英雄の一族の末裔ですが公爵様の復讐の為に婚約する事になりました

桜部遥

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月の見えない夜

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ダンスレッスンを終え、クタクタになったミネアはそのまま自室で休憩を取る。
「もう、ヴィルエイム様は意地悪な人だわ。私で遊んで......あんな......」
思い出しただけで、ぼっと顔が熱くなるのを感じる。
頬に触れている両手がじんじんと熱くなるのはきっと、彼の魔性の笑みのせいだ。
髪に触れる事は何度かあったけれど、まさか額にキスをされるとは思ってもみなかった。
ヴィルエイムの顔が近づいてきた時、ミネアは正直あのまま本当に口付けをされてしまうのかと思っていた。
もしも額では無く唇だったら......。

「——っ!考えちゃダメ!!」

やめよう、これ以上想像するのは。きっと心臓がもたない。
ただでさえ、今日は沢山ヴィルエイムと近づいて緊張したというのに。
ミネアはベットの上で仰向けになる。
最初は見慣れなかったこの天井も、今ではすっかり目に焼き付いてしまった。
ボケっとしながら、ミネアはあの時の手のひらの温もりを思い出す。
あんなにたどたどしいダンスを、本当は見せるつもりではなかった。
もっと上達して、ヴィルエイムをあっと驚かせたかったのに現実はそう上手くはいかないものだ。
けれど、ヴィルエイムはとても優しくダンスをリードしてくれた。
大きなあの手に包まれるのは、嫌では無い。
恥ずかしさとかむず痒さは残るけれど、彼自身を拒絶したいとは思わないのだ。
それがどうしてなのか今のミネアには分からない。
きっとそれは全部ヴィルエイムが優しいからなのだと、そう思う事にした。

「——ミネア様。お食事の準備が整いました。」

コンコンと、扉をノックする音。
入って来たのは、シトラだった。ぺこりと頭を下げて、扉の前に立つ。
どうやらシーラは居ないようだ。
「ありがとう、シトラ。今、行くね」
ミネアは素早くベットから降りて、シトラの後ろを歩く。
こうして、メイドに案内されダイニングに行く事も随分慣れた。
最初は見るもの全てが目新しくて、右往左往していたのに。
時間が経つというのは不思議だ。あんなに他人の家だと思っていたこの屋敷にも愛着が湧いて、この無表情なメイド達にもすっかり慣れてしまった。
何事も時間が解決する、なんて良く言うけれどそれはどうやら本当なのかもしれない。
シトラとシーラがミネアの前で本当の顔を見せないのには、きっと何か理由があるのだろう。
今はヴィルエイムの婚約者とはいえ、ミネアは平民だ。
彼女達にとってミネアが平民である事は、あまり嬉しい事では無いのだろう。

——あれ?そういえば二人はブィリルやツィーピアについて知っているのかな?

ミネアがヴィルエイムの婚約者になった理由は、彼女が英雄の末裔だからだ。
それを知らないのなら、メイドや使用人達からしてみれば屋敷の主がある日突然、理由も分からないまま平民と婚約者した事になる。
だとすれば、様々な誤解が生まれているかもしれない。
とは言っても、ブィリルの事は極限られた人間しか知らないとヴィルエイムも言っていたし、ミネアが簡単に口を開く訳にもいかない。
もしかしたら、シトラやシーラは素性も分からないミネアの事を本当は好んでいないのではないだろうか。
シトラもシーラも普段一緒に居ても特に会話はしない。
それは彼女達がミネアを嫌っているからだとしたら?

——もしそうなら辛い......けれど仕方の無い事よね。私じゃきっと何も出来ないもの。


そう考えると心は沈む。それでもミネアはヴィルエイムの婚約者として堂々としていたいと、そう背中を伸ばして歩いた。
ダイニングにはシーラの姿があった。
先に用意をしておいてくれたのだろう。
ミネアが座る席には、出来たてホヤホヤの料理が置かれていた。
暖かな湯気が宙に舞って、音も無く消えていく。
一人での夕食はそう珍しくは無い。
ヴィルエイムの仕事が立て込んでいる時はこうして一人で先に食事を摂る。
ミネアが料理を食べている間、二人のメイドは後ろで何も言わずに待機している。
特にこれといった話題もないのでミネアから話しかける事もあまりない。
ただ、ナイフをフォークを動かす音だけが空間を支配していた。
毎日こうして一緒にいるのに、ミネアとメイド達の間には静寂しかない。
ミネアはそれが寂しかったけれど、自分から何かものを言える立場にはいない。
だからこうして、この沈黙を受け入れるしかなかったのだ。
もっと沢山話をしてみたいなんてそんな身勝手な願いを二人のメイドに押し付ける訳にはいかない。
今の生活を支えてくれているだけでも有難いのにそれ以上を望むのはあまりにも強欲すぎる。
そうこう考えているうちに、目の前のお皿に盛られていた料理はミネアの胃袋の中へと消えていった。
「ふぅ......ご馳走様でした。今日もとても美味しかったです!」
こうして毎日、お腹が満たされる程の料理が出てくるのは幸せな事だ。
ミネアがシトラとシーラに告げると、二人のメイドは口を開かないまま空いた食器を下げた。
これが日常になっているとはいえ、少し心にくるものがある。
けれどそれを口にして二人の迷惑にはなりたくない。
自分の気持ちを伝えられないというのは心にモヤがかかるようなものだ。そのモヤを取り払う方法をミネアは知らない。
結局ミネアは静かに立ち上がって、そのまままた自室に戻る為に歩き出すことにした。
シトラとシーラは片付けがあるので、ミネアは一人でダイニングを後にする。
二人のメイドが働いている姿を横目に、ミネアは扉をゆっくりと閉めた。

ミネアの足音が、廊下に響き渡る。重くもの寂しげな音は、ミネアの耳を擽った。
ふと、窓越しに空を見上げる。
そこには美しい月も、夜を彩る星々も見えなかった。分厚い暗雲が全てを包み隠し、まるでこの世界に光など最初から無かったかのような空が広がる。
月明かりが無いというのは、こんなに心細いものだったろうか。
何故だろう。昼間はあんなに楽しかったのに、今は嫌な事ばかりを考えてしまう。
ヴィルエイムの婚約者として、胸を張れる人間になりたいとそう願っているのに、あの暗い雲に心が引っ張られていく。
「どうしたんだろう、私......。嫌だな、胸騒ぎがするような......今日は早く寝よう。」
急ぎ足で、ミネアは自分の部屋の扉を開けた。

すぐさまベッドに潜り、そのまま息を殺すように目を瞑る。
ずっとぐるぐると頭の中が回る感覚がミネアを支配していた。
何も考えてはダメだとそう思えば思うほど、まるで沼にハマったかのように抜け出せなくなる。
身体が重たい。意識が朦朧とする。
世界が逆さまになったような、自分が逆さまになったような。
自我を失ってはならないと分かってはいるのに、身体がそれに応えてくれない。
神経が麻痺していき、次第に全ての思考が停止していく。
もしかして風邪でも引いたのだろうか。もしそうだっら明日、ヴィルエイムに挨拶が出来ない。
——駄目......もう、何も......考え......られ、な......
そういえば、いつかもこんな感覚に襲われた。
胸の部分がザワザワと騒いで、何かに追われるような気分になって。
あれはいつだったろうか。
きっと、多分、大切な日だったはずだ。あと少しでその時の記憶が蘇りそうなのに。
それを妨げるように目の前を闇が襲う。
ああ、なんだっけ。自分は何を思い出そうとしていたんだっけ。
もうそれすらも、思い出せない。
そのままミネアは抗う術もなく、混濁した意識の糸をプツリと切った。


——深い沼の底に落ちていく中で。夢を見た。


一人の少女が山の中でひっそりと暮らしている。
家は一人で暮らすには十分過ぎるほど大きくて、ログハウスなのが周りの森林と良く溶け込んでいた。
夕闇の中、明かりも灯さずにその少女はぽつんと椅子に座っている。
彼女は何か苦しそうな声を漏らしていた。
木で作られた古い机にはポタリと雫が落ちる。
その雫が少女の瞳から流れているものだと、ミネアは悟った。
どうして泣いているのか、ミネアには分からない。
ただ悲しくて、苦しくて、辛くて、痛くて、後悔して、懺悔して、そんな中で泣いているのだと言うことだけは深く理解出来た。
その胸を突き刺す痛みがミネアにも伝染するかのように。
「どうして......こんな......うっ、こんな......」
その少女は決して大きな声で泣き叫ばなかった。
息を殺すように、身を縮めて声を漏らす。
ミネアはそんな少女の姿をただ見ている事しか出来ない。
この少女の涙を止めることは不可能なのだと悟る。
「出会わなければ良かった......こんな事になるのなら......。」
その瞬間、ミネアは心臓をぎゅっと潰されるような痛みに襲われる。
これはミネアの痛みなのか、目の前の少女の痛みなのか分からない。
ただ、痛い。声を上げたくなるほど痛くて、怖い。
目を開けているのもやっとなミネアは、その激痛に徐々に意識が遠のいていく。
最後に耳にしたのは、少女の悲痛な声だった。

「——あの人と出会わなければ良かった」

その刹那、少女の髪の毛が淡く輝く。
紫色の美しい長髪。
少女の顔を見た途端、ミネアは思い出す。
自分はこの人を知っている。昔、夢の中でこの少女を見た事がある。
名前も素性も分からないけれど、前も一人で泣いていた。
あの時は、なんと言っていたっけ。
確か......。
それに気付いた瞬間、ガラスが割れるような音がミネアの頭の中に響いた。
目の前に広がっていた空間は一瞬にして崩壊し、ミネアの視界は暗闇が襲う。
少女は瞬きの間に闇の中に飲み込まれ、ミネアは再び沼の底に向けて落ちていくような感覚に苛まれる。
もがけばもがく程、身体は重くなり言うことを聞かない。
もしかしたらこのまま永遠に、この場所でもがき続けるのだろうか。
終わりが見えない恐怖がミネアを支配していく。

——そんな時だった。

少女の声が聞こえた。
それは、あの時草原で泣いていた少女だった。
それは、家の中で息を殺すように泣いていた少女だった。
でも、あの時のような弱々しさは無く寧ろ、弱体していたミネアの心を強く引っ張ってくれるような凛々しい声だった。
「貴女はツィーピアの生き残り。お願い、私の最後の願いを叶えて。そして、その為に生きて!」
最後?願い?
何の話をしているのかさっぱり分からない。
けれど少女は紛れもなくミネアに声をかけている。
今までミネアは見ている事しか出来なかったと言うのに。
少女の声はミネアに縋るような、何処か切迫した声にも聞こえる。

「忘れないで、貴女のやるべき事。それは——」

その続きを聞こうとした瞬間、真っ暗だったミネアの視界に一筋の光が差し込む。
あまりの眩しさに目が眩む。
でも暖かくて、恐怖が和らぐような光だった。
この先に何があるのかミネアは知らない。
けれど、こんなにも安心するのだからきっとこの光は悪いものでは無い。
ミネアはそんな確証のない自信で光に手を伸ばす。
鉛のように重たくて、石化したかのように動かない腕を必死に伸ばして光を手に掴む。
少女はミネアに生きてと言った。
まだまだ慣れない事ばかりだ。二人のメイドにはもしかしたら気に入られてないのかもしれない。
きっとこの先も苦しい事や辛い事は沢山あるだろう。
それでも少女が言ったようにミネアもまた、自分自身で望んでいるのだ。

——私は、生きたい!!

瞼が重たい。
身体はまるで自分のものでは無いみたいに言うことを聞かない。
それでもミネアは目を開ける。
その先に待つ景色を瞳に焼き付けるまでは、この瞼を閉じる事は出来ない。
だから、ミネアは必死に目を開けた。
「——っ!」
ミネアの瞳に映っていたのは、見慣れた天井などでは無かった。
ギョロりとミネアを見つめる瞳。
......黄金に輝く、瞳があった。
赤く燃えるような髪を二つに束ねた少女。
それは初めて見る顔だった。けれど彼女が何者なのか、ミネアは知っている。

「——ブィリル!?」

知らない間に窓が開いている。
夜の肌寒い風が、赤髪の少女の髪を靡かせる。
ミネアの上に跨るように座っていた少女はミネアと目が合うと、はあと重いため息を吐いた。
「チッ。あと少しだったのに......ムカつく奴。」
ミネアは朦朧とした意識の中で、自分の身が危険なのだと察した。
このままではまずい。今すぐに逃げなくてはとミネアが身体を動かそうとした瞬間を赤髪の少女は見逃さない。
鋭い爪をミネアの首元に突き立てる。
「本当は嫌なんだよね、こうやって自分で殺すの。でも仕事だし、しょうがないよねぇ?貴女、ツィーピアの生き残りなんでしょぉ?」
黄金の瞳が強く輝く。
その瞳に見られていると、身体が思うように動かない。
「......うっ......!!」
突き立てる爪は、どんどんとミネアの首を閉めていく。
上手く息が吸えない。
少女の華奢な見た目に反して、凄まじい怪力だ。
振りほどこうとしても、少女の手はピクリともしない。
段々と視界がぼやけてくる。呼吸が出来ないせいで、指先の力が抜けていく。
助けを呼びたくても、声が出せない。
......いや、そもそも助けを呼んでいいのだろうか?
今はヴィルエイムが屋敷に居ない。
そんな時にミネアがブィリルに襲われていても、誰も助けてはくれないのでは無いだろうか。
それにもし、仮に。ミネアの為にと駆け付けてくれる者がいたとして。
ブィリルの強大な力の前には誰も敵わないのでは無いだろうか。
もし、この屋敷の皆が傷付いたり、最悪死んでしまったら......。
誰かが傷つくなら......それならいっその事。

「——大人しく死んで?」

ブィリルは、ミネアに向けてそう愉しそうに笑った。

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