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1D-窯業と産業
1D-15 *指導と競争心
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半日かけて沢を越え、山の反対側にあるマーロ村へと移動した。レッドの検証によれば、こちらの磁器は薄い青みを帯びた色合いになるはずだ。村に到着すると、村長ウォルターが出迎えてくれた。
「ようパラケル。会議では大変だったな」
「ようウォルター。領主案件だ。隠居しているとはいえ、弟子の後始末だからな」
ウォルターとは昔からの付き合いだ。相談役として統治側に回ったときも、以前と変わらず気さくに接してくれた男である。ただし、ピレネ村に対しては昔から強いライバル心を抱いている。面倒な性格だが、今回はそれを利用できる。品質を貴族に通用する水準まで引き上げる必要がある以上、競争心は管理を容易にする。商人の言葉を借りれば「競争は成長の糧となる」だ。
「担当者を連れてきている」
村長が二人を呼び寄せた。
「元相談役のパラケルだ。ホーミィー村で隠居していたが、弟子の件で駆り出されている」
「著名なパラケル師に来ていただけるとは恐縮です。マーシュと申します。こちらは双子のスタウトです」
「スタウトです」
二人とも三属性持ちで、マーシュは風、スタウトは水を加えている。手先も器用で、自警団では魔術師担当を務めていたという。学院を出ているが、両親のために村へ戻ってきたらしい。村では珍しい魔導師資格持ちで、魔術や魔法陣にもある程度の理解があるだろう。
マルガリタ商会の設立と、領主の思惑を説明したうえで告げる。
「こちらでの製造は一風変わったものとしたい。流行りは装飾だ。ピレネ村の方が白度が高く、装飾映えするだろう」
「ぐぬぬ、ピレネ村。またしても……」
「ならばこちらは有色を逆手に取れ。磁器に特性を持たせたものを作ってみるのだ」
レッドの検証結果を渡す。主にピレネ村のデータだが、特性は似通っているので参考になる。
「配合はここから始めてみろ。ベースとなる磁器はできるはずだ。あとは釉薬と組み合わせて工夫せよ。データは少ない。縛りがない分、自由に試みよ」
「おお、すごいですね」
この領は教会による初等教育のおかげで識字率が高い。双子は学院出身でもあり、資料をすぐに読み込んでいた。先に読み終えた村長が答える。
「あい、わかった。まずはレポート通りの配合から始める。自由にして良いのだな」
「ピレネ村が先行しているといっても三日程度だ。報告書に使った陶石は白度が高かったから選んだだけで、性能に差はない。どちらも同じくらいだと開発者は言っていた。ポーション瓶に使う分には問題ない。そうだ、瓶の規格もあるから治具を置いていく。活用せよ」
レッドの検証結果は閲覧のみとし、後で回収する。ピレネ村と同じく二日かけて焼成まで付き合い、稼働を確認した。領主お抱えの魔導師が視察に来ることを伝え、進捗は出入りの商人経由で報告するよう村長に言い残す。
マーロ村はある程度自由に任せ、試行錯誤を繰り返させる。競争心が強い村だ。きっと面白い結果を出してくれるだろう。
「ようパラケル。会議では大変だったな」
「ようウォルター。領主案件だ。隠居しているとはいえ、弟子の後始末だからな」
ウォルターとは昔からの付き合いだ。相談役として統治側に回ったときも、以前と変わらず気さくに接してくれた男である。ただし、ピレネ村に対しては昔から強いライバル心を抱いている。面倒な性格だが、今回はそれを利用できる。品質を貴族に通用する水準まで引き上げる必要がある以上、競争心は管理を容易にする。商人の言葉を借りれば「競争は成長の糧となる」だ。
「担当者を連れてきている」
村長が二人を呼び寄せた。
「元相談役のパラケルだ。ホーミィー村で隠居していたが、弟子の件で駆り出されている」
「著名なパラケル師に来ていただけるとは恐縮です。マーシュと申します。こちらは双子のスタウトです」
「スタウトです」
二人とも三属性持ちで、マーシュは風、スタウトは水を加えている。手先も器用で、自警団では魔術師担当を務めていたという。学院を出ているが、両親のために村へ戻ってきたらしい。村では珍しい魔導師資格持ちで、魔術や魔法陣にもある程度の理解があるだろう。
マルガリタ商会の設立と、領主の思惑を説明したうえで告げる。
「こちらでの製造は一風変わったものとしたい。流行りは装飾だ。ピレネ村の方が白度が高く、装飾映えするだろう」
「ぐぬぬ、ピレネ村。またしても……」
「ならばこちらは有色を逆手に取れ。磁器に特性を持たせたものを作ってみるのだ」
レッドの検証結果を渡す。主にピレネ村のデータだが、特性は似通っているので参考になる。
「配合はここから始めてみろ。ベースとなる磁器はできるはずだ。あとは釉薬と組み合わせて工夫せよ。データは少ない。縛りがない分、自由に試みよ」
「おお、すごいですね」
この領は教会による初等教育のおかげで識字率が高い。双子は学院出身でもあり、資料をすぐに読み込んでいた。先に読み終えた村長が答える。
「あい、わかった。まずはレポート通りの配合から始める。自由にして良いのだな」
「ピレネ村が先行しているといっても三日程度だ。報告書に使った陶石は白度が高かったから選んだだけで、性能に差はない。どちらも同じくらいだと開発者は言っていた。ポーション瓶に使う分には問題ない。そうだ、瓶の規格もあるから治具を置いていく。活用せよ」
レッドの検証結果は閲覧のみとし、後で回収する。ピレネ村と同じく二日かけて焼成まで付き合い、稼働を確認した。領主お抱えの魔導師が視察に来ることを伝え、進捗は出入りの商人経由で報告するよう村長に言い残す。
マーロ村はある程度自由に任せ、試行錯誤を繰り返させる。競争心が強い村だ。きっと面白い結果を出してくれるだろう。
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