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2D-迷宮と魔具
2D-10 祈りと笑い声の交差
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『えっ……テトラフィーラ様?! あ、そうか』
『お主、必死になり過ぎて、妾が杖に通信を付けたのを忘れておったな』
『魔素の供給と調整、ありがとうございます』
『使い方を教えただけよ。造作も無いことだ』
『もしかして……この勢いで作った像のことでの介入でしょうか』
『そうだ。神気を纏う我が像は、早々に教会へ寄進せよ。後ほど嗅ぎつけた教会の人間が来るだろう。問題は、一帯に神気が放出されていること。この規模ならアドミスタの神殿でも確認されているはずだ。主位テトラフィーラからの指示だと、ここの司祭に伝えよ。ここは妾の管轄領域、問題は無い』
『はっ、承知いたしました』
『杖の使用法の貸しは、最近パラケルと作った薬と、お主が考える“神食”の二つで解消してやろう。お主の心が求める最高のものでな。ふふふ……楽しみに待っているぞ』
杖を介した魔力通信が、静かに途切れた。
広場に漂う白い霞は、まだ村人たちを包み込んでいる。誰もが膝を折り、静かに祈りを捧げていた。パラケル爺さんとエリスさんだけが、平然と歩み寄ってきた。
「パラケル爺さん、エリスさん……」
「なんだ小僧。また想像を超えるものを作りおったな。ガハハ、楽しかったぞ」
「楽しくないですからね! 想像を超えるどころの騒ぎじゃないわ! レッド君、その手に持つものは何? 像も杖も神気を纏っているわ。早く仕舞いなさい、村民がひれ伏したままよ!」
エリス様の鋭い視線に慌てて頷き、像と杖をアイテムボックスへと収める。瞬間、辺りを覆っていた白い神気が霧散し、空気が軽くなった。
「ふう……これでよろしいでしょうか?」
「ええ、落ち着いたわね。次は集まっている魔素を散らして、シュリッター司祭を正気に戻しましょう」
エリス様が指を鳴らすと、風魔法が広場を駆け抜け、残滓の神気を吹き払った。
「はて……私は?」
「像の神気に充てられていたのよ。あなたは感受性が強いから、先にやられてしまったの」
「……幸せな気分でした。神に仕えていてよかったと、心から思いました」
「像はレッド君が回収しました。一帯の放出は止まっています。残る村民を元に戻して」
「はっ。それでは――デウス・ノーティス・オムネス」
司祭が両手で複雑な印を結び、祈りを捧げる。掌から放たれた光が広場を包み、癒しの魔力が波紋のように広がっていく。村人たちの表情が次第に和らぎ、正気を取り戻していった。
「はて……良いものを見た気がするが、なんだったのだろう」
「白いもやの後は、幸せな気分でしたね」
「教会の雰囲気に似ていましたね。久しぶりに包まれるような感覚で……また通いたくなります」
司祭が深く息を吐き、エリス様に頷いた。
「これで正常に戻ったと見てよろしいかと」
「ありがとうございます、シュリッター司祭。村長、会の締めをお願いします」
村長が声を張り上げる。
「これにて子供たちの修練の公開は終了します! 皆、お疲れさまでした!」
「料理台車にクリスプスを用意してある。順番に受け取ってくれ! 家族の分も持っていってよいぞ!」
子供たちが歓声を上げて台車へと群がり、大人たちも笑顔で続く。神気の余韻は静かに消え、代わって広場を満たしたのは、甘い菓子の香りと子供たちの笑い声だった
。
****
二章 錬金の法則 完
****
『お主、必死になり過ぎて、妾が杖に通信を付けたのを忘れておったな』
『魔素の供給と調整、ありがとうございます』
『使い方を教えただけよ。造作も無いことだ』
『もしかして……この勢いで作った像のことでの介入でしょうか』
『そうだ。神気を纏う我が像は、早々に教会へ寄進せよ。後ほど嗅ぎつけた教会の人間が来るだろう。問題は、一帯に神気が放出されていること。この規模ならアドミスタの神殿でも確認されているはずだ。主位テトラフィーラからの指示だと、ここの司祭に伝えよ。ここは妾の管轄領域、問題は無い』
『はっ、承知いたしました』
『杖の使用法の貸しは、最近パラケルと作った薬と、お主が考える“神食”の二つで解消してやろう。お主の心が求める最高のものでな。ふふふ……楽しみに待っているぞ』
杖を介した魔力通信が、静かに途切れた。
広場に漂う白い霞は、まだ村人たちを包み込んでいる。誰もが膝を折り、静かに祈りを捧げていた。パラケル爺さんとエリスさんだけが、平然と歩み寄ってきた。
「パラケル爺さん、エリスさん……」
「なんだ小僧。また想像を超えるものを作りおったな。ガハハ、楽しかったぞ」
「楽しくないですからね! 想像を超えるどころの騒ぎじゃないわ! レッド君、その手に持つものは何? 像も杖も神気を纏っているわ。早く仕舞いなさい、村民がひれ伏したままよ!」
エリス様の鋭い視線に慌てて頷き、像と杖をアイテムボックスへと収める。瞬間、辺りを覆っていた白い神気が霧散し、空気が軽くなった。
「ふう……これでよろしいでしょうか?」
「ええ、落ち着いたわね。次は集まっている魔素を散らして、シュリッター司祭を正気に戻しましょう」
エリス様が指を鳴らすと、風魔法が広場を駆け抜け、残滓の神気を吹き払った。
「はて……私は?」
「像の神気に充てられていたのよ。あなたは感受性が強いから、先にやられてしまったの」
「……幸せな気分でした。神に仕えていてよかったと、心から思いました」
「像はレッド君が回収しました。一帯の放出は止まっています。残る村民を元に戻して」
「はっ。それでは――デウス・ノーティス・オムネス」
司祭が両手で複雑な印を結び、祈りを捧げる。掌から放たれた光が広場を包み、癒しの魔力が波紋のように広がっていく。村人たちの表情が次第に和らぎ、正気を取り戻していった。
「はて……良いものを見た気がするが、なんだったのだろう」
「白いもやの後は、幸せな気分でしたね」
「教会の雰囲気に似ていましたね。久しぶりに包まれるような感覚で……また通いたくなります」
司祭が深く息を吐き、エリス様に頷いた。
「これで正常に戻ったと見てよろしいかと」
「ありがとうございます、シュリッター司祭。村長、会の締めをお願いします」
村長が声を張り上げる。
「これにて子供たちの修練の公開は終了します! 皆、お疲れさまでした!」
「料理台車にクリスプスを用意してある。順番に受け取ってくれ! 家族の分も持っていってよいぞ!」
子供たちが歓声を上げて台車へと群がり、大人たちも笑顔で続く。神気の余韻は静かに消え、代わって広場を満たしたのは、甘い菓子の香りと子供たちの笑い声だった
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二章 錬金の法則 完
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