英雄の一族の末裔ですが公爵様の復讐の為に婚約する事になりました

桜部遥

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運命の出会い

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——いい、ミネア。世の中にはね、気をつけなくちゃいけない人が三人いるの。

それは昔、まだ少女が幼かった頃。
ボロボロの家で母と二人暮しをしていた時に聞かされた話だった。
すきま風が酷くて、冬は薄い毛布の中に母と二人で身を寄せあって寝たり、屋根がボロボロで雨の日はいつも雨漏りをしていたり。
何かと不便な家だったけれど、それでも母親の愛で満たされた暖かな家だった。
歯は少女が眠りに着く前、ベッドの上でその話を聞かせてくれた。

一人は昼間でもフードを被っている怪しい人。
一人は夜になるとその瞳が黄金色に染まる人。
最後の一人は……。

——あれ、なんだったっけ。


重たい瞼をこじ開けるように意識を覚醒させる。
ゆっくりと体を起こすと、麗らかな日差しが少女の頬を照らした。
小鳥の囀りが、朝を知らせる音楽を奏でる。
「何だか懐かしい夢を見ていた……ような気がするわ。」
でもそれは蜃気楼のようにどこからともなく消えていって、もう何だったのか思い出せない。
床に足をつき、グッと背伸びをする。
今にも壊れそうなテーブルの上に置かれた写真に、少女はにこりと微笑んだ。
「おはよう、お母さん。」
それが、日常の始まり。いつもの日課。
母を二年前に無くした少女は、それから一人でこのボロボロの小屋のような家に住んでいる。
寂しさは無いと言えば嘘になるが、それでも少女を取り囲む人々はみんな暖かくて、それだけで少女は十分幸せだった。
「いけない!今日はバーサムさんの仕込みを手伝うんだった!」
少女は慌てて着替えて、身支度を整え家を出る。
マントを羽織りフードで顔を軽く隠してから、少女は元気よく家を出た。

ゾルテーム王国。
貴族制度を採用し、貴族と平民が暮らす国。
貴族は金を持て余し、ドレスや宝石、高級食材に金塊など欲しい物は全てを手にする。
平民はそんな貴族の下で、ささやかな生活を営む。特別な物は何も手に入らず、貧しさを知恵で埋めようともがいていた。
剣や魔法も存在し、それらの成果次第では貴族にだって成り上がる事ができる。
とは言っても、魔法が使える平民は極わずかで、女性の殆どは剣も握れずただ、平民として生きる事を強いられていた。

町を駆けるこの少女もまた、そんななんの変哲もない平民だ。
少女はこの町の大通りにある料理屋で働いていた。
バーサムという優しいおばあさんと、その旦那さんの夫婦で経営している小さな店だが、その味は評判が良く毎日忙しない日々を過ごしている。

「おはようございます!」
「おはよう、ミネア。」
「遅れてすみません!今、手伝いますね!」

エプロン姿のバーサムは元気よくミネアを迎えてくれる。
バーサムは六十代に入ってから、腰の負担が大きくなり力仕事は日に日に難しくなっていった。
そんなバーサムを気遣ったミネアはこうしてたまに、朝早くから仕込みを手伝っているのだ。
「今日のスープはチキンなんですねー!もう既にいい香りです!」
「そうさね。ここから更にミネアが美味しくさせるんだよ。ほれ、そこのカゴに置いてある食材を切っておくれ。」
「はい!」
髪をひとつに束ね、ミネアはバーサムの指示通りに厨房で仕込みを始める。
この店が評判の理由は、単に料理が美味しいというだけでは無い。
バーサムは日替わりで様々な料理を振舞っている。それを楽しみに、毎日通う常連も少なく無い。
バーサムの料理は一つ一つに心がこもっている。
そんなバーサムの料理の腕に、ミネアもまた魅入られた一人だ。

仕込みを終え、次は店の掃き掃除を行う。
グラスや食器を磨いて、店の窓ガラスも拭いてと、ミネアは慣れた手つきで開店作業を行った。
そうこうしている間に時間は一瞬で過ぎ去って、いよいよ開店時間だ。
ミネアが外のプレートを『open』に変えると同時に、待っていましたと言わんばかりに客が押し寄せる。
こうしてミネアの仕事は今日も元気に始まった。
仕事中は、店内を慌ただしく駆け回る。
右に左に注文が飛び交い、出来上がった料理を即座に運ぶ。
この店は、ミネアがホールを一人で担当しているのもあって、毎日がまるでカーニバルのように動き回っていた。
「ミネアちゃーん!注文いいかなー?」
「はーい!ただいまー!」
「今日もミネアちゃんは元気だねぇ。知ってるかい?ここにはミネア目当てで来る客も少なくないんだよ?」
「またまたぁ。そうやっておだてても、何もありませんよ?」
なんて、そんな何気ない会話をしながらミネアは楽しげに接客を続ける。
店に訪れる客は皆、美味しい料理をお腹いっぱい食べて笑顔で帰る。
また来るよ、なんて声をかけてくれたりと、この店の客は全員優しい人だ。

夕方には店は閉まり、いつも通りに閉店作業を行う。
「お疲れ様、ミネア。今日もありがとうねぇ。」
「お疲れ様です、バーサムさん。今日もとっても楽しかったです!」
ミネアはいつでも明るく振舞っていた。
ミネアは嘘をつくのが苦手だ。だからこうして、心から思った言葉を口にしてしまう。
そんなミネアの笑顔に、バーサムもつられて笑みを零す。
「ほれ、これ持って帰りな。今日の残りだけどね。」
「いいんですかー!?ありがとうございます!私、バーサムさんの作るパン大好きなんです!」
バーサムが帰り際に持たせてくれたのは、自家製のパンだった。
作ってからかなり時間が経っているせいで、表面は少し乾燥している。
そんなパンが入ったカゴを受け取ったミネアは、嬉しそうに目を輝かせた。
「こんな残りもんで悪いねぇ。」
「いえ!そんな事ないです!私にとっては、バーサムさんが作るものなら何でも嬉しいですよ。」
バーサムはその言葉に、また微笑みつつミネアの頭に手を置いた。
ミネアの言葉はいつも真っ直ぐで、だからこそこの店に足繁く通う客も大勢いる。
店が続けられているのは、ミネアあってこそなのだ。
「また明日も、よろしく頼むよミネア。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
そう言って、ミネアは店を後にした。

天真爛漫で、朗らかな笑顔を見せる。分け隔てなく誰にでも手をさし伸ばす優しい子。
けれどそんなミネアを、こんな小さな店に置いたままで良いのかと、バーサムは考えてしまう。
ミネアは今年で十八歳だ。普通の女の子ならば、結婚適齢期に入る。
そんな年頃の女の子なのに、生きる為に働いて、他にこれといった趣味も無い。
働くのが楽しいとそう言ってくれてはいるけれど、ミネアにとっての本当の幸せはこの店にあるのだろうか。
母親を亡くし、父親は顔も知らない、恵まれたとはいえない環境で一人で暮らす。

——ミネア、アンタも少し位は我儘になってもいいんだよ

なんて、産んだ親でも育ての親でも無いのに、バーサムはそんな事を考えてしまう。
店の窓から見上げる夕暮れの空には暗雲が立ち込めていた。


ミネアは帰り際、空を仰ぐ。
「何だか雲行きが怪しいわね……。雨でも降るのかしら。」
なんてそんな事を心配していた矢先、ぽつりと空から雫が落ちてくる。
最初は数的だったその雫は次第に大きな塊のようにミネアに襲いかかった。
「嘘でしょー!?」
ざああと音を立てて雨は次第に強まっていく。
折角バーサムから貰ったパンが、これでは食べられなくなってしまう。
ミネアは急いで、雨宿りが出来そうな場所まで走った。
フードを被っていたお陰で、そこまで雨に打たれずに済んだのは幸いだ。
ミネアは、近くにあった大通りの店前で肩に付着した雫を軽く払う。
「マントを着ていて良かった。パンもギリギリ無事ね。」
とは言っても、この雨がいつ収まるのか分からない。
もしかしたらこのまま雨が止むまでこの場で足止めを喰らうかもしれない。

——早く、早く家に帰らなくちゃ……。

ミネアの背筋がゾッと凍る。
夜の町はあまり得意では無い。
ミネアの母も、夜は出歩くなとキツく言いつけていた程だ。
ミネア自身も良く理解は出来ていないが、日が沈むと町はどこか気配が変わる。
まるで別の世界に迷い込んでしまったかのような恐怖感に苛まれるのだ。
その原因は未だに分からない。
ただ、夜に人と会う事は良くないという事だけは何となく察した。
そんな事を考えている間にも、夜はゆっくりとその手を伸ばす。
だんだんと、昼間の人達とは違う気配が町を覆う。
早く帰らなくてはという使命感で、ミネアの心臓は速度を上げていた。

——早く戻らないと……何だか、嫌な予感がする……。

心がザワつく。
耳鳴りが止まらない。
手足が震える。
どうしてだろう。地面に立っているはずなのに、宙に浮いているような感覚になる。
「仕方ないわ、雨でも多少強引に走れば何とか家に帰れるはず……!」
と、そう意気込んだところでミネアはふと辺りを見渡した。
耳鳴りのせいで意識が逸れていたけれど、なぜこの場所には人っ子一人いないのだろう。
ミネア以外の人間は、何処を見渡しても見当たらない。
本能が、まずいと言っている。
早くこの場から逃げなくては、と叫んでいる。
意識では分かっているのに、体が言う事を効かない。
足が竦んで、冷や汗外見首筋をなぞる。
その刹那。

『——ミツ、ケタァ』

ミネアが振り返ると、そこには人型の何かが立っていた。声から察するに、男の人なのだろうか。
ミネアが反応するよりも先に、その人型は彼女の首をガッと掴み上げる。
ミネアが大切に持っていたパンの入ったカゴは、力なく地面に叩きつけられた。
「うっ……くっ……!!」
『ミツケタ、ミツケタ……!!ツィーピアノ、イキノコリ!!お前ヲ喰エバ更二力ヲ手二入レル事ガ出来ル!!』
フードの中から見えるのは真っ白な、血色感の無い肌。——黄金に輝く瞳。
昔、母親が言っていた言葉を思い出す。

——いい、ミネア。世の中にはね、気をつけなくちゃいけない人が三人いるの。

一人は昼間でもフードを被っている怪しい人。
一人は夜になるとその瞳が黄金色に染まる人。

お母さんが言っていたのはこの人の事……!?
それに、『ツィーピア』って何……?
抵抗しようともがいて見るが、ミネアの力ではこの男の手を振りほどけない。
「……はっ……はな、……してっ……!!」
『無理ダ。オ前ノ命……食ベテヤル!!』
もう片方の手が、ミネアの視界を覆う。
その瞬間自分はここで死ぬのだと悟る。
もっとやりたい事があった。
また明日とバーサムさんとも約束をした。
でも、それは叶わない。
ミネアはここで命を落とす。
何も分からないまま。目の前にいる、人間の姿をした異形のものの正体も知らぬまま。
——お母さん……!!
あんなにお母さんに言われていたのに。
なんて親不孝な娘なのだろうと、ミネアは自分を呪った。
その瞬間、ミネアは苦しみから解放された。

——ああ、思ったよりも痛くないのね。

真っ暗になった視界の中でそんな事を考える。
死んだら、魂は何処に行くのだろう。
出来る事なら、お母さんに謝りたいな。
なんて事を考えていたミネアは、そのまま意識を失った。
そして一秒にも満たないその短い時間、ミネアを襲っていた男は思考を停止する。
ミネアを食べる絶好のチャンスだった。
好機だった。運が味方をしていると思っていた。
だと言うのに。男の黄金の瞳が捉えたのはミネアでは無い。
その人物の姿に思わず動揺する。

『——何故……何故オ前ガココ二イル!?』

ばたりと横たわったミネアの前にいた、異形の者は、音もなく現れた人影に目を見開く。
「やあ、こんな時間から食事とは関心しないなあ。ブィリルはいつも気品の無い食事をする。」
『答エロ……!何故オ前ガココ二……」 』
人影はギロリと異形の男を睨みつける。
「その汚らわしい手を離せ、ブェリル風情が。」
その人影はニヤリと笑うと、裏ポケットから銃を取り出し躊躇すること無く引き金を引いた。

——パン!

その大きな銃声と共に、異形の何かは塵となって消えていく。
『何故ダ……オ前達は手ヲ引イタハズ……ナノニ何故……祓魔師……。』
祓魔師と呼ばれた人影は、静寂の中ゆっくりと腰を下ろす。
意識を失っているミネアの頬にそっと触れると、人影はニタリと笑った。

「やっと見つけた。ツィーピアの生き残り。」

人影は静かにミネアを抱き上げる。
呼吸をして寝ているミネアの顔をじっと見つめた。
「貴女がいれば、私の悲願も果たせる。これでやっと——やっと、『アイツ』を殺せる。」
ニタリと笑った人影はそのまま雨の中を歩いていく。

翌日バーサムの店に、ミネアは現れなかった。
そしてこの日を境に、ミネアの人生は大きく変わる事になる。
これが、ツェーピアの生き残りであるミネアと、祓魔師にして若き公爵ヴィルエイム・ライ・グレーラビス公爵との出会いの日。
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