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埼玉某所 練太郎たちの隠れ家 朽ちた倉庫
自室のベッドでくつろぐ練太郎のもとに角田がやってくる。
「角田さん。」
「よう、もう傷は癒えたか?」
「だいぶ良くなりました。角田さんはそろそろ手術ですか?」
「ああ、明日には犬のDNAを排除して、体の構造変異体も除去できるようだ。」
「お別れですね…」
「そうだな。どっかの田舎で普通の生活を送るつもりだ…。落ち着いたら遊びに来てくれ。」
「はい…。」
ガッシャアアアアアアアアアン!
突然天井が抜け、瓦礫が二人に降り注ぐ。
「大佐か?」
「ここが、ばれた?」
身構えた二人の頭上に人が浮いている…。青色のバトルスーツ、赤いマント。彫は深く、がっちりした顎。
「えっ?」
『ここにある、異常なエネルギー体を渡せ。』
そう頭に直接語り掛けてきたのは…誰もが知っている、A国のヒーロー!!
「スーパーマインド!」
「なぜ、ここに?」
『あれはまだ人類が扱えるものではない。私が管理し、適切に使用するべきなのだ。』
『そうかもしれない…この人なら…』
「一つ聞きたい。あんたはあれを、人類のために使うのか、それともA国のために使うのか、どっちだ?」
「角田さん…なにを?」
『ふん!そのようなくだらない問いに答える義務はない!』顔をそむけるスーパーマインド。
「やっぱりな。あんたが嘘をつけないというのは本当らしい。と、いうことは…オリハルコンをあんたに渡すということはA国に渡すということじゃねえか!」
「まさか…」
「だめだぜ、練太郎。こいつに渡しちゃあなんねい。」
『では、奪うまでだ。』
変身してスーパーマインドに飛び掛かる角田。
パンチ一閃。角田の身体は壁に叩きつけられる。床に落ちた角田の口から大量出血。
「角田さん!」
ハイスピードで角田の元に駆け寄ろうとする練太郎。彼が立ちはだかる。
『なかなかのスピードだが、私にはかなわないぞ。オリハルコンとやらを出せ。次はてかげんしない。』
『うぐ…、圧倒的だ…。どうする、俺』
「絶対渡すな!悲惨な未来を食い止めろ!」
『では、死ぬがいい。』
スーパーマインドの瞳が赤く発光する…
『だめだ、逃げられない!』
ドウウウウウウウン!
スーパーマインドの身体が真横に吹き飛ぶ。壁を突き抜け林の木々をなぎ倒し、それでも止まる事無く見えなくなった。
「メグ!」
入り口に拡声器のような形をした銃(?)をもった、メグが立っている。
「なんなの?あいつ!重粒子破壊弾が直撃したのに存在してるなんて!」
「あれは、宇宙最強の一族、A国の誇り、スーパーマインドだよ。知らないの?」
「知らない。私たちの未来にはいなかったわ…」
「ハッ!角田さん!だいじょうぶですか?」
「かなりヤバい…それより、早く逃げ、ろ…。来るぞ!」
「もう一発こいつをお見舞いすれば、細胞一つ残さず破壊…」
天井の抜けた穴。空にボロボロになった彼が…。
ピ!
「やめろー!」
スーパーマインド必殺の破壊光線がメグめがけ発射される。
一瞬。メグと視線が絡み合う。
憎い敵として出会い、同志になり友達になった。悲惨な未来から来た少女。
シュバアアアアン!
「うわああああああああああ!!!」
『はあ、はあ、この私の身体に傷をつけることなど…許されることではない!』
メグがいた場所には、煤けた焦げ跡が残っているだけだった。
『次は貴様だ。』
角田の身体が光線を受けて蒸発する。
「・・・」
地下。瓦礫に埋まって気を失っていたタラク。
凄まじい熱と轟音に目を覚ます。
「な、なんてこった…オリハルコンが、起動している。まさか!練太郎?」
倉庫全体が激しく振動している。
『なんだ?』
「許さない!許さんぞおおお!角田さんは明日には人間に戻れるはずだったのに…メグは、メグには現代を少しだけでも楽しんでもらいたかったのに…それを、それをおおおおお!」
床を突き抜けオリハルコンが姿を現す。
『これが、オリハルコン!?』
オリハルコンが練太郎の身体を覆い始める。
「グッ!」
破壊光線発射!はじき返される。
練太郎の身体が煮えたぎるマグマのように熱と光を放出する。
「死ね!」
オリハルコンが矢のようにスーパーマインドめがけて飛んで行く。
『こんなもの!』
今まで、どんな敵のどんな攻撃にも耐え、跳ね返していた強靭な体。宇宙を飛ぶことも地中に潜ることも、不可能を可能にしてきた存在。だが・・・。
矢が自分の胸に突き刺さっているのを呆然と見おろすことしかできないでいた。
「私は…私は…死なない、死ぬはずがない…こんなところで…」
バシュウウウウウウン!
正義のヒーロー A国の象徴、スーパーマインドは細胞一つ残さず消滅した。
A国 国防総省 作戦司令室
「長官・・・あの、その~」
「なんだ!はっきりしろ!」
ネットショッピングを中断された長官のヒューズは不機嫌だった。
「それが、その…スーパーマインドの信号が消失しました。」
「ああ?なにかの間違えだろうに!」
「いえ。すでに数十回、確認いたしました。日本に行ったところまでは追跡していたのですが、その後、異常なエネルギー波を感知して以降…信号が…」
「映像が来ました。」
「どけ!メインモニターに出せ!」長官デスクから身を乗り出すヒューズ。
衛星からの映像が作戦司令室の巨大モニターに映し出される。
寂れた倉庫にスーパーマインドのの姿が映る。炎に包まれたように見えた瞬間ー彼の姿は消えていた。
「!!!!!!」
「まさか…まさか、彼が…死んだ?」
「だ、大統領につなげ!非常事態だあああああ!」
「何があったんだ!練太郎?」崩壊した部屋にタラクが飛び込んできた。
「すまない…タラク…。メグを助けられなかった。」
「なにを言ってるんだ…?」
「角田さんも、ダメだった…。」
「嘘だろ?」
「まさか、A国のヒーローがオリハルコンを奪いに来るなんて考えてもいなかった。」
「練太郎…、その姿は?」
「怒りとともにオリハルコンが俺の身体に入ってきたんだ。」
練太郎の身体が全身ボヤっと光っている。
「オリハルコンとの融合…。未来でも誰もなしえなかったのに…」
「俺はどうなってしまったんだ?」
「神の誕生…だよ。」
「へっ?」
「練太郎、君の思ったことは何でもできるってことさ。」
「なんでも?」
練太郎が願うと
シュッ!
メグと角田が現れた。
「あっ?私…どうしたのかしら?あのマントの男に…」
「俺も…傷一つなくなってる。」
「兄さん?」
「練太郎だよ。」
「未来で理論上可能だとされたオリハルコンとの融合に成功したんだ。」
「練太郎が?」
「来る…」
「誰が?」
「今のエネルギー波をたどって、世界中から略奪者どもがここに押し寄せてくる。」
「どうする?練太郎。君次第だ。逃げるか、戦うか。」
「未来でこの国はオリハルコンの使い方を間違ったんだ。中途半端な方法だったから、世界が崩壊した…。」
「練太郎。」
「俺が正しいやり方で世界を導くしか、ない!」
「お、おい…」
「みんなは協力してくれるかい?メグ…」
「私はどこまでもあなたに付いていくわ。」
「お、俺も命の恩人だからな。」
「もちろん、俺もだ。」
「では、力を分け与えよう。」
練太郎が手を振るとそれぞれの身体に光が宿った。
4人は空にあった。
「俺ら…空を飛んでる、ぜ。」
練太郎が上空を指さす。遥か軌道上。A国の軍事衛星が粉々に破壊された。
「まずはこの国を手中に収める。国防軍の、あの大佐を配下に。」
「おう。」
練太郎の後を飛びながら、タラク
『練太郎は本当に神なのか?俺は、俺は…あの未来よりもっと悲惨な未来を創造しようとしているのかもしれない。
だが、最後まで見届けねば…それが俺の役割、運命なんだ。』
20年後…
都市は破壊され廃墟となっていた。
だが、そこを離れると…緑は深く、澄んだ小川には魚が跳ね、田畑は実りを讃え、子供たちが笑顔で走り回っている。澄み切った空には太陽の恵みがあふれていた。
完
自室のベッドでくつろぐ練太郎のもとに角田がやってくる。
「角田さん。」
「よう、もう傷は癒えたか?」
「だいぶ良くなりました。角田さんはそろそろ手術ですか?」
「ああ、明日には犬のDNAを排除して、体の構造変異体も除去できるようだ。」
「お別れですね…」
「そうだな。どっかの田舎で普通の生活を送るつもりだ…。落ち着いたら遊びに来てくれ。」
「はい…。」
ガッシャアアアアアアアアアン!
突然天井が抜け、瓦礫が二人に降り注ぐ。
「大佐か?」
「ここが、ばれた?」
身構えた二人の頭上に人が浮いている…。青色のバトルスーツ、赤いマント。彫は深く、がっちりした顎。
「えっ?」
『ここにある、異常なエネルギー体を渡せ。』
そう頭に直接語り掛けてきたのは…誰もが知っている、A国のヒーロー!!
「スーパーマインド!」
「なぜ、ここに?」
『あれはまだ人類が扱えるものではない。私が管理し、適切に使用するべきなのだ。』
『そうかもしれない…この人なら…』
「一つ聞きたい。あんたはあれを、人類のために使うのか、それともA国のために使うのか、どっちだ?」
「角田さん…なにを?」
『ふん!そのようなくだらない問いに答える義務はない!』顔をそむけるスーパーマインド。
「やっぱりな。あんたが嘘をつけないというのは本当らしい。と、いうことは…オリハルコンをあんたに渡すということはA国に渡すということじゃねえか!」
「まさか…」
「だめだぜ、練太郎。こいつに渡しちゃあなんねい。」
『では、奪うまでだ。』
変身してスーパーマインドに飛び掛かる角田。
パンチ一閃。角田の身体は壁に叩きつけられる。床に落ちた角田の口から大量出血。
「角田さん!」
ハイスピードで角田の元に駆け寄ろうとする練太郎。彼が立ちはだかる。
『なかなかのスピードだが、私にはかなわないぞ。オリハルコンとやらを出せ。次はてかげんしない。』
『うぐ…、圧倒的だ…。どうする、俺』
「絶対渡すな!悲惨な未来を食い止めろ!」
『では、死ぬがいい。』
スーパーマインドの瞳が赤く発光する…
『だめだ、逃げられない!』
ドウウウウウウウン!
スーパーマインドの身体が真横に吹き飛ぶ。壁を突き抜け林の木々をなぎ倒し、それでも止まる事無く見えなくなった。
「メグ!」
入り口に拡声器のような形をした銃(?)をもった、メグが立っている。
「なんなの?あいつ!重粒子破壊弾が直撃したのに存在してるなんて!」
「あれは、宇宙最強の一族、A国の誇り、スーパーマインドだよ。知らないの?」
「知らない。私たちの未来にはいなかったわ…」
「ハッ!角田さん!だいじょうぶですか?」
「かなりヤバい…それより、早く逃げ、ろ…。来るぞ!」
「もう一発こいつをお見舞いすれば、細胞一つ残さず破壊…」
天井の抜けた穴。空にボロボロになった彼が…。
ピ!
「やめろー!」
スーパーマインド必殺の破壊光線がメグめがけ発射される。
一瞬。メグと視線が絡み合う。
憎い敵として出会い、同志になり友達になった。悲惨な未来から来た少女。
シュバアアアアン!
「うわああああああああああ!!!」
『はあ、はあ、この私の身体に傷をつけることなど…許されることではない!』
メグがいた場所には、煤けた焦げ跡が残っているだけだった。
『次は貴様だ。』
角田の身体が光線を受けて蒸発する。
「・・・」
地下。瓦礫に埋まって気を失っていたタラク。
凄まじい熱と轟音に目を覚ます。
「な、なんてこった…オリハルコンが、起動している。まさか!練太郎?」
倉庫全体が激しく振動している。
『なんだ?』
「許さない!許さんぞおおお!角田さんは明日には人間に戻れるはずだったのに…メグは、メグには現代を少しだけでも楽しんでもらいたかったのに…それを、それをおおおおお!」
床を突き抜けオリハルコンが姿を現す。
『これが、オリハルコン!?』
オリハルコンが練太郎の身体を覆い始める。
「グッ!」
破壊光線発射!はじき返される。
練太郎の身体が煮えたぎるマグマのように熱と光を放出する。
「死ね!」
オリハルコンが矢のようにスーパーマインドめがけて飛んで行く。
『こんなもの!』
今まで、どんな敵のどんな攻撃にも耐え、跳ね返していた強靭な体。宇宙を飛ぶことも地中に潜ることも、不可能を可能にしてきた存在。だが・・・。
矢が自分の胸に突き刺さっているのを呆然と見おろすことしかできないでいた。
「私は…私は…死なない、死ぬはずがない…こんなところで…」
バシュウウウウウウン!
正義のヒーロー A国の象徴、スーパーマインドは細胞一つ残さず消滅した。
A国 国防総省 作戦司令室
「長官・・・あの、その~」
「なんだ!はっきりしろ!」
ネットショッピングを中断された長官のヒューズは不機嫌だった。
「それが、その…スーパーマインドの信号が消失しました。」
「ああ?なにかの間違えだろうに!」
「いえ。すでに数十回、確認いたしました。日本に行ったところまでは追跡していたのですが、その後、異常なエネルギー波を感知して以降…信号が…」
「映像が来ました。」
「どけ!メインモニターに出せ!」長官デスクから身を乗り出すヒューズ。
衛星からの映像が作戦司令室の巨大モニターに映し出される。
寂れた倉庫にスーパーマインドのの姿が映る。炎に包まれたように見えた瞬間ー彼の姿は消えていた。
「!!!!!!」
「まさか…まさか、彼が…死んだ?」
「だ、大統領につなげ!非常事態だあああああ!」
「何があったんだ!練太郎?」崩壊した部屋にタラクが飛び込んできた。
「すまない…タラク…。メグを助けられなかった。」
「なにを言ってるんだ…?」
「角田さんも、ダメだった…。」
「嘘だろ?」
「まさか、A国のヒーローがオリハルコンを奪いに来るなんて考えてもいなかった。」
「練太郎…、その姿は?」
「怒りとともにオリハルコンが俺の身体に入ってきたんだ。」
練太郎の身体が全身ボヤっと光っている。
「オリハルコンとの融合…。未来でも誰もなしえなかったのに…」
「俺はどうなってしまったんだ?」
「神の誕生…だよ。」
「へっ?」
「練太郎、君の思ったことは何でもできるってことさ。」
「なんでも?」
練太郎が願うと
シュッ!
メグと角田が現れた。
「あっ?私…どうしたのかしら?あのマントの男に…」
「俺も…傷一つなくなってる。」
「兄さん?」
「練太郎だよ。」
「未来で理論上可能だとされたオリハルコンとの融合に成功したんだ。」
「練太郎が?」
「来る…」
「誰が?」
「今のエネルギー波をたどって、世界中から略奪者どもがここに押し寄せてくる。」
「どうする?練太郎。君次第だ。逃げるか、戦うか。」
「未来でこの国はオリハルコンの使い方を間違ったんだ。中途半端な方法だったから、世界が崩壊した…。」
「練太郎。」
「俺が正しいやり方で世界を導くしか、ない!」
「お、おい…」
「みんなは協力してくれるかい?メグ…」
「私はどこまでもあなたに付いていくわ。」
「お、俺も命の恩人だからな。」
「もちろん、俺もだ。」
「では、力を分け与えよう。」
練太郎が手を振るとそれぞれの身体に光が宿った。
4人は空にあった。
「俺ら…空を飛んでる、ぜ。」
練太郎が上空を指さす。遥か軌道上。A国の軍事衛星が粉々に破壊された。
「まずはこの国を手中に収める。国防軍の、あの大佐を配下に。」
「おう。」
練太郎の後を飛びながら、タラク
『練太郎は本当に神なのか?俺は、俺は…あの未来よりもっと悲惨な未来を創造しようとしているのかもしれない。
だが、最後まで見届けねば…それが俺の役割、運命なんだ。』
20年後…
都市は破壊され廃墟となっていた。
だが、そこを離れると…緑は深く、澄んだ小川には魚が跳ね、田畑は実りを讃え、子供たちが笑顔で走り回っている。澄み切った空には太陽の恵みがあふれていた。
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