戦隊ヒーローで唯一生き残った俺はこれからどうすりゃいいんだ？

脱出

　まさに絶体絶命！
『おっと、言い忘れてた。左手に武器を仕込んどいたから、危なくなったら使いな。敵に左手を突き出して…肘の内側を、押す。以上。』
「敵に向けて…」
「おいおい、追い込まれておかしくなったのか？」
『肘の内側…』
バシュウウウウウウン！人差し指が弾丸のようにルーク目掛けて発射される。
間一髪、ラインハルトがルークを引き倒し直撃を免れる。
「ありがとよ、旦那！」
銃を連射するルーク。瓦礫の影から動けない練太郎。
『時間がない！やるしかないぜ！』
飛び出し、指弾を撃つ。「このスキに！」
「あまあああーい」
衝撃が腰と背中に！倒れこむ練太郎。
『オリハルコン入りのスーツとはいえ直撃はこたえる～』
「やったぜ！」
瓦礫を掴み「ハイスピード投げ！」
瓦礫がルークたちの真上の天井にあたる。崩れ落ちる天井。
『今のうち…』
ブロオオオオオン
「バ、バイクウウウウ？」
「俺とバイクは一心同体！いつでも呼び出せるのさ！」
練太郎めがけて突っ込んでくるラインハルト。
「体当たり？」
「ヒュウウウウウウウウ！」超音波攻撃。
バイクごとルークの上に吹き飛ぶラインハルト。
そこへ指弾を全弾叩き込む！
ドウウウウウウウウウウウン
「やったか？」
舞い上がった土煙の奥…
ルークがラインハルトの身体を盾にして弾丸から身を守っている。
「き、貴様…」
「悪い、旦那。助かる方法が他になくてね。」
こと切れたラインハルトの身体を放り投げるルーク。
「えげつねえなあ、あんた。」
「俺にとっちゃあ、誉め言葉だぜよ。」
『やばい、もう力が…空っぽ…』
「死ねや。」
ライフルのトリガーを絞るルーク。
『これまでかよ！』
思わず目をつぶる練太郎。
「ぎゃああああああああああ！」
「！！」
ルークの腕に犬神が噛みついている。ライフルがこぼれ落ちる。
さらに肩に噛みつく。
「裏切るのかよおお！ワン公！」
すでに右腕は使い物にならないほどの重傷だ。
「俺は人間に戻りてえだけだ。」
「殺す。ぜってえお前たちを殺す。この手で！」
「ほざけ！」
顔面にけりをぶち込む。失神するルーク。
「助かりました、角田さん。」
「歩けるか？」
「どうにか…」

国防軍の増援部隊が到着したときには、二人の姿はすでに闇に消えていた。

こうして、オリハルコン奪還作戦は幕を閉じたのだった。

翌日の新聞には国防軍施設でボヤ騒ぎ。と、小さな記事が載っただけだった。

全身包帯だらけのルーク。右腕の袖がたなびいている。
「ぜってえ殺す。ぜってえだ・・・」
ライダーマスク　ラインハルト、ムーン戦隊　フリゴレス　死亡
ルーク　ベアークレーン　重傷
オリハルコン　消失

「全世界に派遣しているメンバー全員を招集しろ！最優先だ！」
「承知しました、大佐！」

C国　外務省地下　「失敗しただと？あのSが？信じられん…。国家の損失だが致し方ない。」

国防軍　捕虜収容所
口から泡を吹き倒れているS。体内に仕込まれていた毒により死亡。