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番外編
イリダルルートbadエンド
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全てが気に入らなかった。
本当に、全て。
最高の兄をずっと推したいのに、何故か第三王子であるボクにつく『イリダル派』の存在も。
大好きな兄には相応しくない、なのに何故か兄に愛されているメイドの存在も。
そして何よりもーー⋯
「お前が憎いよ、セシリス・フローチェ⋯っ!よくもボクの兄様とただのメイドをけしかけたな⋯!」
そもそもセシリス嬢と兄様が婚約していれば良かったのに、その兄様をフッたことも許せない。
完璧な兄には公爵家くらいの貴族じゃなければ釣り合わないのに、その娘程度の女がフる?
「あり得ない、あり得ない⋯っ!!」
“あいつ、公爵家の娘だからって公爵家の力が自分の物だなんて勘違いしてるんじゃないだろうな⋯”
そんな訳ないんだ。
爵位の継げない娘なんてただの道具。
「道具だったら、ボクが使ってもいいよね⋯」
メイドを王太子妃にすべく妃教育の教師として王城にやってくるセシリスを見つけてはひたすら絡む。
わかりやすいくらいネチネチ絡んで、キレてくれたら王族不敬罪で憂さ晴らしが出来るのに⋯なんて考えていたのだが⋯
「怒らないな⋯」
思い通りにならないからか苛立ちは日に日に増していた。
“違う、苛立つのはそれだけじゃなくて⋯”
メイドといる時だけ聞こえるボク自身の声。
脳内に響くその声は、『彼女を愛せ』と囁いてくる。
“ボクがメイドごときを?”
あり得ない。そう思うのに、気に入らないはずの彼女には何故か直接嫌がらせが出来なかった。
“そもそもメイドごときを愛する訳ないし、メイドじゃなかったとしても大好きな兄の大事な女で⋯”
それなのに愛を囁く声はボク自身の声。
「これがボクの本心なのかー⋯?」
あり得ない、あり得ないあり得ない⋯!
「お悩みでしたら、こちらをどうぞ」
そう声をかけてきたのは、第二王子派であるゾーイ伯爵だった。
“は⋯?”
怪訝な表情になるボクに渡されたのは白い粉の入った小さな巾着。
「それは腹下しの薬です」
「腹下し?」
「小さな憂さ晴らしですよ、下剤としても使われる薬なので命には別状ございません」
「ーーで、それをなんでボクに?」
明らかに怪しいその行動にその薬。
“本当は毒なんじゃないのか?”
第二王子派にとって、自分という不確定ながら邪魔な存在。
アリスという第二王子を下げる事になる相応しくない婚約者。
警戒する要素しかなく、むしろこの場で牢に入れようかとすら思うのに。
「貴方様の助けになりたいのですよ、殿下」
そうにこりと笑うゾーイ伯爵から気付けばその薬を受け取っていた。
“いや、怪しいな⋯怪しいにもほどがある⋯”
今ボクがすべきはこの薬を調べさせる事。
それ以外はあり得ない。
のに。
「ね、今日はボクが美味しいお茶を持ってきてあげたよ」
ダメだ、と脳内で警鐘が鳴る。
こんなに怪しい薬を気に入らないという理由で飲ませてはいけない。
“彼女達に何かあったらどうするんだ⋯!?”
そうわかっているのに、足元に這いずるもやのような何かが絡み、どうしても体の自由がきかなかった。
いつも愛を囁く声は、何故か『ヒロインが憎い』という声に変わっていて。
“そうだ、ボクは憎いんだ⋯だから、この薬を飲むのが当然なんだ”
“そんな訳ないだろ⋯!?この国の王子として誰かを貶めるなんて許される訳がない⋯!”
その相反する思考に息が詰まる。
葛藤している間にもアリスが着実に薬入りのお茶を配っていて⋯
“せめて、せめて一番にボクが飲まなくちゃ⋯!”
もし中身がなんであろうと、それを持ち込んだ責任として自身が犠牲になるべきだから。
固まる体を無理矢理動かし、カップを手に取る。
香りを確認するが変な臭いはしなかった。
何かが混入しているのが確かなカップを口元に運びーー⋯
次の瞬間、ガシャンと大きな音を立ててセシリスがボクのカップを叩き落としていた。
「毒が入っていると思われます」
ーーどうして?
どうしてそう断言できるんだ!?
音を聞き駆け寄ってきた騎士にハッキリそう継げるセシリスが怖かった。
何故怖かったのかはわからない。
自分の悪巧みがバレていたから?
初めて他人に叩かれたから?
それとも⋯
“あんなに嫌悪していたのに、そんな彼女に命を救われたからー⋯?”
何の薬かはわからなかったが、それでも怪しい薬だった。
そして彼女が毒だと言うのなら⋯
「やっぱり、毒か⋯」
きっとそれが真実なのだろうとそう思った。
ゾーイ伯爵から渡された毒。
第二王子派の彼にとって、この中の誰が毒を飲んでも損はない。
“ボクが飲めば政敵はいなくなるし、アリスが飲めば平民の王太子妃は誕生しない。セシリスが飲んだら、セシリスの毒殺犯としてボクに毒を売ったことを証言すればいい⋯それが事実なのだから”
王族暗殺未遂として貴族裁判が開かれる事になった。
兄さんはアリスのところより先にボクを訪ねてくれたが、顔を合わせる事が怖くて会わなかった。
“大切な婚約者を危険に晒したと責められるかもしれない⋯”
誰よりも尊敬している兄から向けられる軽蔑の表情を想像すると夜も眠れなかった。
そしてあっという間に訪れた裁判の日。
セシリスの冤罪を晴らさなくてはとわかっているのに、『憎い』と囁くボクの声に導かれるように彼女に罪を擦り付けてー⋯
ーーあぁ、いつか王になる兄の誰よりも近しい味方として支え、この国を豊かにするのが夢だったのに。
“こんなボクには、やはり誰も救えないのか⋯”
抗えない強制力に促されるまま、無実の彼女がボクの変わりに罪人になるのを眺めーー⋯
「大切な人を守るためにも。教えてください」
ボクを真っ直ぐ射貫く瞳にハッとした。
“まだ、ボクにも守れるのか⋯?”
助かりたいから言っているだけかもしれないのに、彼女の力強さがただただ眩しくて。
ボクが彼女に庇われているのだと気付き、そして泣きたくなるような衝動を感じた。
“あんなに煩かったのに⋯”
ずっと纏わりついていたもやも、そして囁く声ももう聞こえなくなっていて⋯
彼女が絶対に敵わない兄の婚約者でなくて良かった、なんて考えて苦笑する。
「あんなに兄様をフッたと根に持っていたのに⋯」
そして同時に清々しいまでの失笑も漏れた。
例え兄の婚約者ではなかったとしても。
『レオ!』そう叫んだ彼女の声が脳内で何度も再生される。
ーー結局、ボクに望みなんてないのだから。
「お兄様の次に好きかも、セシリスの事っ」
それは始まる前に終わってしまった憧れにも似た淡い気持ち。
育てさせてすらくれなかった意趣返しとして、しれっと彼女に気持ちを告げる。
“なんて、彼女には1ミリも伝わってなさそうだけどね”
ちらりと中央を見ると、兄様のすぐ後ろに控える彼女の婚約者と目が合ってーー⋯
べっ!と舌を出すと、明らかに苛立った表情に変わりボクは満足した。
「これくらい許してよねぇ~」
だって彼女に愛されてるのは君なんだから。
本当に、全て。
最高の兄をずっと推したいのに、何故か第三王子であるボクにつく『イリダル派』の存在も。
大好きな兄には相応しくない、なのに何故か兄に愛されているメイドの存在も。
そして何よりもーー⋯
「お前が憎いよ、セシリス・フローチェ⋯っ!よくもボクの兄様とただのメイドをけしかけたな⋯!」
そもそもセシリス嬢と兄様が婚約していれば良かったのに、その兄様をフッたことも許せない。
完璧な兄には公爵家くらいの貴族じゃなければ釣り合わないのに、その娘程度の女がフる?
「あり得ない、あり得ない⋯っ!!」
“あいつ、公爵家の娘だからって公爵家の力が自分の物だなんて勘違いしてるんじゃないだろうな⋯”
そんな訳ないんだ。
爵位の継げない娘なんてただの道具。
「道具だったら、ボクが使ってもいいよね⋯」
メイドを王太子妃にすべく妃教育の教師として王城にやってくるセシリスを見つけてはひたすら絡む。
わかりやすいくらいネチネチ絡んで、キレてくれたら王族不敬罪で憂さ晴らしが出来るのに⋯なんて考えていたのだが⋯
「怒らないな⋯」
思い通りにならないからか苛立ちは日に日に増していた。
“違う、苛立つのはそれだけじゃなくて⋯”
メイドといる時だけ聞こえるボク自身の声。
脳内に響くその声は、『彼女を愛せ』と囁いてくる。
“ボクがメイドごときを?”
あり得ない。そう思うのに、気に入らないはずの彼女には何故か直接嫌がらせが出来なかった。
“そもそもメイドごときを愛する訳ないし、メイドじゃなかったとしても大好きな兄の大事な女で⋯”
それなのに愛を囁く声はボク自身の声。
「これがボクの本心なのかー⋯?」
あり得ない、あり得ないあり得ない⋯!
「お悩みでしたら、こちらをどうぞ」
そう声をかけてきたのは、第二王子派であるゾーイ伯爵だった。
“は⋯?”
怪訝な表情になるボクに渡されたのは白い粉の入った小さな巾着。
「それは腹下しの薬です」
「腹下し?」
「小さな憂さ晴らしですよ、下剤としても使われる薬なので命には別状ございません」
「ーーで、それをなんでボクに?」
明らかに怪しいその行動にその薬。
“本当は毒なんじゃないのか?”
第二王子派にとって、自分という不確定ながら邪魔な存在。
アリスという第二王子を下げる事になる相応しくない婚約者。
警戒する要素しかなく、むしろこの場で牢に入れようかとすら思うのに。
「貴方様の助けになりたいのですよ、殿下」
そうにこりと笑うゾーイ伯爵から気付けばその薬を受け取っていた。
“いや、怪しいな⋯怪しいにもほどがある⋯”
今ボクがすべきはこの薬を調べさせる事。
それ以外はあり得ない。
のに。
「ね、今日はボクが美味しいお茶を持ってきてあげたよ」
ダメだ、と脳内で警鐘が鳴る。
こんなに怪しい薬を気に入らないという理由で飲ませてはいけない。
“彼女達に何かあったらどうするんだ⋯!?”
そうわかっているのに、足元に這いずるもやのような何かが絡み、どうしても体の自由がきかなかった。
いつも愛を囁く声は、何故か『ヒロインが憎い』という声に変わっていて。
“そうだ、ボクは憎いんだ⋯だから、この薬を飲むのが当然なんだ”
“そんな訳ないだろ⋯!?この国の王子として誰かを貶めるなんて許される訳がない⋯!”
その相反する思考に息が詰まる。
葛藤している間にもアリスが着実に薬入りのお茶を配っていて⋯
“せめて、せめて一番にボクが飲まなくちゃ⋯!”
もし中身がなんであろうと、それを持ち込んだ責任として自身が犠牲になるべきだから。
固まる体を無理矢理動かし、カップを手に取る。
香りを確認するが変な臭いはしなかった。
何かが混入しているのが確かなカップを口元に運びーー⋯
次の瞬間、ガシャンと大きな音を立ててセシリスがボクのカップを叩き落としていた。
「毒が入っていると思われます」
ーーどうして?
どうしてそう断言できるんだ!?
音を聞き駆け寄ってきた騎士にハッキリそう継げるセシリスが怖かった。
何故怖かったのかはわからない。
自分の悪巧みがバレていたから?
初めて他人に叩かれたから?
それとも⋯
“あんなに嫌悪していたのに、そんな彼女に命を救われたからー⋯?”
何の薬かはわからなかったが、それでも怪しい薬だった。
そして彼女が毒だと言うのなら⋯
「やっぱり、毒か⋯」
きっとそれが真実なのだろうとそう思った。
ゾーイ伯爵から渡された毒。
第二王子派の彼にとって、この中の誰が毒を飲んでも損はない。
“ボクが飲めば政敵はいなくなるし、アリスが飲めば平民の王太子妃は誕生しない。セシリスが飲んだら、セシリスの毒殺犯としてボクに毒を売ったことを証言すればいい⋯それが事実なのだから”
王族暗殺未遂として貴族裁判が開かれる事になった。
兄さんはアリスのところより先にボクを訪ねてくれたが、顔を合わせる事が怖くて会わなかった。
“大切な婚約者を危険に晒したと責められるかもしれない⋯”
誰よりも尊敬している兄から向けられる軽蔑の表情を想像すると夜も眠れなかった。
そしてあっという間に訪れた裁判の日。
セシリスの冤罪を晴らさなくてはとわかっているのに、『憎い』と囁くボクの声に導かれるように彼女に罪を擦り付けてー⋯
ーーあぁ、いつか王になる兄の誰よりも近しい味方として支え、この国を豊かにするのが夢だったのに。
“こんなボクには、やはり誰も救えないのか⋯”
抗えない強制力に促されるまま、無実の彼女がボクの変わりに罪人になるのを眺めーー⋯
「大切な人を守るためにも。教えてください」
ボクを真っ直ぐ射貫く瞳にハッとした。
“まだ、ボクにも守れるのか⋯?”
助かりたいから言っているだけかもしれないのに、彼女の力強さがただただ眩しくて。
ボクが彼女に庇われているのだと気付き、そして泣きたくなるような衝動を感じた。
“あんなに煩かったのに⋯”
ずっと纏わりついていたもやも、そして囁く声ももう聞こえなくなっていて⋯
彼女が絶対に敵わない兄の婚約者でなくて良かった、なんて考えて苦笑する。
「あんなに兄様をフッたと根に持っていたのに⋯」
そして同時に清々しいまでの失笑も漏れた。
例え兄の婚約者ではなかったとしても。
『レオ!』そう叫んだ彼女の声が脳内で何度も再生される。
ーー結局、ボクに望みなんてないのだから。
「お兄様の次に好きかも、セシリスの事っ」
それは始まる前に終わってしまった憧れにも似た淡い気持ち。
育てさせてすらくれなかった意趣返しとして、しれっと彼女に気持ちを告げる。
“なんて、彼女には1ミリも伝わってなさそうだけどね”
ちらりと中央を見ると、兄様のすぐ後ろに控える彼女の婚約者と目が合ってーー⋯
べっ!と舌を出すと、明らかに苛立った表情に変わりボクは満足した。
「これくらい許してよねぇ~」
だって彼女に愛されてるのは君なんだから。
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