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第二章

神託

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◆◇◆◇◆地上・還らずの迷宮前◆◇◆◇◆

「......太陽か......四年前に見たのが最後だっけか......ん?誰か近付いてるな......」

俺はスキルで何かが来てるのを感じると近くの草むらに隠れる。
ちなみに今のステータスはこんなもんだ。

【所有者・テイン】
【種族・人族】
【個体Lv.999】
【属性・無】

【スキル(もう覚えるスキルがありません)】
【錬金術Lv.10】
【強化魔法Lv.10】
【鑑定Lv.10】
【薬術Lv.10】
【鍛冶術Lv.10】
【加減術Lv.10】
【転移魔法Lv.10】
【無属性魔法Lv.10】
【破壊魔術Lv.10】
【完全記憶能力】
【空間魔術Lv.10】

【身体能力】
【攻撃99999+5060】
【守備99999+2360】
【魔力99999+4500】
【魔法守備99999+2410】

【加護(貴方にしかこの項目は読めません)】
【努力の加護】
【会得スキル詳細】
【剣術Lv.10】
【体力Lv.10】
【筋力Lv.10】
【知識Lv.10】
【演算Lv.10】
【物理耐性Lv.10】
【精神力Lv.10】
【集中力Lv.10】
【状態異常耐性Lv.10】
【生肉耐性Lv.10】
【魔術耐性Lv.10】
【体術Lv.10】
【古代魔術Lv.10】
【古代知識Lv.10】
【夜目Lv.10】

【迷宮主の加護】
【迷宮管理Lv.1】


草むらに隠れていると兵士が十数人と一人貴族のような身なりの女性が来た。
ステータスを鑑定で確認すると全員レベルは二十ぐらいだ。
指一本で全員をグチャグチャにしてサッカーボールの大きさにする事も可能だ。

何かを探している様子だった。
何を探してるんだろう?しばらくすると兵士の一人が女性に何かを話している。
その話を聞いた女性が怒鳴り散らしている。

「そんな訳ないでしょう!!この近くにいるのよ!!情報ですわよ!!」

神託?神託って王家の秘宝って言われてるアイテムの事か?
たしか効果は神の声を聞くって噂だったが......
じゃあこの女性は王家の人間?
ってかよく見ると結構性格ゴミそうだな。
金髪を高そうなゴムでまとめているが、目はキツネみたいで傲慢な振る舞い。
さっきから兵士を横に並ばせてビンタしている。
ムカつくやつに嫌がらせをしてくるタイプだな。
正直兵士もコイツの下で働くのも嫌なのだろう。
イラつきを抑えてる顔がそれを物語っている。

でも、ホントに何を探してるんだろう?

「この近くに迷宮攻略者がいるのよ!!早くお探しなさい!!」

あ、俺を探してたのかこいつら。

とりあえず、無属性魔法で兵士だけに聞いてみるか......
無属性魔法って魔力を操るだけで特に使えないんだが、それも使いようだ。
魔力で生物は動いていると言っても間違っていない。
人の血液の中に魔力は流れているのだ。
血液はもちろん脳も通る。
つまり、魔力に文字を乗せて相手に送れば脳でキャッチして感じることが出来る。
簡単に言えば手紙だな。
一番話が分かりそうなベテランおっさんの兵士に飛ばすか。

『そこのお前、話がある』

俺が話しかけるとおっさん兵士はびっくりして、剣に手を添える。
まぁ、誰もいないのに話しかけるとそうなるよな。

「そなた、どうした?何かいたか?」

貴族の女もその様子を不思議に思い、話しかけた。

『落ち着け、俺はお前に危害は加えない。な』

おっさん兵士は自分の置かれている状況がようやく理解出来たらしく貴族の女に「いえ、気のせいだったようです」と言ってその場を離れた。

『まずは話をしよう、一人でその辺を探しますとでも言ってこれから指定する場所に来てくれ、俺とそこで対面しよう。ちなみに殺す気はないと言っても理解しないと思い言っておく。殺さない』

最後の言葉には2つ意味がある。
一つは単純に殺さないという事。
もう一つは、複数人でも俺は殺せるという意味だ。
周りにもう集団の人間がいないみたいだし、応援も要請出来ない。
つまりおっさん兵士は俺の言葉を信じて言う通りにするしかないと言う事。

「もしかしたら少し離れているのかもしれません。少し向こうの方を散策してきます」

おっさん兵士も意味が分かったらしく、言うとおりにする。
俺は指定する場所をテキトーに決めて、指示を出す。
ちゃんと俺の言う通りに動いてくれた。
結構教えこまれてるのかな?

そして、他の兵士が見えないぐらいまで離れたので俺が登場する。

「さぁ!!来たぞ!!出てこい!!」

「あいよ」

俺は木の影から姿を見せる。
するとおっさん兵士は剣の柄を握り、いつでも戦えるよう準備していた。

「大丈夫だ、危害は加えない。ただ聞きたい事があってな」

「......その前にお前は迷宮攻略者か?」

おっさん兵士はビクビクしているが、声は強気だ。
舐められたらすぐに丸め込まれる事を知ってるようだ。

「あぁ、さっきドラゴンを倒して終わらせた。」

「......やはりな......」

「あれ?あんま驚かねぇな?知ってたのか?」

「知らなくてもわかる......相当の修羅場を乗り越えてきた奴の目をしてるからな......」

おっさん兵士は額に汗を垂らしながら俺の目をまっすぐ見ている。

「そりゃ嬉しい褒め言葉だね。それじゃこっちから質問するぜ、なんで貴族の女が俺を探してる?しかもその女は多分王家の人間だろ?」

「それはな......国王様が国の全員に言ったんだよ【迷宮攻略者と結婚した者には自分の財産の三分の一を渡す】ってな」

「......は?」

それからおっさん兵士は色々教えてくれた。

事の発端は一年前に神託が来たこと。
神託は国に影響を与えるほどの情報を予言してくれる。
その予言は絶対だ。
そして、今回の神託にはこう記されていたらしい。
【還らずの迷宮を攻略したものが現れる。
その者はこの世界で最強の存在と言える】
その後に現れる時間が神託で予言された、その予言された時間に現れたのが......

「俺か......」

「世界最強の存在を国に入れたくて、各国はお前さんに色仕掛けをさせる女を探しているんだ。」

「なるほどな......」

どうするべきか......俺は自由がいいし......
何よりもあの四年前に俺を捨てたゴミに復讐したいし......

「なぁおっさんよ、ダーク家ってどうしてる?」

「ダーク......?あぁ、あの大貴族ね!!そうだなぁ......ダーク家はお前さんを取り込もうと他の貴族より必死になってるな......二人実の子供がいて、お前さんを落とすために一人養子で女の子をとったらしい」

養子とるとか......
どんだけ必死なんだよ......

「とりあえず、四年振りに外に出たんだから俺は自由がいいんだけどな......」

「そうか......とりあえず自由は権利だから止めねぇが、その髪と髭面はどうすんだ?」

自由は権利だっていい事言うなこのおっさん。
しかしこの髪はホントにどうしよう......
髭も伸びてるし......

「道具さえあれば俺が出来るんだけどな.....」

「え?おっさん髪切れんの?」

「道具があればな、俺は家が散髪屋で若い頃は良く先輩兵士の髪を整えてお金を貯めたんだ......」

おっさんの目が遠い空の方を見ている......
多分このまま行ったら自分の世界に突入するから止めるか.....

「おっさん、これプレゼントだ。」.

俺は魔物の皮で裁縫してる時に良く使っていた銀鉱石から作ったハサミを渡した。
切れ味は長い間使っていたが、あまり落ちていない。
おっさん腰にかけてる剣よりは切れるはずだ。

「こいつぁすげぇ......メチャクチャレアアイテムじゃねぇか......いいのかい?」

レアアイテムって言ってもレア度4だけどな。

「その代わり、髪だけでいいからカッコよくしてくれ」

「髭はいいのか?」

「あぁ、髭はこの薬剤を塗れば消えるからな」

俺は収納石の指輪から薬剤を出して塗る。
これは簡単に言えば薬術で作った脱毛剤だ。
使えば顎の皮膚が軽く溶けるが、自然治癒ですぐに戻る。

俺は髭を薬剤で溶かし、水で洗う。

「じゃ、あとはよろしく俺はこの椅子に座ってるから。」

さらに収納石の指輪から豪華な椅子を取り出す。
これはなんか地下九十層のボスが座ってたやつだ。

「お、おぅ......」

おっさんはアイテムの質を見て少し引いていた。

◆◇◆◇◆三十分後◆◇◆◇◆

「うぃ、出来たぞ」

「ん?終わった?」

俺は途中から寝ていたが起こされた。
再び収納石から鏡を出す。
この鏡は写された人のステータスみるものなのだが、ただの鏡としても使える。

鏡をみるとそこには......

「い、イケメンがいる......だと!?」

かなりカッコイイ俺がいた。

「ナルシストか?」

「気のせいだ」

「そうか」

そして、俺は四年間溜めていた髪をカット出来ました。
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