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第5話「ヒートアップ&クールダウン」
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魔王と10人の息子達
それはこの国の恐怖の代名詞だ。
数千年の時を生き、人間から一方的に搾取し気まぐれに滅ぼす、それが11人もいるのだ、まさに恐怖そのものでなければ
何になるといった感じだ。
息子達も仲良くなどすることは ほとんど
ないが残虐性はきちんと受け継がれている。
特に圧倒的な力を持った血筋で 魔族の間では宗教的な人気を誇っていたがそれがレイヴンの裏切りによって人間にも魔族にも混乱を
与えている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「炎のスーツか...面白い考えだな」
ごうごうと燃えるスーツを身につけた
レイヴン、肉体に取り込んだものは体に害を与えないようになるらしく、熱がる様子は
無い。
たなびく炎に包まれているレイヴンはフン、と鼻をなすと挑発的な口調で話し始める。
「燃やしてみろよこの自慢のスーツを、その貧弱な緑の炎で!」
そう言って二階から飛び降りる
もうすでにエビルの右手には炎が立ち込めており、怪しげな緑色の煙がもんもんと立ち込めている、なぜかその顔には笑みまである、
不気味だ。
「来ないなら...」
レイヴンは低く構え、足がめりこむほど強く踏み込むと、床が一気に火を上げ、黒く焦げる。
「こっっっちからぁぁぁぁ!」
さらに、その火が消えるほどのスピードで
踏み出し、その場で右腕をブゥンと振るう、エビルとの距離は8メートルほどあったが、腕からは火柱が立ち、空気中の酸素を燃やしながら大蛇のようにうねりをつけて突っ込んでいく。
「父さんから教えてもらったことがある...
それはッ!」
エビルは向かって来る炎に向かって右腕を
突き出した。
「相手に屈辱を与えるためには、同じ立場に
立ち、真正面から叩き潰せ、そう教わった!」
手のひらからこれまでとは明らかに違うスケールの強力かつ巨大な『硫炎』が放たれた。
まともに当たれば建物の1つや2つは衝撃だけで吹っ飛び、さらには数十件の建物を焼き、溶かす程の破壊力を持っているだろう。
しばらく撃たずにチャージされ、放たれた『硫炎』は、レイヴンが放った炎とぶつかり、力比べをするように押したり引いたりを繰り返す、文字通りヒートアップ状態だ
二階でさっきからゼルクは妙に落ち着いた
表情で2人の闘いを見ている、
その心には少し期待があった なぜかというと
レイヴンは実はさっきから、二階にいる人間を巻き込まないように注意を払いながら
闘っているのだ。
戦闘中にわざわざ足元の蟻に気を払いながら闘う人間はいない 魔族からすれば人間だってその程度のものだ、しかし、レイヴンはその足元の蟻の命を自分が不利になるとわかっていながらも守りつつ闘っている。
魔族は人間を家畜以下の目で見ている
さらには、レイヴン本人は『頂正軍』を全滅させている、なのに人間を守る その矛盾が
ゼルクの勘に引っかかる。
「気になるな...」
さっきの怒りを一時的に忘れ、クールダウンした声でゼルクはつぶやき、半分に折れてしまった剣を再度握り直す
一方下ではぶつかり合った炎が弾け飛ぶ瞬間エビルは勝ち誇った顔を見せる
「これで、お前がオレを倒すことができないことが証明された」
もくもくと立ち上る煙の中から緑色の光が
見えたかと思うと煙の幕を吹き飛ばし
まっすぐに突っ切ってくる
「ウォォォォォォ⁉︎」
声を上げ、レイヴンは横っ飛びで『硫炎』
から、体をそらす。
だが、直撃は避けたもののかわしきれず脚がドロドロと溶けていくのが視界に入った
体を支える軸が崩れ、レイヴンは床に倒れてしまう。
「どうやら...オレの炎は火をも溶かせる
ようだなぁ」
能力的優位に立ったエビルは確実なトドメを刺すために自分からレイヴンに近付いて行く
一歩一歩に余裕がにじみ出ている。
「おい...あの親父から『油断大敵』って言葉...教わらなかったか?」
言い終わるが早いかレイヴンは腕を振るい
また火柱を飛ばす
「おおっと!」
しかし、エビルは自分の手に『硫炎』を纏わせ、虫を追い払うように火柱を手でいなす
軌道を大きく変えられた火柱は酒場の壁に
燃えうつり酒場を崩していく。
『硫炎』に触れられた炎は形を持たないのに溶けていく、炎が溶けるという誰も見た事の無いような現象、それは言葉に表せない美しさがあった。
「あらら、残念...ハズレだ。今のマッチみたいな火力でオレを仕留められるとでも?」
もうすでに建物の体を無くし始めた酒場の中は広い方ではあるがすでに煙は充満している酸素濃度も低下して客達の何人かは気を失い
そうでなくとも立ち上がれないほどぐったりとして動かない
しかし、その中でもゼルクは倒れない。
ゼルクが立てているのは何故なのか?生物を超越した何かの力を人間であるはずのゼルクも持っているのかもしれない。
「次期魔王になるこのオレに逆らう悪い腕は焼いておかないとなぁ~!」
エビルは右手を突き出すと先ほど炎を放ったレイヴンの左腕に向かって炎を浴びせた。
「ワアァァァァァァァァァァ!!!」
腕をじわじわと焼かれ溶かされる痛みは想像を絶した、痛みに耐えきれずレイヴンは絶叫のような悲鳴を上げる。
さっき右脚に燃え移った炎もどんどん脚から拡がっていき隣の脚まで溶かしていっている
「クククク...いいぞ~、もう後悔しても遅い
絶望して、泣きわめけ!ヒャァハハハハ!」狂ったような笑い声を上げ レイヴンを見下ろす、見下ろされるレイヴンは頭をがくりと落とし、唸り声を出しているだけになってしまった。
酒場も崩れる、燃える屋根が降ってきて客達を間一髪かすめる。そんな切羽詰まった状況に陥っているのだ。
「それじゃあ最期の一撃だ、おいレイヴン
最期に言っときたい事はあるか?たしか...
『アディオス』とか言うんだったろ?」
声も上げなくなったレイヴンに尋ねながら
右手を向け そこに魔力を集める
レイヴンの炎とぶつけ合わせた高火力『硫炎』だ。
「聞こえてねぇか...それじゃあ、地獄巡りの片道切符を渡してやろう!」
握っていた拳を開くと貯めていたエネルギーが 一気に解放される
超至近距離から放たれた『硫炎』は人一人
呑み込む事など容易いほど膨れ上がっていて
エビルの勝利がその瞬間確定した。
だがあとコンマ数秒の瞬きよりも凝縮されたその時、レイヴンは顔を上げた。
その顔は嗜虐的な要素が詰め込まれた悪魔の笑みだ。
「油断大敵♡」
「はっ⁉︎」
突然のレイヴンの復活と供にエビルの右腕は大きく左上に逸れ、手から発射される『硫炎』は勢いそのまま夜空に飛んでいった。
見ると溶けたはずの左腕が床の炎と同化してエビルの腕を弾いている
「バーカバーカ♪」
「てんめぇ~~~!」
タイミングを見計らって二階から誰かが飛び降りた。
「俺たちの憩いの酒場を溶かしている悪い腕はその腕か?」
そんな声が数メートル上からエビルの耳に入ってくる
背後に何かが落下した様な音で振り返ると
同時に目の前を黒い影が横切った。
エビルの前を高速で通り過ぎた影は倒れ伏して壁に寄りかかっているレイヴンの前で停止した。
「おっさん!やっぱ助けに来てくれたか!」
「うるせえぞ、少し気になることがあった
だけだ 後でお前も排除する。」
嬉しそうな声で話しかけるレイヴン、その声に返事をするのはあの傷の男ゼルクだ。
「人間だとぉ⁉︎」
「やれやれ」
そして、驚愕するエビルに鋭い視線と折れた剣を向け静かに一歩詰め寄った。
「魔族の事はよくわからないが、お前が危険すぎるやつなのはよくわかった」
「ほう....だから何だと言うんだ?あぁ?」
エビルは怒りで目を引きつらせ、瞳孔も興奮により開いている。
不覚にも弱小なはずの人間に背後を取られたことが悔しかったのだろう、攻撃する隙も
あったが何もしなかったのが更に怒りの炎を煽っている。
燃え上がる怒りに怯まずゼルクは挑発的な
セリフを続ける。
「後2分足らずでお前は死ぬぜ...多分な...」
「おっ!言うね~!」
レイヴンは死にかけてるにもかかわらず陽気な態度を崩さない
「やれんのか?ハハッ!たかが人間に⁉︎」
半ばあざ笑う様な口調になり逆にエビルは
ゼルクを挑発する
「やれるさ、見てみろよ」
そう言ってゼルクはエビルの右側を指差す
その視線に従って目をたどらせると
「......ッ!これは⁉︎」
あるべき右腕はそこになくそこからは真っ赤な血がホースの水のように流れ出ていた
(なぜだ⁉︎なぜ気付かなかった!しかも
これは...痛みが...無い⁉︎)
思考が混乱しているとまた目の前を黒い影が通り過ぎた。
「探し物はこれか?」
背後から聞こえた声に振り返るとそこには
一瞬で移動したゼルクがエビルの右腕を
ぶらんと吊り下げていた。
「き、貴様ァァァァァ!!!!」
肉体の一部を見下していた相手に持っていかれたことによりエビルはついにブチギレ寸前までいった。
「で、これもオマケに取っておいたぞ。」
しかも、更に怒りを煽るようにゼルクは後ろから剣に突き刺したエビルの左腕を出した。
それを確認するためにエビルは自分の左腕を見ると、またしても肩からしたの腕が無くなっていた
やはり痛みは無い だが 代わりに頭には血が
昇り 角からは止めどなく魔力が溢れ出した。
「うがおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
ぶっ殺おおおおおおおおおおおおおす!!」
発狂と供に店中に広がった炎がエビルの体に集まって行く
目は血走り、鼻からは興奮による出血が見られ、そして何より魔力によって体が『硫炎』に包まれて、エビルは緑色に光る1つの
高エネルギー体となっていく。
「さぁ~~てと ここが大詰めみたいだな」
ゼルクも低く重心を構えると、いつでも反応できるように剣を前に突き出す。
怒り狂う魔族を前にしても心は以前落ち着いている 歴戦の経験から来る余裕
それか、失いつつある感情のおかげだろう。
これから両腕を失ったエビルがどう攻めて来るか考えをめぐらせる余裕ができた。
「来やがれ...エビルッ!」
「くらって消し飛べ‼︎
『硫星炎(シューティングフレア)!』」
エビルの足が一歩前に出ると外気は80度程
上がり、その足で 踏ん張ると床は一面炎で
溢れた。
そして、床を踏み抜く勢いで蹴ると酒場周辺の地面が大きく揺れた。
エビルは、その高熱の体で音速の突進を繰り出す。
「ハァァァァ!飛燕流...『風燕』ッ!」
ゼルクは突進して来るエビルに対し折れた剣で切り返す
ただの鉄である剣はエビルの体に到達する前に『硫炎』にやられて溶けるだろうが、更にそれを超える剣速でなら切りつける事は可能
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
熱された怒りを抱いて突っ込むエビル
冷静な判断で斬りつけるゼルク
どちらの攻撃が先に当たるのか...その結果は0.1秒以内に分かるだろう。
To Be Continued→
それはこの国の恐怖の代名詞だ。
数千年の時を生き、人間から一方的に搾取し気まぐれに滅ぼす、それが11人もいるのだ、まさに恐怖そのものでなければ
何になるといった感じだ。
息子達も仲良くなどすることは ほとんど
ないが残虐性はきちんと受け継がれている。
特に圧倒的な力を持った血筋で 魔族の間では宗教的な人気を誇っていたがそれがレイヴンの裏切りによって人間にも魔族にも混乱を
与えている。
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「炎のスーツか...面白い考えだな」
ごうごうと燃えるスーツを身につけた
レイヴン、肉体に取り込んだものは体に害を与えないようになるらしく、熱がる様子は
無い。
たなびく炎に包まれているレイヴンはフン、と鼻をなすと挑発的な口調で話し始める。
「燃やしてみろよこの自慢のスーツを、その貧弱な緑の炎で!」
そう言って二階から飛び降りる
もうすでにエビルの右手には炎が立ち込めており、怪しげな緑色の煙がもんもんと立ち込めている、なぜかその顔には笑みまである、
不気味だ。
「来ないなら...」
レイヴンは低く構え、足がめりこむほど強く踏み込むと、床が一気に火を上げ、黒く焦げる。
「こっっっちからぁぁぁぁ!」
さらに、その火が消えるほどのスピードで
踏み出し、その場で右腕をブゥンと振るう、エビルとの距離は8メートルほどあったが、腕からは火柱が立ち、空気中の酸素を燃やしながら大蛇のようにうねりをつけて突っ込んでいく。
「父さんから教えてもらったことがある...
それはッ!」
エビルは向かって来る炎に向かって右腕を
突き出した。
「相手に屈辱を与えるためには、同じ立場に
立ち、真正面から叩き潰せ、そう教わった!」
手のひらからこれまでとは明らかに違うスケールの強力かつ巨大な『硫炎』が放たれた。
まともに当たれば建物の1つや2つは衝撃だけで吹っ飛び、さらには数十件の建物を焼き、溶かす程の破壊力を持っているだろう。
しばらく撃たずにチャージされ、放たれた『硫炎』は、レイヴンが放った炎とぶつかり、力比べをするように押したり引いたりを繰り返す、文字通りヒートアップ状態だ
二階でさっきからゼルクは妙に落ち着いた
表情で2人の闘いを見ている、
その心には少し期待があった なぜかというと
レイヴンは実はさっきから、二階にいる人間を巻き込まないように注意を払いながら
闘っているのだ。
戦闘中にわざわざ足元の蟻に気を払いながら闘う人間はいない 魔族からすれば人間だってその程度のものだ、しかし、レイヴンはその足元の蟻の命を自分が不利になるとわかっていながらも守りつつ闘っている。
魔族は人間を家畜以下の目で見ている
さらには、レイヴン本人は『頂正軍』を全滅させている、なのに人間を守る その矛盾が
ゼルクの勘に引っかかる。
「気になるな...」
さっきの怒りを一時的に忘れ、クールダウンした声でゼルクはつぶやき、半分に折れてしまった剣を再度握り直す
一方下ではぶつかり合った炎が弾け飛ぶ瞬間エビルは勝ち誇った顔を見せる
「これで、お前がオレを倒すことができないことが証明された」
もくもくと立ち上る煙の中から緑色の光が
見えたかと思うと煙の幕を吹き飛ばし
まっすぐに突っ切ってくる
「ウォォォォォォ⁉︎」
声を上げ、レイヴンは横っ飛びで『硫炎』
から、体をそらす。
だが、直撃は避けたもののかわしきれず脚がドロドロと溶けていくのが視界に入った
体を支える軸が崩れ、レイヴンは床に倒れてしまう。
「どうやら...オレの炎は火をも溶かせる
ようだなぁ」
能力的優位に立ったエビルは確実なトドメを刺すために自分からレイヴンに近付いて行く
一歩一歩に余裕がにじみ出ている。
「おい...あの親父から『油断大敵』って言葉...教わらなかったか?」
言い終わるが早いかレイヴンは腕を振るい
また火柱を飛ばす
「おおっと!」
しかし、エビルは自分の手に『硫炎』を纏わせ、虫を追い払うように火柱を手でいなす
軌道を大きく変えられた火柱は酒場の壁に
燃えうつり酒場を崩していく。
『硫炎』に触れられた炎は形を持たないのに溶けていく、炎が溶けるという誰も見た事の無いような現象、それは言葉に表せない美しさがあった。
「あらら、残念...ハズレだ。今のマッチみたいな火力でオレを仕留められるとでも?」
もうすでに建物の体を無くし始めた酒場の中は広い方ではあるがすでに煙は充満している酸素濃度も低下して客達の何人かは気を失い
そうでなくとも立ち上がれないほどぐったりとして動かない
しかし、その中でもゼルクは倒れない。
ゼルクが立てているのは何故なのか?生物を超越した何かの力を人間であるはずのゼルクも持っているのかもしれない。
「次期魔王になるこのオレに逆らう悪い腕は焼いておかないとなぁ~!」
エビルは右手を突き出すと先ほど炎を放ったレイヴンの左腕に向かって炎を浴びせた。
「ワアァァァァァァァァァァ!!!」
腕をじわじわと焼かれ溶かされる痛みは想像を絶した、痛みに耐えきれずレイヴンは絶叫のような悲鳴を上げる。
さっき右脚に燃え移った炎もどんどん脚から拡がっていき隣の脚まで溶かしていっている
「クククク...いいぞ~、もう後悔しても遅い
絶望して、泣きわめけ!ヒャァハハハハ!」狂ったような笑い声を上げ レイヴンを見下ろす、見下ろされるレイヴンは頭をがくりと落とし、唸り声を出しているだけになってしまった。
酒場も崩れる、燃える屋根が降ってきて客達を間一髪かすめる。そんな切羽詰まった状況に陥っているのだ。
「それじゃあ最期の一撃だ、おいレイヴン
最期に言っときたい事はあるか?たしか...
『アディオス』とか言うんだったろ?」
声も上げなくなったレイヴンに尋ねながら
右手を向け そこに魔力を集める
レイヴンの炎とぶつけ合わせた高火力『硫炎』だ。
「聞こえてねぇか...それじゃあ、地獄巡りの片道切符を渡してやろう!」
握っていた拳を開くと貯めていたエネルギーが 一気に解放される
超至近距離から放たれた『硫炎』は人一人
呑み込む事など容易いほど膨れ上がっていて
エビルの勝利がその瞬間確定した。
だがあとコンマ数秒の瞬きよりも凝縮されたその時、レイヴンは顔を上げた。
その顔は嗜虐的な要素が詰め込まれた悪魔の笑みだ。
「油断大敵♡」
「はっ⁉︎」
突然のレイヴンの復活と供にエビルの右腕は大きく左上に逸れ、手から発射される『硫炎』は勢いそのまま夜空に飛んでいった。
見ると溶けたはずの左腕が床の炎と同化してエビルの腕を弾いている
「バーカバーカ♪」
「てんめぇ~~~!」
タイミングを見計らって二階から誰かが飛び降りた。
「俺たちの憩いの酒場を溶かしている悪い腕はその腕か?」
そんな声が数メートル上からエビルの耳に入ってくる
背後に何かが落下した様な音で振り返ると
同時に目の前を黒い影が横切った。
エビルの前を高速で通り過ぎた影は倒れ伏して壁に寄りかかっているレイヴンの前で停止した。
「おっさん!やっぱ助けに来てくれたか!」
「うるせえぞ、少し気になることがあった
だけだ 後でお前も排除する。」
嬉しそうな声で話しかけるレイヴン、その声に返事をするのはあの傷の男ゼルクだ。
「人間だとぉ⁉︎」
「やれやれ」
そして、驚愕するエビルに鋭い視線と折れた剣を向け静かに一歩詰め寄った。
「魔族の事はよくわからないが、お前が危険すぎるやつなのはよくわかった」
「ほう....だから何だと言うんだ?あぁ?」
エビルは怒りで目を引きつらせ、瞳孔も興奮により開いている。
不覚にも弱小なはずの人間に背後を取られたことが悔しかったのだろう、攻撃する隙も
あったが何もしなかったのが更に怒りの炎を煽っている。
燃え上がる怒りに怯まずゼルクは挑発的な
セリフを続ける。
「後2分足らずでお前は死ぬぜ...多分な...」
「おっ!言うね~!」
レイヴンは死にかけてるにもかかわらず陽気な態度を崩さない
「やれんのか?ハハッ!たかが人間に⁉︎」
半ばあざ笑う様な口調になり逆にエビルは
ゼルクを挑発する
「やれるさ、見てみろよ」
そう言ってゼルクはエビルの右側を指差す
その視線に従って目をたどらせると
「......ッ!これは⁉︎」
あるべき右腕はそこになくそこからは真っ赤な血がホースの水のように流れ出ていた
(なぜだ⁉︎なぜ気付かなかった!しかも
これは...痛みが...無い⁉︎)
思考が混乱しているとまた目の前を黒い影が通り過ぎた。
「探し物はこれか?」
背後から聞こえた声に振り返るとそこには
一瞬で移動したゼルクがエビルの右腕を
ぶらんと吊り下げていた。
「き、貴様ァァァァァ!!!!」
肉体の一部を見下していた相手に持っていかれたことによりエビルはついにブチギレ寸前までいった。
「で、これもオマケに取っておいたぞ。」
しかも、更に怒りを煽るようにゼルクは後ろから剣に突き刺したエビルの左腕を出した。
それを確認するためにエビルは自分の左腕を見ると、またしても肩からしたの腕が無くなっていた
やはり痛みは無い だが 代わりに頭には血が
昇り 角からは止めどなく魔力が溢れ出した。
「うがおおおおおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!殺す!
ぶっ殺おおおおおおおおおおおおおす!!」
発狂と供に店中に広がった炎がエビルの体に集まって行く
目は血走り、鼻からは興奮による出血が見られ、そして何より魔力によって体が『硫炎』に包まれて、エビルは緑色に光る1つの
高エネルギー体となっていく。
「さぁ~~てと ここが大詰めみたいだな」
ゼルクも低く重心を構えると、いつでも反応できるように剣を前に突き出す。
怒り狂う魔族を前にしても心は以前落ち着いている 歴戦の経験から来る余裕
それか、失いつつある感情のおかげだろう。
これから両腕を失ったエビルがどう攻めて来るか考えをめぐらせる余裕ができた。
「来やがれ...エビルッ!」
「くらって消し飛べ‼︎
『硫星炎(シューティングフレア)!』」
エビルの足が一歩前に出ると外気は80度程
上がり、その足で 踏ん張ると床は一面炎で
溢れた。
そして、床を踏み抜く勢いで蹴ると酒場周辺の地面が大きく揺れた。
エビルは、その高熱の体で音速の突進を繰り出す。
「ハァァァァ!飛燕流...『風燕』ッ!」
ゼルクは突進して来るエビルに対し折れた剣で切り返す
ただの鉄である剣はエビルの体に到達する前に『硫炎』にやられて溶けるだろうが、更にそれを超える剣速でなら切りつける事は可能
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
熱された怒りを抱いて突っ込むエビル
冷静な判断で斬りつけるゼルク
どちらの攻撃が先に当たるのか...その結果は0.1秒以内に分かるだろう。
To Be Continued→
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