巻き込まれた薬師の日常

白髭

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1G-酒精と層菓

1G-06 魔銀の試験機

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 次は試験機の規模――パイロットスケールだ。器具の素材はガラスから金属へ。ガラスでは圧力が上がったときに破片が飛び散る危険がある。銅やステンレスが一般的だが、今回は加工しやすく入手も容易な魔銀を採用した。パラケル爺さんが大量に保有しているのを使わせてもらった。いつか対価を払わねばならないだろう。

「これは醸造一樽分を余裕で入れられる試験機です」
「ワシが作った冷却管をここに設置するのか。蒸気と冷気の流れを逆にするのは理にかなっているな。魔銀は熱伝導も良い。参考になる」

 試験機は加熱装置と冷却塔に分かれる。蒸気は上に抜け、配管で下へ降ろされ、冷却塔に入る。内部のコイル状の冷却管で蒸気を効率よく冷やし、液体として回収する仕組みだ。
「ほとんどはパラケル爺さんの装置を参考にしました。新しく設計したのは冷却塔です」
「なるほど、緻密だな。これならワシも作れる」

 商人ギルドから購入した200Lの醸造樽を試験にかける。蒸留は時間がかかったが、収率は実験機と同じく酒精回収率八割。45Lを得て、混合すると酒精度は約20%になった。

「2回目の試験機はワシに任せろ」

 そう言うとパラケル爺さんは魔銀を自在に操り、設計図通りに新しい装置を作り上げてしまった。初見でここまで複製する技術に舌を巻く。
 翌日、再蒸留を行う。液量はさらに減り、最終的に10L、酒精度70%を得た。
「計算上、回収率は七割程度。妥当な結果です」
「なるほどな。これを経年させるのだな」

 流通樽に移し、光と闇の複合魔法で十年分の熟成を与える。注いだ液体は琥珀色に変わり、芳醇な香りを放った。
「ほう、ほんのりエール香が出ている。芳醇で良い」

 そこへ父と祖父が現れた。試験機を見て感心しつつ、樽とショットグラスをちらちらと見ている。どう見ても試飲を期待している。

「少しだけですよ。一杯だけです」
 希釈して注ぐと、父はちびちびと味わい、祖父は余裕の表情で言った。
「樽出しとは貴族でも経験がないだろう。いい機会だ」

 二人の目は「おかわり」を訴えていたが、きっぱりと突っぱねた。


「おかわりはありません。一杯だけとの約束です」



 *R7.10.13大幅改稿し、シュリンクしました。***
 ##エール蒸留試験②#再蒸留####
     試験機1;Pod-1,試験機2;Pod-2とした。1段目;pod-1,2段目;pod-2
 初期用量,酒精度,酒精量,酒精回収率
 初期値;200L,7%,14L,100%
 1段目終了;45L,20%,9L,80% 
 2段目終了;10L,70%,7L,90%
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