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3A-街道と魔物
3A-07 厄介者か宝か
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しばらく山道を馬車で上り進むと、山中に築かれた関門が見えてきた。
「ここでパール領は終わります。先に見えるのがパール/カンティアの領境門で、その奥がカンティア領の最初の集落ナーボイです」
「ナーボイは鉱石と精錬金属を扱う街村だ。土魔法を使う者にとっては天国のような場所だろう」
狭い山間の一本道。貴族優先の道はなく、関門でしばらく順番を待つことになった。
「売り買いだけでなく、見るだけでも勉強になる。クリスティーヌ、今日はここで一泊か?」
「そうね。ここから先は夜営になるでしょうし、いつもの宿に泊まりましょう。別々より警備も楽ですから」
順番が来て、兵士が御者のバルサムに声をかける。
「ここからはカンティア領・ナーボイとなる」
「こちらはパール領主所縁の一行だ。融通を願いたい」
馬車にはクリスティーヌ様が乗っている。紋章も掲げてあるため、兵士は慌てて頭を下げた。
「失礼しました。規定通り、検問の魔導具にご協力を」
「了解した。誘導を頼む」
馬車は門下に止められ、順に検問を受ける。クリスティーヌ様はチャームを通し、白色の光で通過。エリス様、パラケル師も同様。リンネや冒険者は身分石、御者と侍女はチャーム。自分のチャームも白色に光り、問題なく通過した。
門を抜け、馬車はナーボイの街へ。谷間に広がる街村で、道沿いに民家が並び、平地には金属抽出後のクズ石が山積みされている。遠くには高い煙突が林立し、白煙が空へと昇っていた。匂いは気にならない。自分が作った煙突よりも高く設けられており、拡散が効いているのだろう。
街道には商人が行き交い、路上で取引の声が飛び交う。
「ここは周辺の鉱石が集まり、加工され、売買される。魔銅、魔鉄、魔銀もある。魔導具用の金属もここで揃う。エザックもここから仕入れているはずだ」
なるほど、叔父エザックさんが調達できた理由が分かった。
街の中心に広場があり、その周囲に教会やギルドが並ぶ。宿屋「ゴシティエ」の前で馬車が止まった。
「ここが常宿だ。主人、また頼む」
「これはこれは!『三重の魔』の皆様! お久しぶりでございます」
案内されたのは二階の団体用フロア。使用人部屋四室と客間三室、共用の広間。木の温もりと石の冷たさが調和し、落ち着いた雰囲気を醸す。天井には魔導具化されたシャンデリアが吊るされていた。
「私とエリスは少し休むわ。パラケルは?」
「夕食まで時間がある。小僧たちと外を見てくる」
「頑張って値切ってきなさいな」
パラケル師に案内され、リンネと冒険者三人と共に街を歩く。工房と民家が並び、中央にはヘルメス教会。ホーミィー村と同じ配置だ。
「討伐したものはどこで売れば?」
「知り合いの商店を紹介しよう。信頼できる商人だ」
案内されたのは「ジェリック鉱物店」。店主ドルフリーが迎える。
「道中で狩った魔物を買い取ってほしい」
冒険者たちが戦利品を並べる。
「マフィク五体、キュプ六体、核もあるな。……サルフゴーレムは仕舞え。買い取り不可だ」
「せっかく拾ったのに……」コカルスが肩を落とす。
「逆にサルファは買えますか?」
「小僧、知らんのか? この辺りでは腐るほどある。お荷物鉱物だ」
「なら、純度の高いものをもらい受けたいです」
「本当に欲しいのか? 雨に濡れると臭くなるし、廃坑に捨てるにも経費がかかる厄介者だぞ」
「ええ。三山分くらいなら大丈夫です」
商人仲間を呼び、倉庫の不良在庫を案内される。自分はアイテムボックスに三山分のサルファを収納した。
「助かった。ゴーレムの買い取りに上乗せして銀貨百枚を支払おう」
ベーガとルンフは喜び、コカルスも安堵する。パラケル師は言った。
「精錬して純鉱物にすればさらに高値になる。修練にもなるぞ」
「精錬されたら我々の旨味が減る!」とドルフリーは苦笑する。
それでも彼は在庫を丁寧に説明してくれた。
「マフィクからは魔鉄、キュプからは魔銅。アルゲンからは魔銀が取れる。ここには無いが取引はある。魔銀は学院や魔導ギルド、そして隣にいる爺さんが大口の顧客だ」
「それほど使っていないだろう?」とパラケル師。
「いやいや、湯水のごとく使うのはあんただけだ! 全部魔銀で造る贅沢な魔導具だ。たまには鉄も使ってくれ!」
パラケル師は笑って受け流す。性能こそが全て、経済性など二の次。彼の魔導具は一点物の芸術品であり、量産や利益とは無縁なのだ。
「ここでパール領は終わります。先に見えるのがパール/カンティアの領境門で、その奥がカンティア領の最初の集落ナーボイです」
「ナーボイは鉱石と精錬金属を扱う街村だ。土魔法を使う者にとっては天国のような場所だろう」
狭い山間の一本道。貴族優先の道はなく、関門でしばらく順番を待つことになった。
「売り買いだけでなく、見るだけでも勉強になる。クリスティーヌ、今日はここで一泊か?」
「そうね。ここから先は夜営になるでしょうし、いつもの宿に泊まりましょう。別々より警備も楽ですから」
順番が来て、兵士が御者のバルサムに声をかける。
「ここからはカンティア領・ナーボイとなる」
「こちらはパール領主所縁の一行だ。融通を願いたい」
馬車にはクリスティーヌ様が乗っている。紋章も掲げてあるため、兵士は慌てて頭を下げた。
「失礼しました。規定通り、検問の魔導具にご協力を」
「了解した。誘導を頼む」
馬車は門下に止められ、順に検問を受ける。クリスティーヌ様はチャームを通し、白色の光で通過。エリス様、パラケル師も同様。リンネや冒険者は身分石、御者と侍女はチャーム。自分のチャームも白色に光り、問題なく通過した。
門を抜け、馬車はナーボイの街へ。谷間に広がる街村で、道沿いに民家が並び、平地には金属抽出後のクズ石が山積みされている。遠くには高い煙突が林立し、白煙が空へと昇っていた。匂いは気にならない。自分が作った煙突よりも高く設けられており、拡散が効いているのだろう。
街道には商人が行き交い、路上で取引の声が飛び交う。
「ここは周辺の鉱石が集まり、加工され、売買される。魔銅、魔鉄、魔銀もある。魔導具用の金属もここで揃う。エザックもここから仕入れているはずだ」
なるほど、叔父エザックさんが調達できた理由が分かった。
街の中心に広場があり、その周囲に教会やギルドが並ぶ。宿屋「ゴシティエ」の前で馬車が止まった。
「ここが常宿だ。主人、また頼む」
「これはこれは!『三重の魔』の皆様! お久しぶりでございます」
案内されたのは二階の団体用フロア。使用人部屋四室と客間三室、共用の広間。木の温もりと石の冷たさが調和し、落ち着いた雰囲気を醸す。天井には魔導具化されたシャンデリアが吊るされていた。
「私とエリスは少し休むわ。パラケルは?」
「夕食まで時間がある。小僧たちと外を見てくる」
「頑張って値切ってきなさいな」
パラケル師に案内され、リンネと冒険者三人と共に街を歩く。工房と民家が並び、中央にはヘルメス教会。ホーミィー村と同じ配置だ。
「討伐したものはどこで売れば?」
「知り合いの商店を紹介しよう。信頼できる商人だ」
案内されたのは「ジェリック鉱物店」。店主ドルフリーが迎える。
「道中で狩った魔物を買い取ってほしい」
冒険者たちが戦利品を並べる。
「マフィク五体、キュプ六体、核もあるな。……サルフゴーレムは仕舞え。買い取り不可だ」
「せっかく拾ったのに……」コカルスが肩を落とす。
「逆にサルファは買えますか?」
「小僧、知らんのか? この辺りでは腐るほどある。お荷物鉱物だ」
「なら、純度の高いものをもらい受けたいです」
「本当に欲しいのか? 雨に濡れると臭くなるし、廃坑に捨てるにも経費がかかる厄介者だぞ」
「ええ。三山分くらいなら大丈夫です」
商人仲間を呼び、倉庫の不良在庫を案内される。自分はアイテムボックスに三山分のサルファを収納した。
「助かった。ゴーレムの買い取りに上乗せして銀貨百枚を支払おう」
ベーガとルンフは喜び、コカルスも安堵する。パラケル師は言った。
「精錬して純鉱物にすればさらに高値になる。修練にもなるぞ」
「精錬されたら我々の旨味が減る!」とドルフリーは苦笑する。
それでも彼は在庫を丁寧に説明してくれた。
「マフィクからは魔鉄、キュプからは魔銅。アルゲンからは魔銀が取れる。ここには無いが取引はある。魔銀は学院や魔導ギルド、そして隣にいる爺さんが大口の顧客だ」
「それほど使っていないだろう?」とパラケル師。
「いやいや、湯水のごとく使うのはあんただけだ! 全部魔銀で造る贅沢な魔導具だ。たまには鉄も使ってくれ!」
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