ワガママボディは我侭ボーイに弱い

松葉ぼたん

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1話

 「まやちゃん、ぼくのおよめさんになって!」

 折り紙で作ったピンク色のチューリップを差し出し、真っ赤なほっぺでプロポーズしてきたのは、青い幼稚園スモックが愛らしい男の子だった。
 その頃の吉川摩耶よしかわまやは同級生の女児より発育が早く、そのせいか少々おませさんで小生意気だった。
 自分自身がランドセルを背負った子供だったのに、「結婚は大人になってからだし。子供はちょっと……大人になったらまたね」などとお姉さんぶってドヤ顔をしたものだ。
 摩耶にプロポーズした男の子、篠塚智章しのづかちあきは家がお隣同士で家族ぐるみの付き合いが有り、5才お姉さんだった摩耶は母親同士がお喋りに興じる間はずっと智章の相手をしていた。
 小さな智章は女の子ように――それこそ摩耶よりも可愛らしく、あまりの可愛さに「智章くんは私が守らないと!」と訳のわからない使命感に燃えたりもしたものだ。

 その使命感は智章が小学生になっても続いたものの、さすがに高学年になった頃には智章も摩耶のお節介を恥ずかしがるようになってお姉さんの役目は終わった。
 摩耶にしてみれば進学するまで、智章は弟同様の庇護する相手だった。

 5才年上だった摩耶は進学のため上京し、そのまま東京で就職したために智章とは帰省した時にしか合わなくなったが、摩耶が智章に会いに行っても決して嫌がらない。さすが姉貴分とちょっぴり鼻が高かった摩耶だ。
 智章は会うたびに可愛さよりも凛々しくなり、摩耶の方と言えば成熟した体を隠すように地味な装いになってしまった。

 なんとなく格差を感じた摩耶は、きっと智章は子供の頃のプロポーズなど忘れているだろうと思っている。
 長じるほど智章は近隣で有名な美少年に変貌していたし、智章がモテるのは整った容姿と物腰の柔らかさを見れば明らかだ。
 智章の母親に聞けば、バレンタインは山盛りのチョコを貰うそうだ。
 そのくせ摩耶ちゃんから今年は貰えなかったって拗ねるのよなんて聞かされれば、面映い嬉しさとちょっとだけ優越感に満ちた気分になったりもしたものだ。

 ……智章が母親に愚痴ったのは、甘える弟が姉からチョコレートを貰えなかった、実際はその程度のことなのだと理解していたのだが。

 そう。
 弟みたいだった。
 ずっとそう思っていた。

 ――けれど。



 「ねぇ、摩耶ちゃん。もっと俺に摩耶ちゃんが許してくれないところ、ちゃんと見せて?」

 声変わりして何年も経つ智章の声は甘さを含んだ少し低めの声だ。ゆっくりとした声が摩耶の鼓膜を舐めるみたいに侵食していく。
 そうやって鼓膜から侵食した声は、摩耶の理性をいつだって削ってくる。

 今日、今も。

「……、ん、ちょっと……だけだから、ね?」

 人を駄目にすると評判のクッションに背中を預け、摩耶は智章に向けて膝丈のスカートを捲り上げて見せた。
 肉感的な太ももは白く、地味なブラウスやスカートに反して下着は派手で扇情的なデザインだ。
 去年までの摩耶なら、下着などブラとショーツも上下の揃わない機能性重視の地味なデザインで済ませていただろうが、今は違う。

「やだなぁ、摩耶ちゃん。今日、そんなエッチな下着で会社に行ってたんだ? しかもそんなビショビショにしてさ、恥ずかしくなかったの?」

 赤いレースとシースルーが組み合わさったショーツはすでに濡れて変色し、生地の面積が小さいショーツからはみ出るほどぷっくりした肉の花びらが愛液に濡れて艶を生んでいる。

「摩耶ちゃん、もっと見せてよ。摩耶ちゃんの濡れて溢れている恥ずかしいところ、ナカまでよく見せて?」
「……ん、んんッ、み、見せてる、の、にぃ……ッ」

 カリカリと智章の声が理性を削って引き千切った。
 声を呼気で乱しながら、腰骨のあたりで結んでいたショーツの紐を解けば、溢れた愛液を吸って重くなっていた赤い生地が捲れて剥がれていく。

 いつだってそうだ。

 摩耶は智章のお願いと我侭には弱いのだ。
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