72 / 235
1F-氾濫と供給
1F-08 戦場の回遊
しおりを挟む
嫌悪感を抱きつつも、地面に転がるオークをアイテムボックスに収め、荷馬車へと戻す。今回の任務はあくまで荷馬車の試験。第一優先を忘れてはいけない。人型魔獣は素材が少なく、魔石の回収が主だ。
その時、パラケル爺が感知で呟いた。
「大物がいるな」
「ええ、オークの長ね。戦っているのは副ギルド長のバスタよ」
バスタは大剣を振るい、長と対峙していたが、取り巻きに阻まれて追撃ができない。裂傷も増えている。
「しょうがないわね。ラピスラスタ!」
エリス様の石槍が取り巻きを牽制する。遠距離からの重量攻撃は威力こそ十分だが、敵の動きを鈍らせる程度にとどまった。
「自分も援護します。ラピスバレット!」
石弾を銃弾のように回転させ、取り巻きの顔面を撃ち抜く。即死。
「魔力制御もイメージも完璧ね。本気で冒険者を目指さない?」
そう言い残し、エリス様は剣を抜き、バスタの支援へと駆けていった。
やがて決着は冒険者側の勝利。バスタは軽傷で済んだが、同行していた若手パーティー「スリースターズ」は重傷者を出していた。パラケル爺がハイポーションを使い、骨折も癒える。彼らは研修中に大群に遭遇し、引き際を誤ったらしい。
補給を済ませ、魔物を回収。荷馬車は満杯となり、残りは自分のアイテムボックスに収めた。午後はエリス様の声掛けで補給支援に回り、戦線は安定を取り戻した。
「今日は楽しかったわ。レッド君の力量は十分。冒険者としてならランクA相当ね」
「まあ、ワシが鍛えたからな。学院に行くことを勧めている」
「商人としても魔術師としても大成できるわ。学院は合う合わないがあるけど」
「自分は魔術師兼商人としてやっていきたいです」
夕刻、北門でエリス様と別れ、西の大門から帰還。祖父アゼル、叔父ノルバが出迎えてくれた。
「試運転どころではなかったな。だが良い経験だったろう」
「はい。魔術師でも体を鍛える重要性を痛感しました」
クロウが荷馬車の報告をする。
「振動も少なく、安定して走れます。ただし陶器を運ぶには荒道では危険です」
「街道の整備を領主に進言しよう」
「ええ、流通は命綱ですから」
そこで、つい口を滑らせた。
「こちら側の対策としては、陶器の間に充填材を敷くのも良いかもしれませんね」
何気ない一言のつもりだった。だが祖父も叔父もクロウも、一斉にギラリとこちらを見た。梱包の工夫など、この世界ではまだ一般的ではない。不用意な発言が、また新たな波紋を呼びそうだった。
その時、パラケル爺が感知で呟いた。
「大物がいるな」
「ええ、オークの長ね。戦っているのは副ギルド長のバスタよ」
バスタは大剣を振るい、長と対峙していたが、取り巻きに阻まれて追撃ができない。裂傷も増えている。
「しょうがないわね。ラピスラスタ!」
エリス様の石槍が取り巻きを牽制する。遠距離からの重量攻撃は威力こそ十分だが、敵の動きを鈍らせる程度にとどまった。
「自分も援護します。ラピスバレット!」
石弾を銃弾のように回転させ、取り巻きの顔面を撃ち抜く。即死。
「魔力制御もイメージも完璧ね。本気で冒険者を目指さない?」
そう言い残し、エリス様は剣を抜き、バスタの支援へと駆けていった。
やがて決着は冒険者側の勝利。バスタは軽傷で済んだが、同行していた若手パーティー「スリースターズ」は重傷者を出していた。パラケル爺がハイポーションを使い、骨折も癒える。彼らは研修中に大群に遭遇し、引き際を誤ったらしい。
補給を済ませ、魔物を回収。荷馬車は満杯となり、残りは自分のアイテムボックスに収めた。午後はエリス様の声掛けで補給支援に回り、戦線は安定を取り戻した。
「今日は楽しかったわ。レッド君の力量は十分。冒険者としてならランクA相当ね」
「まあ、ワシが鍛えたからな。学院に行くことを勧めている」
「商人としても魔術師としても大成できるわ。学院は合う合わないがあるけど」
「自分は魔術師兼商人としてやっていきたいです」
夕刻、北門でエリス様と別れ、西の大門から帰還。祖父アゼル、叔父ノルバが出迎えてくれた。
「試運転どころではなかったな。だが良い経験だったろう」
「はい。魔術師でも体を鍛える重要性を痛感しました」
クロウが荷馬車の報告をする。
「振動も少なく、安定して走れます。ただし陶器を運ぶには荒道では危険です」
「街道の整備を領主に進言しよう」
「ええ、流通は命綱ですから」
そこで、つい口を滑らせた。
「こちら側の対策としては、陶器の間に充填材を敷くのも良いかもしれませんね」
何気ない一言のつもりだった。だが祖父も叔父もクロウも、一斉にギラリとこちらを見た。梱包の工夫など、この世界ではまだ一般的ではない。不用意な発言が、また新たな波紋を呼びそうだった。
181
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる