30 / 34
佐々木由多花
しおりを挟む
七穂はそのまま手元の紅茶を飲み干した。随分、喉が渇いていたようだ。
「…どうしてって、聞かないの…?」
呆然としていた涼はその言葉で現実に帰る。
――今までにもあったことだ、と どこか冷静な自分もいた。浮気の告白までされたことはないが、今までも他に好きなヤツが出来た、と言って別れを切り出す女はいた。
ただ、七穂がそんな真似をするとは、まるで考えていなかった。
「ねえ、聞かないの!?」
焦れたように七穂が大きい声をあげた。
涼はそれすら驚いた。
そして、怒りが湧いてくる。なぜ、浮気した女が自分を責めるのか、と。
「――聞きたくもない」
涼は吐き捨てた。
「じゃあ、お前はそいつと付き合うんだな。良かったな、俺と別れられるな」
あの、意地の悪い口角をあげる笑みを見せた。本気で怒らせたと七穂は今更みたいな顔をした。
ゆっくりコーヒーをかきまぜ、涼も口にする。
「俺は浮気する女とは付き合えない。勿論、結婚も出来ない。どうしてか聞いて欲しいから浮気したのなら、お前を軽蔑するよ。せめて、そいつが好きだから、という理由で別れ話をしてくれ」
容赦ない言葉を突きつけた。
七穂はうつろな顔をする。
「やっぱり…、涼は私が好きなわけじゃなかったんだ…」
「――好きだったよ。今も好きかもな。でも、好きでも許せない。終わりだな、俺たち」
「――待って、もう少し、もう少しだけ…待って欲しいの。私、自分の気持ちがわからないの…。ただの会社の先輩だと思っていた今北さんに、好きだって言われて嬉しかった。だって、涼、気がついている? 涼は一度だって私に愛しているって言ったことないの。涼はいつも自分だけで物事決めて、結婚だって、一方的で…。私、少し待って欲しかっただけなの。だから、今北さんに抱かれてみたの…。もしかして、涼より好きな人が出来るかもしれないって。今まで、一度も涼以外の人を好きになったことなかったから――」
「…お前、今、自分の言っていることが相当 一方的な言い分だって、わかってる?」
涼は呆れた。
「で? 俺はお前が浮気に飽きるまで待てばいいのか? ありえないだろ…」
「そうじゃない…。少しだけ自由にさせて欲しいって」
「お前は俺のものじゃないだろ。自由にすればいい。ただ、俺は他人の女には興味ないし、一度別れた女とも付き合わない。お前が自由を満喫したいなら、俺とは別れろ。…話は終わったな?」
涼、と引き止める声が聞こえたが無視して涼はそのまま会計を終えて外に出た。
あまりに馬鹿馬鹿しい終わりだった。
小夜子に知られることだけが嫌だったが こればかりは隠しようがない。
松岡涼はその翌日、既に購入手続きを終えていたマンションを訪れ 引越し日を管理会社に伝えた。
一週間のうち、何度も七穂から電話があったが全て無視した。
家族には七穂との結婚が駄目になったことを伝え、当面、彼女からの連絡は受け付けないでくれと言って家を出た。
それから、しばらく荒れていたと思う。
涼は涼なりに七穂が好きだったし、昔の七穂の面影は妹のようでもあり、それが変わってしまったことに――いや、男女の関係になって、互いの立ち位置が変わったことで起きた軋轢がひどく悲しかったのかもしれない。
その日、いつもの居酒屋で一人で食事して酒を飲んでいた。
そして、トイレの帰りに「その子」を見つけて一遍に酔いが醒めた。
初恋の彼女がいた。
いや、まさか。――『マミナ』だ。
思わず声をかけた、天然パーマにみつ編みの女の子はそのどちらでもなかった。
ただ、涼は確かに胸が高鳴った。
彼女の食事風景をただひたすら見ていた。目を離せなかった、というのが正しかったかもしれない。
彼女はとても一生懸命に箸をすすめる。それがひどく可愛らしく見えた。
その口元が自分を誘っているようにも見えた。
こらえ切れずに声をかけた。ナンパは涼は初めてだった。
その子はとても簡単に涼を懐に入れ、伴に晩酌し、自分の可哀相な恋の話を披露した。
こういうことに慣れている女の子かと思った。
そのうち酔いが回ったその女の子はとんでもないことを口にした。
誘いの文句にしても あまりに酷い。
しかし、それは涼にはあまりに甘い誘惑だった。
もしかしたら、神様が哀れな涼にくださった たった一度のチャンスにも思えた。
涼にとってその初恋の女の子の顔した少女は、一度も自分から好きになった女の子とキスすらしたことない涼への、神様の贈ったメフィストフィレスだった。
松岡涼はその夜、その悪魔を抱いた。
彼女は本当に初めてで、涼は戸惑いを隠せなかった。
それでも、悪魔は止めないで欲しいと高らかに謳うし、涼も彼女にひどく欲情していて止められるものではなくなっていた。
彼女の顔が初恋の人であろうとなかろうと もう関係なくなっていた。
自分からここまで情熱的になったのは初めてで、それに涼はその夜、溺れた。
その甘い砂糖菓子のような夜は、今まで一度も涼は味わったことがなかったのだから――。
朝が訪れたとき、涼が彼女が悪魔などでなく、普通の女の子であることを知った。
眠る顔を見て その幼さに自己嫌悪で心臓が止まるかと思った。
今までの自分のポリシーをすべて自分で踏みにじったことを恥じて、彼女の顔をまともに見ることが出来なかった。
彼女が思ったより大人で、そして、ありがとう、と頭まで下げたとき、涼は彼女と付き合いたい、と切実に思った。
結果的に、彼女、佐々木由多花と涼は同棲を始めた。
涼にとっては全てが新しい発見の日々だった。
彼女が食事のとき懸命に咀嚼する理由に驚いたが、その姿も可愛らしいと思っていた。
彼女との二度目のセックスは互いに望んだもので、酒ではなく、涼は既に恋に酔っていたのだと思う。
彼にとって、好きになった女の子との行為は 今までとまるで違うもので、好きな子とのセックスがこんなに気持ちのいいものだとも初めて知った。
自分はセックスに淡白だと思っていたが、なんのことはない。恋がそのまま劣情につながっていただけだった。
それに気がついたとき、七穂をまるで娼婦のようになじった自分を恥じた。
彼女も、涼が自分に恋をしていないことに気がついていたのだ。
恋をしていなくても、ただ、好きであれば誠実であれば、と涼は思っていた。
その食い違いが彼女にひどく寂しい思いをさせていたのだろう。
一方的にいつも保護しているつもりで、彼女を守る妹から彼女を引き継いだときのままで、涼の七穂への概念は止まっていた。
だが、彼女も もう、大人だったのだ。
そのやり方や、待っていて欲しいという主張は甚だ疑問だが、少なくとも涼の彼女に対する気持ちが七穂には耐えられなかったのかもしれない、と涼は後ろめたく感じた。
――自分が、こうして、恋人を手に入れたから。
由多花はとても寛容な女の子だった。
初恋のあの子の面影を最初は求めていたのかと思っていたが、彼女は自己主張しつつ、他人との接点や妥協点を見出せるという点では十も年上の涼よりずっと大人だった。
なので、涼がなかば自棄になり態度を豹変させたときも、結局彼女が歩み寄ってくれた。
涼はそれにまた安堵を覚えることになる。
男はプライドの生き物なので、どこかでやはり女性が大人になってくれないと上手くいかないのだ。
とくに涼はその傾向があった。
彼女と暮らそうと言ったきっかけを七穂のせいにしたのは失敗だと思っていた。けれど、うまく言えなかった。自分でも馬鹿馬鹿しいと思いつつ、十歳も年下の女の子に自分のあられもない本音は言えなかった。
今思えば、それもまた失敗だったのだ。
涼はまた今までと同じ失敗を重ねていく。
彼女に対しての甘えがあったと言ってよかった。
そして、彼女との生活があまりに甘美なので、彼は余計に七穂とのことに罪悪感を感じていた。
だから、その日、眼前に突然現れた小枝のようになった七穂の腕に驚愕した。
「…どうしてって、聞かないの…?」
呆然としていた涼はその言葉で現実に帰る。
――今までにもあったことだ、と どこか冷静な自分もいた。浮気の告白までされたことはないが、今までも他に好きなヤツが出来た、と言って別れを切り出す女はいた。
ただ、七穂がそんな真似をするとは、まるで考えていなかった。
「ねえ、聞かないの!?」
焦れたように七穂が大きい声をあげた。
涼はそれすら驚いた。
そして、怒りが湧いてくる。なぜ、浮気した女が自分を責めるのか、と。
「――聞きたくもない」
涼は吐き捨てた。
「じゃあ、お前はそいつと付き合うんだな。良かったな、俺と別れられるな」
あの、意地の悪い口角をあげる笑みを見せた。本気で怒らせたと七穂は今更みたいな顔をした。
ゆっくりコーヒーをかきまぜ、涼も口にする。
「俺は浮気する女とは付き合えない。勿論、結婚も出来ない。どうしてか聞いて欲しいから浮気したのなら、お前を軽蔑するよ。せめて、そいつが好きだから、という理由で別れ話をしてくれ」
容赦ない言葉を突きつけた。
七穂はうつろな顔をする。
「やっぱり…、涼は私が好きなわけじゃなかったんだ…」
「――好きだったよ。今も好きかもな。でも、好きでも許せない。終わりだな、俺たち」
「――待って、もう少し、もう少しだけ…待って欲しいの。私、自分の気持ちがわからないの…。ただの会社の先輩だと思っていた今北さんに、好きだって言われて嬉しかった。だって、涼、気がついている? 涼は一度だって私に愛しているって言ったことないの。涼はいつも自分だけで物事決めて、結婚だって、一方的で…。私、少し待って欲しかっただけなの。だから、今北さんに抱かれてみたの…。もしかして、涼より好きな人が出来るかもしれないって。今まで、一度も涼以外の人を好きになったことなかったから――」
「…お前、今、自分の言っていることが相当 一方的な言い分だって、わかってる?」
涼は呆れた。
「で? 俺はお前が浮気に飽きるまで待てばいいのか? ありえないだろ…」
「そうじゃない…。少しだけ自由にさせて欲しいって」
「お前は俺のものじゃないだろ。自由にすればいい。ただ、俺は他人の女には興味ないし、一度別れた女とも付き合わない。お前が自由を満喫したいなら、俺とは別れろ。…話は終わったな?」
涼、と引き止める声が聞こえたが無視して涼はそのまま会計を終えて外に出た。
あまりに馬鹿馬鹿しい終わりだった。
小夜子に知られることだけが嫌だったが こればかりは隠しようがない。
松岡涼はその翌日、既に購入手続きを終えていたマンションを訪れ 引越し日を管理会社に伝えた。
一週間のうち、何度も七穂から電話があったが全て無視した。
家族には七穂との結婚が駄目になったことを伝え、当面、彼女からの連絡は受け付けないでくれと言って家を出た。
それから、しばらく荒れていたと思う。
涼は涼なりに七穂が好きだったし、昔の七穂の面影は妹のようでもあり、それが変わってしまったことに――いや、男女の関係になって、互いの立ち位置が変わったことで起きた軋轢がひどく悲しかったのかもしれない。
その日、いつもの居酒屋で一人で食事して酒を飲んでいた。
そして、トイレの帰りに「その子」を見つけて一遍に酔いが醒めた。
初恋の彼女がいた。
いや、まさか。――『マミナ』だ。
思わず声をかけた、天然パーマにみつ編みの女の子はそのどちらでもなかった。
ただ、涼は確かに胸が高鳴った。
彼女の食事風景をただひたすら見ていた。目を離せなかった、というのが正しかったかもしれない。
彼女はとても一生懸命に箸をすすめる。それがひどく可愛らしく見えた。
その口元が自分を誘っているようにも見えた。
こらえ切れずに声をかけた。ナンパは涼は初めてだった。
その子はとても簡単に涼を懐に入れ、伴に晩酌し、自分の可哀相な恋の話を披露した。
こういうことに慣れている女の子かと思った。
そのうち酔いが回ったその女の子はとんでもないことを口にした。
誘いの文句にしても あまりに酷い。
しかし、それは涼にはあまりに甘い誘惑だった。
もしかしたら、神様が哀れな涼にくださった たった一度のチャンスにも思えた。
涼にとってその初恋の女の子の顔した少女は、一度も自分から好きになった女の子とキスすらしたことない涼への、神様の贈ったメフィストフィレスだった。
松岡涼はその夜、その悪魔を抱いた。
彼女は本当に初めてで、涼は戸惑いを隠せなかった。
それでも、悪魔は止めないで欲しいと高らかに謳うし、涼も彼女にひどく欲情していて止められるものではなくなっていた。
彼女の顔が初恋の人であろうとなかろうと もう関係なくなっていた。
自分からここまで情熱的になったのは初めてで、それに涼はその夜、溺れた。
その甘い砂糖菓子のような夜は、今まで一度も涼は味わったことがなかったのだから――。
朝が訪れたとき、涼が彼女が悪魔などでなく、普通の女の子であることを知った。
眠る顔を見て その幼さに自己嫌悪で心臓が止まるかと思った。
今までの自分のポリシーをすべて自分で踏みにじったことを恥じて、彼女の顔をまともに見ることが出来なかった。
彼女が思ったより大人で、そして、ありがとう、と頭まで下げたとき、涼は彼女と付き合いたい、と切実に思った。
結果的に、彼女、佐々木由多花と涼は同棲を始めた。
涼にとっては全てが新しい発見の日々だった。
彼女が食事のとき懸命に咀嚼する理由に驚いたが、その姿も可愛らしいと思っていた。
彼女との二度目のセックスは互いに望んだもので、酒ではなく、涼は既に恋に酔っていたのだと思う。
彼にとって、好きになった女の子との行為は 今までとまるで違うもので、好きな子とのセックスがこんなに気持ちのいいものだとも初めて知った。
自分はセックスに淡白だと思っていたが、なんのことはない。恋がそのまま劣情につながっていただけだった。
それに気がついたとき、七穂をまるで娼婦のようになじった自分を恥じた。
彼女も、涼が自分に恋をしていないことに気がついていたのだ。
恋をしていなくても、ただ、好きであれば誠実であれば、と涼は思っていた。
その食い違いが彼女にひどく寂しい思いをさせていたのだろう。
一方的にいつも保護しているつもりで、彼女を守る妹から彼女を引き継いだときのままで、涼の七穂への概念は止まっていた。
だが、彼女も もう、大人だったのだ。
そのやり方や、待っていて欲しいという主張は甚だ疑問だが、少なくとも涼の彼女に対する気持ちが七穂には耐えられなかったのかもしれない、と涼は後ろめたく感じた。
――自分が、こうして、恋人を手に入れたから。
由多花はとても寛容な女の子だった。
初恋のあの子の面影を最初は求めていたのかと思っていたが、彼女は自己主張しつつ、他人との接点や妥協点を見出せるという点では十も年上の涼よりずっと大人だった。
なので、涼がなかば自棄になり態度を豹変させたときも、結局彼女が歩み寄ってくれた。
涼はそれにまた安堵を覚えることになる。
男はプライドの生き物なので、どこかでやはり女性が大人になってくれないと上手くいかないのだ。
とくに涼はその傾向があった。
彼女と暮らそうと言ったきっかけを七穂のせいにしたのは失敗だと思っていた。けれど、うまく言えなかった。自分でも馬鹿馬鹿しいと思いつつ、十歳も年下の女の子に自分のあられもない本音は言えなかった。
今思えば、それもまた失敗だったのだ。
涼はまた今までと同じ失敗を重ねていく。
彼女に対しての甘えがあったと言ってよかった。
そして、彼女との生活があまりに甘美なので、彼は余計に七穂とのことに罪悪感を感じていた。
だから、その日、眼前に突然現れた小枝のようになった七穂の腕に驚愕した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
憧れの小説作家は取引先のマネージャーだった
七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。
その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。
恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる