11 / 34
イケメンキラー
しおりを挟む
…夜中に由多花は目を覚ました。
「あー…、眠ってた…」
カタカタとキーパンチの音が響く。隣の六畳間は確か書斎に使っている。多分、松岡さんがお仕事中なのだ。
ベッドから上半身を起こして毛布をめくる。自分のかっこうをそっと見た。
…ちゃんといつものように、松岡さんは避妊してくれたようだ。由多花の方が夢中になったので覚えていない。
スカートはベッド脇に丸まっているがニットはべろり、と捲られていて、ブラはずらされているが ついたまま、というなんとも悲惨なかっこうだ。勿論、下着ははいていない。
しかし、これは全て自分の責任だ。誘ったのは由多花で、焦ったのも由多花だ。
それでも、下腹部がスッキリ綺麗になっているので いつものように、由多花が寝ている間に松岡さんが簡単に拭いてくれたらしい。これについては考えると軽く死ねるので、気にしてはいけない。
「あー…。情けない…。まじ、猿…」
このままなら、マジでセフレ街道まっしぐら。
由多花の矜持のために言うが 由多花が松岡さんのセフレではなく、松岡さんが由多花のセフレだ。
こんなモラルのない女になるとは、ほんの二、三日前までは考えられなかった。
なにもかも、最初に松岡さんの目の前で食事が出来たせいだ。
「はー。もう…ベタベタ…」
まくりあがったニットを戻し、下着とスカートをはいて立ち上がる。シーツをはがして新しいのをつけた。さすがにこのまま寝るのは松岡さんも嫌だろう。
それから、ぺたぺたと素足で歩き、隣の書斎のドアをノックした。
松岡さんの どうぞ、という声が聞こえた。
そろ、とドアを開けるとパソコンに向かっていた松岡さんが、椅子に座ったまま こちらを振り返っていた。
由多花は眠い目でその松岡さんを見つめた。
「…光熱費、折半でいい…?」
松岡さんが苦く笑って、気にしなくっていいのに、と言った。
「折半にしよ…。居づらくなるから…。あと、シーツ換えといた。私、自分の部屋で眠るわ」
「わかった。――おやすみ」
「おやすみ…」
いったん止んだキーボードの音が また響き始めた。
由多花はそのまま風呂に入り、それからまた なにもないリビングを見渡し、ここになぜ なにもないのか理解した。
この家は松岡さんだ。きっと、松岡さんも新しいものを買い足す元気がなかったんだろう…。
――いつかの、由多花のように。
翌日、由多花は自分のお弁当と一緒に 松岡さんにもお昼の用意をした。食べるか食べないかは好きにすればいい。
冷蔵庫にワンプレートにしたお昼を入れて、メモを置き、がらんとしたマンションを出て鍵をかけた。
メモには夕食の食材も書いておいた。
買い物に出るかどうかは賭けに近い。とりあえず、円満な同棲生活を松岡さんが望むなら、今日くらいは買い物をしておいてくれるはず。
ふぅと、息をついて、晴れた空を見上げて由多花は会社に向かった。
そして、出社して また女の情報網のすごさを改めて知る。
イケメンキラーの称号が なぜか、由多花のものになっていたのだから。
「…由多花ちゃんさ、七…林さんの彼氏と付き合っているって?」
食堂から戻って来た今北の最初の発言がそれだった。
食事を終えて、由多花がお弁当の箱を洗って帰ってきてから言われたことだ。昨日のパートさんのように、食事中に来られるよりはマシだけど。
しかし、色々情報は錯綜してそうだ。
今北は はい、と由多花に買ってきたジャスミンティーを渡した。
情報料か? といぶかしむ。
しかし、ホント、今の発言どうなのよ。
「私、もう今北さんと付き合ってませんよね?」
「他の…彼氏だよ」
――うお、認めんのか、自分が浮気相手だって!
由多花は しばし考え込む。
どこまで話していいか正直わからない。これは、由多花が勝手に話していいことじゃない気がする。なので、こう言うことにした。
「今北さんは、やっぱり、林さんから聞くといいと思う。付き合っている人の言葉を信じるべきじゃないの?」
ごめんね、正論で。
「聞いて、そう言われたんだよ…」
(――――!!)
これには、由多花も驚いた。なので、つい声をあげた。
「え――?」
「あー、俺、なっさけねぇ!」
今北が頭を抱えて机につっぷす。
――なんなの、私、どういうスタンスになってんの!?
言っていいのか、悪いのか。
松岡さんは別れた、と言っているが林さんは別れていないと言っている。
て、ことは話し合いなしで切ったってコトかもしれん。あの俺様ならやる。
でも、松岡さんは未練あるみたいだし、林さんは断然未練アリだ。
(――両思いじゃん…)
ぼう、と考えて馬鹿馬鹿しい、と思った。
つまり、二人の痴話げんかに由多花は巻き込まれたのだ。ただ、松岡さんが再び林さんを受け入れるのは難しいのだろう。
そう考えたところで由多花は机につっぷす、己の元カレを見つめた。
こいつが、林さんにちょっかいかけなければ、何事もなく、あのマンションの由多花の部屋には林さんが納まっていたのだろう。
しかし、こいつが林さんにフラフラしたのは由多花が彼女らしいことをしなかったせいで…。
そこまで考えて頭を振った。
――なんと言う、矢印! ワケわからん!
ただ、由多花も松岡さんに、今北の元カノという情報を言っていない。
聞いたら、即効 マンションを追い出されるだろうか。
今北の名前に反応したと言っていたのだから、林さんの浮気相手の名前は知っていたんだろう。
はーっ長いため息をつくと、顔を上げた今北と目が合った。
すっかり、その存在を忘れていた。
「…どうなの?」
え、まだ返事待っていたんだ?
困って由多花もどう言ったらいいのかわからない。
「あの、今北さんは林さんが好きなんですよね? 私、そういう人にはちょっと お話出来ません」
なので、ズバっと言った。
今北は瞠目する。
「だって、今北さん、私が林さんに報復する、とまで言ったじゃないですか。不用意にそう言う人にお話して、自分の悪い噂が立つのは避けたいです」
お前みたいなヤツは好きな人のこと、盲目的に信じとけ、と暗に言う。
男もおしゃべり好きがいるから このことは噂になるかもしれないが、今北にだってプライドがあるだろう。林さんがらみだ。さすがに そこ、ここで今の由多花の発言をしゃべりまくるとは思えない。
それより、問題は林さんだ。
昨日、確かに松岡さんと由多花は一緒にいた。その由多花が彼女と認識されるのは仕方がない。一応、事実だし。
しかし、林さんと一緒にいた子も だいたい、わかるじゃないか? と思う。
林さんと松岡さんが別れた後だってことは、あの会話で。
昼休みも終わり、うつうつとした顔でパソコンに向かう今北を尻目に 由多花はデータ入力にいそしむ。
噂は放っておくのが一番だろう。
けれど、松岡さんはいずれ林さんと対峙せねばならない。
でなければ、今の彼女の由多花を守れない。
――まぁ、松岡さんにその気があれば、だけど。
…痛みは ほどほどならば、気持ちいい。
けれど、この人間関係はどうも由多花には荷が重い。
由多花はキーパンチで叩きつけた人差し指を見る。
「いってぇ…」
赤くなっていた。
由多花はそんな自分をチラチラと盗み見ていた今北には気がつかなかった。
「あー…、眠ってた…」
カタカタとキーパンチの音が響く。隣の六畳間は確か書斎に使っている。多分、松岡さんがお仕事中なのだ。
ベッドから上半身を起こして毛布をめくる。自分のかっこうをそっと見た。
…ちゃんといつものように、松岡さんは避妊してくれたようだ。由多花の方が夢中になったので覚えていない。
スカートはベッド脇に丸まっているがニットはべろり、と捲られていて、ブラはずらされているが ついたまま、というなんとも悲惨なかっこうだ。勿論、下着ははいていない。
しかし、これは全て自分の責任だ。誘ったのは由多花で、焦ったのも由多花だ。
それでも、下腹部がスッキリ綺麗になっているので いつものように、由多花が寝ている間に松岡さんが簡単に拭いてくれたらしい。これについては考えると軽く死ねるので、気にしてはいけない。
「あー…。情けない…。まじ、猿…」
このままなら、マジでセフレ街道まっしぐら。
由多花の矜持のために言うが 由多花が松岡さんのセフレではなく、松岡さんが由多花のセフレだ。
こんなモラルのない女になるとは、ほんの二、三日前までは考えられなかった。
なにもかも、最初に松岡さんの目の前で食事が出来たせいだ。
「はー。もう…ベタベタ…」
まくりあがったニットを戻し、下着とスカートをはいて立ち上がる。シーツをはがして新しいのをつけた。さすがにこのまま寝るのは松岡さんも嫌だろう。
それから、ぺたぺたと素足で歩き、隣の書斎のドアをノックした。
松岡さんの どうぞ、という声が聞こえた。
そろ、とドアを開けるとパソコンに向かっていた松岡さんが、椅子に座ったまま こちらを振り返っていた。
由多花は眠い目でその松岡さんを見つめた。
「…光熱費、折半でいい…?」
松岡さんが苦く笑って、気にしなくっていいのに、と言った。
「折半にしよ…。居づらくなるから…。あと、シーツ換えといた。私、自分の部屋で眠るわ」
「わかった。――おやすみ」
「おやすみ…」
いったん止んだキーボードの音が また響き始めた。
由多花はそのまま風呂に入り、それからまた なにもないリビングを見渡し、ここになぜ なにもないのか理解した。
この家は松岡さんだ。きっと、松岡さんも新しいものを買い足す元気がなかったんだろう…。
――いつかの、由多花のように。
翌日、由多花は自分のお弁当と一緒に 松岡さんにもお昼の用意をした。食べるか食べないかは好きにすればいい。
冷蔵庫にワンプレートにしたお昼を入れて、メモを置き、がらんとしたマンションを出て鍵をかけた。
メモには夕食の食材も書いておいた。
買い物に出るかどうかは賭けに近い。とりあえず、円満な同棲生活を松岡さんが望むなら、今日くらいは買い物をしておいてくれるはず。
ふぅと、息をついて、晴れた空を見上げて由多花は会社に向かった。
そして、出社して また女の情報網のすごさを改めて知る。
イケメンキラーの称号が なぜか、由多花のものになっていたのだから。
「…由多花ちゃんさ、七…林さんの彼氏と付き合っているって?」
食堂から戻って来た今北の最初の発言がそれだった。
食事を終えて、由多花がお弁当の箱を洗って帰ってきてから言われたことだ。昨日のパートさんのように、食事中に来られるよりはマシだけど。
しかし、色々情報は錯綜してそうだ。
今北は はい、と由多花に買ってきたジャスミンティーを渡した。
情報料か? といぶかしむ。
しかし、ホント、今の発言どうなのよ。
「私、もう今北さんと付き合ってませんよね?」
「他の…彼氏だよ」
――うお、認めんのか、自分が浮気相手だって!
由多花は しばし考え込む。
どこまで話していいか正直わからない。これは、由多花が勝手に話していいことじゃない気がする。なので、こう言うことにした。
「今北さんは、やっぱり、林さんから聞くといいと思う。付き合っている人の言葉を信じるべきじゃないの?」
ごめんね、正論で。
「聞いて、そう言われたんだよ…」
(――――!!)
これには、由多花も驚いた。なので、つい声をあげた。
「え――?」
「あー、俺、なっさけねぇ!」
今北が頭を抱えて机につっぷす。
――なんなの、私、どういうスタンスになってんの!?
言っていいのか、悪いのか。
松岡さんは別れた、と言っているが林さんは別れていないと言っている。
て、ことは話し合いなしで切ったってコトかもしれん。あの俺様ならやる。
でも、松岡さんは未練あるみたいだし、林さんは断然未練アリだ。
(――両思いじゃん…)
ぼう、と考えて馬鹿馬鹿しい、と思った。
つまり、二人の痴話げんかに由多花は巻き込まれたのだ。ただ、松岡さんが再び林さんを受け入れるのは難しいのだろう。
そう考えたところで由多花は机につっぷす、己の元カレを見つめた。
こいつが、林さんにちょっかいかけなければ、何事もなく、あのマンションの由多花の部屋には林さんが納まっていたのだろう。
しかし、こいつが林さんにフラフラしたのは由多花が彼女らしいことをしなかったせいで…。
そこまで考えて頭を振った。
――なんと言う、矢印! ワケわからん!
ただ、由多花も松岡さんに、今北の元カノという情報を言っていない。
聞いたら、即効 マンションを追い出されるだろうか。
今北の名前に反応したと言っていたのだから、林さんの浮気相手の名前は知っていたんだろう。
はーっ長いため息をつくと、顔を上げた今北と目が合った。
すっかり、その存在を忘れていた。
「…どうなの?」
え、まだ返事待っていたんだ?
困って由多花もどう言ったらいいのかわからない。
「あの、今北さんは林さんが好きなんですよね? 私、そういう人にはちょっと お話出来ません」
なので、ズバっと言った。
今北は瞠目する。
「だって、今北さん、私が林さんに報復する、とまで言ったじゃないですか。不用意にそう言う人にお話して、自分の悪い噂が立つのは避けたいです」
お前みたいなヤツは好きな人のこと、盲目的に信じとけ、と暗に言う。
男もおしゃべり好きがいるから このことは噂になるかもしれないが、今北にだってプライドがあるだろう。林さんがらみだ。さすがに そこ、ここで今の由多花の発言をしゃべりまくるとは思えない。
それより、問題は林さんだ。
昨日、確かに松岡さんと由多花は一緒にいた。その由多花が彼女と認識されるのは仕方がない。一応、事実だし。
しかし、林さんと一緒にいた子も だいたい、わかるじゃないか? と思う。
林さんと松岡さんが別れた後だってことは、あの会話で。
昼休みも終わり、うつうつとした顔でパソコンに向かう今北を尻目に 由多花はデータ入力にいそしむ。
噂は放っておくのが一番だろう。
けれど、松岡さんはいずれ林さんと対峙せねばならない。
でなければ、今の彼女の由多花を守れない。
――まぁ、松岡さんにその気があれば、だけど。
…痛みは ほどほどならば、気持ちいい。
けれど、この人間関係はどうも由多花には荷が重い。
由多花はキーパンチで叩きつけた人差し指を見る。
「いってぇ…」
赤くなっていた。
由多花はそんな自分をチラチラと盗み見ていた今北には気がつかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
憧れの小説作家は取引先のマネージャーだった
七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。
その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。
恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる