24 / 259
1C-試行と結果
1C-04 工程の探究
しおりを挟む
パラケル爺さんからの課題――
目指すは「普及品」のポーション。
自分の魔力を使う以上、試行錯誤は避けられない。
包丁で薬草を刻み、川の水に浸す。
火魔法で加熱し、温度が上がったところで魔素を徐々に分離。
熱いうちに布で漉し、ビーカーに移して終了。
工程は約十分。薬草五本で百ミリリットルの瓶一本分ができる。
完成品をパラケル爺さんに【鑑定】してもらったところ――
判定は「劣化品」だった。
目に魔力を溜めるコツを教わり、何度か練習を重ねる。
集中してポーション作りに取り組むと、詳しい情報が見えるようになった。
これが【物質鑑定】のスキルなのか?
初見の物質は、集中しないと情報が得られない。
レベルがあるとすれば、確実に低いスタートだ。
魔力を目に集め、残渣と完成品を精査する。
抽出が甘く、自分の魔力が混入していることが判明。
魔素の分離が不完全だった。
一息入れて素材について考える。
パラケル爺さんは、いつものように奥へ引っ込んでしまった。
この世界では、アイテムボックス持ちが多い。
薬草はそのまま納品されるが、商店の仕事柄、【鑑定】による選別があるため偽物はまず出ない。
ただし、流通は貧弱。
アイテムボックスの存在が、流通の発達を妨げている。
個人の能力で補っているからだ。
消費と流通は、領内でほぼ完結している。
今使っている薬草は、ホーミィー村産。
薬草を【物質鑑定】で確認。
魔力を目に集め、魔素の状態を見る。
魔素は偏っていた。
葉と頭花にしか存在せず、茎と根には魔素がない。
この薬草――カワラヨモギ。
薬効部位は頭花のみだったはず。
全草100とすると、使用部位は30程度。
抜いてきた薬草をそのまま使うのは非効率。
保存にもかさばるし、扱いづらい。
まずは乾燥。
水魔法で植物内部の水を制御し、ビーカーへ移動。
服を乾かすときのような制御で、水分を抜く。
魔素には干渉しないよう、細心の注意を払う。
乾燥後、根と茎を手で除去。保護手袋が欲しいところだ。
全草100が、嵩で30程度に減少。
乾燥と部位選定を布の上で実施。
材料をかき集め、天秤で重量を測定。
部位選定と乾燥工程で、重量は1/10、嵩は1/3に圧縮。
これを出発材料として、各種条件を振って試験を行う。
ビーカーの水を再利用し、水に浸す。
今回は魔力を使わず、熱水抽出。
液量は半量で試し、抽出操作を3回に分けて行う。
最終的な水分量は同量に調整。
【物質鑑定】の結果――
「普及品(高)」の判定。
等級の中にも細かいランクがあることが判明した。
試行錯誤を重ね、あっという間に一週間が経過。
教本通りでも、条件を満たせば「普及品」ポーションは作れる。
ただし、その条件は厳しい。
- 全草を使用しない
- 乾燥させる
- 使用部位を選ぶ
- 抽出操作を三回に分ける
この知見は大きな収穫だった。
魔術師でなくても、工夫次第で品質を上げられる。
教本の解釈の違いか、内容に意図的な変化があるのかは不明。
ポーションは魔導師ギルドの専売。
魔術工程を組み込むことで、魔素の拡散を防ぎ、品質を向上させる。
パラケル爺さんの言葉通りだった。
一連の鑑定データをノートにまとめる:
*劣化、***普及、*****一級
* 全草・刻み・1回抽出
*** 全草・刻み・1回抽出(魔)
*****全草・刻み(魔)・1回抽出(魔)
** 全草・乾燥・刻み・1回抽出
*** 全草・乾燥・刻み・3回抽出
******全草・乾燥(魔)・刻み(魔)・1回抽出(魔)
*** 部位選定・乾燥・刻み・1回抽出
**** 部位選定・乾燥・刻み・3回抽出
*******部位選定・乾燥(魔)・刻み(魔)・1回抽出(魔)
部位選定と乾燥工程を挟むことで、高品位のポーションが作りやすくなった。
魔術工程は、魔素と有効成分の抽出選別を無意識に行っているのかもしれない。
品質向上がしやすい理由だろう。
かつては一般人による抽出が主流だったが、効率的な魔導師の専売品へと移行したのだろう。
部位選定を行い、すべての工程に魔術を使用した結果――
一級品を超える「特級品(高)」ができてしまった。
これはまずい。封印だ。
パラケル爺さんの作った等級を超えてしまった。
面白いのは、魔力を使わずとも三回抽出すれば「普及品(高)」が作れること。
魔術工程を増やすと、ランクは一つずつ上がる。
ただし、全草からの抽出よりも伸びは少ない。
味の評価も判明した。
特級品(高)は、えぐみが少なく飲みやすい。
劣化品は、服用がきついほどのえぐみがある。
等級の判断基準は、味と飲みやすさ。
効果は、普及品から特級品まで一定。
一定の品質以上は、味で判定される。
はじめは、ポーションを作るだけだった。
だが、【物質鑑定】の習得と、魔術工程の検証まで進んでしまった。
やりすぎた感はある。反省もしている。
抽出工程に工夫を凝らしたが、効果効能は変わらなかった。
ポーションの効能は「これ」と決まっているのか?
疑問は、さらに深まっていく。
次なる課題は、ポーションの「効果の本質」だろうか。
魔素と薬効の関係性。
魔力の干渉と人体への影響。
薬師としての探究は、まだ始まったばかりだ。
目指すは「普及品」のポーション。
自分の魔力を使う以上、試行錯誤は避けられない。
包丁で薬草を刻み、川の水に浸す。
火魔法で加熱し、温度が上がったところで魔素を徐々に分離。
熱いうちに布で漉し、ビーカーに移して終了。
工程は約十分。薬草五本で百ミリリットルの瓶一本分ができる。
完成品をパラケル爺さんに【鑑定】してもらったところ――
判定は「劣化品」だった。
目に魔力を溜めるコツを教わり、何度か練習を重ねる。
集中してポーション作りに取り組むと、詳しい情報が見えるようになった。
これが【物質鑑定】のスキルなのか?
初見の物質は、集中しないと情報が得られない。
レベルがあるとすれば、確実に低いスタートだ。
魔力を目に集め、残渣と完成品を精査する。
抽出が甘く、自分の魔力が混入していることが判明。
魔素の分離が不完全だった。
一息入れて素材について考える。
パラケル爺さんは、いつものように奥へ引っ込んでしまった。
この世界では、アイテムボックス持ちが多い。
薬草はそのまま納品されるが、商店の仕事柄、【鑑定】による選別があるため偽物はまず出ない。
ただし、流通は貧弱。
アイテムボックスの存在が、流通の発達を妨げている。
個人の能力で補っているからだ。
消費と流通は、領内でほぼ完結している。
今使っている薬草は、ホーミィー村産。
薬草を【物質鑑定】で確認。
魔力を目に集め、魔素の状態を見る。
魔素は偏っていた。
葉と頭花にしか存在せず、茎と根には魔素がない。
この薬草――カワラヨモギ。
薬効部位は頭花のみだったはず。
全草100とすると、使用部位は30程度。
抜いてきた薬草をそのまま使うのは非効率。
保存にもかさばるし、扱いづらい。
まずは乾燥。
水魔法で植物内部の水を制御し、ビーカーへ移動。
服を乾かすときのような制御で、水分を抜く。
魔素には干渉しないよう、細心の注意を払う。
乾燥後、根と茎を手で除去。保護手袋が欲しいところだ。
全草100が、嵩で30程度に減少。
乾燥と部位選定を布の上で実施。
材料をかき集め、天秤で重量を測定。
部位選定と乾燥工程で、重量は1/10、嵩は1/3に圧縮。
これを出発材料として、各種条件を振って試験を行う。
ビーカーの水を再利用し、水に浸す。
今回は魔力を使わず、熱水抽出。
液量は半量で試し、抽出操作を3回に分けて行う。
最終的な水分量は同量に調整。
【物質鑑定】の結果――
「普及品(高)」の判定。
等級の中にも細かいランクがあることが判明した。
試行錯誤を重ね、あっという間に一週間が経過。
教本通りでも、条件を満たせば「普及品」ポーションは作れる。
ただし、その条件は厳しい。
- 全草を使用しない
- 乾燥させる
- 使用部位を選ぶ
- 抽出操作を三回に分ける
この知見は大きな収穫だった。
魔術師でなくても、工夫次第で品質を上げられる。
教本の解釈の違いか、内容に意図的な変化があるのかは不明。
ポーションは魔導師ギルドの専売。
魔術工程を組み込むことで、魔素の拡散を防ぎ、品質を向上させる。
パラケル爺さんの言葉通りだった。
一連の鑑定データをノートにまとめる:
*劣化、***普及、*****一級
* 全草・刻み・1回抽出
*** 全草・刻み・1回抽出(魔)
*****全草・刻み(魔)・1回抽出(魔)
** 全草・乾燥・刻み・1回抽出
*** 全草・乾燥・刻み・3回抽出
******全草・乾燥(魔)・刻み(魔)・1回抽出(魔)
*** 部位選定・乾燥・刻み・1回抽出
**** 部位選定・乾燥・刻み・3回抽出
*******部位選定・乾燥(魔)・刻み(魔)・1回抽出(魔)
部位選定と乾燥工程を挟むことで、高品位のポーションが作りやすくなった。
魔術工程は、魔素と有効成分の抽出選別を無意識に行っているのかもしれない。
品質向上がしやすい理由だろう。
かつては一般人による抽出が主流だったが、効率的な魔導師の専売品へと移行したのだろう。
部位選定を行い、すべての工程に魔術を使用した結果――
一級品を超える「特級品(高)」ができてしまった。
これはまずい。封印だ。
パラケル爺さんの作った等級を超えてしまった。
面白いのは、魔力を使わずとも三回抽出すれば「普及品(高)」が作れること。
魔術工程を増やすと、ランクは一つずつ上がる。
ただし、全草からの抽出よりも伸びは少ない。
味の評価も判明した。
特級品(高)は、えぐみが少なく飲みやすい。
劣化品は、服用がきついほどのえぐみがある。
等級の判断基準は、味と飲みやすさ。
効果は、普及品から特級品まで一定。
一定の品質以上は、味で判定される。
はじめは、ポーションを作るだけだった。
だが、【物質鑑定】の習得と、魔術工程の検証まで進んでしまった。
やりすぎた感はある。反省もしている。
抽出工程に工夫を凝らしたが、効果効能は変わらなかった。
ポーションの効能は「これ」と決まっているのか?
疑問は、さらに深まっていく。
次なる課題は、ポーションの「効果の本質」だろうか。
魔素と薬効の関係性。
魔力の干渉と人体への影響。
薬師としての探究は、まだ始まったばかりだ。
326
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
ダンジョン学園サブカル同好会の日常
くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。
まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。
しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。
一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。
【収納】スキルでダンジョン無双 ~地味スキルと馬鹿にされた窓際サラリーマン、実はアイテム無限収納&即時出し入れ可能で最強探索者になる~
夏見ナイ
ファンタジー
佐藤健太、32歳。会社ではリストラ寸前の窓際サラリーマン。彼は人生逆転を賭け『探索者』になるも、与えられたのは戦闘に役立たない地味スキル【無限収納】だった。
「倉庫番がお似合いだ」と馬鹿にされ、初ダンジョンでは荷物持ちとして追放される始末。
だが彼は気づいてしまう。このスキルが、思考一つでアイテムや武器を無限に取り出し、敵の魔法すら『収納』できる規格外のチート能力であることに!
サラリーマン時代の知恵と誰も思いつかない応用力で、地味スキルは最強スキルへと変貌する。訳ありの美少女剣士や仲間と共に、不遇だった男の痛快な成り上がり無双が今、始まる!
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる