12 / 37
一歩ずつ前に進めるように
しおりを挟む
シトラが赤髪のブィリルを追い返し、ゆっくりと夜は開けようとしていた。
シーラによって、客間に運ばれたミネアは酷い頭痛に襲われながらも意識を取り戻す。
「……ここ、は……?」
頭をガンガンと殴られるような痛み。
けれど決して耐えられないという訳では無く、ミネアは無理のない範囲で身体を起こした。
「あっ、お姉ちゃんー!ミネア様が目を覚ましたよー?」
「うるさいわよシーラ。ミネア様の体調に障ったらどうするの。」
ふとミネアが首を横に向けると、そこにはシーラの姿があった。
桃色の綺麗な髪がさらりと揺れる。
「おはようございます、ミネア様!調子は如何ですか?」
ミネアは思わず目を丸くした。
シーラが、笑っている……?
いつもあんなに無口で無表情だったシーラが天真爛漫な笑顔をミネアに向けていたのだ。
「えっと……?う、うん、大丈夫……」
「それは良かったです!ミネア様に何かあったとヴィルエイム様に知られれば私達の首は無くなってるところでした!」
「あの、シーラ……なんだよね?」
気さくに話しかける姿、コロコロと変わる表情。
本当にミネアの傍付きのシーラなのだろうか?
もしかしてここは夢の中なのではと、思わず錯覚してしまう。
ミネアの困惑した表情に、シーラも彼女が何を戸惑っているのか察した。
はあ、とため息をついて、後ろでカーテンを変えるシトラに向かって悪態をつく。
「もー、こうなるからやめようって言ったのにー!お姉ちゃんってば、ほんとに人の都合なんてお構い無しなんだからー」
「シーラ、最初に提案してきたのは貴方の方でしょう?その方がスパイみたいで面白いからって。」
「それはぁ……えへへ」
ミネアはただあっけらかんと口を開けていた。
服はあのブィリルと出会った時のままなのを確認したミネアは、気を失ってからそこまで時間が経っていない事を悟る。
「あの……二人とも?」
思わず困惑のまま声をかけると、シーラははっとミネアに気付いて、ゆっくりと手を差し出した。
「ミネア様、起きられますか?少し、お話をしましょう!ミネア様が知りたい事、なんでもお話しますよ!」
表情を作っている空気は無い。恐らくシーラはこっちが素なのだろう。
その辺も含めて、どうやら二人のメイドは話をしてくれるらしい。
ミネアはシーラの手を取って、そのままシトラと共に応接室に向かった。
応接室にはお茶の準備が整えてあった。
焼きたてのクッキーと、紅茶がテーブルの上に置かれている。
「ささ、ミネア様!座って下さい!」
シーラはるんるんと楽しそうにミネアの手を引っ張った。
二人のメイドが何を考えているのか分からないまま、ミネアは言われた通り席に座った。
「色々あってお疲れでしょう、お茶を飲んで少し心を休ませて下さい。」
「あ、うん……」
ぷかぷかと優しい湯気が立ち込める。
紅茶を一口飲むと、その温かさが心まで広がっていった。
いつもと変わらないはずの紅茶なのに、心が落ち着く。
「さてと……まずはミネア様——今まで騙して申し訳ございませんでした!」
シーラの声に合わせて、ミネアの前に立っていた二人のメイドは頭を下げる。
急展開に、ミネアの思考は停止した。
「えっと……?」
シーラの発言から、ミネアに謝りたい事があるのだと察する。
ただ、それが何に対してなのかは分からない。
騙していて、と言ったからにはミネアは知らない間に二人に騙されていたのだろう。
シーラが猫を被って性格を変えていた事だろうか?
それにしては、あまりに大袈裟な謝罪だ。
ミネアが首を横に傾げると、シトラがゆっくりと説明を始めた。
「私とシーラはミネア様を試していたんです。ヴィルエイム様の婚約者に相応しいかどうかを。私とシーラは、ご主人様と同じ……祓魔師です。」
ミネアはゆっくりと目を見開く。
ヴィルエイムと同じ祓魔師?
そんな事、彼は一言も言っていなかった。
「ご主人様には私達からお願いしたんです!ミネア様を試させて下さいって!それで……その、今夜襲ってきたブィリルもわざと屋敷に招いたんです……」
襲ってきた……あの赤髪のブィリルの事だろう。
「この屋敷にはブィリル対する結界が張られています。ですがミネア様のお力を試す為、ご主人様に結界の力を弱めてもらいました。わざとあのブィリルをおびき寄せる為に。」
そうしてシトラとシーラは順を追ってミネアに今回の出来事について話し始めた。
ヴィルエイムの命令によって、英雄の末裔であるツィーピアの娘の面倒を見る事になったシトラとシーラは、ある一つの疑問を抱いた。
その事を直接ヴィルエイムに話すと、彼は二人のメイドにこう言った。
「それなら彼女の事を試してみるといい。」
そうして二人のメイドはミネアを試す事にしたのだ。
二人のメイドが抱いた疑問。それは
——果たしてこの少女は使い物になるのか?
というものだ。
ミネアが屋敷に迎えられてすぐ、シトラ達は彼女の素性を調べたが何も分からなかった。
結果的にミネアはツィーピアの血をひいているという事以外、ベールに包まれた怪しい人物という印象を抱いたのだ。
そんな少女が本当に公爵家の婚約者、しかも祓魔師であるヴィルエイムの婚約者として役に立つのだろうか。
「ミネア様の前では堅苦しいメイドになろうよ!取っ付きにくくて、嫌な感じのメイドに!」
「それはいいけれど……どうして?」
「そうすればいつか痺れを切らしてミネア様も、本性を表すかもしれないし!それになんだか、こういうのって秘密を隠したスパイみたいでかっこよくない!?」
そんなシーラの提案で、二人は無口で無表情のメイドを演じる事にした。
二人が無愛想なメイドを演じている間、ミネアはそんな事も知らずに彼女達に笑いかけた。
シトラもシーラも、ミネアが信用に足る人間でないと判断したらすぐに斬り捨てるつもりで接していたが、中々彼女は本性を見せない。
それどころか、どれだけ冷たい対応をとっても笑ってばかりいる。
「ミネア様、中々図太いよねー。もうそろそろ痺れを切らしてもいいはずなんだけどなあ~?」
「シーラ、そういう言い方は良くないわ。本当にミネア様はお優しい方なのかもしれないし。」
二つのベットと二つの机が左右対称に配置されている。
ここは二人のメイドの部屋だ。ミネアの部屋のように煌びやかでは無いが、二人部屋にしてはかなり大きく、不自由無く暮らせる。
右側のベットの上で、ぐでーっと寝そべりながらシーラはため息をついた。
既にミネアの傍付きになって三ヶ月。
その間、これといった進展は無かった。
平民から公爵家の婚約者になったのなら、今まで出来なかった分の願いを叶えたいと思うはずだ。
美味しい物をたらふく食べ、ドレスや宝石を買い漁り、ありとあらゆる面倒をメイドに押し付ける。
それくらいは当たり前だと思っていた。
けれどミネアは身の丈に合った物しか持たず、何も欲する事無く、婚約者としての責務を果たそうと勤勉に努力していた。
三ヶ月もそんな彼女の姿を見ていれば、ミネアの本性が汚いものでは無いという事くらい理解できる。
彼女は心が清らかで、潔白だ。
「ミネア様が良い人なのは分かるけどさ?でもそれだけって言うか……正直、優しいだけだよね」
シーラの言いたい事をシトラは理解する。
ミネアは確かに清廉潔白で、優しい人だ。努力を怠らず、毎日懸命に勉学に勤しんでいる。
だが、それだけでは足らない。
ヴィルエイム・ライ・グレーラビスは公爵家当主であり、祓魔師だ。
彼に釣り合う婚約者として認めるには、不十分なのだ。
シトラは何かを考え込んだ後、座っていた椅子から静かに立ち上がった。
「そうね。婚約者として努力しているのは見て取れるけれど、それだけでは意味が無いもの。……シーラ。最後に一つ、ミネア様を試してみましょう。そうすれば、彼女がこの屋敷に相応しい者かどうか、判断できるわ。」
シトラはシーラにその方法を耳打ちで教える。
彼女が提案してきたものは、シーラの想像を大きく超えた。
思わず目を見開き、シトラの顔を見る。
「えっ!?本気で言ってるの、シトラ!?」
シトラはニコリと笑った。
シトラの提示した方法を使えば、確かにミネアに試練を与える事ができる。
でももしもそれに失敗したら……?ミネアはツィーピアであると言うだけで、ヴィルエイムからしてみれば喉から手が出る程欲しい人材だ。
そんな彼女がもしも治らない傷を負う事になれば……。
シーラは想像しただけで顔が真っ青になる。
そんなシーラを見かねて、シトラはぎゅっと彼女を抱きしめた。
「シーラ、もしもの時は私が全ての責任を負うわ。それに、信じてみたいでしょ?私達が仕える人なら大丈夫だって。」
この三ヶ月間の事をシーラは思い出す。
ミネアは無愛想なシーラに対して嫌な顔一つせずに、接してくれた。
ヴィルエイムが楽しそうに笑っている姿を久しぶりに見た。
彼女の優しさは、無力なものでは無いのかもしれない。
——信じたい。ミネア様なら越えられるって。
平民だからとか、婚約者だから、とか関係無く。
ミネアという一人の人間を信じてみたいと、シーラは思った。
「……分かったよ、シトラ。やろう、これ最後だよ。」
シトラの提案は、あまりにも危険なものだった。
それでも二人のメイドと、一人の少女が前に進む為には必要な試練だったのだろう。
二人のメイドはこうして、ある作成を練った。
それは屋敷の主であるヴィルエイムが留守にする日を狙って決行する事が決められた。
ミネアが取り返しのつかない傷を負ったら、その時は二人で責任を負う事を誓い、そして。
——ついにその日はやってきた。
シーラによって、客間に運ばれたミネアは酷い頭痛に襲われながらも意識を取り戻す。
「……ここ、は……?」
頭をガンガンと殴られるような痛み。
けれど決して耐えられないという訳では無く、ミネアは無理のない範囲で身体を起こした。
「あっ、お姉ちゃんー!ミネア様が目を覚ましたよー?」
「うるさいわよシーラ。ミネア様の体調に障ったらどうするの。」
ふとミネアが首を横に向けると、そこにはシーラの姿があった。
桃色の綺麗な髪がさらりと揺れる。
「おはようございます、ミネア様!調子は如何ですか?」
ミネアは思わず目を丸くした。
シーラが、笑っている……?
いつもあんなに無口で無表情だったシーラが天真爛漫な笑顔をミネアに向けていたのだ。
「えっと……?う、うん、大丈夫……」
「それは良かったです!ミネア様に何かあったとヴィルエイム様に知られれば私達の首は無くなってるところでした!」
「あの、シーラ……なんだよね?」
気さくに話しかける姿、コロコロと変わる表情。
本当にミネアの傍付きのシーラなのだろうか?
もしかしてここは夢の中なのではと、思わず錯覚してしまう。
ミネアの困惑した表情に、シーラも彼女が何を戸惑っているのか察した。
はあ、とため息をついて、後ろでカーテンを変えるシトラに向かって悪態をつく。
「もー、こうなるからやめようって言ったのにー!お姉ちゃんってば、ほんとに人の都合なんてお構い無しなんだからー」
「シーラ、最初に提案してきたのは貴方の方でしょう?その方がスパイみたいで面白いからって。」
「それはぁ……えへへ」
ミネアはただあっけらかんと口を開けていた。
服はあのブィリルと出会った時のままなのを確認したミネアは、気を失ってからそこまで時間が経っていない事を悟る。
「あの……二人とも?」
思わず困惑のまま声をかけると、シーラははっとミネアに気付いて、ゆっくりと手を差し出した。
「ミネア様、起きられますか?少し、お話をしましょう!ミネア様が知りたい事、なんでもお話しますよ!」
表情を作っている空気は無い。恐らくシーラはこっちが素なのだろう。
その辺も含めて、どうやら二人のメイドは話をしてくれるらしい。
ミネアはシーラの手を取って、そのままシトラと共に応接室に向かった。
応接室にはお茶の準備が整えてあった。
焼きたてのクッキーと、紅茶がテーブルの上に置かれている。
「ささ、ミネア様!座って下さい!」
シーラはるんるんと楽しそうにミネアの手を引っ張った。
二人のメイドが何を考えているのか分からないまま、ミネアは言われた通り席に座った。
「色々あってお疲れでしょう、お茶を飲んで少し心を休ませて下さい。」
「あ、うん……」
ぷかぷかと優しい湯気が立ち込める。
紅茶を一口飲むと、その温かさが心まで広がっていった。
いつもと変わらないはずの紅茶なのに、心が落ち着く。
「さてと……まずはミネア様——今まで騙して申し訳ございませんでした!」
シーラの声に合わせて、ミネアの前に立っていた二人のメイドは頭を下げる。
急展開に、ミネアの思考は停止した。
「えっと……?」
シーラの発言から、ミネアに謝りたい事があるのだと察する。
ただ、それが何に対してなのかは分からない。
騙していて、と言ったからにはミネアは知らない間に二人に騙されていたのだろう。
シーラが猫を被って性格を変えていた事だろうか?
それにしては、あまりに大袈裟な謝罪だ。
ミネアが首を横に傾げると、シトラがゆっくりと説明を始めた。
「私とシーラはミネア様を試していたんです。ヴィルエイム様の婚約者に相応しいかどうかを。私とシーラは、ご主人様と同じ……祓魔師です。」
ミネアはゆっくりと目を見開く。
ヴィルエイムと同じ祓魔師?
そんな事、彼は一言も言っていなかった。
「ご主人様には私達からお願いしたんです!ミネア様を試させて下さいって!それで……その、今夜襲ってきたブィリルもわざと屋敷に招いたんです……」
襲ってきた……あの赤髪のブィリルの事だろう。
「この屋敷にはブィリル対する結界が張られています。ですがミネア様のお力を試す為、ご主人様に結界の力を弱めてもらいました。わざとあのブィリルをおびき寄せる為に。」
そうしてシトラとシーラは順を追ってミネアに今回の出来事について話し始めた。
ヴィルエイムの命令によって、英雄の末裔であるツィーピアの娘の面倒を見る事になったシトラとシーラは、ある一つの疑問を抱いた。
その事を直接ヴィルエイムに話すと、彼は二人のメイドにこう言った。
「それなら彼女の事を試してみるといい。」
そうして二人のメイドはミネアを試す事にしたのだ。
二人のメイドが抱いた疑問。それは
——果たしてこの少女は使い物になるのか?
というものだ。
ミネアが屋敷に迎えられてすぐ、シトラ達は彼女の素性を調べたが何も分からなかった。
結果的にミネアはツィーピアの血をひいているという事以外、ベールに包まれた怪しい人物という印象を抱いたのだ。
そんな少女が本当に公爵家の婚約者、しかも祓魔師であるヴィルエイムの婚約者として役に立つのだろうか。
「ミネア様の前では堅苦しいメイドになろうよ!取っ付きにくくて、嫌な感じのメイドに!」
「それはいいけれど……どうして?」
「そうすればいつか痺れを切らしてミネア様も、本性を表すかもしれないし!それになんだか、こういうのって秘密を隠したスパイみたいでかっこよくない!?」
そんなシーラの提案で、二人は無口で無表情のメイドを演じる事にした。
二人が無愛想なメイドを演じている間、ミネアはそんな事も知らずに彼女達に笑いかけた。
シトラもシーラも、ミネアが信用に足る人間でないと判断したらすぐに斬り捨てるつもりで接していたが、中々彼女は本性を見せない。
それどころか、どれだけ冷たい対応をとっても笑ってばかりいる。
「ミネア様、中々図太いよねー。もうそろそろ痺れを切らしてもいいはずなんだけどなあ~?」
「シーラ、そういう言い方は良くないわ。本当にミネア様はお優しい方なのかもしれないし。」
二つのベットと二つの机が左右対称に配置されている。
ここは二人のメイドの部屋だ。ミネアの部屋のように煌びやかでは無いが、二人部屋にしてはかなり大きく、不自由無く暮らせる。
右側のベットの上で、ぐでーっと寝そべりながらシーラはため息をついた。
既にミネアの傍付きになって三ヶ月。
その間、これといった進展は無かった。
平民から公爵家の婚約者になったのなら、今まで出来なかった分の願いを叶えたいと思うはずだ。
美味しい物をたらふく食べ、ドレスや宝石を買い漁り、ありとあらゆる面倒をメイドに押し付ける。
それくらいは当たり前だと思っていた。
けれどミネアは身の丈に合った物しか持たず、何も欲する事無く、婚約者としての責務を果たそうと勤勉に努力していた。
三ヶ月もそんな彼女の姿を見ていれば、ミネアの本性が汚いものでは無いという事くらい理解できる。
彼女は心が清らかで、潔白だ。
「ミネア様が良い人なのは分かるけどさ?でもそれだけって言うか……正直、優しいだけだよね」
シーラの言いたい事をシトラは理解する。
ミネアは確かに清廉潔白で、優しい人だ。努力を怠らず、毎日懸命に勉学に勤しんでいる。
だが、それだけでは足らない。
ヴィルエイム・ライ・グレーラビスは公爵家当主であり、祓魔師だ。
彼に釣り合う婚約者として認めるには、不十分なのだ。
シトラは何かを考え込んだ後、座っていた椅子から静かに立ち上がった。
「そうね。婚約者として努力しているのは見て取れるけれど、それだけでは意味が無いもの。……シーラ。最後に一つ、ミネア様を試してみましょう。そうすれば、彼女がこの屋敷に相応しい者かどうか、判断できるわ。」
シトラはシーラにその方法を耳打ちで教える。
彼女が提案してきたものは、シーラの想像を大きく超えた。
思わず目を見開き、シトラの顔を見る。
「えっ!?本気で言ってるの、シトラ!?」
シトラはニコリと笑った。
シトラの提示した方法を使えば、確かにミネアに試練を与える事ができる。
でももしもそれに失敗したら……?ミネアはツィーピアであると言うだけで、ヴィルエイムからしてみれば喉から手が出る程欲しい人材だ。
そんな彼女がもしも治らない傷を負う事になれば……。
シーラは想像しただけで顔が真っ青になる。
そんなシーラを見かねて、シトラはぎゅっと彼女を抱きしめた。
「シーラ、もしもの時は私が全ての責任を負うわ。それに、信じてみたいでしょ?私達が仕える人なら大丈夫だって。」
この三ヶ月間の事をシーラは思い出す。
ミネアは無愛想なシーラに対して嫌な顔一つせずに、接してくれた。
ヴィルエイムが楽しそうに笑っている姿を久しぶりに見た。
彼女の優しさは、無力なものでは無いのかもしれない。
——信じたい。ミネア様なら越えられるって。
平民だからとか、婚約者だから、とか関係無く。
ミネアという一人の人間を信じてみたいと、シーラは思った。
「……分かったよ、シトラ。やろう、これ最後だよ。」
シトラの提案は、あまりにも危険なものだった。
それでも二人のメイドと、一人の少女が前に進む為には必要な試練だったのだろう。
二人のメイドはこうして、ある作成を練った。
それは屋敷の主であるヴィルエイムが留守にする日を狙って決行する事が決められた。
ミネアが取り返しのつかない傷を負ったら、その時は二人で責任を負う事を誓い、そして。
——ついにその日はやってきた。
1
あなたにおすすめの小説
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
小さくなった夫が可愛すぎて困ります
piyo
恋愛
夫が、ある日突然、幼児の姿になってしまった。
部下の開発中の魔法薬を浴びてしまい、そのとばっちりで若返ってしまったらしい。
いつも仏頂面な夫が、なんだかとっても可愛い――。
契約結婚で、一生愛とは無縁の生活を送ると思っていたノエルだったが、姿が変わってしまった夫を、つい猫可愛がりしてしまう。
「おい、撫でまわすな!」
「良いじゃありませんか。減るもんじゃないし」
これまで放置されていた妻と、不器用に愛を示す夫。
そんな二人が、じれじれ、じわじわとお互いの距離を詰めていく、甘くて切ない夫婦再生の物語
※完結まで毎日更新
※全26話+おまけ1話
※一章ほのぼの、二章シリアスの二部構成です。
※他サイトにも投稿
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
あなたがすき、だったから……。
友坂 悠
恋愛
あなたが好きだったから、わたしは身を引いた。
もともと、3年だけの契約婚だった。
恋愛感情なしに、偽装夫婦を演じよう。
そういうあなたに同意をして一緒に暮らし出した日々。
それなのに。
約束の期限の三日前、まさか酔ったあなたとそういう関係になるなんて、思わなかった。
だから。 わたしはそのまま翌朝家を出た。
わたしだけが、どんどんあなたを好きになってしまったことを隠したくて。
こんな気持ちを悟られ、あなたに迷惑がかかるのに、耐えられなくて。
#############
なろうさんで開催されていた、氷雨そら先生、キムラましゅろう先生主催、
シークレットベビー企画参加作品だった、「あなたが好きだったから」という短編に、少し加筆修正して連載化しました。
初めてのシクべ、ちょっと変わったタイプのシクべ作品となりました。
お楽しみいただけると幸いです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎
王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。
……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。
追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。
無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」
騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリエット・スチール公爵令嬢18歳
ロミオ王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる