アルスの日常

星月

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12月31日

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大晦日、エルの家にて。
アルスとエル、颯太がこたつを囲って暖をとっていた。

エル「今年ももう終わるね~...」

ぜんざいを食べながら、エルは呟いた。

アルス「やり残したことはないか?」

そういって、熱々のお茶をすするアルス。

エル「もう遅いよそれ」

時間は既に23時半を回っていた。
今更なにができると問われたら、かなり限定されるよね。

颯太「夜にアルスがいるの珍しいね」

眠そうな顔を見せるのは颯太。
エルの家に住んでいる、同い年の女子だ。
よく名前だけで男子だと間違われる。

アルス「たまに泊まりに来るくらいだからな。」

机に伏せる颯太を横目に見る。

アルス「ホンマはみんなで初詣にでも行こうと思ったんだけどな」

計画を立てるのが遅かったのか、既に他の友達は予定ができていた。
エル達は大体、大晦日は家で過ごすと言っていたので、御一緒させてもらうことにした。

颯太「ね~、寝ちゃだめ?」

睡魔に襲われ、目がほぼ開いていない様子の颯太。

エル「う~ん、折角だし3人で年を越したいし...あ、そうだ!」

ふと、なにかを思い出したエル。

エル「キッチンに年越しそばがあるよ、それ食べる?」

眠気覚ましになるか分からないが、用意したそばのことを思い出した。

颯太「お蕎麦あるの!?食べる!!」

颯太はこたつから飛び出て、キッチンへと向かっていった。

アルス「切り替えすげぇな。エルは行かなくていいのか?」
エル「ん~、分かりやすいところに置いてあるし、いいんじゃないかな。」

若干他人事。
そういうとこがエルらしい。

エル「ねぇ、アルス君。」
アルス「ん?どうした?」

エルはちょっと照れたような顔をした。

エル「来年も...一緒だったらいいね。」

片目に被る前髪をいじりながら、そう言った。

アルス「当たり前だろ、クラス分かれても毎日行ってやるわ。」
エル「そこまでしなくてもいいかな」
アルス「辛辣なんだよなぁ」

そんなとこもエルらしい。
なんて話をしてると、颯太が戻ってきた。

颯太「これでいーい?」

颯太は、ラップしてあるお椀を持ってきた。

エル「あ、うん!七味とかもあるからおすきなようにね。」
颯太「はーい」

颯太は、こたつに入り、そばにありついた。

颯太「そう言えば、なんでおそばなの?」
エル「さあ...食べやすいからじゃない?」

颯太とエルは疑問をぶつけた。

アルス「そばって他の麺より切れやすいよな。このことから、1年間の苦労なり厄災なりを絶ち切ることを比喩してるとかなんとかって聞いたことはあるが。」
颯太「うーん、難しい言葉は分からないよ。」

できるだけ簡潔にまとめたつもりだったが。

アルス「まあ、昔からの風習を俺ら現代人が受け継いでるってことだ。」
颯太「伝統みたいな?」
アルス「まあ、そういうことになるかな。」

颯太は、「ふーん」と言って、そばをすする。

アルス「俺も食うかな、そば。」

俺もそばを取りに、こたつから出ようとした。

エル「私も!」
アルス「ようそんな食えるな」

エルの前には、かつてぜんざいが入っていたお椀が置いてあった。
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