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プロローグ
還らずの迷宮
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部屋には沈黙が広がる。
何故なら今まで有能だと思っていて必死に育ててきた少年が全くの無能者だったからだ。
「と、父さん......」
俺はどうすればいいか分からず、自分の憧れであり、尊敬している父に判断を仰ぐ。
その次の瞬間だった━━━
バチッっ
父は無意識で俺の頬を叩いた。父の表情は無表情で俺が床に倒れた後に俺の上に跨り、殴り続けた。
その光景を異様に思った母と妹が止めに入る。
「あなた!?何してるの!?」
「お父さん!!どうしちゃったの!?」
隣で声をかけるが父は殴るのを止めない。
「ん?なにって家の未来を守ろうとしてるんだよ。」
父は無表情で俺の顔面を殴りながら答える。
すると母がその様子から何かを察したようだった。
何かとは当然......
「もしかして......無属性?」
父は【無属性】という単語を聞いて一瞬だけ眉をピクッとさせて動きを止めた。
動きを止めたのは一瞬で父は再び俺を殴る。
「......そうなのね......リリィ、部屋を出るわよ」
「ゴフっ......かあ......さん......」
俺は口から血を吹きながら母さんを呼び止める。
リリィは俺を必死に助けようとするが母さんに止められている。
「......汚らわしい......私はあなたの母になった覚えはありませんよ?」
「え......お母さん?お兄ちゃんは......お兄ちゃんは【家族】だよ?」
リリィは泣きそうな声で母を呼びかける。
顔は目の下が腫れていてよく見えないが泣いているのだろうか?
それと俺は今、理解した。
コイツらにとって無属性はどんな物か。
さっき【未来を守ろうとしている】と父さんが言った。
それはつまり貴族の家に無属性がいると他の貴族から蔑まされ国王から爵位剥奪されることを避けようとしているのだろう。
昔、そういう理由で平民になった貴族がいたらしい。
やばい、そろそろ気を失う......
ダメだ......気が遠のいていく.....
絶対におかしい......そんなに簡単に家族を捨てるのか?
なんで?なんで?なんで俺なの?
なんで俺が、俺が無属性なの?
なんで父さんがここまで憎く見えるの?
なんで母さんがここまでクズにみえるの?
気を失う直前に聞いたのは母の「あれは家族ではありません、いいですかリリィ、貴族の敵は無属性です」と今まで俺にくれた愛を全て消すような言葉だった。
◆◇◆◇◆夜・還らずの迷宮◆◇◆◇◆
俺が目を覚ましたのは日が落ちてほぼ辺りが暗くなっている時だった。
全てが夢で起きたらベットの中......なんてことは無く俺は洞窟の前にいる。
ただの洞窟では無いことはすぐにわかった。
ここは王国で立ち入り禁止区域に指定されている場所だ。
名前は【還らずの迷宮】、文字通り帰れない。
一度入ったら出口が塞がれ、数秒後に開かれるがそこには誰の姿も無く、迷宮に捕まったと言われている。
「テイン、お前はもう存在自体が邪魔なのだ。これも無駄になったな......」
俺は迷宮の入口にいる......と言っても入口はそこまで広くなく高さ二メートル、横幅一メートルだ。
父は今日俺にくれたクリスタルを俺に向かって投げた。
キャッチしてポケットに入れる。
迷宮の入口の前に俺が立ち、それを囲むように両親【だった】奴らがいる。
どういう訳かリリィとニッタも連れてきている。
「お母さん!!お兄ちゃんだよ!?なんでそんな事するの!?」
「いい、リリィ、ニッタ、あれはもう家族じゃないの」
「そ、そんかこ「わかりました母様」」
リリィの言葉を遮るようにさっきからニヤついてるニッタが口を挟んだ。
「母様、父上、あの粗大ゴミの処分は僕に任せてください」
「よし、ニッタ、殺れ。次期当主はお前にする事が決定したのだからな」
俺は決めた。
この憧れ【だった】父を殺す。
この大好き【だった】母を殺す。
そして......
「お兄ちゃん......ごめん......ごめん」
俺のために泣いてくれた妹に何もしてあげられない兄としての俺を殺す。
その夜、俺は帰還不可能の迷宮に自ら足を進めた。
必ず帰り復讐する事を誓いながら。
何故なら今まで有能だと思っていて必死に育ててきた少年が全くの無能者だったからだ。
「と、父さん......」
俺はどうすればいいか分からず、自分の憧れであり、尊敬している父に判断を仰ぐ。
その次の瞬間だった━━━
バチッっ
父は無意識で俺の頬を叩いた。父の表情は無表情で俺が床に倒れた後に俺の上に跨り、殴り続けた。
その光景を異様に思った母と妹が止めに入る。
「あなた!?何してるの!?」
「お父さん!!どうしちゃったの!?」
隣で声をかけるが父は殴るのを止めない。
「ん?なにって家の未来を守ろうとしてるんだよ。」
父は無表情で俺の顔面を殴りながら答える。
すると母がその様子から何かを察したようだった。
何かとは当然......
「もしかして......無属性?」
父は【無属性】という単語を聞いて一瞬だけ眉をピクッとさせて動きを止めた。
動きを止めたのは一瞬で父は再び俺を殴る。
「......そうなのね......リリィ、部屋を出るわよ」
「ゴフっ......かあ......さん......」
俺は口から血を吹きながら母さんを呼び止める。
リリィは俺を必死に助けようとするが母さんに止められている。
「......汚らわしい......私はあなたの母になった覚えはありませんよ?」
「え......お母さん?お兄ちゃんは......お兄ちゃんは【家族】だよ?」
リリィは泣きそうな声で母を呼びかける。
顔は目の下が腫れていてよく見えないが泣いているのだろうか?
それと俺は今、理解した。
コイツらにとって無属性はどんな物か。
さっき【未来を守ろうとしている】と父さんが言った。
それはつまり貴族の家に無属性がいると他の貴族から蔑まされ国王から爵位剥奪されることを避けようとしているのだろう。
昔、そういう理由で平民になった貴族がいたらしい。
やばい、そろそろ気を失う......
ダメだ......気が遠のいていく.....
絶対におかしい......そんなに簡単に家族を捨てるのか?
なんで?なんで?なんで俺なの?
なんで俺が、俺が無属性なの?
なんで父さんがここまで憎く見えるの?
なんで母さんがここまでクズにみえるの?
気を失う直前に聞いたのは母の「あれは家族ではありません、いいですかリリィ、貴族の敵は無属性です」と今まで俺にくれた愛を全て消すような言葉だった。
◆◇◆◇◆夜・還らずの迷宮◆◇◆◇◆
俺が目を覚ましたのは日が落ちてほぼ辺りが暗くなっている時だった。
全てが夢で起きたらベットの中......なんてことは無く俺は洞窟の前にいる。
ただの洞窟では無いことはすぐにわかった。
ここは王国で立ち入り禁止区域に指定されている場所だ。
名前は【還らずの迷宮】、文字通り帰れない。
一度入ったら出口が塞がれ、数秒後に開かれるがそこには誰の姿も無く、迷宮に捕まったと言われている。
「テイン、お前はもう存在自体が邪魔なのだ。これも無駄になったな......」
俺は迷宮の入口にいる......と言っても入口はそこまで広くなく高さ二メートル、横幅一メートルだ。
父は今日俺にくれたクリスタルを俺に向かって投げた。
キャッチしてポケットに入れる。
迷宮の入口の前に俺が立ち、それを囲むように両親【だった】奴らがいる。
どういう訳かリリィとニッタも連れてきている。
「お母さん!!お兄ちゃんだよ!?なんでそんな事するの!?」
「いい、リリィ、ニッタ、あれはもう家族じゃないの」
「そ、そんかこ「わかりました母様」」
リリィの言葉を遮るようにさっきからニヤついてるニッタが口を挟んだ。
「母様、父上、あの粗大ゴミの処分は僕に任せてください」
「よし、ニッタ、殺れ。次期当主はお前にする事が決定したのだからな」
俺は決めた。
この憧れ【だった】父を殺す。
この大好き【だった】母を殺す。
そして......
「お兄ちゃん......ごめん......ごめん」
俺のために泣いてくれた妹に何もしてあげられない兄としての俺を殺す。
その夜、俺は帰還不可能の迷宮に自ら足を進めた。
必ず帰り復讐する事を誓いながら。
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