トラガール

詩織

文字の大きさ
1 / 35

まだまだ慣れてないけど

しおりを挟む
「次こっちねー」

「はい!」

重い…多分20キロくらいある材木を運び現場に搬入する。

時間も決まってるし、休むことなんかできない。

なん往復もして、ようやく完了!

「じゃ、またおねがいします!」

トラクックに乗り、エンジンをかけて発信する。

トラックは4トンのトラック。

仕事はトラックの運転手だけど、内容は色々あり、建築現場、モデルルームの家具、引っ越し、食料品、その他諸々色々ある。

トラックの運転手だけかと思いきや、荷積み、荷卸までやるので大型免許以外にもフォークリフトの免許まで取得している。

はじめこそ、5キロの荷物を持つのも時間がかかり、使い物にならなかったけど、今では30~40キロまではなんとか持って歩けるまでになった。

ほぼ1日で終わる短距離が多いが、最近は少しだけ長距離も頼まれるようになった。

お陰で筋肉もついてしまってる。


この仕事をはじめて2年半。入ったときはまた女?すぐ辞めるだろ?みたいな目で見られてた。実際入った女性のほとんどがすぐ辞めてしまうので、私も同じように見られてたがまさかここまで続くとは思ってなかったようだ。


篠山志奈乃しのやましなの、そろそろ27歳。彼氏ナシ。休みの日は仕事で疲れて爆睡する毎日を過してることが半年前までは多かったが、少しだけ動ける余力が出てきた。

その前は商社で経営部に所属。

そこで4年努めて、社内恋愛して結婚の話までしていた。

なのに…

魔が差したと浮気をされ、はじめは許してとか言ってたのに、途中で開き直って言い返され

『お前、女としての魅力少ないんじゃない?』

と、言うもんだからブチッとキレた。その後は私に落ち度がある的なことを言われて、結局は結婚もなかったことになって別れた。

それを面白がって噂を広める人がいて、私はもう可愛そうな人になってしまい、こんな環境に疲れて退職をし、現在のこの仕事に就いた。


はじめはほぼ白い目で見られてた。

どうせすぐ辞めるだろ!そんな目。

でも悔しくって絶対にやめないと死にものぐるいで頑張った。

今の搬入した建築現場もはじめ来たときは、いい顔されてなかったけし、おっかない顔して言い方もキツイけど、しばらくすると帰る間際にチョコレートくれたり、缶コーヒーくれたりして、顔や態度は変わらないけど少しは違う風に見てくれてるんだなって思えた。

さて今日は早く帰れるし、溜めてた洗濯でもしよー

昔のように、早く帰れるからショッピングでも…なんてのは全く無く、実用的な生活だけになってしまった。

家に帰って洗濯してると、スマホが鳴り見ると商社時代の同期の安田耀子やすだようこからだった。

「志奈乃ー!元気だった?」

辞めたあともよく飲みに行ってたが、少し休んだあとにこの仕事に就いたら飲みに行く余力がなく、ほとんど会ってなかった。

でも、チャットとかでは連絡してていつも私の味方でいてくれて嬉しかった。

「うん。ボチボチねー」

「あのさ、合コン行かない?」

「え?」

そんなの全く無縁だったので

「いやー、いいよ!全く行ってないし」

「じゃ、尚更行こうよ!会社の人誰もいないし、女子は私の学生時代の友達だったりだからさ」

「うーん、でもさ仕事でトラックの運転手てさ、引かない、」

「いいじゃん、商社で仕事してることにすれば。実際してたんだし」

と、そのあとはも乗り気ではないけど、凄い押された感じになって結局行くことになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

ひとつ屋根の下

瑞原唯子
恋愛
橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。 純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。

(完結保証)大好きなお兄様の親友は、大嫌いな幼馴染なので罠に嵌めようとしたら逆にハマった話

のま
恋愛
大好きなお兄様が好きになった令嬢の意中の相手は、お兄様の親友である幼馴染だった。 お兄様の恋を成就させる為と、お兄様の前からにっくき親友を排除する為にある罠に嵌めようと頑張るのだが、、、

声(ボイス)で、君を溺れさせてもいいですか

月下花音
恋愛
不眠症の女子大生・リナの唯一の救いは、正体不明のASMR配信者「Nocturne(ノクターン)」の甘い声。 現実の隣の席には、無口で根暗な「陰キャ男子」律がいるだけ。 ……だと思っていたのに。 ある日、律が落としたペンを拾った時、彼が漏らした「……あ」という吐息が、昨夜の配信の吐息と完全に一致して!? 「……バレてないと思った? リナ」 現実では塩対応、イヤホン越しでは砂糖対応。 二つの顔を持つ彼に、耳の奥から溺れさせられる、極上の聴覚ラブコメディ!

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

竜人のつがいへの執着は次元の壁を越える

たま
恋愛
次元を超えつがいに恋焦がれるストーカー竜人リュートさんと、うっかりリュートのいる異世界へ落っこちた女子高生結の絆されストーリー その後、ふとした喧嘩らか、自分達が壮大な計画の歯車の1つだったことを知る。 そして今、最後の歯車はまずは世界の幸せの為に動く!

離した手の温もり

橘 凛子
恋愛
3年前、未来を誓った君を置いて、私は夢を追いかけた。キャリアを優先した私に、君と会う資格なんてないのかもしれない。それでも、あの日の選択をずっと後悔している。そして今、私はあの場所へ帰ってきた。もう一度、君に会いたい。ただ、ごめんなさいと伝えたい。それだけでいい。それ以上の願いは、もう抱けないから。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

処理中です...