英雄の一族の末裔ですが公爵様の復讐の為に婚約する事になりました

桜部遥

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歪な月と私と貴方

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パーティーは大成功で幕を下ろし、足を運んだ貴族達が次々と帰りの馬車に乗り込んでいく。
皆が笑顔で玄関をくぐっていくのを見ると、どうやらゲストにも喜んで貰えるパーティーだったようだ。
あんなに人で溢れかえっていた屋敷も、数時間後にはいつも通りの静けさが残っていた。
あんなに熱を帯びていたのに、今は夜風が涼しく感じる。

ミネアは一人、バルコニーから月を眺める。
雲が多く、星はそれほど見えないけれど月明かりはとても眩しく輝いていた。
満月でも半月でもない、歪な月。あの月はいつか、ちゃんとした自分が追い求める形に変わるのだろうか。
そんな未来が、訪れるのだろうか。
一人で物思いにふけっては、はあとため息を漏らす。

もう、全ての準備は整った。
シトラにもシーラにもバレないように荷物を纏めて、寝室の隅に隠してある。
元々この身一つでこの屋敷にやって来た身だ。
持っていく荷物も、カバンひとつで済んだ事は幸いだろう。
こうして月を眺めている間にも、刻一刻とその時は迫っている。
目を静かに閉じると、そこには楽しかった今日の光景が浮かんだ。
本当に、夢のような日だった。
甘くて暖かくて、笑顔が耐えない時間。
今でもまだあれは現実だったのだろうかと、頬をつねりたくなる。
ミネアの胸は、どくんどくんと脈を打っている。
ああ、これは夢じゃないのだ。この鼓動がそれを教えてくれている。
甘いスイーツのような日々も、そしてこれから訪れる未来も。全ては現実なのだと、目の前に突き詰めてくる。
それが嬉しいようにも、耐え難い痛みのようにも感じてなんだか胸が、締め付けられた。

「——ミネア、入るよ」

ノックも無く、扉が開く。
ここはミネアの使っていた寝室では無い。
既に寝巻きのワンピースに着替えていたミネアの背後から部屋に入ってきたのはヴィルエイムだった。
くるりとミネアが振り返ると、いつものような正装や普段着では無く、ダボッとした服に身を包んでいるヴィルエイムがそこにはいた。
「ヴィル、もうお仕事は終わったのですか?」
「うん、一区切りは着いたよ。それに今は、仕事よりも大切な事があるからね。」
ミネアはチラリと横目で見る。
そこには大きなダブルベッドが置いてあった。
パーティーを終えたら、二人の寝室を一緒にする。
それは随分前から決められていた事だった。
そしていよいよ、その時が訪れる。
ミネアの胸が落ち着かないのはそのせいだ。
「……な、なんだか変な感じですね。私とヴィルが同じベットを使うなんて……」
「そ、そうだね、なんだか不思議な気分だ……!」
ぎこちない会話。
ミネアと同じようにヴィルエイムもまた緊張しているのだろう。
ちらりと横目でヴィルエイムを見ると、平常心を保とうとしている姿がそこにはあった。よく見ると、耳は真っ赤に染まっていて、どうやらヴィルエイムもどうしたらいいのか分からない様子。
毎日見てきたはずなのに、今のヴィルエイムは月の光が降り注いで、普段よりも更に高潔さが滲み出ている。
大人びたその顔つきに、ミネアの心臓はぎゅっと締め付けられる。
「……あ、あの……今日は……その……」
婚約者として初めて二人で迎える夜。
やはり、あんな事やこんな事をするのだろうかとミネアは想像しては顔が火照る。
婚約者として子孫を残すのは当たり前の事だ。
だからヴィルエイムがその気なのであれば、ミネアが断る理由は無い。
ただ少し、恥ずかしくて顔を見られないというだけ。
ヴィルエイムはモジモジと身体を小さくさせるミネアの言いたい事が分かったのか、ふっと緊張が和らいだように微笑む。
ヴィルエイムはミネアに近付き、ゆっくりとその手を取った。
「今日は疲れただろう?早く休もうか。」
思わぬ発言にミネアは目を丸くさせる。
確かに、初めてのパーティーで慣れないことだらけだったけれど、寝室を共にすると言うことはつまり、そういう事であって。
けれどヴィルエイムは、休もうと言ってくれた。
「それだけ、ですか……?」
「うん。今日のミネアは誰よりも頑張っていたんだ、しっかり休む方が大切だろう。それに……。」
思わず呆然としてしまうミネアに対して、ヴィルエイムはコソッと耳打ちをする。

「——私はミネアが隣で寝てくれるだけで十分だよ?」

その優しさが、酷く胸に染みた。
ミネアは、この人の優しさも笑顔も親切心も何もかもを踏みにじるというのに。
ヴィルエイムの笑顔がとても穏やかで、暖かくて思わず涙がこぼれそうになる。
初めて同じ寝室で迎える夜。
ベッドの上でミネアとヴィルエイムの肩がとんと触れ合う。
ドキドキと胸が鳴るのは、ミネアがヴィルエイムに恋をしているから。
愛しているから。
「緊張で寝られない?」
「は、はい……。なんだか落ち着かなくて」
ミネアとヴィルエイムは互いに顔を見つめ合う。
不思議だ。こんなにも手が届く距離にヴィルエイムがいる。
いつもより髪が湿っていて、いつもより声が低くて。
ミネアの知らないヴィルエイムがそこには居る。
「今日まで色々あったからね。でも明日からはゆっくり出来ると思うよ?……そうだ、今度二人で何処か遠出でもしようか。ミネア、行きたいところを考えておいて?」
ヴィルエイムはいつだって、ミネアの心を落ち着かせてくれる。
ヴィルエイムの言葉は、思いやりに溢れていてミネアを気遣ってくれて。
ミネアはそっとヴィルエイムの瞳を見つめる。
その瞳に見つめられると、恥ずかしくてむず痒くて、でも嬉しくもあって。
ずっとヴィルエイムの瞳の中に映っていたいと、そう思う。
「……ミネア?どうしたんだい?」
感情が込み上げてくる。
ヴィルエイムが呼ぶ、ミネアというその声があまりにも優しくて、朝の陽だまりのようで。
本当は全部話してしまいたい。何もかもさらけ出して、ヴィルエイムと共に歩める道を選びたい。
でもそれは、ミネアのエゴだ。
それを押し付けて、ヴィルエイムの人生をこれ以上狂わせる事はしてはいけない事だ。
だから全部、全部胸の中に押し込めて、喉から出そうになる感情を全部飲み込んで。
ただそれでも、止められなかった思いだけが自然と溢れる。
思わず、口からポロリと零れたその言葉は今のミネアが伝えたかった全てだった。

「——私、ヴィルの事が好きです」

好きなんて言葉では表しきれないくらい、ミネアにとってヴィルエイムは特別な存在なのだ。
たった半年。長い人生の中で見てみれば、雀の涙程の時間。
そんな少しの時間で、ミネアはヴィルエイムに恋をした。
これ以上好きな人は現れないと断言出来るくらい、ミネアはヴィルエイムを愛している。
「……っ、参ったなぁ。今日は何があっても手を出さないと決めていたのに……。私は思いの外堪え性の無い人間なのかもしれない。」
ヴィルエイムは一人でそうボヤくと、ミネアの頬に手を伸ばした。
瞬間、引力が引き合ったかのように二人の顔は近付く。
頭で考えるよりも先に、自然と身体が動いていた。
その距離、たったの三センチ。
ミネアは頬から伝わる熱に流されるように瞳を閉じる。
二人の唇が重なる。
柔らかくて、熱を帯びた唇が触れ合う。
時が止まったかのように、ミネアとヴィルエイムはただ欲のままにキスをした。
その時間はそう長くは無かったと思う。
ミネアから顔を離したヴィルエイムは、少し照れながら彼女の頬をさすった。
ゴツゴツと大きな手が、ミネアにはとても心地よくて、熱に浮かされている気分だった。

「私もミネアが好きだよ。——この世界で一番愛してる。」

ヴィルエイムの頬が月明かりに照らされる。
銀色に輝く髪がミネアの視界を奪う。
好きだと、言ってくれた。
愛していると、言ってくれた。
自分の好きな人が、自分を好きで居てくれた。
ミネアにとってそれ以上の幸福なんて、この世界の何処を探しても見当たらないだろう。
「…………っ」
自然と、ミネアの瞳からは涙が零れていた。
これは別れが悲しくて、寂しくて、辛くて泣いているのでは無いとミネアは悟る。
嬉しくて、幸せで、満たされているから泣いてしまうのだ。
ヴィルエイムは、子供のように泣きじゃくるミネアに何も言わず、ただ抱きしめた。
ミネアの鼓膜に、ヴィルエイムの心臓の音が響く。
とくん、とくんと音を奏でて、ミネアを守ってくれている。
大切な人の鼓動。
ミネアはそっとヴィルエイムの背中に手を回した。
二人の間に会話は要らなかった。
心が通じ合う感覚。何を語らずとも、繋がる体温で分かり合える。
それこそが、愛の証なのだとミネアは気付く。
ヴィルエイムの腕の中で、ミネアはふと考える。
このまま目を閉じて、何事も無かったかのように朝日を拝めたのなら。
それはもう叶わない幻想、想像。でも頭の中で思い描いてしまった。

「ミネア、おやすみ。また明日」
「……はい、また明日」

その明日は二度とやってこない。
こうしてヴィルエイムの鼓動を聞くことも、腕の中で寝る事も。
分かっているからこそ、ミネアは最後まで嘘をついた。
それが優しさからなのか、それとも自分自身の恐怖からなのかは分からない。
そこに確かな形は無く、もしかしたら歪で歪んでいるのかもしれない。
ぐちゃぐちゃの心をしまい込んで、ミネアはヴィルエイムの温もりに身を任せた。
出会いが間違っていたのか、選択が間違っていたのか。それは誰にも分からない。
もう過去を変えることは出来ない。
それでも今この瞬間だけは。二人の間に通う熱は、温度は、感触は。
全てをただ肯定していた。
ミネアの心は愛で満たされている。
怖くて、涙が溢れるくらいの愛情を抱いてミネアはただそっと目を瞑る。
ただ、お互いがお互いの鼓動を、呼吸を聞いて、満たされていくように眠りに着いた。

「——覚悟が決まったのですね。」

夢の中で、知っている声か聞こえてくる。
目の前に、一人の少女が立っていた。
ミネアの覚悟を、決断を、知っていたかのように少女は笑う。
「……はい、決めました。」
ミネアはこくりと頷いた。
後悔は、もう無い。まだ未来への不安は残っているけれど、この幸せな記憶を抱いて歩き出す勇気を手に入れた。
だからそれ以上は何も要らないのだ。
「あの、エーデルさん。一つだけ教えて貰いたい事があるんです。」
「何ですか?」
「……私はヴィルの元を去ります。でもそれは、ジルライムさんに言われたからじゃない。自分の意思で、彼から離れるんです。でももしも、それがジルライムさんの予想通りだとしたら……?ヴィルがこの先、私のせいで危険な目に遭うかもしれない。だから——」
ミネアは、少女に尋ねた。
それは少女にとって思いもよらぬ言葉で、思わず目を疑う。
「……本気、ですか?」
少女の前には、曇りなき眼で見つめるミネアの姿があった。
その視線から、彼女の意志の強さを感じる。
少女は悟った。
もう誰も、ミネアを止めることは出来ないのだと。
本当に愛しているから、本気で愛しているから。
だからこそ、ミネアはその道を選びとったのだと少女は感じる。
ならば、他に口を出すことは出来ない。
少女にできるのはただ、ミネアの質問に応えを導き出すだけ。

「分かりました。教えましょう。その言葉は——」

そして再びミネアは目を覚ます。
全てを終わらせる為に。全てを始める為に。
ミネアは月明かりの下で、ひっそりと微笑んだ。
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