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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編
第97話 宝箱
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突き当りの壁際に宝箱が出現した。ゴブリンは慎重に宝箱に指をかける。
「わ、罠とか大丈夫かな?」
「わ、罠! 皆危険だから離れて!」
森下が慌てて子どもたちを宝箱から遠ざけようとした。子どもたちの担任としては当然の行動とも言えただろう。
「でも、ゴブくん危険なんじゃ」
「ゴブ~」
心配そうに口にする紅葉にゴブリンが任せてと手を振ってアピールした。そして宝箱をそっと開けていく。どうやら罠は仕掛けられていなかったようだ。
「何もなかったようだね~」
「よかった~」
「そ、そうね。ところでさっきのゴブくんって?」
「ゴブリンよりも呼びやすいかなと思って。どうかな?」
「ゴブ~♪」
ゴブリンは嬉しそうである。どうやらゴブと呼ばれるのが気に入ったようだ。
「中身はなんだったの?」
健太が聞くとゴブが中身を取り出して皆に見せた。それは腕に装着するタイプの武器のようだった。
「これってスリングショットかな?」
「スリング?」
「パチンコとも呼ばれてる投擲武器だよ。このゴムみたいな部分を利用して石とかを撃つんだ」
「健太くん詳しいのね」
森下は随分と感心しているようだった。一方でゴブはスリングショットをマジマジと確認した後、腕に装着してみせた。宝箱の中には腰に下げられる程度の革袋も入っており中には金属の球が入っていた。
「この球体をつかって撃てってことなのかも」
「ゴブゥ~」
袋の中には鉄球が五個入っていた。その内の一つを使い壁に向かってゴブが試し打ちする。ドゴッ! という音がして壁に鉄球がめり込んだ。中々の威力である。
「これなら他のゴブリンとも戦えそうだね」
「ゴブ~」
ゴブは壁にめり込んだ鉄球を外し腰に吊り下げた革袋に鉄球をしまった。
「これ貴方が使うの? だ、大丈夫?」
「上手に使ってたと思うしゴブくんが使うのが一番かも」
「うん。私もそう思うよ」
「ゴブくん頼りになるね」
「ゴブ~♪」
桜にもナデナデされてゴブはとても嬉しそうである。その後ゴブがスリングショットを構えて見せると他の子どもたちからも歓声が上がった。
再び洞窟を進み出す一行。T字路にあたり今度は左に曲がった。暫く進むとゴブリンの声が聞こえてきた。ゴブは身を隠しながらゴブリンが背後を見せている隙を見てスリングショットで鉄球を撃ち、ゴブリンを撃退した。
「やったね!」
「凄い。これなら無事に逃げ出せるかも」
ゴブの活躍を見て森下もゴブを認め始めたようだ。希望の光も見えてきたが、その時背後からゴブリンが迫り紅葉に襲いかかった。
どうやら一匹残っていたようである。
「ギャッギャッ!」
「キャァアアァ!」
「紅葉ちゃん!」
完全に油断していたと言えるだろう。森下が叫び紅葉も悲鳴を上げた。そして――
「キャ~!」
「グギャッ!?」
ゴブリンは飛びかかった勢いのまま紅葉に投げられ地面に背中を打ち付けた。更に悲鳴をあげながらも紅葉が絞め技を決め、ゴブリンは口から泡を吹いて気絶した。
「ぱ、パパに護身術教わっててよかったぁ~」
「紅葉ちゃん凄い!」
「うん! 投げ技からの流れるようなキレイな絞め技! こんなのテレビでも中々見れないよ!」
「ゴブ~♪」
ゴブリンを返り討ちにし安堵する紅葉。そして皆からも褒められ照れくさそうに後頭部をさする紅葉なのだった――
「わ、罠とか大丈夫かな?」
「わ、罠! 皆危険だから離れて!」
森下が慌てて子どもたちを宝箱から遠ざけようとした。子どもたちの担任としては当然の行動とも言えただろう。
「でも、ゴブくん危険なんじゃ」
「ゴブ~」
心配そうに口にする紅葉にゴブリンが任せてと手を振ってアピールした。そして宝箱をそっと開けていく。どうやら罠は仕掛けられていなかったようだ。
「何もなかったようだね~」
「よかった~」
「そ、そうね。ところでさっきのゴブくんって?」
「ゴブリンよりも呼びやすいかなと思って。どうかな?」
「ゴブ~♪」
ゴブリンは嬉しそうである。どうやらゴブと呼ばれるのが気に入ったようだ。
「中身はなんだったの?」
健太が聞くとゴブが中身を取り出して皆に見せた。それは腕に装着するタイプの武器のようだった。
「これってスリングショットかな?」
「スリング?」
「パチンコとも呼ばれてる投擲武器だよ。このゴムみたいな部分を利用して石とかを撃つんだ」
「健太くん詳しいのね」
森下は随分と感心しているようだった。一方でゴブはスリングショットをマジマジと確認した後、腕に装着してみせた。宝箱の中には腰に下げられる程度の革袋も入っており中には金属の球が入っていた。
「この球体をつかって撃てってことなのかも」
「ゴブゥ~」
袋の中には鉄球が五個入っていた。その内の一つを使い壁に向かってゴブが試し打ちする。ドゴッ! という音がして壁に鉄球がめり込んだ。中々の威力である。
「これなら他のゴブリンとも戦えそうだね」
「ゴブ~」
ゴブは壁にめり込んだ鉄球を外し腰に吊り下げた革袋に鉄球をしまった。
「これ貴方が使うの? だ、大丈夫?」
「上手に使ってたと思うしゴブくんが使うのが一番かも」
「うん。私もそう思うよ」
「ゴブくん頼りになるね」
「ゴブ~♪」
桜にもナデナデされてゴブはとても嬉しそうである。その後ゴブがスリングショットを構えて見せると他の子どもたちからも歓声が上がった。
再び洞窟を進み出す一行。T字路にあたり今度は左に曲がった。暫く進むとゴブリンの声が聞こえてきた。ゴブは身を隠しながらゴブリンが背後を見せている隙を見てスリングショットで鉄球を撃ち、ゴブリンを撃退した。
「やったね!」
「凄い。これなら無事に逃げ出せるかも」
ゴブの活躍を見て森下もゴブを認め始めたようだ。希望の光も見えてきたが、その時背後からゴブリンが迫り紅葉に襲いかかった。
どうやら一匹残っていたようである。
「ギャッギャッ!」
「キャァアアァ!」
「紅葉ちゃん!」
完全に油断していたと言えるだろう。森下が叫び紅葉も悲鳴を上げた。そして――
「キャ~!」
「グギャッ!?」
ゴブリンは飛びかかった勢いのまま紅葉に投げられ地面に背中を打ち付けた。更に悲鳴をあげながらも紅葉が絞め技を決め、ゴブリンは口から泡を吹いて気絶した。
「ぱ、パパに護身術教わっててよかったぁ~」
「紅葉ちゃん凄い!」
「うん! 投げ技からの流れるようなキレイな絞め技! こんなのテレビでも中々見れないよ!」
「ゴブ~♪」
ゴブリンを返り討ちにし安堵する紅葉。そして皆からも褒められ照れくさそうに後頭部をさする紅葉なのだった――
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