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本編
エピローグ.あれも、それも、これも。
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そうして迎えたビデオ会議の日。
心配すぎて有給を取った私と、営業の仕事の合間に少し寄っていっくんに術をかけてくれた横河さんの前には、不思議そうに鏡を覗く夫の姿があった。
「すごい、顔、だわ」
「どうかな?」
「その、す、すごいわ。しかもイケメン」
横河さんのなんだかよくわからない術で、のっぺらぼうのいっくんに顔ができる。
夫の初めての顔……とは言っても、妖狐の術でつくられたお面みたいなものであって、あくまでもいっくんの顔はのっぺらぼうなのだが、それでも夫のゆで卵肌に貼り付いた目や鼻などの顔のパーツには驚き、ついまじまじと見てしまった。
(目はくりっと二重だし、もともとつるつるだったから髭なんかもない。少したれ眉なところなんかは解釈一致だし、すごい整った顔だけど)
妻のひいき目なしで見ても、イケメン。どこからどう見てもイケメンな夫に戸惑ってしまう。
だが、ドキドキはしなかった。
「せっかく顔があるんだし、会議が早く終わったらデートでも行……」
「私、のっぺらぼうのままのいっくんが好きみたい」
「えっ」
「ぶっ」
照れたようないっくんについ本音を零すと、いっくんが驚いたように目を見開いた。
ちなみに近くにいた横河さんは吹き出し、お腹を抱えて笑い出す。
「で、でもさ。顔があったら表情から考えてることもわかるし」
「でも、のっぺらぼうのいっくんも結構感情豊かよ? 私、わかるもの」
「めぐちゃん……!」
「あー、あー、私、そろそろ次の営業先に行く時間なんでノロケ注意報が出る前にお暇しますねー」
そのままそそくさと帰り支度を始める横河さんにふたりでお礼を言い、見送った。
「今度改めて横河さんにお礼しなきゃね」
「あいついなり寿司好きだから、京都の有名店のを取り寄せしとく」
「あ、それ私も食べたい」
「んじゃ、多めに注文しておくね」
「やったぁ!」
私はいっくんの会議が無事に終わりそうなことへの安堵を浮かべ、いっくんは私の言葉のせいでどこか不服そうな顔をしている。
(でも、しょうがないじゃない)
いくらイケメンに仕上がっていても、そしてそのイケメンの中身が夫だとしても。
「……私、ある意味面食いだったみたい」
「へ?」
私がつい漏らした言葉にいっくんが反応する。
そして不思議そうに自身の顔をそっと指先で触れた。
「のっぺらぼうのままのいっくんが、一番好きってこと!」
「えぇっ、面食いって、面、ないけど」
「ふふっ、そういう返しも大好きよ」
慄くいっくんにぎゅっと抱き着くと、そっと頭を撫でてくれる。
日課のように彼の顔にすりすりと顔を寄せると、目には顔が見えているのに触れれば凹凸はなかった。
(配信アプリのアバターみたいな仕組みなのかしら)
そして相変わらずの滑らかな肌にときめきを感じる。
結局私は、彼ならば顔があってもなくても、ニキビができていたとしても関係なく、全部全部大好きなのだ。
「今日もつるつる、最高~っ!」
「ん、ふふっ。もう、めっぐちゃんったら」
「でも堂々と買い物に行けるのって滅多にないものね! それはそれ、これはこれってことで、買い物には行きましょう!」
「わかった、会議、早く終わらせるね」
くすりと笑い合って、いっくんの顔が近付いてくる。
そのまま目を瞑ると、つるんとしたゆで卵肌が唇に触れた。
(やっぱり私の夫はこうでないと!)
その感触に、私は口角をあげる。
だって私の愛しい夫は、のっぺらぼうなんだもの!
心配すぎて有給を取った私と、営業の仕事の合間に少し寄っていっくんに術をかけてくれた横河さんの前には、不思議そうに鏡を覗く夫の姿があった。
「すごい、顔、だわ」
「どうかな?」
「その、す、すごいわ。しかもイケメン」
横河さんのなんだかよくわからない術で、のっぺらぼうのいっくんに顔ができる。
夫の初めての顔……とは言っても、妖狐の術でつくられたお面みたいなものであって、あくまでもいっくんの顔はのっぺらぼうなのだが、それでも夫のゆで卵肌に貼り付いた目や鼻などの顔のパーツには驚き、ついまじまじと見てしまった。
(目はくりっと二重だし、もともとつるつるだったから髭なんかもない。少したれ眉なところなんかは解釈一致だし、すごい整った顔だけど)
妻のひいき目なしで見ても、イケメン。どこからどう見てもイケメンな夫に戸惑ってしまう。
だが、ドキドキはしなかった。
「せっかく顔があるんだし、会議が早く終わったらデートでも行……」
「私、のっぺらぼうのままのいっくんが好きみたい」
「えっ」
「ぶっ」
照れたようないっくんについ本音を零すと、いっくんが驚いたように目を見開いた。
ちなみに近くにいた横河さんは吹き出し、お腹を抱えて笑い出す。
「で、でもさ。顔があったら表情から考えてることもわかるし」
「でも、のっぺらぼうのいっくんも結構感情豊かよ? 私、わかるもの」
「めぐちゃん……!」
「あー、あー、私、そろそろ次の営業先に行く時間なんでノロケ注意報が出る前にお暇しますねー」
そのままそそくさと帰り支度を始める横河さんにふたりでお礼を言い、見送った。
「今度改めて横河さんにお礼しなきゃね」
「あいついなり寿司好きだから、京都の有名店のを取り寄せしとく」
「あ、それ私も食べたい」
「んじゃ、多めに注文しておくね」
「やったぁ!」
私はいっくんの会議が無事に終わりそうなことへの安堵を浮かべ、いっくんは私の言葉のせいでどこか不服そうな顔をしている。
(でも、しょうがないじゃない)
いくらイケメンに仕上がっていても、そしてそのイケメンの中身が夫だとしても。
「……私、ある意味面食いだったみたい」
「へ?」
私がつい漏らした言葉にいっくんが反応する。
そして不思議そうに自身の顔をそっと指先で触れた。
「のっぺらぼうのままのいっくんが、一番好きってこと!」
「えぇっ、面食いって、面、ないけど」
「ふふっ、そういう返しも大好きよ」
慄くいっくんにぎゅっと抱き着くと、そっと頭を撫でてくれる。
日課のように彼の顔にすりすりと顔を寄せると、目には顔が見えているのに触れれば凹凸はなかった。
(配信アプリのアバターみたいな仕組みなのかしら)
そして相変わらずの滑らかな肌にときめきを感じる。
結局私は、彼ならば顔があってもなくても、ニキビができていたとしても関係なく、全部全部大好きなのだ。
「今日もつるつる、最高~っ!」
「ん、ふふっ。もう、めっぐちゃんったら」
「でも堂々と買い物に行けるのって滅多にないものね! それはそれ、これはこれってことで、買い物には行きましょう!」
「わかった、会議、早く終わらせるね」
くすりと笑い合って、いっくんの顔が近付いてくる。
そのまま目を瞑ると、つるんとしたゆで卵肌が唇に触れた。
(やっぱり私の夫はこうでないと!)
その感触に、私は口角をあげる。
だって私の愛しい夫は、のっぺらぼうなんだもの!
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