トラガール

詩織

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今日の仕事は…

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朝7時半には出勤して、今日の行程をみる。

今日は建設現場の資材の搬入。

ここの現場監督さんとは何度か会ってる。

トラックに乗り込み、まずは荷積みする工場に到着。

「あら、今日は篠山ちゃんかい?」

事務所のおばちゃんとは、何度も顔をあわせてて名前も覚えてくれてた。

「おはようございます。よろしくおねがいします」

フォークリフトで荷物をトラックに積んでるとき

「いつも元気だねー」

ここの工場長はいつもニコニコしてて、私に牛乳パックをくれた。

「ありがとうございます」

手早く荷積みを完了し出発した。

向かう先は都心のビル建築現場。

都心は交通渋滞もある。大きいトラックだと抜け道も限られてる。

昼前には到着して

資材を荷卸。

トラックから女性が降りると見慣れてないから、マジマジと見る人もたまにいる。そんなのもう慣れたので気にせず自分の仕事に集中して仕事をする。

荷卸をしてるとき、チラチラと現場の人がこっちをみてたけど、気にせずはしてた。けど…何気に目をやると…

「えっ!?」

この間の合コン男。

スーツを着てヘルメットをかぶってる。

そして、じっとこっちをみてる。



まじか!!

はぁーーー

まぁいっか。

深入りしなければいいし

「なに?知り合い?」

「はい?」

現場監督さんが声をかけてくれた。

合コン男をの方を見て言ったので

「あ、いえ」

「この現場の設計士さんだよ」

「そうなんですか」

こんなでかいビルの設計士さんか。凄いな。

資材を卸しおえて、トラックに乗ろうとすると

「ねぇ」

振り向くと

「…あっ、ども」

例の合コン男だ。

「やっぱり商社勤務じゃなかったんだ」

「元商社です」

「ふーん」

不敵な笑みで見られる。

気分悪!!

まぁ、騙したこっちも悪いけど

私はトラックに乗り発進した。

事務所に戻ったのは15時前。

以前は暗くなることなんか当たり前だった。

慣れないといつまでたっても時間がかかる。

「お先失礼します!」

簡単な日報を記入して業務は終了。

と、この日はこんな感じ終わった。


私にとっては、もう会うこともないと思ってた合コン男だが、その2週間後、別の資材の搬入をすることになる。

まぁ設計士さんって毎回現場にいるわけでないしね、会うことも…

と思ってたら居るし。

私は黙々と資材を荷卸してた。

ふーんって感じで見てる合コン男。

なんなの!?

興味本位で見られたりするのは慣れてるから気にしないで搬入しよう。

サクサクとやって終了し、終わったことを告げて帰ろうとしたとき

後ろに誰か居るのを感じ振り向いたら、例の合コン男。

「な、なにか?」

「いや、仕事してるんだなーと思って」

はぁ!?どういう意味?

ツッコミ入れるのも面倒なんで、早く帰ろう

トラックのドアを開けた時

「確か篠山さんだよね?」

と言われて一瞬止まる。

「な、なに?」

「合コン行ったってことは彼氏ないないってことだよな?」

「あれは…、友達に人足りないって言われたから出ただけ。でも女性のが1人多かったし」 

「なるほど」

「もういいかな?」

確かにいい男だけど、こんな化粧も決めてないし、髪の毛も適当に1つまとめ、汗まみれの女に声かけてどうするんだか…

「またな」

近くにきて、その男はいなくなった。

ただの興味本位で声かけただけか。

まぁ、以前はトラック運転する若い女ってだけで面白がって声かけてきた人も多かったしな。

トラクックを発進させて、事務所に戻る。キーを返そうと事務所に入って上着のポケットに手を突っ込んだとき

「?」

なに?

ポケットから出すと

大手の建設会社の名刺があった。

一級建築士 植原翔悟うえはらしょうご



なにこれ?こんなのどこで…

あっ!?まさか合コン男?

全く気づかなかった。

一瞬近くに来たと思ったら…

て、名刺入れてどうするんだか…

よくわからない行動に疑問が多い。

あっ!!

後ろには多分携帯の番号が書かれてた。

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