2人の男に狙われてます

おまけ

｢でもね...元旦那は私のことも子供のことも放ったらかしだったんです...！挙句外に女を作って朝帰り、なんてことも日常茶飯事...！｣

｢｢...｣｣

｢しまいには私に暴力まで...、私だけなら良かったんですが子供にも手を上げ始めたので、私は子供を連れて家を出たんです｣

よくもまあこんな嘘が口をついて出るものだ。
姫神が女子供に暴力を振るはずが無いだろう。
まぁ...男が同時に迫ってくればあっちもこっちもってなってたけど、浮気されていたとは両者ともに思いたくない。

｢その後、私を貰ってくれる人が現れましたが...実は彼、多額の借金を抱えていたんです。色んな金融機関からお金を借りていたみたい。離婚してから旦那だけ自己破産と言う形を取ったんですが、ついには蒸発してしまいました。私は身体が弱くて働けないし...毎日子供たちを食べさせていくので精一杯です...｣

｢そんなん、自業自、痛っ...！｣

女性の虚言に耐えかねた神崎が、ついに痺れを切らしたようだ。
テーブルの下で足を踏み付けた若王子がわざとらしく声を被せる。

｢それはそれは...なんて不憫な...。でも大丈夫、今日から貴女は僕の奥さんです｣

｢...きも、っ...いたた...！｣

小さな声で呟いたにも関わらず、若王子は地獄耳。聞き逃すはずが無い。

｢でも...僕は夫婦で隠し事なんかしたくありません。この際なので、他にも話していないことがあれば全てお話していただけますか？僕の資産は全て貴女のものになるんです。嘘なんか、ついてないですよね...？｣

甘いマスクと優しい声音。
こちらが詳しく調べていること、復讐のために近付いたなんて思うまい。

目の前の金に眩んだ女性は、洗いざらい吐いたのだった。

姫神と夫婦だった時に出来た子供は後の夫との子供。
贅沢をしない、身の丈にあった生活を送る姫神と、結婚してからも物欲などの欲求を抑えられなかったこの女性が上手くいくことは無かった。

心から愛されていると感じたが、自分自身そう言う対象としては見ておらず、金を稼いでくる道具だと思っていたのだから、そこに愛なんていらなかった。

父や母が姫神の肩を持たず、一人娘の言ったことだけを信じる馬鹿で良かったが、殴られたり蹴られたりした姿は流石に可哀想だと思った。

でも、そう思ったのも一瞬。

その後、ボコボコの顔面で現れた姫神に精神科から適当に書いてもらった診断書を叩き付け、慰謝料を請求した。
勿論、毎月の養育費も。

貰えるものは貰っておいた方がいい。

離婚後、直ぐに今の旦那と結婚した。

姫神より稼ぎがいいけど、その点顔とセックスは全然ダメ。
最初は好きな物を買っていいと贅沢させてくれたけど、家に鞄や服が増える度に小言を漏らすようになった。

子供服や習い事にはお金がかかる、いつまでも綺麗でいたいから、と伝えたが旦那はいい顔をしなかったし、それこそ朝帰りが続くようになった。

お金さえ入れてくれれば、不倫や浮気は気にしない。

そう思って稼いできたお金はどんどん使った。
子供を預けてパーティーに行ったり、整形したり、ブランド物の新作を買ったり。

お金がある時は毎日が楽しかった。
ご飯はケータリングで済ませれたし、毎日新しい洋服や靴を身に纏えた。


ただ、それも一瞬だった。