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お買い物
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定時にあがるべくマッハで仕事し、由多花はタイムカードを押した。
「お疲れ様です」
にこやかに総務を通り抜け、社員用の玄関へ急いでいたら、更衣室から女の子たちの黄色い声が聞こえた。
しまった、捕まるか!? と身構えたらば、彼女らの関心は客用駐車場にある白いセダンだった。由多花はさぁっと血の気が引いた。
――あの車、…見覚えのある…。
もしやと思って携帯を取り出し、メールが入っていることを確認する。
マナーモードにしていたのをすっかり忘れていた。今日はついついメールチェックも怠っていた。私的な携帯に仕事の連絡が入ることなんてないから――。
ずら、と並んだメールは 全て、松岡さんからのものだった。
「うっわぁ…」
――今日買い物行くから付き合え。
――何時に終わる? 残業ないなら、定時に車で迎えに行く。
――返事寄越せ。
(…ウザい人だ…。やっぱり、残念イケメンだ…)
そう思って携帯を見ていたとき、今度は電話が入った。
「はいっ、由多花です」
『メール、見たか』
窓の外を横目で見る。松岡さんが、車から出てこちらに歩いてくる。
更衣室からまた黄色い声が上がった。更衣室横に従業員出口があり、松岡さんはそこの守衛さんに声をかけて 扉の前で待っている。
ううう、と由多花はうめいた。
なぜ、トラブルメーカーがやってくるかなぁっ。
「見たよ…。買い物ってなに…」
『いいから、早く出て来い』
「松岡さん、自由すぎるよ…」
そう言い捨てて由多花は携帯を切る。はぁ、とため息ついて人の気配に後ろを見ると、窓際に近づく今北がいた。
由多花はぎょっとする。
「あいつ? 由多花ちゃんと付き合っているの」
ソレ見たことかー!
今北の脳内では〝私の今彼イコール、林さんの今彼〟になっているハズ。つまり、松岡さんの二股ね。
それって、松岡さんの立場が悪くなりすぎだよ。実際は、林さんの二股だったのに!
それにそうしたら、私が〝林さんの彼に手を出した女〟になるし! もう、色々考えず林さんは振られているのよ! と言ってしまいたいわ。でも、そうしたら、松岡さんと林さんの復縁のきっかけがなくなると、それもなんか卑怯な気が…。
すると、プルプルとまた携帯が由多花を呼ぶ。
「はいっ」
『お・そ・い。見えてるぞ。横の男、誰だよ』
うわーっ。
それじゃあ、失礼します、となにか言いたげな今北にサッと頭を下げて由多花は更衣室に慌てて入った。
サンダルを履き替え、コートを着る。女の子たちがキャアキャア言っていたのは駐車場の場所を松岡さんが守衛さんに聞いて来た時、彼の顔を見たかららしい。
「なに、あの人モデル? むちゃくちゃカッコいいー!」
――ただのドルオタですよ。しかも、俺様。
それから、女の子たちが由多花を認めてひそひそ言い出す。
「…もしかして、あの人が佐々木さんの…?」
由多花がそれに詰まりそうになった時、ドアを誰かが バンと開けて言った。
「そうよ」
玄関の方の扉だ。守衛室の窓口と、そこにもたれるようにしていた松岡さんが見えた。
そうよ、と言い放ったのは、林さんの同期の子だった。――営業さんが帰ってきたのだ。
――すると、当然、彼女も…。
そう思うと由多花はどきっとした。ちら、と玄関を見る。
松岡さんはこちらを見て顎をくい、とひいた。早く来いと言っている。
戸口には封筒とカバンを手にした営業職の新人二人組み。つまり、林さんと昨日彼女と一緒の新入社員の子だった。
「林さんの彼氏さんなんだけどね? ね、佐々木先輩」
――意外…。この林さんの同期の子、すごい、ハッキリ意見を言う子なんだ。
いや、当然か。営業さんだもんね、と由多花はその子の顔を見上げた。ヒールを履いていて由多花よりずっと背が高い。由多花は少し、チビの方だから。彼女の鷲っ鼻が気の強さを暗示していた。
ただ、その戦闘体制に由多花はおののく。そして、その場にいた女の子たちもいぶかしむ。噂が騒ぎを起こすのを、勿論、会社の皆は好んでいない。しょせん、噂は娯楽で終わるのがいいのだ。…本人以外は。
「浅田さん、…やめて」
林さんが同期の子をそっといさめた。その綺麗な唇が困ったように震えていて、そして揺れる瞳で松岡さんを見ていた。
…変わらず、松岡さんは彼女をガン無視。子供か。
とりあえず、その場から逃げ出すために、にこやかに挨拶して松岡さんをひっぱった。
経理の仲良しが 明日っ、話聞かせてー、と大声出している。
――うおお、仲良しさんは遠慮ない。
車に乗り込み、松岡さんはシートベルトを着けている。
「はー、急に来ないでくださいよ」
「お前が鈍くさいからだ。ちゃちゃっと出ていたら顔合わさずに済んだのに」
「…逃げている自覚あるんだ…」
松岡さんが、ぎろり、と睨んだ。
ヘタレめ。
車を軽快に出すと松岡さんは迷いなく、大型電気店に向かった。
目的は家電製品フロア。
由多花もここは好きなので、ちょっと浮かれる。
「なにを買うんですかー?」
「TV。ないと困るだろ。…でかいのがいいな」
「そうですね、6月までにはないと」
そう、と松岡さんは何気に頷く。多分、彼も私も「総選挙」って言葉が浮かんでいたはず。お互い、なにが目的でTVが必要か判り合っているのがキモイわ。友達だったら、ほんと、松岡さんとは美味い酒が飲めるのよ。
「あ、これこれ、これにしましょーよー!」
赤いTVを気に入り、由多花は八十インチの画面に躊躇なく飛びついた。松岡さんが遠慮しろ、と由多花の頭を軽くはたく。
「趣味にお金を使うタイプだと思っていたのに…」
松岡さんの部屋は4LDKで十畳、八畳、八畳、六畳の部屋がある。十畳、六畳は松岡さんが使ってて、八畳がひとつ空いている――と思っていたら、見せてもらった八畳の洋室は びっしり松岡さんの趣味の本とDVDとブルーレイが置いてあった。彼から比べたら由多花などドルオタとしてもド新規だ。
結局、松岡さんはカードで六十インチを買っていた。備え付けのリビングボードがあるから、お買い物はこれで終わりかな? と思っていたが、松岡さんは由多花に声をかける。
「家具屋、行くぞ」
――なにを、買うの?
大型家電店のすぐ隣の家具屋さんで、松岡さんはホラ、と由多花に促した。
「…なにを、選べと」
「リビングにソファとテーブル置く。お前の趣味でいいから選べ」
「…いや、それはゴニョゴニョでしょう…」
「なんだ、そのゴニョゴニョって」
――それはマズイってことだよ。
由多花は松岡さんを見上げて困った顔をする。
――だってさー、新居の家具はお嫁さんが選ぶものだよ。
それが、楽しい新生活の始まりでしょ?
由多花は自分が暫定恋人だと知っている。
――あの、マンションが一週間前に別れた林さんとの新居のために購入したんだって、丸わかりだもん。うちの会社からも近いしさ。
「…リビングはダメだよ。私の趣味じゃ…」
つい、口をついた。
「なんでだよ」
「私が選ぶと、ピンクになってしまう…」
松岡さんが呆れたように噴出した。
「まあ、無難なものでいいか」
そう言って彼が自分の好きなものを選ぶのを由多花は見ていた。
ホッとしたけど残念でもある。
松岡さんは、由多花をちゃんとカノジョとして扱ってくれているから――。
誠実でなければならない。
そう、思った。
残念…。
六十インチのTVで松岡さんと一緒に、ビール飲みながら「総選挙」観たかったよ――。
「お疲れ様です」
にこやかに総務を通り抜け、社員用の玄関へ急いでいたら、更衣室から女の子たちの黄色い声が聞こえた。
しまった、捕まるか!? と身構えたらば、彼女らの関心は客用駐車場にある白いセダンだった。由多花はさぁっと血の気が引いた。
――あの車、…見覚えのある…。
もしやと思って携帯を取り出し、メールが入っていることを確認する。
マナーモードにしていたのをすっかり忘れていた。今日はついついメールチェックも怠っていた。私的な携帯に仕事の連絡が入ることなんてないから――。
ずら、と並んだメールは 全て、松岡さんからのものだった。
「うっわぁ…」
――今日買い物行くから付き合え。
――何時に終わる? 残業ないなら、定時に車で迎えに行く。
――返事寄越せ。
(…ウザい人だ…。やっぱり、残念イケメンだ…)
そう思って携帯を見ていたとき、今度は電話が入った。
「はいっ、由多花です」
『メール、見たか』
窓の外を横目で見る。松岡さんが、車から出てこちらに歩いてくる。
更衣室からまた黄色い声が上がった。更衣室横に従業員出口があり、松岡さんはそこの守衛さんに声をかけて 扉の前で待っている。
ううう、と由多花はうめいた。
なぜ、トラブルメーカーがやってくるかなぁっ。
「見たよ…。買い物ってなに…」
『いいから、早く出て来い』
「松岡さん、自由すぎるよ…」
そう言い捨てて由多花は携帯を切る。はぁ、とため息ついて人の気配に後ろを見ると、窓際に近づく今北がいた。
由多花はぎょっとする。
「あいつ? 由多花ちゃんと付き合っているの」
ソレ見たことかー!
今北の脳内では〝私の今彼イコール、林さんの今彼〟になっているハズ。つまり、松岡さんの二股ね。
それって、松岡さんの立場が悪くなりすぎだよ。実際は、林さんの二股だったのに!
それにそうしたら、私が〝林さんの彼に手を出した女〟になるし! もう、色々考えず林さんは振られているのよ! と言ってしまいたいわ。でも、そうしたら、松岡さんと林さんの復縁のきっかけがなくなると、それもなんか卑怯な気が…。
すると、プルプルとまた携帯が由多花を呼ぶ。
「はいっ」
『お・そ・い。見えてるぞ。横の男、誰だよ』
うわーっ。
それじゃあ、失礼します、となにか言いたげな今北にサッと頭を下げて由多花は更衣室に慌てて入った。
サンダルを履き替え、コートを着る。女の子たちがキャアキャア言っていたのは駐車場の場所を松岡さんが守衛さんに聞いて来た時、彼の顔を見たかららしい。
「なに、あの人モデル? むちゃくちゃカッコいいー!」
――ただのドルオタですよ。しかも、俺様。
それから、女の子たちが由多花を認めてひそひそ言い出す。
「…もしかして、あの人が佐々木さんの…?」
由多花がそれに詰まりそうになった時、ドアを誰かが バンと開けて言った。
「そうよ」
玄関の方の扉だ。守衛室の窓口と、そこにもたれるようにしていた松岡さんが見えた。
そうよ、と言い放ったのは、林さんの同期の子だった。――営業さんが帰ってきたのだ。
――すると、当然、彼女も…。
そう思うと由多花はどきっとした。ちら、と玄関を見る。
松岡さんはこちらを見て顎をくい、とひいた。早く来いと言っている。
戸口には封筒とカバンを手にした営業職の新人二人組み。つまり、林さんと昨日彼女と一緒の新入社員の子だった。
「林さんの彼氏さんなんだけどね? ね、佐々木先輩」
――意外…。この林さんの同期の子、すごい、ハッキリ意見を言う子なんだ。
いや、当然か。営業さんだもんね、と由多花はその子の顔を見上げた。ヒールを履いていて由多花よりずっと背が高い。由多花は少し、チビの方だから。彼女の鷲っ鼻が気の強さを暗示していた。
ただ、その戦闘体制に由多花はおののく。そして、その場にいた女の子たちもいぶかしむ。噂が騒ぎを起こすのを、勿論、会社の皆は好んでいない。しょせん、噂は娯楽で終わるのがいいのだ。…本人以外は。
「浅田さん、…やめて」
林さんが同期の子をそっといさめた。その綺麗な唇が困ったように震えていて、そして揺れる瞳で松岡さんを見ていた。
…変わらず、松岡さんは彼女をガン無視。子供か。
とりあえず、その場から逃げ出すために、にこやかに挨拶して松岡さんをひっぱった。
経理の仲良しが 明日っ、話聞かせてー、と大声出している。
――うおお、仲良しさんは遠慮ない。
車に乗り込み、松岡さんはシートベルトを着けている。
「はー、急に来ないでくださいよ」
「お前が鈍くさいからだ。ちゃちゃっと出ていたら顔合わさずに済んだのに」
「…逃げている自覚あるんだ…」
松岡さんが、ぎろり、と睨んだ。
ヘタレめ。
車を軽快に出すと松岡さんは迷いなく、大型電気店に向かった。
目的は家電製品フロア。
由多花もここは好きなので、ちょっと浮かれる。
「なにを買うんですかー?」
「TV。ないと困るだろ。…でかいのがいいな」
「そうですね、6月までにはないと」
そう、と松岡さんは何気に頷く。多分、彼も私も「総選挙」って言葉が浮かんでいたはず。お互い、なにが目的でTVが必要か判り合っているのがキモイわ。友達だったら、ほんと、松岡さんとは美味い酒が飲めるのよ。
「あ、これこれ、これにしましょーよー!」
赤いTVを気に入り、由多花は八十インチの画面に躊躇なく飛びついた。松岡さんが遠慮しろ、と由多花の頭を軽くはたく。
「趣味にお金を使うタイプだと思っていたのに…」
松岡さんの部屋は4LDKで十畳、八畳、八畳、六畳の部屋がある。十畳、六畳は松岡さんが使ってて、八畳がひとつ空いている――と思っていたら、見せてもらった八畳の洋室は びっしり松岡さんの趣味の本とDVDとブルーレイが置いてあった。彼から比べたら由多花などドルオタとしてもド新規だ。
結局、松岡さんはカードで六十インチを買っていた。備え付けのリビングボードがあるから、お買い物はこれで終わりかな? と思っていたが、松岡さんは由多花に声をかける。
「家具屋、行くぞ」
――なにを、買うの?
大型家電店のすぐ隣の家具屋さんで、松岡さんはホラ、と由多花に促した。
「…なにを、選べと」
「リビングにソファとテーブル置く。お前の趣味でいいから選べ」
「…いや、それはゴニョゴニョでしょう…」
「なんだ、そのゴニョゴニョって」
――それはマズイってことだよ。
由多花は松岡さんを見上げて困った顔をする。
――だってさー、新居の家具はお嫁さんが選ぶものだよ。
それが、楽しい新生活の始まりでしょ?
由多花は自分が暫定恋人だと知っている。
――あの、マンションが一週間前に別れた林さんとの新居のために購入したんだって、丸わかりだもん。うちの会社からも近いしさ。
「…リビングはダメだよ。私の趣味じゃ…」
つい、口をついた。
「なんでだよ」
「私が選ぶと、ピンクになってしまう…」
松岡さんが呆れたように噴出した。
「まあ、無難なものでいいか」
そう言って彼が自分の好きなものを選ぶのを由多花は見ていた。
ホッとしたけど残念でもある。
松岡さんは、由多花をちゃんとカノジョとして扱ってくれているから――。
誠実でなければならない。
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