アルスの日常

星月

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2025年7月11日

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2025年7月11日

エルは放課後、アルスに誘われて、街角のカフェに足を運んでいた。

アルス「今日は俺の奢りや、すきなもん頼みや。」

彼はそう言って、メニューを私の前へ滑らせた。
訛りのある穏やかな声が、空間を柔らかく包む。

そう、アルスは私の誕生日を祝うために、ここへ連れてきてくれたのだった。

エル「やった!ありがとうアルス君!」

嬉しさが思わず声に滲む。
頬がふわっと緩むのが自分でも分かった。

そんな穏やかな時間の中、背後から明るい声が弾けた。

クレ「あ~アルス君!奇遇だね~!」

振り返るとそこには、クレの姿があった。
隣のクラスの、ムードメーカー的な存在の女子生徒。

彼女も私と同じく、ここのカフェの常連だ。
あの笑顔はいつもここで見かける。

そして聞く話によると、アルスのいとこなんだとか。

アルス「お~クレ、ほんま奇遇やな。」

彼はそう返すと、私の肩に軽く手を添えながら言った。

アルス「今日はエルの誕生日や、クレからも祝ったってや。」

それを聞いたクレの瞳がぱっと輝いた。

クレ「そうなの!おめでと~!」

笑顔のまま私の隣に立つと、彼女はすっと目線を合わせてくれた。

エル「ありがとう!祝ってもらえて嬉しい!」

私がそう返すと、クレは小さく頷いて、楽しそうに続けた。

クレ「じゃあ私が、なにかすきなもの奢ってあげる!」
アルス「いやそれ俺の役割やねんけど」

その瞬間、アルスが慌てて口を挟んだ。

クレ「そうだったの!じゃあどうしよっかな~?」

少しの間考えると、クレはフードメニューのショーケースの前に歩み寄る。
そして、サンドイッチを一つ選んだ。

クレ「じゃあ私からはこれ!エルちゃん、よくこれ食べてるでしょ~?」

思わず目を見張る。
なんと、彼女は私の好みまで知っていたのだ。

エル「いいの!?ありがとう、クレちゃん!」

そう言って私はクレの手を握ると、彼女も笑顔でぎゅっと握り返してくれた。

アルス「二人仲良かったんか、常連同士の繋がりとかあるんかね。」

そんな問いに、エルとクレは声を揃えて「ううん、今が初めての会話!」と言った。

アルス「なんやね~ん」

それでも不思議と、話が弾んだ。
きっと、私たちは似たような温度の空気をまとっている。

初めてだけど、どこか懐かしい。
そんな出会いだった。
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