのも私の方が先だったのに……。』
少し前までそう思い、そう信じていた。
でも、実際は彼と出会ったのも、彼が好きになったのも彼女の方が先だったのだと今では知っている。
『できればそんな事、知りたくもなかった。
そこまで自分がお目出たい馬鹿だったのだという事実も…。』
しかし、真実は目の前にあった。
残酷なまでに鮮やかに。
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