巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1F-氾濫と供給

1F-17 後ろ盾の約束

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 クリスティーヌ様とエリス様が席を外し、パラケル爺さんと二人で待つ。爺さんは「小僧の対応は適切だった」と言ってくれたが、どうやら自分の示した知識が予想以上の衝撃を与えたらしい。

 やがてドアが開き、領主代行のトーマス様とホフマン様が姿を現す。続いて二人の婦人も戻ってきた。空気が一段と重くなる。

「少年よ、すまぬ。パール領当主のトーマスだ。君の知識と経験は膨大な利益を生む。放っておけば他の貴族に狙われるだろう。安心してくれ、我が家が後ろ盾となる」

 ホフマン様も頷き、過去に同じように保護した実績があると語る。

「小僧、自らに箔をつけろ。貴族と対等に渡り合うには資格がいる」
 パラケル爺さんが言う。

「学院へ入れ。費用はパール家が全面的に持つ」
 トーマス様の言葉は決定事項のように響いた。

 学院――貴族になるための修練の場。十二歳で入学し、十五歳まで在籍するのが一般的だが、最低在籍期間はなく、実績を作れば早期修了も認められている。

「学院は箔付けの場。実績を作るか、当主に必要な魔術を習得すれば卒業だ」
 パラケル爺さんは自らの経験を語る。魔法陣の翻訳と探知魔導具の開発で実績を残し、一代男爵を賜ったこと。エリス様も天候魔法を開発し、貴族社会を黙らせたこと。

「レッド君を放置すれば必ず干渉が起きる。相対するには自分が貴族になるしかない」
 エリス様の言葉は鋭く、逃げ道を塞ぐ。

「推薦は私とパラケル、そして辺境伯当主のトーマス様。学院長にも口添えをしておく。書類で落とされることはない」
 クリスティーヌ様が断言する。

 費用も生活も全面的に保証されるという。だが「後は…これは後にしよう」と濁された言葉が心に引っかかった。

「皆様、ご配慮ありがとうございます。両親と話してみます」
 そう答えると、すでにアゼル爺が両親に説明に向かっていると告げられた。

 ――外堀は完全に埋められていた。
 逃げ場はない。ならば、さっさと実績を作って帰ってこよう。そう固く心に決めた

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