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夢を見ているのは、自分のほうかもしれない。
「よかった……」
云いながら、リカドをひしと抱きしめる。彼を、自分のものに出来るのだと思うともう昇天しそうだ。彼の、黒い髪も、赤い目も、無表情なその顔も、無骨な体も、心もすべてリチャードのものになるのかと思うと興奮する。
もうじぶんは汚れきっている、そうリチャードは改めて思う。
リチャードのなかには、これからどうすればいいのだろうという思いがわく。
ふつふつとわく、熱いものはなんなんだろう。恋人になったけれど、片思いだと思っていた時間が長すぎて、リチャードは自分の感情が読み取れなかった。
「…これから、どうすればいいのでしょう」
リカドが、リチャードと同じようなことを考えていたようだった。
ふっと、思わず笑ってしまう。なんだか、同じコトを思っているということが面白かった。
「えっ…と、とりあえず服着るかな」
「……」
自分が、上半身裸だったことを思い出し、リチャードは自分の服を探すことにした。ずっと、裸を晒していたと思うとなんだか恥かしい。顔に熱を感じながら、それを隠すように後ろを向く。シャツは、先ほどリカドが放り投げたのでベットの下に落ちていた。
それを拾うとしたとき、背中に大きな手の感触がした。
ビクリと体がはねる。
「リチャード…さま。私は、わたしは…貴方の犬…です」
心臓の音が、激しくなる。彼の手は、自分の手と違い男らしいごつごつした感触がした。
息を荒くして、リカドはリチャードの首筋に唇をあわせる。突然の感触に、リチャードは身体をふるわせた。
「なに、を?」
云っているんだ、と云いたかったが、彼の手の激しさに口が閉じられてしまう。
「だから、舐めたいです…っ、貴方の、からだ…ッ」
ぶるりと、震わせてリカドは懇願した。リチャードは、何もいえなかった。彼の、欲情をした表情を見て、歓喜かわからない感情がせりあがって頭を真っ白にさせた。完全に、普通の選択は出来なかった。
「リカド、の、好きに…」
「あぁ、リチャードさま…っ!」
そういうと、リカドは強引にリチャードをベットに押し倒した。そして、ぎらついた目でリチャードの身体を凝視した。まるで、目で犯されている気分になり、ぎゅうっと目をつぶる。
リカドは、何も出来ないで居るリチャードを好きなふうにしていった。
顔や身体をぺろぺろと舐められて、本当にリカドは犬のようだった。パブロフの犬、という単語が頭の中でぼんやりと乱舞した。
熱い舌が、這うたびにリチャードは感覚を敏感にさせた。
「あ、ぅ…っ、やめ…」
いやいやと首を振っても、やめてくれそうにない。リチャードの身体はビクビクと跳ねて、下着の中は震えていた。限界はもう近かった。
彼のゴツゴツとした手が、肌を這うたび頭がどこかおかしくなる感覚がした。好きな人に触れられている、と思うだけで頭の螺子(ねじ)がはずれそうになる。もうはずれてしまったのかもしれない。
醜態を晒している、そう思うだけで頭が霞んでいく。
「うぅ、あ、あぁっ」
一層リチャードが声を上げたのは、リカドの手がズボンの秘部に触れたからだった。ビクビクと馬鹿みたいに、身体を震わせて、敏感に反応してしまう自分の身体がなんだか恥かしかった。
「びしょびしょになってしまいましたね…。あとで洗わないといけませんね」
「……ッ」
リカドに云われた言葉に顔を真っ赤にさせる。
ズボンはたしかに、先ほどの失禁で濡れているのは事実だったが、言われると恥かしい。真っ赤になったリチャードを見て、リカドは囁く。
「だいじょうぶです。皆さんには内緒にしますから」
「あたり、まえ…だ!」
ついむきになって、大声で叫んでしまった。目を吊り上げるぐらいまで顔を険しくしているのに気づいて、リチャードはすぐに平常を装うとする。リカドはそれを見て、少年かのように悪戯っぽく微笑んだ。
「気持ち悪いでしょう? 脱ぎましょう」
「…ッ、さ、触らなくていい。私が自分でやるから…」
手が、ベルトに向かっているのを見て、慌てて声を出す。
リカドの笑みは、先ほどの子供のふりをしていたリカドのままだった。あのとき、リチャードから好きだといわれたときから、記憶を取り戻したということは、彼がリチャードに服を脱がせようとしたり、追い込んでいくすべてが彼の本当の姿だということだ。
そのことに、気づきリチャードは血液が顔に集まるのをはっきりと感じる。
乳首が気持ちいいのかと迫ったり、男の大事なところを触って感じているのを触ってその姿を見ていたり――…あれはすべてリカドの素面の行動だったというわけだ。
わあっと、身体中が熱くなるのを感じた。
あの無表情で、忠実なリカドがそんなことを考えていたと思うと、頭がくらくらしてくる。
リチャードが、ベルトに手をかけて、とまっているのを不思議そうにリカド見ている。
「…リチャード様?」
彼の声で、はっとするが、リカドの先ほどの迫ってくる子供みたいなリカドを思い出し叫びたくなった。
「…だ、大丈夫だ。今脱ぐから」
リカドには、自分の汚くなったズボンを触らせたくないので、すばやく脱ぐ。ズボンを脱いでいるとき、リカドの視線をいっぱい貰って下着の中はもう限界寸前なところまできてしまっていた。
自分が今、下着しかつけてない状況で羞恥心しか沸かない。
父や弟に見られたら、たまったもんじゃないなと思う。お漏らしなんてところ、従者に見られるなんて恥さらしだ!そう激昂する父親の顔がありありと想像できた。
汚くなったズボンを追いやり、おずおずとリカドと目を合わせた。
リカドは、いつも通りの赤い目を欲情の色に染めて食われるんじゃないかと思ってしまうほど、熱い視線をリチャードに送っている。自分の心臓の音が、耳障りに聞こえるほど、リチャードの胸は激しく脈を打っていた。
「お前も…脱げよ」
「はい」
その場しのぎでいったのに、リカドは深々と頭をさげてその言葉通りにズボンを脱いでいった。間もあけなかった。
彼も上半身は裸だったので、リチャードと同じような格好になっていった。
リチャードは、その様子を食い入るように見てしまっていた。はっきりいって、リチャードの下着姿なんて見たことがないのである。従者は着替えているところをご主人さまに見られてはいけない、という暗黙の了解があるらしいとどこかで聞いた。
彼もすばやく下着姿になった。いやようなしに、下着に目がいってしまう。
リカドのそこも、大きくなっているのをはっきりと見た。わあっと、歓喜の熱があがる。お前はなんて邪(よこしま)だといわれてもしょうがないと思うけれども、これはもう男のサガというやつなのでしょうがない。
じっと見ていると、ふと抱きしめられた。心臓の音がドクンと跳ねる。
「触っても…いいですか?」
リカドの心臓も、ドクドクと早まっている。彼もまた緊張しているのだろう。
「あぁ…」
そんな彼を無下にできるわけがない。リチャードは身体を彼に明け渡すことにした。
優しく、羽がさわるような力で触られて、びくびくと体ははねる。
先ほどのままなので、下着は濡れてしまっている。それを触られるは、なんだか彼に悪いような気がした。
「汚い…から、そんな風に触る、な…ぁっ」
「いいえ。汚くなんてありません、貴方に汚いところなんてありません」
リチャードはまるで自分が女神でもなったのかというほどに褒められて、困惑した。リカドの顔を見ても、ホントにそう思っているといったような表情だった。そういいながらも、彼はやさしく触ってくる。前の、強く揺さぶられたときはいったい何なんだろうという疑問を抱くほどだった。
やさしく触れられて、焦らされているような錯覚がする。
先ほどまでも敏感だったそこは、あっさりと陥落した。
「ぁあっ、うぅ…っ、んん…」
甘い声を出しながら、リチャードは精を吐き出す。身体をそらして、快楽の居場所をさまよった。頭のなかで、白い火花が散った。
それと、同様にリカドも小さく呻いて小さく身体をふるわせる。
「…ぅ…」
ビクビクと、彼も身体をくねらせる。その扇情的な姿は、理性なんて吹っ飛んでしまうほどだった。
「あっ…、駄目です。貴方は、触れては…っ」
リチャードはガマンできずに、リカドの下着の上から性器に触れた。彼のそれは、小刻みに震えていた。すぐに、下着が濡れた感触がした。
「……イッたのか」
「……」
リカドは、申し訳なさそうに頭を俯かせる。触れているところは、また硬さを取り戻していた。
静かにリチャードは、歓喜の波が迫ってくる。彼は恥かしいと申し訳ないと思っているらしいが、リチャードにとってこんな嬉しいことはなかった。好きな人が、自分といて、何もほとんどしていないのに達してしまったとこが。
こんなに、自分冥利につきることはないだろう。
心の中で、喜びに包まれていると、リカドは申し訳なさそうに、恥かしそうに言った。
「申し訳ございません。勝手に…」
「いや、いいんだ。ガマンしてたんだろう」
そういったら無言という肯定をされて、顔が勝手にニヤついた。貴族として、そもそも男として最低なことをしていると分かるがしょうがない。
「リチャードさま…」
とろん、とした目をされて、思わずかたまってしまった。
可愛い――…!
そう叫びたいのを、ぐっとこらえて、彼の顔を凝視してしまう。赤く恥かしそうにしている表情、潤んだ赤い綺麗な瞳――……脳内に直接クルものがあった。
ぼうっとしていると、リチャードが気づかぬ間にリカドの身体は動いていた。
「…リチャード様、気持ち悪いでしょう? 脱ぎましょう…」
「…あ、ぁ!」
何の前触れもなく下着のなかに指を入れられ、少しだけ直にリチャードのあそこに触れられ大げさなほどに身体が揺れた。声も、一層に高くなってしまい、恥かしかった。
「私だけ、全裸なのは…恥かしいです……」
「……んん」
リカドの云うことも、最もだ。だが、リカドに直に触れてしまわれたら一瞬で果ててしまいそうで怖い。
どくんどくんと心臓が、早く打ち緊張しながら、ゆっくりと下着を脱がされていく。いっそのこと、はやく脱いでいったほうがいいんじゃないかと思った。リカドの視線がそこに向かれているのが分かり、羞恥心で頭がおかしくなりそうだった。
そういうことになったのは、これが初めてではないが、好きな相手ではなかったのでどうでもよかった。
なのに、リカドとなると緊張感が孕み、相手がどう思っているのか気になってしまう。少女になったような気分で、全裸にされた。
「綺麗です…」
うっとりとした声音で云われ、頭が沸騰しそうだった。
「綺麗なわけない、だろ…」
恥かしすぎて、目をつぶってしまう。今自分がどんな格好で、彼に見られていると考えて、この場で気絶でもしてしまいそうだ。
強く、はねっかえりな言葉を返してしまって心の中で反省する。
「綺麗です、ぁあ…、美しい…です」
その褒められ方だと、まるで自分が芸術品でもなった気分だ。
「やめてくれ、そんな風に云われると…恥かしいから」
「そうですか。私はそう想います」
「そうか」
ここでもリカドの真面目ぶりが発揮されている。なんだか緊張もどこかへ飛んでしまった。
「よかった……」
云いながら、リカドをひしと抱きしめる。彼を、自分のものに出来るのだと思うともう昇天しそうだ。彼の、黒い髪も、赤い目も、無表情なその顔も、無骨な体も、心もすべてリチャードのものになるのかと思うと興奮する。
もうじぶんは汚れきっている、そうリチャードは改めて思う。
リチャードのなかには、これからどうすればいいのだろうという思いがわく。
ふつふつとわく、熱いものはなんなんだろう。恋人になったけれど、片思いだと思っていた時間が長すぎて、リチャードは自分の感情が読み取れなかった。
「…これから、どうすればいいのでしょう」
リカドが、リチャードと同じようなことを考えていたようだった。
ふっと、思わず笑ってしまう。なんだか、同じコトを思っているということが面白かった。
「えっ…と、とりあえず服着るかな」
「……」
自分が、上半身裸だったことを思い出し、リチャードは自分の服を探すことにした。ずっと、裸を晒していたと思うとなんだか恥かしい。顔に熱を感じながら、それを隠すように後ろを向く。シャツは、先ほどリカドが放り投げたのでベットの下に落ちていた。
それを拾うとしたとき、背中に大きな手の感触がした。
ビクリと体がはねる。
「リチャード…さま。私は、わたしは…貴方の犬…です」
心臓の音が、激しくなる。彼の手は、自分の手と違い男らしいごつごつした感触がした。
息を荒くして、リカドはリチャードの首筋に唇をあわせる。突然の感触に、リチャードは身体をふるわせた。
「なに、を?」
云っているんだ、と云いたかったが、彼の手の激しさに口が閉じられてしまう。
「だから、舐めたいです…っ、貴方の、からだ…ッ」
ぶるりと、震わせてリカドは懇願した。リチャードは、何もいえなかった。彼の、欲情をした表情を見て、歓喜かわからない感情がせりあがって頭を真っ白にさせた。完全に、普通の選択は出来なかった。
「リカド、の、好きに…」
「あぁ、リチャードさま…っ!」
そういうと、リカドは強引にリチャードをベットに押し倒した。そして、ぎらついた目でリチャードの身体を凝視した。まるで、目で犯されている気分になり、ぎゅうっと目をつぶる。
リカドは、何も出来ないで居るリチャードを好きなふうにしていった。
顔や身体をぺろぺろと舐められて、本当にリカドは犬のようだった。パブロフの犬、という単語が頭の中でぼんやりと乱舞した。
熱い舌が、這うたびにリチャードは感覚を敏感にさせた。
「あ、ぅ…っ、やめ…」
いやいやと首を振っても、やめてくれそうにない。リチャードの身体はビクビクと跳ねて、下着の中は震えていた。限界はもう近かった。
彼のゴツゴツとした手が、肌を這うたび頭がどこかおかしくなる感覚がした。好きな人に触れられている、と思うだけで頭の螺子(ねじ)がはずれそうになる。もうはずれてしまったのかもしれない。
醜態を晒している、そう思うだけで頭が霞んでいく。
「うぅ、あ、あぁっ」
一層リチャードが声を上げたのは、リカドの手がズボンの秘部に触れたからだった。ビクビクと馬鹿みたいに、身体を震わせて、敏感に反応してしまう自分の身体がなんだか恥かしかった。
「びしょびしょになってしまいましたね…。あとで洗わないといけませんね」
「……ッ」
リカドに云われた言葉に顔を真っ赤にさせる。
ズボンはたしかに、先ほどの失禁で濡れているのは事実だったが、言われると恥かしい。真っ赤になったリチャードを見て、リカドは囁く。
「だいじょうぶです。皆さんには内緒にしますから」
「あたり、まえ…だ!」
ついむきになって、大声で叫んでしまった。目を吊り上げるぐらいまで顔を険しくしているのに気づいて、リチャードはすぐに平常を装うとする。リカドはそれを見て、少年かのように悪戯っぽく微笑んだ。
「気持ち悪いでしょう? 脱ぎましょう」
「…ッ、さ、触らなくていい。私が自分でやるから…」
手が、ベルトに向かっているのを見て、慌てて声を出す。
リカドの笑みは、先ほどの子供のふりをしていたリカドのままだった。あのとき、リチャードから好きだといわれたときから、記憶を取り戻したということは、彼がリチャードに服を脱がせようとしたり、追い込んでいくすべてが彼の本当の姿だということだ。
そのことに、気づきリチャードは血液が顔に集まるのをはっきりと感じる。
乳首が気持ちいいのかと迫ったり、男の大事なところを触って感じているのを触ってその姿を見ていたり――…あれはすべてリカドの素面の行動だったというわけだ。
わあっと、身体中が熱くなるのを感じた。
あの無表情で、忠実なリカドがそんなことを考えていたと思うと、頭がくらくらしてくる。
リチャードが、ベルトに手をかけて、とまっているのを不思議そうにリカド見ている。
「…リチャード様?」
彼の声で、はっとするが、リカドの先ほどの迫ってくる子供みたいなリカドを思い出し叫びたくなった。
「…だ、大丈夫だ。今脱ぐから」
リカドには、自分の汚くなったズボンを触らせたくないので、すばやく脱ぐ。ズボンを脱いでいるとき、リカドの視線をいっぱい貰って下着の中はもう限界寸前なところまできてしまっていた。
自分が今、下着しかつけてない状況で羞恥心しか沸かない。
父や弟に見られたら、たまったもんじゃないなと思う。お漏らしなんてところ、従者に見られるなんて恥さらしだ!そう激昂する父親の顔がありありと想像できた。
汚くなったズボンを追いやり、おずおずとリカドと目を合わせた。
リカドは、いつも通りの赤い目を欲情の色に染めて食われるんじゃないかと思ってしまうほど、熱い視線をリチャードに送っている。自分の心臓の音が、耳障りに聞こえるほど、リチャードの胸は激しく脈を打っていた。
「お前も…脱げよ」
「はい」
その場しのぎでいったのに、リカドは深々と頭をさげてその言葉通りにズボンを脱いでいった。間もあけなかった。
彼も上半身は裸だったので、リチャードと同じような格好になっていった。
リチャードは、その様子を食い入るように見てしまっていた。はっきりいって、リチャードの下着姿なんて見たことがないのである。従者は着替えているところをご主人さまに見られてはいけない、という暗黙の了解があるらしいとどこかで聞いた。
彼もすばやく下着姿になった。いやようなしに、下着に目がいってしまう。
リカドのそこも、大きくなっているのをはっきりと見た。わあっと、歓喜の熱があがる。お前はなんて邪(よこしま)だといわれてもしょうがないと思うけれども、これはもう男のサガというやつなのでしょうがない。
じっと見ていると、ふと抱きしめられた。心臓の音がドクンと跳ねる。
「触っても…いいですか?」
リカドの心臓も、ドクドクと早まっている。彼もまた緊張しているのだろう。
「あぁ…」
そんな彼を無下にできるわけがない。リチャードは身体を彼に明け渡すことにした。
優しく、羽がさわるような力で触られて、びくびくと体ははねる。
先ほどのままなので、下着は濡れてしまっている。それを触られるは、なんだか彼に悪いような気がした。
「汚い…から、そんな風に触る、な…ぁっ」
「いいえ。汚くなんてありません、貴方に汚いところなんてありません」
リチャードはまるで自分が女神でもなったのかというほどに褒められて、困惑した。リカドの顔を見ても、ホントにそう思っているといったような表情だった。そういいながらも、彼はやさしく触ってくる。前の、強く揺さぶられたときはいったい何なんだろうという疑問を抱くほどだった。
やさしく触れられて、焦らされているような錯覚がする。
先ほどまでも敏感だったそこは、あっさりと陥落した。
「ぁあっ、うぅ…っ、んん…」
甘い声を出しながら、リチャードは精を吐き出す。身体をそらして、快楽の居場所をさまよった。頭のなかで、白い火花が散った。
それと、同様にリカドも小さく呻いて小さく身体をふるわせる。
「…ぅ…」
ビクビクと、彼も身体をくねらせる。その扇情的な姿は、理性なんて吹っ飛んでしまうほどだった。
「あっ…、駄目です。貴方は、触れては…っ」
リチャードはガマンできずに、リカドの下着の上から性器に触れた。彼のそれは、小刻みに震えていた。すぐに、下着が濡れた感触がした。
「……イッたのか」
「……」
リカドは、申し訳なさそうに頭を俯かせる。触れているところは、また硬さを取り戻していた。
静かにリチャードは、歓喜の波が迫ってくる。彼は恥かしいと申し訳ないと思っているらしいが、リチャードにとってこんな嬉しいことはなかった。好きな人が、自分といて、何もほとんどしていないのに達してしまったとこが。
こんなに、自分冥利につきることはないだろう。
心の中で、喜びに包まれていると、リカドは申し訳なさそうに、恥かしそうに言った。
「申し訳ございません。勝手に…」
「いや、いいんだ。ガマンしてたんだろう」
そういったら無言という肯定をされて、顔が勝手にニヤついた。貴族として、そもそも男として最低なことをしていると分かるがしょうがない。
「リチャードさま…」
とろん、とした目をされて、思わずかたまってしまった。
可愛い――…!
そう叫びたいのを、ぐっとこらえて、彼の顔を凝視してしまう。赤く恥かしそうにしている表情、潤んだ赤い綺麗な瞳――……脳内に直接クルものがあった。
ぼうっとしていると、リチャードが気づかぬ間にリカドの身体は動いていた。
「…リチャード様、気持ち悪いでしょう? 脱ぎましょう…」
「…あ、ぁ!」
何の前触れもなく下着のなかに指を入れられ、少しだけ直にリチャードのあそこに触れられ大げさなほどに身体が揺れた。声も、一層に高くなってしまい、恥かしかった。
「私だけ、全裸なのは…恥かしいです……」
「……んん」
リカドの云うことも、最もだ。だが、リカドに直に触れてしまわれたら一瞬で果ててしまいそうで怖い。
どくんどくんと心臓が、早く打ち緊張しながら、ゆっくりと下着を脱がされていく。いっそのこと、はやく脱いでいったほうがいいんじゃないかと思った。リカドの視線がそこに向かれているのが分かり、羞恥心で頭がおかしくなりそうだった。
そういうことになったのは、これが初めてではないが、好きな相手ではなかったのでどうでもよかった。
なのに、リカドとなると緊張感が孕み、相手がどう思っているのか気になってしまう。少女になったような気分で、全裸にされた。
「綺麗です…」
うっとりとした声音で云われ、頭が沸騰しそうだった。
「綺麗なわけない、だろ…」
恥かしすぎて、目をつぶってしまう。今自分がどんな格好で、彼に見られていると考えて、この場で気絶でもしてしまいそうだ。
強く、はねっかえりな言葉を返してしまって心の中で反省する。
「綺麗です、ぁあ…、美しい…です」
その褒められ方だと、まるで自分が芸術品でもなった気分だ。
「やめてくれ、そんな風に云われると…恥かしいから」
「そうですか。私はそう想います」
「そうか」
ここでもリカドの真面目ぶりが発揮されている。なんだか緊張もどこかへ飛んでしまった。
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