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2C-幹果と油脂
2C-09 痛みの先にある甘さ
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子供たちは慌てて魔力循環を始めた。自分は目に魔力を満たし、流れる魔素の筋を一人ひとり確認していく。滞りなく巡っている者が多い。パラケル爺さん、リンネとともに頷き合い、合格した子の肩を軽く後ろから叩いた。
「OK、十分だよ」
「うむ、うまく動かせておる」
「まあまあね。合格点ね」
肩を叩かれた少年少女は歓声を上げ、焼き上がったクルスへと駆け寄る。
「やった!食べていい?」
「旨ぇ、いくらでも食える!」
「美味しいわね。王都の菓子に負けないくらい」
「えっ、フローラ。食べたことあるの?」
「城郭都市に行ったとき、父の仲間から貰ったのよ。クルスって菓子」
フローラは鍛冶職人の娘。ベンベルクに製品を卸すこともあるらしい。
「王都の菓子かぁ。村じゃ絶対食えねぇ」
「紅茶が欲しいところね」
「ええい、うるさい!集中できない!」
「お前ら、オレの分も残しておけよ!」
修練の確認を一巡し、合格したのは九名。だが男子三名はまだ合格を得られずにいた。魔素の流れが細く、不規則だった。
「お前ら、いつ修練したんだよ?! 俺らの方が先に水の操作を習ってたのに!」
「知らないわよ。まだ基礎の基礎だし」
残っていたのはナイジェル、オーガスタス、アシュリー。司祭班の面々だ。
「おや? お前らは全員二班だな。司祭から魔素ムラの解消や回路拡張は習っていないのか?」
「何ですか、それ?」
爺さんに魔素を注入され、全身をかき回される――あの痛みを伴う施術のことだ。
「全身が悲鳴をあげるよな、アレ」
「私もレッドに広げられたわ」
「私も。肩こりが消えたけど」
「終わった後は体が熱くなったな」
「確かに前と後では違う。今日は通りがスムーズだった」
「なるほどな。ワシの班とレッドとリンネの班は済んでおる。女子は居残りで更に施術を受けていたな」
パラケル爺さんによれば、魔力回路には大抵滞りがある。修練の過程で気づき、拡張していくのだという。
「仕方ない。司祭班はこちらに来い。菓子を食っている連中、三人分は残してやれ」
「「「わ゙がり゙ま゙じだ」」」
クルスを頬張ったまま返事をする子供たち。ナイジェルは牽制するように叫んだ。
「絶対残しておけよ!絶対にだ!」
「菓子はまだある。安心しろ。レッド、お前はアシュリーを頼む。一番癖が少ないだろう」
「了解」
アシュリーを呼び寄せ、背に手を当てて流れを探る。腕は問題ないが細い。両足に滞りがある。
「アシュリー、循環はできているね。椅子に座ろう。少し驚くけど我慢して」
「は、はい」
両足首を掴み、一気に魔素を流し込む。全身の回路を広げ、解き放つ。
「あ゙ばあ゙あ゙あ゙い゙ぎい゙い゙い゙い゙!」
やりすぎたか。アシュリーは放心したが、やがて復活し、目を輝かせた。
「痛かったけど……足が軽い!すごいです!」
三人とも再度循環を試し、合格。確保していたクルスを渡す。
「待たされた後は一層旨い」
「これが王都の菓子か……」
「ほろりと崩れる、優しい甘さ」
マリンが自分の磁器製ティーセットを出し、フローラが紅茶を用意する。リンネとローズは台所を借りて湯を沸かし、皆に紅茶を配った。
女子たちは優雅におしゃべりを始め、男子は食べ物が尽きてこちらに興味を向ける。
「なぁレッド、他に楽しいことは無いのか?」
「原料の実ならあるけど、まだ試作していない」
「へぇ、試作を見せてくれよ」
「芸でもするのか?」
「楽しそうだな」
「楽しいものではないけど……少しやってみるか。パラケル爺さん、オーブンを借りますね?」
「おう。アレを加工するのか。ワシも興味深く見せてもらうぞ。サルタンの続きをな」
「OK、十分だよ」
「うむ、うまく動かせておる」
「まあまあね。合格点ね」
肩を叩かれた少年少女は歓声を上げ、焼き上がったクルスへと駆け寄る。
「やった!食べていい?」
「旨ぇ、いくらでも食える!」
「美味しいわね。王都の菓子に負けないくらい」
「えっ、フローラ。食べたことあるの?」
「城郭都市に行ったとき、父の仲間から貰ったのよ。クルスって菓子」
フローラは鍛冶職人の娘。ベンベルクに製品を卸すこともあるらしい。
「王都の菓子かぁ。村じゃ絶対食えねぇ」
「紅茶が欲しいところね」
「ええい、うるさい!集中できない!」
「お前ら、オレの分も残しておけよ!」
修練の確認を一巡し、合格したのは九名。だが男子三名はまだ合格を得られずにいた。魔素の流れが細く、不規則だった。
「お前ら、いつ修練したんだよ?! 俺らの方が先に水の操作を習ってたのに!」
「知らないわよ。まだ基礎の基礎だし」
残っていたのはナイジェル、オーガスタス、アシュリー。司祭班の面々だ。
「おや? お前らは全員二班だな。司祭から魔素ムラの解消や回路拡張は習っていないのか?」
「何ですか、それ?」
爺さんに魔素を注入され、全身をかき回される――あの痛みを伴う施術のことだ。
「全身が悲鳴をあげるよな、アレ」
「私もレッドに広げられたわ」
「私も。肩こりが消えたけど」
「終わった後は体が熱くなったな」
「確かに前と後では違う。今日は通りがスムーズだった」
「なるほどな。ワシの班とレッドとリンネの班は済んでおる。女子は居残りで更に施術を受けていたな」
パラケル爺さんによれば、魔力回路には大抵滞りがある。修練の過程で気づき、拡張していくのだという。
「仕方ない。司祭班はこちらに来い。菓子を食っている連中、三人分は残してやれ」
「「「わ゙がり゙ま゙じだ」」」
クルスを頬張ったまま返事をする子供たち。ナイジェルは牽制するように叫んだ。
「絶対残しておけよ!絶対にだ!」
「菓子はまだある。安心しろ。レッド、お前はアシュリーを頼む。一番癖が少ないだろう」
「了解」
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「アシュリー、循環はできているね。椅子に座ろう。少し驚くけど我慢して」
「は、はい」
両足首を掴み、一気に魔素を流し込む。全身の回路を広げ、解き放つ。
「あ゙ばあ゙あ゙あ゙い゙ぎい゙い゙い゙い゙!」
やりすぎたか。アシュリーは放心したが、やがて復活し、目を輝かせた。
「痛かったけど……足が軽い!すごいです!」
三人とも再度循環を試し、合格。確保していたクルスを渡す。
「待たされた後は一層旨い」
「これが王都の菓子か……」
「ほろりと崩れる、優しい甘さ」
マリンが自分の磁器製ティーセットを出し、フローラが紅茶を用意する。リンネとローズは台所を借りて湯を沸かし、皆に紅茶を配った。
女子たちは優雅におしゃべりを始め、男子は食べ物が尽きてこちらに興味を向ける。
「なぁレッド、他に楽しいことは無いのか?」
「原料の実ならあるけど、まだ試作していない」
「へぇ、試作を見せてくれよ」
「芸でもするのか?」
「楽しそうだな」
「楽しいものではないけど……少しやってみるか。パラケル爺さん、オーブンを借りますね?」
「おう。アレを加工するのか。ワシも興味深く見せてもらうぞ。サルタンの続きをな」
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