R18・優しすぎる貴方【完結】

雫喰 B

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10. 何で…?

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*お気に入り登録や、しおりを挟んで下さった方々、本当にありがとうございます!
 物語の完結まで頑張って書いていきたいと思っていますのでよろしくお願いいたし
 ます。
 では、続きをお楽しみください。 
*前話:9 ですが、加筆修正をした為、話の内容が変更された部分がありますので
 お知らせしておきます。                
                    sivaress
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 何かガタガタと体ごと揺れる感覚に、何だろう?と考えていました。

そしてそれが馬車によるものだと気付いた私は、眼を開け、ぼんやりと天井を見ていました。



何だか悪い夢を見ていた様だな。と思った瞬間、自分が誘拐されていた事を思い出しました。

勢い良く起き上がると、誰かに背中を支えられました。



「いきなり起き上がったりして大丈夫か?」



声のした方を振り返るとそこにはリンドブルム侯爵令息が心配そうに私の顔を覗き込んでいました。



え…何で…?



状況がいまいち呑み込めていなかったので、なぜそこに彼がいるのか分かりませんでした。

彼の顔と自分の身体を何度も交互に見た後で、どうやら彼に膝枕をしてもらっていたらしい事に気付き、慌てて身体を起こそうとして、座席から転がり落ちそうになって、彼に抱き留められました。



恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうです。



(座席から転がり落ちそうになるなんて…。)



「あ、あの、もう大丈夫です。なので…手を離していただければ…。」



けれど、彼は私の身体を自分の膝の上に引っ張り上げて座らせると、お腹に腕を廻してきて頭に頬擦りしだした。



あ、あの…もしもし?……一体何を…………?



有り得ない出来事に混乱している私を余所に、更に力を込めて今度は両腕でぎゅぅうッと抱きしめてきた。



「…あ、や…あの………ち、近い……近すぎるんですけど!」

「大丈夫だ。」



いやいやいや。大丈夫じゃないでしょ!



「す~ッ。はぁ~ッ。」



いあ、あの、す~ッ。はぁ~ッ。って、何……何人の匂い嗅いでんですか!?



「り、リンドブルム侯爵令息!! ちょっ……いい加減にしてください!!」

「コンラート。」

「え!? えええええええぇぇ?」

「だから、コンラート。コンラートって呼んで。レーナ。」



こ、この人って、こんな性格だった?



「いい加減にして下さい!名前なんて呼べる訳ないじゃないですか! 大体、私たちの婚約は破棄したはずです!!」

「やだ。」

「やだじゃないです! ちょっ、今すぐこの腕離して下さい!!」

「やだやだやだやだ。」



やだやだって、お子様か!!



 結局、シュトラウス子爵の領主邸に到着するまで、牡蠣のようにへばり付かれ、す~ッ。はぁ~ッ。す~ッ。はぁ~ッ。と匂いを嗅がれ続けたのでした。



 助けていただいたのに、こんな事を言うのは失礼なのは分かっているのですが、(それに、助けられたと言っても、ハッキリ言って“とばっちり”ですよね。今回の誘拐騒動って…。そう思うと更に気が重くなってきました。)あのストーカー丸出しの手紙と言い、こんなにベタベタして来て私の匂いを嗅ぎ続けるリンドブルム侯爵令息、しかも話が通じていない(?)彼に、この先の不安と身の危険を感じずにはいられませんでした。
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