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「聖堂教会教皇の名にをいてベラムラル王国第一王子クズリオと公爵家令嬢アシュリーとの婚約破棄をする」
舞踏会場で突然、神官のジュアル様が声高々に宣言した。私はその言葉に驚き、持っていたワイングラスを落とした。
「そんな……私が何をしたと言うのです」
「公爵家令嬢アシュリーよ、そなたは聖堂教会聖女イズルハ様に対して数々の嫌がらせをしたな? 証拠は上がっておるぞ」
黒髪の麗人イズルハ様は平民でありながら聖女に選ばれ王立学園に通うお方、平民出と言うことで他の貴族から貴族の常識を知らない彼女を何度か叱責する貴族がいたのは確かだけど誰も聖女様をいじめるようなことはしていない。無論私もだ。
「見苦しいですぞアシュリー! 公爵家令嬢ならば素直に罪を認めなさい」
神官が私を叱責するが、やっていないものはやっていない。家を継げない女の身とはいえ私の中の貴族の血がやってもいない罪を認めることに否と叫ぶ。
「仕方ありませぬな。ならば公爵家令嬢アシュリー、そなたを国外追放とする」
「そんな……」
「明後日の刑執行まで自宅謹慎とする警備僧兵よアシュリーを引っ立てろ!」
「「ハッ!」」
私は警備僧兵に引きずられながらクズリオ王子に助けを求めるように見るが、私を気にも止めず第一王子と神官が笑いながら話しをしている”予定調和”そう言うと二人は私に侮蔑の視線を向ける。
まるでいらなくなったオモチャを見るような目で……。
自室で泣き崩れる私にお父様が謝る。
「許せ、すべては予定調和なのだ」
神官と王子が話していた言葉”予定調和”と言うのをお父様の口から出たことに私は驚く。
「なんですか予定調和とは」
「聖堂教会にある予言書に書かれていたのだ。お主とクズリオ王子の婚約破棄がな。だから私たちはそれに従わなければいけないのだ」
「お父様は知っていらしたのですか?」
お父様は黙ってうなずく。
酷い、それなら私にも教えてくれていたら、こんなに傷つかなくてすんだのに。
お父様は私の背中を一度叩くと部屋を出ていった。
許せない、何が予言書よ、人の運命を狂わせる予言書などあってたまるものですか!
私は警備僧兵の隙を掻い潜り屋敷を出た。昔からおてんばで閉じ込められては脱出してた技術が生きた。
近くに住む元執事のセバスの家に訪れ私は馬とローブを借りる。セバスは私が幼少の頃から実の子供のように接してくれていて今回の婚約破棄の話をすると私以上に怒ってくれた。
聖堂教会本堂の手前で馬を降り教会へと歩いて向かう。門の前には二人の警備僧兵が立っていたが私は何食わぬ顔でそのまま進んだ。
「すでに礼拝時間は過ぎているぞ」
当然のごとく警備僧兵に止められるが私は袖から金貨を出し二人に渡すと易々と通してくれた。
聖堂教会は腐敗しているのだ。
予言書。
何度も、この教会には来ている。予言書があるとすればあそこだ大聖堂の神の十字架の下にある赤い本。あれしかない。
大聖堂へ向かうと明かりは点いてはいるが警備僧兵は一人もいなかった。
まさかここまで入ってこれるものなど、いないと思っているのだろう。
念のために柱の影に隠れながら歩いていると、誰かが話しながら大聖堂へ入ってきた。その場で息を潜めて縮こまり隠れる。
かくれんぼをしたら日が暮れるまで見つからないと言われた私の特技がまた生きたわね。
「ははは、アシュリー嬢の顔といったらなかったですな」
この声には聞き覚えがある先刻、私と王子の婚約破棄を宣言したジュアル神官だ。
「予定調和じゃなければ、誰があんなおてんばと婚約するものか」
この声は、私の婚約者だったクズリオ王子だ。王子は最初から私になんの感情も持っていないことを知り愕然とする。
あの思いやりも、優しさも、ただの演技だったのだ。
「それではアシュリー嬢を追放後にクズリオ王子と聖女イズルハ様の婚約を発表いたしますのでよろしくお願いします」
「イズルハが我妻になるのが待ち遠しいです」
「ははは、あのお方は美人ですからな。予言がなければ私の愛人にしたいくらいですよ」
神官は結婚できない。だが大多数の神官は愛人を持っている、こいつもそうなのでしょうね、生臭坊主め。
二人が大聖堂を出るとまた静寂が戻る。今度こそ誰もいない。
私は赤い本の前に立ち本を睨み付ける。こんなものがなければ。こんなものがあるから人が不幸になるのよ。
懐から種火を出し本に火をつけようとしたとき。
写本と言う文字が見えた。
この予言書は写本なのだ。つまり本物は他にある。これを燃やしても予言は実行される。
運命は変えられないの?
……燃やせないならここに書かれていることを変えればいいじゃない!
この予言を私が変えればいいのよ!
こんなくだらない予言で人が傷つくなら、私はこの予言を変えて人を幸せにするわ。
私は台座におかれた本を手にとると心に。貴族の血に誓う。
見てなさいよクズリオ王子、ジュアル神官!
私は運命を変えるわ!
舞踏会場で突然、神官のジュアル様が声高々に宣言した。私はその言葉に驚き、持っていたワイングラスを落とした。
「そんな……私が何をしたと言うのです」
「公爵家令嬢アシュリーよ、そなたは聖堂教会聖女イズルハ様に対して数々の嫌がらせをしたな? 証拠は上がっておるぞ」
黒髪の麗人イズルハ様は平民でありながら聖女に選ばれ王立学園に通うお方、平民出と言うことで他の貴族から貴族の常識を知らない彼女を何度か叱責する貴族がいたのは確かだけど誰も聖女様をいじめるようなことはしていない。無論私もだ。
「見苦しいですぞアシュリー! 公爵家令嬢ならば素直に罪を認めなさい」
神官が私を叱責するが、やっていないものはやっていない。家を継げない女の身とはいえ私の中の貴族の血がやってもいない罪を認めることに否と叫ぶ。
「仕方ありませぬな。ならば公爵家令嬢アシュリー、そなたを国外追放とする」
「そんな……」
「明後日の刑執行まで自宅謹慎とする警備僧兵よアシュリーを引っ立てろ!」
「「ハッ!」」
私は警備僧兵に引きずられながらクズリオ王子に助けを求めるように見るが、私を気にも止めず第一王子と神官が笑いながら話しをしている”予定調和”そう言うと二人は私に侮蔑の視線を向ける。
まるでいらなくなったオモチャを見るような目で……。
自室で泣き崩れる私にお父様が謝る。
「許せ、すべては予定調和なのだ」
神官と王子が話していた言葉”予定調和”と言うのをお父様の口から出たことに私は驚く。
「なんですか予定調和とは」
「聖堂教会にある予言書に書かれていたのだ。お主とクズリオ王子の婚約破棄がな。だから私たちはそれに従わなければいけないのだ」
「お父様は知っていらしたのですか?」
お父様は黙ってうなずく。
酷い、それなら私にも教えてくれていたら、こんなに傷つかなくてすんだのに。
お父様は私の背中を一度叩くと部屋を出ていった。
許せない、何が予言書よ、人の運命を狂わせる予言書などあってたまるものですか!
私は警備僧兵の隙を掻い潜り屋敷を出た。昔からおてんばで閉じ込められては脱出してた技術が生きた。
近くに住む元執事のセバスの家に訪れ私は馬とローブを借りる。セバスは私が幼少の頃から実の子供のように接してくれていて今回の婚約破棄の話をすると私以上に怒ってくれた。
聖堂教会本堂の手前で馬を降り教会へと歩いて向かう。門の前には二人の警備僧兵が立っていたが私は何食わぬ顔でそのまま進んだ。
「すでに礼拝時間は過ぎているぞ」
当然のごとく警備僧兵に止められるが私は袖から金貨を出し二人に渡すと易々と通してくれた。
聖堂教会は腐敗しているのだ。
予言書。
何度も、この教会には来ている。予言書があるとすればあそこだ大聖堂の神の十字架の下にある赤い本。あれしかない。
大聖堂へ向かうと明かりは点いてはいるが警備僧兵は一人もいなかった。
まさかここまで入ってこれるものなど、いないと思っているのだろう。
念のために柱の影に隠れながら歩いていると、誰かが話しながら大聖堂へ入ってきた。その場で息を潜めて縮こまり隠れる。
かくれんぼをしたら日が暮れるまで見つからないと言われた私の特技がまた生きたわね。
「ははは、アシュリー嬢の顔といったらなかったですな」
この声には聞き覚えがある先刻、私と王子の婚約破棄を宣言したジュアル神官だ。
「予定調和じゃなければ、誰があんなおてんばと婚約するものか」
この声は、私の婚約者だったクズリオ王子だ。王子は最初から私になんの感情も持っていないことを知り愕然とする。
あの思いやりも、優しさも、ただの演技だったのだ。
「それではアシュリー嬢を追放後にクズリオ王子と聖女イズルハ様の婚約を発表いたしますのでよろしくお願いします」
「イズルハが我妻になるのが待ち遠しいです」
「ははは、あのお方は美人ですからな。予言がなければ私の愛人にしたいくらいですよ」
神官は結婚できない。だが大多数の神官は愛人を持っている、こいつもそうなのでしょうね、生臭坊主め。
二人が大聖堂を出るとまた静寂が戻る。今度こそ誰もいない。
私は赤い本の前に立ち本を睨み付ける。こんなものがなければ。こんなものがあるから人が不幸になるのよ。
懐から種火を出し本に火をつけようとしたとき。
写本と言う文字が見えた。
この予言書は写本なのだ。つまり本物は他にある。これを燃やしても予言は実行される。
運命は変えられないの?
……燃やせないならここに書かれていることを変えればいいじゃない!
この予言を私が変えればいいのよ!
こんなくだらない予言で人が傷つくなら、私はこの予言を変えて人を幸せにするわ。
私は台座におかれた本を手にとると心に。貴族の血に誓う。
見てなさいよクズリオ王子、ジュアル神官!
私は運命を変えるわ!
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