世界を半分やるから魔王を殺れ

KING

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第12話「青空求めて俺たちは」

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二人は山を登る
ところどころに配置された敵兵の視線をかいくぐり
迅速かつ隠密に山を駆けていく
「おいっ!誰だ貴様らは!」
見つかった時は仕方がない
「オレらを見つけなきゃもう少し長く生きられたのにな...」
「なんだ...と?」
他の兵士にバレないように静かに首を切り落とし、近くにいる兵士も隠蔽のため殺すしかない。
恐ろしく速い身のこなしで兵士を抹殺していく、下級兵士程度ならば一撃で仕留められるのだ。
「さて、行くぜ」
少しずつではあるが二人は山を攻略していく黒い石につまづきながら、時には切り立った壁を登りながら
なるべく敵と遭遇しないように前に上へ上へと上り詰める。
二人は必要最低限喋らなくなった、声に気づかれる可能性があるからだ
それに、疲れもある黒虎との肉体を酷使し続けた戦いで特にゼルクが疲弊していた。
レイヴンは右腕を『武装』によって虎の肉を取り込み、再生することができたので実質ほぼノーダメージだがゼルクの方は
『感覚無双』を使い、肉体を崩壊寸前まで追い詰めてしまっている
筋肉のダメージは『武装』でなんとかなったが魔力の消費量も半端じゃないので魔力低下による独特の疲れが出ている。
例えるならプールの後の異常なまでのだるさがゼルクの体を襲っている。
「今は...何号目くらいかね...」
壁に手を同化させて体をもちあげるという方法でレイヴンは壁を登っていく
それを追いかけるようにゼルクは自分で岩を削って用意したピッケルに魔力を纏わせて壁にめり込ませ、登っていく
「さあな、それ以上登る場所がなけりゃ10号目って ことぐらいしか分んねぇな」
無愛想にそう答えながら猿のように壁をひょいひょい上っていく
後ろは絶景が広がる崖、つまり落ちればその絶景に自分の血の池の風景が追加されてしまうということだ、万が一に備えて慎重に上がる。
そして、無事崖を登り切ると上の様子をチラッと確認する。
「チッ、居やがるぜ...ナイフ貸してくれ...」
「ほらよ」
霧が立ち込める中鋭い視覚を使って数十m先の兵士を見つけた。
崖から地面に場を移すとさっき借りたナイフの刃の方を指先に持ち、野球選手のように振りかぶった
「オオッラァァァ!!」
腕を振り下ろし、指から離すとナイフは放たれる
ナイフは回転しながら170kmのスピードで
霧を切っ裂きながら敵兵めがけて飛んで行き見事にその頭に深々と突き刺さった。
「ぐわぁぁあ!!」
ブシューーっと不気味なくらいの勢いで血が吹き出る
ほんの少し遅れて周りの仲間兵士2人が反応するがもう手遅れだった。
仲間の命のことではない、兵士自身の命が
もう、手遅れだ。
「ウワァァ!?貴様ァ!!」
圧倒的スピードで目の前に現れたレイヴンに兵士は驚嘆の声を上げた。
レイヴンはそいつの頭に手をやると片手で、まるでペットボトルのフタをひねるように
頭をグキッと回してみせた。
変な方向に向いた首の中はもう脳との神経が断絶されていて意識も切れていた。
その後ろで兵士が手を前に突き出す。
魔力を手に集中させ、何か技の発射段階に入ったようだ。
しかし、技が発動するよりずっと速くレイヴンは振り返り、下に落ちて居る兵士の死体からククリナイフを抜き、一回転してナイフに遠心力のパワーを纏わせ敵兵の首を根元から冥府に吹っ飛ばした。
「OK...前に進もう...」
レイヴンは返り血を『武装』によって体内に納めた、体力回復と血の匂いを消す2つの効果がある。
「見ろ、看板が残ってる消えかかっているが
4号目と書いてあるぞ」
「なら、これから先は敵がちょっぴりだが
手強くなるな...これまで以上に気を引き締めなきゃな...!」
山の中腹そこより先からはあらゆる生き物の進行を拒絶する邪悪な気が流れ出していた。下級兵士とは格の違う兵士が待っている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いたぞ!そこだぁ!!」
サブマシンガンが二人に向かって火を噴く
「突入5分でバレてるじゃねえかよ!」
発射された銃弾から身を躱しながらゼルクはレイヴンの頭をバシッとしばいた。
「すまねぇ!くしゃみがどうしても我慢できなかった!」
岩に背を預けて弾丸から身を守る
「あり?なんか急に静かになったな...」
両手を合わせて謝っている最中に突然弾丸が岩を削っていく音が途絶えた。
「『波動方程式A』!」
魔力が背後から感じられる
この迫り来る嫌な感覚、これは魔力を使った技が来る時だ。
「おっさん!」
「あぁ、かわすぞ」
ジャンプして岩陰から脱する
次の瞬間にさっきまで身を隠していた岩がシャボン玉のように弾け飛び、周りに高速で破片が飛び散った。
「ムウ...惜しかったな...」
敵の手のひらからは魔力の残りカスの半透明な黒煙が昇っている
無表情の仮面の下には醜い殺意が湧き上がっているようだ。
「ふふふ、もっとちゃんと狙えよ」
横にいる別の敵兵が仲間の兵を茶化した
そのもう一方の敵兵はお気楽そうな表情で
頭の後ろで手を組んで岩にもたれかかり、ニヤついている
怖い方の敵兵は一目くれるが何も返さない
明るい奴と無口な奴、ゼルクとレイヴンの
コンビに似ているように感じる。
「次は外さんぞ、裏切り者に反逆者よ...!」
右の手のひらを2人に向けた手のひらには
パワーが集中しだした。
「来るぜぇぇ......」
腕に血管が浮かび上がりその中を魔力が飛び交っていた
右腕に左手を添えて発射方向を確定させると
カッと目を見開いた。
「『波動方程式ッ!B』!」
ドンッ!と衝撃音と共に弾き出された魔力の塊は空気を伝って2人に飛びかかって行く。
「避けるぜッ!」
「オッケー...」
ゼルクは右にレイヴンは左に飛びのき避けた
しかし、その瞬間動きが止まる
「な、なにぃ!?」
「うおお?!なんじゃあ!こりゃあ!?」
ばったりと2人ともその場に顔から倒れこんだ
足に違和感を感じる、足を見てみると足首には縄状の魔力の塊が認められる
その縄が2人の足首と足首をつないで締め付けていた。
「ふふふふ...『絞首刑(スリップノット)』」
岩にもたれかかったままの敵兵の体から魔力が昇っている、いつの間にかこの男の術中にはまってしまっていたようだ。
ちなみにスリップノットとは絞首刑の際に使われる縄の結び方の名称である
決して滑らず死刑囚が死ぬまで硬く結び続けられていることからその名がついている。
それがいつの間にか出現しており、2人の動きに制限をつける。
さらにそれに追い打ちをかけるように
さっき撃ち出された『波動方程式B』が右に90°カクンと曲がった。
つまり、ゼルクのいる方向だ。
「むッ!」
眼前に魔力の塊が迫る
だが、無抵抗でやられてやるほどゼルクという人間は素直じゃないし弱くもない
なんなら今現在も(黒虎に比べたらまだ平気だな)なんて事を思っているくらいだ
ゼルクは右手を硬く握り締めた。
「『感覚夢双』!!」
その拳を魔力塊にぶちかます
「ウリャアァ!」
波動が顔に当たるより速くゼルクは拳を打ち込んだ
部分的に腕だけ強化されたパワーは、ただの中堅クラスの兵士の技程度なら『感覚夢双』を使えば一撃で粉砕できる。
スピード、パワー共に上級魔族を上回っている、『感覚夢双』と対等に闘えるのは特級魔族の中にも中々いないだろう
超級魔族である魔王にも通じそうだ。
「なにっ!?我が波動を殴って破壊するだと!?たかが人間にそんなことが可能なのか!?」
流石に信じられないだろう
魔族の感覚から言えば人間ははるか格下
虫程度の認識なのだから
その格下が自分の得意技を一撃で沈めたとなれば驚きもかなりのものだ。
人間で例えるなら
全力のパンチがカブト虫に止められたような感じだ。
「現実を受け止めろよ...男らしくな、それに俺は反逆者じゃあないぜ...」
「なんだと?では貴様は何者だ?」
フッと笑みを浮かべるとゼルクはセリフを続ける
「俺はただの案内人さ...そして、死神だ...全魔族魔王を含めて全員地獄に案内してやるよ!」
「おっ!そのフレーズ気に入ったの?」
「うるせえ、たまにはおっさんにもカッコつけさせろ」
ちょっと気分が上がりカッコつけたかった おっさんをレイヴンは生暖かい目で見る
「ハイハイ まあおっさんの能力『感覚夢双』使わないと感覚奪うだけのクソ地味な能力
だもんな」
「口を慎め、お前の喉元は今俺の太刀筋の
射程内にあるんだぜ...」
「ハハハ 冗談上手いなおっさん」
しばしの仲良しタイムを交えていると
またもや敵が腕を構えた
「死神だと?...ならばその死神を冥府に送り込むのも面白いかもしれんなあ~!ハハハハハハハ!!!!」
手のひらに黒いパワーが集中して球の形を作った
「「よいしょっと」」
2人は互いに倒し合わないように肩を貸し合って立ち上がった。
「hey!来んのかい?来なよ!」
レイヴンは両手をクイクイ曲げて挑発する
その隣でゼルクは静かに次の一撃に集中している。
「これを無傷で凌げるかな?『波動方程式C』!」
ドォォォーーン!!!
手のひらから放たれた魔力の塊は弾丸のように回転した
その次の瞬間複数に分裂する
1つが2つになりその2つが4つになり
2人の元に到達する時には無数の衝撃波となっていった。
「レイヴン悪いな」
「え?なに?」
衝撃波が迫ってくる
それを見とめるとゼルクはなんの躊躇も無く
手に持ったナイフでレイヴンの足を切り落とした。
「うっぎゃああああああああああ!!!!
てめー!なにすんだっ!」
「いい子だから黙ってな!」
ゼルクは冷静な口調でそう言うと一直線で敵に向かっていく
駆け出した足は『絞首刑(スリップノット)』で今切り落としたレイヴンの足と繋がれている
これでゼルクは自由の身になったわけだ
衝撃波の軍勢から身を躱すと勢いそのままにナイフを振りかぶった。
「むうっ!?来るか!死神!!」
衝撃波のエネルギーを鎧のように身にまとった敵はゼルクの次の一撃に対して雄々しい
ファイティングポーズをとり、集中する
だが、ゼルクの次の一手は予想外のものだった。
「ウラァァッ!!」
ゼルクの腕が弧の動作を描き、その手から鉛色の何かが飛んでいき頬をかすめ、後方へと飛んでいく
外したか?そう思った直後
「ウグァ!」
背後から吐血音が聞こえ、それに反応して敵は振り返る
そこには血を流す仲間の姿が
「スレイブ!!」
衝撃波を操る男がスリップノットを使う男
スレイブに駆け寄り体を揺すった。
腹にはゼルクが投げ放ったククリナイフが刺さっていて服に血が滲んでいた
「うおぉぉ...悪い...バンプ 油断しちまってたレイヴンはともかく、人間にしてやられるなんてなぁ~...」
「喋るな、傷は深いがもう直ぐ応援が来る、傷も治せるし、奴らも片付けられる」
「おいおい今は戦闘中だぜ?敵に背を向けるとは...兵士失格だな」
背を向けて仲間を励ますバンプにゼルクは
遠慮なしで飛びかかる、足の『絞首刑(スリップノット)』は本体を叩いたことにより解除されている
水のようにしなやかな動きで岩のような拳を放つ
グワッと空気を揺らす拳はバンプの背を捉え打撃は打ち込まれた
「『波動方程式G!』」
瞬間、バンプが光り
グチャっと何か柔らかく湿っぽい物が飛び散る音がした。
「な......?」
「おっさん!」
背中に拳が当たると同時にゼルクの拳は弾け飛び、血肉を地面に撒き散らす。
手首から血がだくだくと流れ出していく
「貴様は、俺をあと数分で殺すだろう...
体力温存のために全力で闘わないからと言って特級魔族クラスのバケモノ相手にいくらも持つはずがないからな...」
バンプの角の先端からは止めどなく魔力が噴き出す、その魔力がシールドとなって自分を守っている
「だが、貴様が俺を殺すまでに...五体満足でいられると思うなよ...」
頭がクラクラするような振動音がバンプを中心として荒波立っている
魔力と殺意が相まって強烈なパワーに変幻しゼルクを威嚇するように地を這い回るのだ。
対するゼルクは、ククリナイフを『スリップノット』のスレイブに投げてしまったので
現在丸腰、頼りなのは数年間『頂正軍』で鍛え続けたその人間離れした肉体とあと一歩威力の足りない魔力のみ
切り札『感覚夢双』をここで使うわけにもいかないしレイヴンは足を切り落としてしまったので動きが安定しない足か相手の体を
『再武装』しなければお得意の素早い脚を披露できない。
それを一番知っているのはもちろんレイヴンだ。
ゼルクを心配しながらも「無事でいてくれよ...」と言い残しどこかに飛んで行った自分の足を探しに這って周り始めた。
つまり、丸腰の人間が魔力に身を包んだ魔族に闘いを挑むことになったのだ。
「チッ、衝撃波エネルギーを盾にしてるのか...確かにこれじゃこっちから手出しはできねえな」
なにやら肌にチリチリと照りつけるエネルギーを感じる、この感覚は魔力...
呼んだ敵兵士が集まっているのか...
「そうダラダラしてられないようだな早めに切り上げさせてもらうとしよう」
ジリジリ間を詰める両者
バンプが一歩 歩くごとに地面に衝撃が伝わり靴の形に地面がへこむ
ゼルクは敵の攻防一体の衝撃壁の弱点を見つけるべく魔力の動きを近距離で観察する。
「来ないのか?早くしないと応援が駆けつけるぞ」
「なぁに、焦りは禁物、短気は損気、急がば回れ...お前の弱点を探ってからとことん追い詰めてやるだけだ」
「そうかい...」
小さく呟くとバンプは体を横に揺らす
その動きに目がつられたゼルクの視線は右にずれる
その時だ、バンプは全速力で身を屈めゼルクの死角に飛び込み、波動の鎧で固められた
突きを打ち出す
「ムッ」
しかし、ゼルクは冷静な判断で一歩分体を
後ろに引く
そうすることにより視界が広がり死角を視界の中に入れた。
「おお、危ねえ」
ギリギリのラインを通った拳はゼルクの前髪を細かく吹っ飛ばしてアッパーカット気味に振り払われ、風を巻き起こす
だが、アッパーカットを打った後の脇腹の隙を見逃す程ゼルクの目は甘くない
すぐさま体制を立て直し、手に魔力を集める
「オオオオオッ!」
魔力の鎧で身を守るバンプに対しての物理攻撃は逆に破壊されて危険、先ほどゼルクも
拳を吹っ飛ばされたばかりだ
だが、迷いなく突く拳は脇腹に突き刺さった
「オラァァァーーッッ!」
ブチブチ...服の繊維が千切れる時のような切断音が拳から鼓膜に伝わってくる
「素手で俺の波動壁を破壊するのは無理だ、お前に砂漠の砂を数えきれる忍耐力と時間
そして体力があると言うならなら別だがな...」
バンプの体を守る魔力の鎧は常に振動しており、触れるものはその振動波により粉々にされてしまう
手が内出血を起こしていて更にはさっき吹っ飛ばされた右拳の血も止まらない
だが、ゼルクの目からは生気が消えずバンプの事を睨み返した。
「そうかな...?」
ピキッとフクロウでも拾えないだろう本当に小さな亀裂音
「嘘だろ...?」
ビキビキ...ビキッ!と次第に音は大きくなり
そして当然亀裂も大きく広がっていく
『波動方程式G』にヒビが入る
波動壁のパワーをゼルクの魔力出力が上回ったのだ。
「一発で叩き割るつもりだったんだがな...」
内出血で膨れた手を振りながらゼルクは距離をとる
表情は切羽詰まった感じだが、逆にこの状況を楽しんでいるようにも見える
闘いの高揚を思い出したかつての強兵士は恐ろしい
「一撃でダメなら...」
脚の筋肉を収縮させて後ろに蹴り上げる
拳を握り引きしぼる
目線で殴る場所をロックオンする
これだけの工程が一瞬で何度も行われ繰り返される...洗練された暴力とは総合芸術のように見るものを圧倒し、言葉と眼を奪う
「もういっぱぁぁああつ!!」
「うああああ!!!!」
2度目の打撃はバンプが素早く反応し、腕をクロスさせ阻まれパンチを受け止められた
攻撃は届かず腕の骨に鋭く痛みが響く
だが!
「な...にぃぃ!?」
バギキキン!
ゼルクのパワーはバンプのガードを貫き、魔力の鎧さえも貫く
破壊された魔力鎧の破片が飛び散り周辺の地面を破壊するしかしゼルクはそんなこと気にもせず腫れ上がった左拳で
何度も!何度も!何度も!何度も!何度も!
何度も!何度も!何度も!何度も!何度も!
何度も!何度も!何度も!何度も!何度も!
狂ったように殴りまくる!
「ウォォオオオッッッラァァァァァアア!」
瞬間的に叩き込まれる一撃一撃は素早くかつ正確にぶつけられる岩のような痛みを与える顔面の形は一瞬で原型を崩し、腹部にくらわせた攻撃に内臓は異常をきたす
あまりに強力な破壊力、台風に巻き込まれたようにバンプの体は浮かび上がった
「完全なるトドメを...刺す!」
全身の魔力を指先一点に集め
強化された指先はまるでよく研がれた刀のように鋭く輝いた、その指先を操りバンプの首元を狙ってゼルクは腕を伸ばす。
「『飛燕流...刺突』...ぐっ!?」
あと数mmで手が届くそこでゼルクは首を締められる感覚に襲われた。
首元に手を持って行くと太い縄で強固に縛られている
触ってはじめてこれは実態ではない事に気付く これは魔力の縄だ、そしてこの能力を使う奴は...
「『絞首刑(スリップノット)』!!」
ナイフにやられて気を失っていたはずの処刑人スレイブがいつの間にか目を覚ましていた
「へへ...このまま、首を命ごと絞め落としてやろうか...?」
生意気そうな口をきくと更に魔力を強める
ゼルクは苦しい表情を浮かべ、首の縄を外そうと手を掛けるが緩まる気配がない
「ぐおっ...くおぉ...」
縄の行方を目で追っていくと縄の端っこは
スレイブの右手から出現しており、固定されている
ギリギリギリ...
首を締め付ける縄は弱まることを知らず
骨や気管を圧迫して、呼吸する事が許されない
「お前...無理しやがって...!」
この状況でさらに追い討ちをかけるようにバンプが重症の体を立ち上げて来た
「お前こそ顔面グッチャグチャだぞ!
ヒッデェ顔だなぁ!あははは...いててて...」
スレイブは腹にナイフが突き刺さったまま
大声を出してバンプを茶化して笑い出す
バンプの方も全身の骨格を破壊されているのになぜか立つことができている
魔族の丈夫さの前にゼルクはとうとう追い詰められてしまった。
「うっぐ...うう~ぅう!...」
時間が過ぎる毎に『スリップノット』がきつくなっていく
脳に血液が回らなくなってきて意識がボーっとし、唇もチアノーゼになってくる
「窒息」その二文字が頭をよぎった
その時だ、バンプがゼルクに向かって手のひらを構える。
「『波動方程式...』」
この絶望感にゼルクは血走った目を見開く
さっきの考えは甘かった...窒息させられるかと思ったが違う...それよりも もっと早くバンプの一撃によって葬り去られてしまう。
逃れたい一心でそこから飛び退くが
「おおっと!逃さねぇよ!?」
引っ張られて地面に引きずられ、いたずらに自分を追い詰めるだけに終わった。
「じゃ、とどめよろしくねぇ~」
「おう...」
目の前の手のひらには魔力...『感覚無双』を発動する時間もない、完全に力を見誤った。
岩石を粉々にするパワーだ、人間の柔い体などあえなくこっぱ微塵に弾けて飛び散る事になるだろう。
十数時間ぶりの死の予感にゼルクの意識は沈みつつある。
(くっ......どうする...?玉砕覚悟で飛び込むか...?だが、まともに動けるのか?今の俺は!?どうするどうするどうする!!!!!いや!まだ行ける!俺は死なん!俺にはまだこの世に未練があるッ!)
....................................
.....................
(先ずは、脚を動か......くそ...)
コツーーン...
(まずい...ぞ)
コツーーン...
コツーーン...
(意識が...)
コツーーン...
コツーーン...
コツーーン...
(薄....れ...)
.....................
.................................
「『血濡れの太陽(ブラッディサン)!!』」
消えかけのゼルクの意識の横を熱の塊が通り過ぎるのを肌で感じた
何かが後方でボンと音を立てて燃え出し首から締め付ける痛みが消える
能力が解除されるのは本体が解除した時か本体が気を失うか死んだ時だ。
「危なかったなぁ、大丈夫?おっさんよぉ」
そこに立つのは今までどこに行ってたのか...レイヴンが山の背景を背に立っていた
「相棒が死にそうだってのに...笑ってんじゃねーよ...」
そう呟くとゼルクは立ち上がり後ろを向いた
「こっ!これは......これはぁぁ~!?」
後ろでバンプが後ずさっている、その横では燃え上がる緑炎とその中にある人影
その影はグズグズと溶けていき人影でなくなっていく
「おっさんがオレの脚を吹っ飛ばすから探しに行ってたらいつの間にか追い詰められてやんの~、こりゃ笑うしかねぇって!ハハハハ自業自得」
「黙れ、俺はうるさい奴が嫌いだ...だから」
「だから...なに?黙れってか?」
締め付けられた跡を撫でながらバンプを指差す。
そして、冷徹に口を開くと...
「あいつを黙らせろ、永遠に...な」
バンプは一瞬ビクッと身を震えさせた
それを見るとレイヴンはいやらしげにニヤリと笑った
「ラジャー」
目をぎらつかせながらバンプの方へ歩いていく途中、レイヴンは人差し指を立ててその指で左腕のそで部分を擦った
シャッと素早く擦られた指先には緑色の炎が灯り、湯気が立っている
実はこれがレイヴンの他人の能力を使うときの条件だ
他人の能力を使う時はレイヴンがイメージしたルーティーンを行う必要があり、能力の出力を上げる場合はルーティーンの時間もそれに比例して長くなるし、能力によってルーティーンのやり方も全然変わってくる。
「ウォォォ!!!!!近寄るなぁぁ!!」
あと数歩の所でのバンプ最後の反抗
喉が張り裂けそうなほど声を張り上げ波動を周辺に撒き散らすように発射を繰り返す
一撃ごとに計画性はないが威力は抜群に高い
重々しい音を立ててレイヴンの周りの黒い岩が弾け飛ぶ
「ウォォォォォオァァァァァア!!!!!」
さらに大量の波動を掌から射出、攻撃を外した波動も岩を砕いてそのクズを勢いよくとばしている
だが、攻撃対象本人であるレイヴンは全くもって無傷、目に見えない波動を空気の動きを読んでかわしまくる。
「ん?攻撃はそれだけでいいのか?」
目を細め、嘲笑う表情を見せつけレイヴンはバンプをさらに戦慄させた
悔しげな...今にも涙を見せそうな表情を浮かべたバンプは波動を撃ち続ける手を止めると突然正座し、その後膝に頭をつけるようにうずくまった。
「「?」」
2人ともいきなりのことで少し戸惑った。
追い詰められ、諦めの境地にでも入ったのかなどと思ったが...
しかし、レイヴンは理解したこの行動の意味を
「テメェ!それはやめろッ!」
そう叫ぶと指先から硫炎を一直線に飛ばす
「グッバァァ...ブハァははははははは!!!もう遅い!!」
上半身を起き上がらせるとバンプは右手を身を守る盾のように、前に突き出す
なんと、その手には赤く脈打つ心臓が握られていた。
胸には穴が空いていてバンプは白目をむいて血を吐きながら笑っている
恐ろしい、気分が悪い、様々な負の感情が湧き上がってくる
「うるせえ!死ねッ!」
硫炎はバンプの眉間を貫通すると頭を燃やしその命を奪い、焼き尽くす
しかし、真の恐怖はここにあった。
体が崩れるその瞬間、体と血管のコードにつながれている心臓が赤い水風船のように弾けて飛び散り、中から魔力の光が漏れ出した。
「くるぞ...津波のごとく全てを飲み込む一波が...!!」
レイヴンの顔から血の気が引いていく
「なんなんだ、あれは」
ゼルクは心臓から飛び出た光を指差しよく見ようと近づこうとするが...
「近づくな!行くぜ!!」
レイヴンに腕を引っ張られ、その場を走って去ることになった
        ギィィイィィィィィィイイン!!!
空気が振動させられ不気味な音が立った
次第に魔力の光は大きさを増していき、2人とも走っているのに音が増してくる
「ハァハァハァ...あ、あれはなんなんだ?」
ゼルクは走りながらレイヴンに尋ねる、レイヴンは口ごもる表情を見せた後、口を開く。
「魔力の保存場所ってどこか分かるか?」
「あぁ...?そうだな...魔力は生命体エネルギーだから...全身に運ぶための機関...『血液』...ハッ!?もしや...まさか...!?」
ゼルクは後ろで燃え上がるかのような魔力を感じながら振り返る
「そうだ、魔力は心臓の鼓動により保存されている。 だから、その心臓が止まったら...破壊されたらどうなると思う?」
「安全装置の切れた...原子力発電所のようになる...!」
ドクンッ!ドクンッ!ドクンッ!
脈打つ心臓の音が半径100mに聞こえるほど大きくなってきた。
「よし、ここがいい止まれ」
そういってレイヴンが走りを止めたのは切り立った崖の真下だった。
「逃げねえのか?」
「逃げてももう無駄だ、おっさんも言ってたろ?原子力のように爆発すると...だから逃げても無駄だ、オレは最善の場所を探してたんだよ」
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
いよいよ心拍音の間隔が狭く、素早くなってきた 破裂の前触れだ
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!..................
.............................................
急に静かになる
そして...
「来るぞ!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
嵐の前の静けさからの震災のごとく強力な波動が押し寄せて来る
大地を割り、富士山を崩し、周辺にあるもの全てを飲み込みながらも波動の進撃には歯止めが効かない
操縦者のいない飛行機が暴走するように、使用者の死んだ魔力はその内に秘められた力をその脅威を思う存分振るった。
「『武装』!オレ達の身を守れ!」
レイヴンは足元の岩石に魔力を流し込みながら命令する。
すると、レイヴンの足から吸い上げられるように地面が動くとたちまちレイヴンとゼルクを覆うような形の岩製のドームが出来上がった。
ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!
ドームの内部は背を屈めてやっと2人が入れるくらいのスペースで、お世辞にも広いとは言えない
攻撃を通さないようにするため隙間を作っていないので10分もすれば酸欠になるだろう。
「これで保つのか?レイヴン」
ドームの壁をコンコンと硬さを確かめるように叩く、音は軽い感じで厚い壁ならばもう少し重い音がするはずだ。
「わかんねぇ...外部は魔力でコーティングしてるから頑丈なはずだが、何しろ完全解放された魔力だ、急ごしらえで作った壁がそう何十秒も保つはずが...」
ビシッ!
そう言っているすぐそばで腕の長さほどの亀裂が壁にはいった。
「ヤッベェ!」
亀裂をレイヴンが撫でると横の岩と接合され綺麗さっぱり消える
だが、さっきの壁の傷を境に壁のいたるところに亀裂がその姿を現しまくる。
「ダメだ、間に合わねえ!」
ついに、レイヴンの修復スピードが追いつかなくなり 壁は耐久度を超えて崩壊していく
「レイヴ・・・」
その声は魔力の波の轟音に飲み込まれ、小さく握りつぶされた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大きな瓦礫がひとつ持ち上げられ、動いた
「いや~、ひどい目にあったな~ ハハハ」
崩れた岩陰からゾンビのように這い上がって出てきたのはレイヴンだった。
その白い歯が光に反射してよく光る。
「笑い事じゃねえよ...だが、お前にも作戦を練る頭があるとは驚きだったぞ」
「あ!今命の恩人バカにしたろ バチ当たるぜ」
「もう当たったも同然な人生送ってるけどな」
ドーム崩壊の後魔力の波動は二人を厳しく責め立てたが、次の瞬間上から降ってきたのは2人の上にあった崖の崩れた大量の岩、レイヴンは待ってましたとばかりに『武装』を使い、ドームを再構築、どれだけ破壊されても延々岩が降ってくるので長時間耐えきることができた。
これがレイヴンの作戦である。
「敵兵が岩に埋まってる間に早く登るぞ」
「おうっ!」
辺りは見渡す限り、岩に埋め尽くされていてある意味絶景だ
この下に数十人の敵兵が埋まっていると思うとゾッとするが...
「にしても...空ってこんなに綺麗だったんだなー、ひっさしぶりに青空なんか見た」
「そうだな...俺も初めて青い空を見た気がするな...」
空を見上げると視界いっぱいに青空が広がる
波動が空の雲を吹き飛ばしたのだろう
空が青い、それだけでもこの世界では奇跡なのだ
空が青いのはただ光が反射しているだけだ、なんていうやつもいるだろうが...人間はただ空が青い...ただのそれだけで上を向ける生き物だ
なんと単純、だが 心に余裕がある生物なんと素晴らしい。
「なあ...俺達がもしも、魔王から世界を奪還できたらこの空をいつでも見られるのか?」
ふと、ゼルクの口から問いかけるでもない独り言のような言葉が漏れ出た
レイヴンには視線を向けずに空を眺めている
「空だけじゃねえぜ、うまい飯に酒!その気になれば綺麗な嫁さんだって手に入る!」
目を輝かせながらレイヴンは歌うように身振り手振りを加え、希望を語る
それは欲望を簡潔にまとめたセリフだ、それにゼルクは笑うともなく口を曲げる
「それもいいがな...俺には、こうしてため息が出ちまうような空と、落ち着いてかつての文豪作品の読める木陰があれば十分」
何か物悲しげに、モノを言うが...ゼルクの言うただのそれだけの願望でさえも魔界と化した地球では難しい、人間にできるのは小さくまとまって魔族の目に触れない程度に生活するなんてことだけ
酷く窮屈で、まるでネズミの暮らしだ。
「おっさんは渋いなぁ~、オレ憧れちゃうぜ」
緊張感のないような事を歩きながら話していると崩れた崖に差し掛かった、横には砕けてバラバラだが看板がある
           『9合.........あとちょ......う』
という文字だけはかろうじて読め、ここが9合めだということが分かる
「さて...過酷な山登りもそろそろラストスパートのようだ...」
『永命剣』を求めての富士山登頂は相当な力を使って今が6割程度
まだ、防衛隊リーダーとの闘い、富士山の溶岩に封印された『永命剣』の解放のためのマグマダイブが残されていた
頂上からはなんとも言えない重い空気が流れ出ていて2人の歩みを拒む。
「じゃっ、サッと行かせてもらうぜ」
ぐいっとゼルクの腕を引き寄せるとレイヴンは崖の岩壁に足をめり込ませた。
「『武装』!」
壁と足の細胞を『武装』により一体化させ
壁に対し垂直に歩いて行く、レイヴンの腕に掴まったままのゼルクは相棒を信用し、何も言わず崖の岩に足をかけ、同じ歩幅で登って行く。
一歩進むごとに熱気と殺気が濃く、強くなっていき普通なら不安感が強まるが...あいにくこの2人は呆れるほど闘い慣れしている
今更殺気なんかは空気中の二酸化炭素ぐらいにしか思ってない。
そして、頂上まであと100m
「ようこそ、侵入者!」
頂上の頭が見えてきだした時、そこには宙に浮く人影、そいつからはさっき戦った兵士2人の魔力合わせても全然釣り合わない位膨大なエネルギーが溢れている。
「ここまで死ににくるとはご苦労なことだな!」
そう聞こえると「あぁ!?」と言い返す間も無く上から何かが落ちてきた。
「あれは...小石?」
落ちてきた小石はパラパラと数粒体の上に乗った
「これは!?」
体の上に小石が乗ったその瞬間、数100kgの重りをつけられたかのように体が重くなり壁と同化させている足にヒビが入る 
「まずい、落ちる!」
いち早く状況を察したゼルクはレイヴンの腕から手を離し、崖に手をかけ横に飛び退く
「いや、助けろよおっさん!」
「この程度の高さなら落ちてもなんの問題もないだろ?腐っても次期魔王なんだからな」
そういうがすでに現在の標高は3000mを超え2人は当然、雲の上に位置する場所にいるのだ。 そこから落ちても自信をもって問題ないと言い切られるレイヴンの体の硬さは想像を超える。
「ちょっ...」
レイヴンの足はついに限界を迎え、血を吹き出したので瞬時に『武装』による足の固定を解除する
体の上に落ちてきたとてつもなく重たい『小石』に疑問を抱きながら。
落ちるときは、落下速度に逆らわず倍に倍にとスピードが増していき数100mもある崖から落ちて地面に叩きつけられると轟音と砂埃をあげた。
「これは私の能力のほんの一部だ...だが、
まだやると言うのならば登ってくるがいい」
そう言い残し、敵は浮いたまま崖の頂上に体を隠した
ゼルクとレイヴンの快進撃は顔も見えず仕舞いにリーダーとやらのファーストコンタクトで終わってしまった。
「おぉ~い!大丈夫かぁ?」
未だ土煙収まらぬ下界の地面に声をかける
すると、煙の中から黒い影が飛び出してくる
「大丈夫なわけあるかぁ!!!!」
レイヴンは普通に元気だった
「元気じゃねーかよぉ~~!!」
黒い影は壁に飛びつくと両手両足を再度『武装』し、張り付く
「あの高さから落ちても確かに特級魔族なら問題ないが!体には数100kgの小石がいくつも乗ってたんだぜ!?単純に落ちるのとはわけが違う破壊力だ!地面に激突する瞬間『武装』で地面からの衝撃を吸収してなけりゃ今頃、不味そうなミンチ肉になってただろうよぉ!!」
「確かに、そいつぁ悪かったな...だが今を生きている俺達には過ぎ去った過去は過去だ、気にしてる時間がもったいねえ」
言葉を交わしている間にもレイヴンは猿のような身のこなしで崖をひょいひょいと登って行く、強風が体を揺さぶり背中を押すようにくっついてくる
「楽しんでる気は無いんだが...」
崖の少し平坦になっている場所で休むゼルクは頂上を見上げ、独り言を言う。
「不思議と...気分が高揚していく...」
胸を高鳴らせているとレイヴンが追いついてくる
「な~に、笑ってんだ?そんなに崖を登るオレの姿が滑稽だったか?」
身を乗り上げてゼルクの隣に足をかけると
彼も同じく頂上を仰ぐ
「ふ...圧倒的差ってのは案外目の前に現れると面白いもんだな...最強くらいがちょうどいいのかも...」
悟ったような言葉を出し、ゼルクは登る「戦うか?引くか?」その問いには答えに迷う必要はなかった、レイヴンと盃を交わしたあの夜から向かう先全てが敵になることをわかっていたのだから。
「これはさ、オレの持論なんだがよ...手が届きそうにない場所には 憧れの感情が出るが、手の届きそうな所なら追い越そうと思う、人間も魔族もこんなもんだと思うんだ...」
風に吹かれ、誰にも届かない程小さくゼルクは失笑する。
「そんな事を繰り返してるうちに...憧れの場所さえも追い越してしまうんだろ?お前はよお...」
そして、最後の一歩を上に飛び出す。
スタッと綺麗に着地し、目を前に向ける
そこには、浮かぶ多数の岩、そしてその中心地、魔力を撒き散らすように立つ男が...
「やはり、来たか」
頂上に立つは防衛隊リーダーを務める男
【グラン】...人間からの兵器攻撃をたった1人で対処したと言われていた 特級魔族クラスのトップ兵士
その眼前に立つのは
人間界最強、剣術操る魔族と人間の中間生物自称:死神【ゼルク】
その相棒は魔界を裏切り、魔王を怒らせ、全魔族に喧嘩を売った宇宙一の命知らずのバカ
その力はまだ、未知数
魔王家長男【レイヴン】
こいつら、ほかの生物とは次元の違う3人がたった3km四方の場所で出会ってしまった。
「『永命剣』を...渡してもらおうか?」
ゼルクは睨みを効かせ、語りかける
「欲しいのなら!力ずくで奪いに来るがいい!」
グランはそれに応じず牙を剥く
「OK!死に方は、刺身か?タタキか?好きなやり方で料理してやるよ...!」
レイヴンはいつもの通り、戦いになるや否や不敵な笑みを浮かべ、不穏なセリフを吐く
異様な空気渦巻くそのすぐ後ろで煮えたぎる地球の血液、マグマ...さらにその中で静かに復活の時を待つ『永命剣』
2人は謎の敵の能力を躱し、その対魔族兵器を手にすることができるのか...
勝利の女神がいるとして、微笑みかけるのはいったいどちらか 
『青空』を賭けての戦いの火蓋は切って落とされた。

To Be Continued→
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