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第28話「Jet Black・The Hero」
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閉じていた視界にうっすらとした光が差し込んだ 空に浮かぶ光に向かって蛾のように飛んでいく、吸い込まれるようにその光の中に飛び込んだ
飛び込むと同時に世界が歪み、ボヤッとした意識になる
だが、時間を置くと、次第にぼやけていた意識がはっきりとしてきて
目が覚めた
なんだ寝てただけか、そう思って体を起き上がらせようとする、だが、なぜか動かない
目を動かすだけでも怠い、指の関節を少し曲げるのが精一杯だ
そんな動けない状況の中、すぐ側に人の気配を一人分感じた。
「お、リリィ 意識戻ったか!」
馴れ馴れしく気の抜けた声で自分の名を呼ぶ男の声
どこかで聞いたな、と感じて記憶を漁ってみる と、一つ心当たりがあった。
「レイヴン・・・?」
「当たり」
返事が返ってきた 別にクイズをやってたわけじゃないんだが、当たってほんのちょっぴり嬉しかった・・・かな?
よかった、気を失っている間に何があったのか分からないがレイヴンが側にいるということは自分は助かったということだ。
「ホォ~・・・」
ほっと胸をなでおろし 一息つく
しかし、次の瞬間にまたハッとした。
「あっ!お、お父さんとお母さんは!?」
高い声を上げて辺りを見回すが静寂の中では盲目であるリリィは何も見ることができない
なのでレイヴンの声がする方に首を回して両親の安否を訊ねる。
「大丈夫なの!?ねえッ!?無事なのよね?」
地面に寝かされていて、疲労で動けないということがなければリリィはレイヴンに掴みかかっていただろう
「無事じゃない」と答えればショック死するかレイヴンを殺しにかかりそうな程切羽詰まった表現をしている。
「落ち着け、無事だ傷一つ付けてねえよ」
「そう・・・よかったぁ・・・」
無事だと聞いて飛び出そうな心臓の高まりは鎮まり、逆に心は今にも泣きそうなくらいに昂ぶってきた
悲しみではなく歓喜の涙を一粒流す
慌てたり落ち着いたり泣いたりして忙しいやつだ まあ人のこと言えないけど、レイヴンはそう思いつつここで大切な事実を口にした。
「だが、完璧に無事ってわけではないんだ」
「ど、どういうことよ!」
すぐに元の凜とした表現に戻ったリリィはキツイ語勢でレイヴンに問う
レイヴンはまあ落ち着けよ、といった感じで手を前に出して静止のポーズをとった。
「2人はまだ『G.Iジョー』に囚われたままだ 解放するためにはリリィ、お前の『生命吸収』能力が必要だ」
「じゃあ早く!」
「分かってる、残り少なくて悪いけど オレの魔力半分やるよ」
そう言ってリリィの手を握るとそこから自身の半分を占める魔力を流し込んだ。
「ウッ!わぁああああああ!!!」
レイヴンは自分の魔力を残り少ないと言った
だが、魔族 魔界の王の血を引くレイヴンから見た魔力の【少し】は人間からすると莫大な量だ
液状の電流を飲み込んだと表現するしかない衝撃的エネルギーが小さな人間の体を満たした。
「あああああぁぁ・・・ぁぁぁ・・・」
残留した魔力がパチパチと静電気のような音を立てて空気中へ消えていく。
「落ち着いた?」
湧き上がるパワーに筋肉が収縮し、自然と体が立ち上がった
これまで感じたことのない脳内麻薬の分泌
今なら空を飛べそうなほど強い万能感
その両方を魔力は与えてくれる
そして、次第に力は感覚に追いついて行く。
「・・・うん、行きましょう 一刻も早く両親を解放したい」
靴のかかとでコン、と地面を叩く
その音は秒速1200mで広がってゆき 魔力で強化された聴力はその反射音を拾い、崩れ去った廃ビルの惨状を完全に掌握した
そして、そこに拘束された両親の姿も見つける。
「・・・ふ~~」
だが、リリィは動かない
卓越された五感が さらなる危機に警鐘を鳴らしたのだ。
「ほんっと・・・どこまでもどこまでも」
歯を噛み締め、空を見上げる
「どこまでも・・・!」
筋に血管を浮かび上がらせ、魔力を体にまとわせた。
「どこまで私達の邪魔をするんだ!!」
見上げた空には無数の小さな影が黒雲に紛れながら向かってきている。
「鳥・・・!」
レイヴンが視認できる距離までに近づいてきているそれは鳥の『軍隊』であった
背には魔力の雷光の漂うミサイル発射台が背負われていて、アーミーの『G.Iジョー』の影響下にあるのが一目瞭然だ
その羽音を立てる無数の脅威は二人をゆっくりと一体感のある動きで包囲していった。
「早く・・・解放してあげたいのに!」
周りをミサイルで武装した鳥に囲まれ、二人は動きを止める
少しでも動けばすぐにでも攻撃が開始されるだろう
鳥の姿を介してでも感じられるハッキリとした殺意が、あと10mの所にいるリリィの両親を途方もなく遠く見せた
そして、鳥軍隊の中の一羽がアーミーの声で話し始める。
「命を捨てる思いで戦ったようだが、わたしの兵は無尽蔵だ お前達が1200人分の兵力と戦っている間にわたしは3000の兵を増やしたぞ」
その圧倒的な数が字面だけで2人を震撼させる
数の暴力とは言うが、武を伴った暴力ほど始末の悪いものはないだろう。
「わたしは、無敵だ」
『無勢の将軍』はその姿を敵の前に見せることなく、勝ち誇り
傷を負うことなく、敵を死の谷底に放り込む。
「アーミーよぉ~」
殺伐とした雰囲気のど真ん中で能天気にレイヴンが口を開いた
アーミーは返事を返さなかったが、構わず話し続ける。
「中途半端に強い力を持つってのは考えもんだよな」
低い声が空に届く。
「どうしたって心のどこかで慢心ってやつが生まれちまう」
鳥の羽ばたく音が静かに響く中、背のミサイルが怪しい輝きを見せ煙を上げて発射段階に入る。
「ま、何が言いたいかっつーと、お前は無敵なんかじゃねぇ、そしてオレより強くもねぇ」
今度は不敵に笑って見せた
同時にリリィの手を優しく握る、小さなリリィの手は大きなレイヴンの手にすっぽり隠れてしまった。
「ちょっ、急に・・・なに?」
その突然の握手へのリアクションに困ったが
レイヴンの真剣な視線に隣で息を飲んだ。
「『G.Iジョー』を解除する方法はもう一つある・・・」
「なん・・・なのよ・・・」
レイヴンの角から出力された魔力が腕を伝ってリリィの体に流れ込む。
「ま、またあああああああああああ!!?」
再び流れ込んできた魔力は体内でスパークしてリリィの体を一瞬で埋め尽くす
そして、その代わりにレイヴンの体からはみるみる魔力が減っていく。
「それは、シンプルにアーミー本体を倒す事・・・リリィお前ならできる オレの魔力全部やるよ」
全魔力を注ぎ込まれたリリィの体細胞は活性化し、一時的に人間のそれとは全くの別物に生まれ変わる
生命エネルギーである魔力の特性は他のエネルギーの増幅
凝縮された生命エネルギーが力を上の段階へ押し上げるのだ。
「ウッ!こっ・・・これキツイッ!破裂しそう、なん・・・だけど・・・!?」
だが、大量の魔力を扱うにはそれ相応の許容が必要
元々魔力許容量の少ない人間の体に魔族の生命を注ぐということが無茶なのだ
それは小さな紙コップにマグマを流し込むようなもの、体内に収めきれず爆発的魔力が肉体を突き破ろうと暴れまわり、リリィはその焼かれるような痛みに悶えまわる。
「それ、見たことか!!」
敵の不幸を喜ぶそんな声をアーミーが発した
すでに追い詰められた相手が目の前で自爆したのだ
自分と肩を並べるであろうレイヴンが、意外な底力を見せたリリィが、共倒れ、敵対する者としてはこれはなんとも喜ばしい事と言えよう。
「さあ、トドメと興じようじゃないか!」
悪魔のような いや、悪魔そのものの笑い声を上げながら鳥の群衆は背に負ったミサイルに魔力を点火させた。
「あっはははははははは!!!!」
勝利の可能性も・・・
つけ込むスキも・・・
「燃えカスも残らぬほどにッ!」
逃走経路も・・・
逆転の一撃も・・・
「粉々にッ!吹っ飛ばしてやるぞッ!!」
何一つとして、無い
それなのにレイヴンはまた不敵に笑った。
「見ぃぃい~つけた」
周りを取り囲む鳥の包囲の中で腕を擡げ、苦しむリリィの隣で、どこか遠くを指差す。
「ちょうど1時の方向、3km先の廃ビル、地上から45m そこにいるんだろ?アーミー」
「な!?」
一匹の鳥がアーミーの声を漏らした
思わず出てしまったという感じの声だ
レイヴンがどうやってその情報を知ったのかはわからないが どうやら図星らしい
だが、それだけで形勢逆転できるほどこの状況は甘くない。
「大当たりだ・・・が、貴様らの命は我が手中にある 逆転は無い・・・」
レイヴンの言う3km先の廃ビルで静かにほくそ笑むとアーミーは 冷酷に告げた。
「あばよ・・・全弾発射」
脳に魔力の指令が送られると鳥たちが背負ったミサイルが紫色の稲光を散らせながら発され、地上に立つ革命者二人を狙い、飛ぶ。
「早口で言うけど聞きとれよ」
その刹那、レイヴンが胸を押さえ苦しむリリィの肩に手を置いて上体を起こすと、耳元に言葉を吹きかけた。
「苦しいんなら、解放しちまえ」
「ど、どういう事・・・あっ、そうか」
ミサイルが着弾するまで一瞬の猶予も無い 極限状況の中で、極限状態だからこそリリィはレイヴンの言わんとしていることを瞬時に理解し 行動に移した。
「でも、できるかどうか・・・」
「できるかじゃねえ、やるんだよ」
「無茶・・・言うね」
ソッと背中を押すと魔力に焼かれるリリィの体が立ち上がり、『竜舞脚』の構えをとった
その間なんと0.2秒
「ま、やるけどね!」
レイヴンを真似してニッと笑うと
足先にキャパオーバーした魔力の塊を集める
一瞬 脚が破裂したと錯覚する程の激痛が走ったが、男勝りの根性でそれを堪え
魔力の強化により加速する意識の中で龍の舞を披露する。
「3km先のあいつの顔面蹴っ飛ばしたれ!」
「おっシャア!」
レイヴンがそう言うと同時に、聞いているのか聞いていなかったのか 気合の叫びを上げ
リリィは軸の太い体を大振りにグリンと回し 魔力で膨れ上がった右脚が弧を描き、遠心力を付け
蹴りと遠心力の勢いに乗せて魔力によって魔力を解き放つ!
舞い踊る龍が、解放される!
「『龍舞脚・夜空遊泳』!!」
リリィの蹴りが一閃となって瞬きを追い抜き、脚から放たれた極太の魔力光線が龍に姿を変えた。
「な、なんだ!この馬鹿げたパワーは・・・元の魔力量をなぜ遥かに上回っている!?」
進行方向にあるもの全てを消し飛ばしながらアーミーへ一直線に向かってくる龍に生物としての本能が叫んだ「逃げろ!」と
しかし・・・
魔族の高いプライドが「人間に臆するな!」と本能の判断を抑えつけた
だが、本能が・・・【恐怖】が、理性とプライドを跳ね除けて アーミーの体を逃走へ導いた
魔族の全力逃走、それでも遅かった
『G.Iジョー』発動中はアーミー本体は動くことができない
対して『夜空遊泳』は真一文字に、容赦なく向かってくる
つまり、この状況で能力解除のわずかなタイムラグが
命取りとなった。
「行っけえええええええええええええええええええええええ!!!!」
ミサイルの速度を上回ってリリィの咆哮が響き・・・
その咆哮を追い抜いてリリィの一撃がアーミーのいるビルを貫いた。
「クソがぁぁああ!わたしがッ!このオレ様が!!人間などにッ!?」
レイヴンの頭上では、アーミーの断末魔を叫びながら周りを囲っていた鳥たちが身悶えしながら地に落ちていく
同時にそれらが発射したミサイルが空中でピタリと静止して 蒸発するように煙と帰し、夜空に舞い上がって見えなくなった。
「ハッ・・・ハッ・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
魔族と少女の二人は肩を浮かせて、汗をダラダラ流しながら息を切らす
だが、その表情は爽やかだ。
「スゥゥゥゥウ・・・」
ゆっくりと落ち着き払って、息を吸うのと同じ速度で二人とも目を閉じる
一瞬・・・
鳥も飛ばず
戦火の音も消え
・・・空の幽けき音が聞こえそうなほどの静寂が訪れた
そして、
「ぃよおッ!シャァァアアア!!!!」
歓喜が、爆発した
拳を突き上げ、叫びが天高く打ち上がる。
「勝ったのね!?私達!本当に!」
目に歓喜の涙を浮かべ、弾けるような笑顔でレイヴンに抱きついた。
「ああ、お前のおかげだ!愛してる!!」
レイヴンの方もリリィのハグに照れる様子もなく無邪気に笑うと、相手の背に手を回してハグを返す
そして、不意打ち気味に彼女の頬に軽くキスをした
柔らかな感触が唇に心地よい。
「え・・・っ?ちょっ・・・と!?」
リリィは飛び退くように手を離してレイヴンから離れると先ほどキスされた頬をソッと撫でた
レイヴンは恥ずかしげもなく それをやってのけたが、生娘であるリリィはそうはいかなかったようだ。
「な・・・な・・・!」
突然のことで思考が追いつかなかったが、リリィはすぐに なにをされたかを理解した
それと同時に両頬が桃色に染まっていく。
「なにすんのよ!このカサノバ野郎!!」
「痛っデェ!!!」
照れ隠しでレイヴンを蹴り飛ばす
二人とも体力の限界を迎えていたので蹴られたレイヴンも蹴ったリリィも勢いのまま地面に倒れ込んでしまう。
「フッ・・・あっはははははは!」
「ははは!くっだらねー!!」
緊張が解けたせいか おかしな笑いがこみ上げてきた
疲れによるナチュラルハイ、俗に言う深夜テンションである。
「そうだ・・・!魔力が消えたって事は!」
「ああ、親御さん解放されてるぜ」
その言葉を聞いてリリィの表情がパアッと明るくなった。
「早く行きましょ!手ェ貸して」
「すまん、オレも立ち上がれない わははははははははは!」
大口を開けてやけにバカっぽく笑い声をあげる、彼自身の言う通りレイヴンの手足はガクガクと痙攣を起こして とても力が入っている状態には見えない。
「ええ~!?じゃあどーすんのよこの状況」
「体力が戻るまで待つしかね~な」
「何時間かかんのよ!?」
「さあ、何日かも」
「もう!魔力絞り出しなさいよ!唐揚げの横についてくるレモンのように!あんた魔族でしょ」
「無茶言うな」
リリィがワーワー言う隣でレモンの絞りカス、もといレイヴンは視界の隅に動く影を捉えた
不思議に思いふと、目線をズラす
するとそこには知り合って余り時間は経っていないが よく覚えている人間の姿があった。
「おい、あそこ!」
こんどはレイヴンが騒ぎ出す
「あれ見ろ、あれ見ろ」とうるさくどこかしらを指差した。
「言う事なす事全部唐突ねあんたは」
見ろったって私眼が見えないってのにさ・・・などと考えながらレイヴンが指を差す方向へ耳を澄ませる
魔力が尽きて聴覚も鈍ってきているが、隣で無駄にデカイ声を出す男がいるおかげでエコーロケーションに困ることはなかった。
「むっ・・・これは・・・」
時間が経つほどその音の跳ね返りが重複してきて目標の形を正確に、立体的に捉えられるようになってきた。
「あっ!やっぱり!」
その姿を聴き取ると同時にリリィの顔から笑顔と涙が溢れ出した。
「お母さんッ!!」
「リリィッ!!」
そう、そこにいたのはシズクだった
頬を赤らめ、嬉しそうに涙を流す娘にすかさず駆け寄って行く。
「良かった、本当に・・・!無事で」
駆け寄ったその先にいる娘を抱き上げると、シズクの方も泣き出してしまった。
「お母さん、うぅぅ・・・身体に異常とかは?」
泣く最中の嗚咽を混じらせながらリリィは健気にも母親の安否を確認する
それを前にしてシズクは聖母のように優しく微笑んでその胸に抱き寄せた。
「うん、平気・・・このとおりピンピンしてるわ」
それを聞いてリリィは抱かれる胸の中で安堵の表情を浮かべた
そして、その後ろの大きな瓦礫の影に隠れるようにして見つめる男が一人・・・
「あなたも出てきたらどうよ、恥ずかしがるようなことでもないんだから」
後ろに振り返り、シズクがそれへ声を掛ける
そう言われて隠れている者は少し強張ったように震えて、瓦礫の影から姿を現した。
「・・・この音・・・いや、感覚は・・・」
顔を埋めていた母の体から顔を上げ、その気配を察知すると、またもやリリィの目から止めどなく涙が溢れ出した。
「お・・・父さん」
彼女の顔は涙で乾く暇がない、顔をくしゃくしゃにしながらボロボロの体でゆっくりと立ち上がり、フラフラと酔っ払いよりひどく頼りない歩き方で父親に近づいて行く
当の父親のマクシムもその距離を歩み寄って崩れ去るように倒れこんできた娘を力強く、その腕で抱き寄せた。
「大きくなったなぁ・・・リリィ・・・」
「おかえり・・・お父さん・・・」
こうして親子で抱き合うのは実に15年ぶり
マクシムはリリィが3つの頃に魔族からの攻撃を受け、意識が闇の中で彷徨っていた
それがなぜ今目を覚ましたのだろうか
なぜ止まっていた時間が動き出したのだろうか
アーミーの『G.Iジョー』の影響か?
戦闘中リリィに後頭部を強く蹴られたことによるショック療法か?
なぜかは分からない
しかし、親子が抱き合うのにそんな理由などは必要ない。
「レイヴンくん」
「あ、どうも」
抱き合う父と娘の姿を見守る一人の魔族に元戦士の現母親が優しく声を掛けた。
「私どうなってたのか意識がなくてわかんないんだけど、助けてくれたのよね リリィと一緒に」
「いやぁ・・・ハハハ、頑張ったのは娘さんですよ、僕はそのお手伝いをほんのちょっぴり」
「ちょっぴりってどのくらい?」
「・・・7割くらいですかね」
「だいぶやってるわね」
レイヴンの頭部にある二本の角の事に話題を触れず
決戦後は緩やかな時間が流れていく
戦闘中も戦闘後もレイヴンは相変わらず惚けた顔で笑っている
その笑顔で何を思うのか
その笑顔は本心なのか、それともただの仮面なのか
しかし、今自信を持って言えることは 今のレイヴンは世の救世主として純粋に笑っている
ただ、簡単なそれだけだ。
To Be Continued→
飛び込むと同時に世界が歪み、ボヤッとした意識になる
だが、時間を置くと、次第にぼやけていた意識がはっきりとしてきて
目が覚めた
なんだ寝てただけか、そう思って体を起き上がらせようとする、だが、なぜか動かない
目を動かすだけでも怠い、指の関節を少し曲げるのが精一杯だ
そんな動けない状況の中、すぐ側に人の気配を一人分感じた。
「お、リリィ 意識戻ったか!」
馴れ馴れしく気の抜けた声で自分の名を呼ぶ男の声
どこかで聞いたな、と感じて記憶を漁ってみる と、一つ心当たりがあった。
「レイヴン・・・?」
「当たり」
返事が返ってきた 別にクイズをやってたわけじゃないんだが、当たってほんのちょっぴり嬉しかった・・・かな?
よかった、気を失っている間に何があったのか分からないがレイヴンが側にいるということは自分は助かったということだ。
「ホォ~・・・」
ほっと胸をなでおろし 一息つく
しかし、次の瞬間にまたハッとした。
「あっ!お、お父さんとお母さんは!?」
高い声を上げて辺りを見回すが静寂の中では盲目であるリリィは何も見ることができない
なのでレイヴンの声がする方に首を回して両親の安否を訊ねる。
「大丈夫なの!?ねえッ!?無事なのよね?」
地面に寝かされていて、疲労で動けないということがなければリリィはレイヴンに掴みかかっていただろう
「無事じゃない」と答えればショック死するかレイヴンを殺しにかかりそうな程切羽詰まった表現をしている。
「落ち着け、無事だ傷一つ付けてねえよ」
「そう・・・よかったぁ・・・」
無事だと聞いて飛び出そうな心臓の高まりは鎮まり、逆に心は今にも泣きそうなくらいに昂ぶってきた
悲しみではなく歓喜の涙を一粒流す
慌てたり落ち着いたり泣いたりして忙しいやつだ まあ人のこと言えないけど、レイヴンはそう思いつつここで大切な事実を口にした。
「だが、完璧に無事ってわけではないんだ」
「ど、どういうことよ!」
すぐに元の凜とした表現に戻ったリリィはキツイ語勢でレイヴンに問う
レイヴンはまあ落ち着けよ、といった感じで手を前に出して静止のポーズをとった。
「2人はまだ『G.Iジョー』に囚われたままだ 解放するためにはリリィ、お前の『生命吸収』能力が必要だ」
「じゃあ早く!」
「分かってる、残り少なくて悪いけど オレの魔力半分やるよ」
そう言ってリリィの手を握るとそこから自身の半分を占める魔力を流し込んだ。
「ウッ!わぁああああああ!!!」
レイヴンは自分の魔力を残り少ないと言った
だが、魔族 魔界の王の血を引くレイヴンから見た魔力の【少し】は人間からすると莫大な量だ
液状の電流を飲み込んだと表現するしかない衝撃的エネルギーが小さな人間の体を満たした。
「あああああぁぁ・・・ぁぁぁ・・・」
残留した魔力がパチパチと静電気のような音を立てて空気中へ消えていく。
「落ち着いた?」
湧き上がるパワーに筋肉が収縮し、自然と体が立ち上がった
これまで感じたことのない脳内麻薬の分泌
今なら空を飛べそうなほど強い万能感
その両方を魔力は与えてくれる
そして、次第に力は感覚に追いついて行く。
「・・・うん、行きましょう 一刻も早く両親を解放したい」
靴のかかとでコン、と地面を叩く
その音は秒速1200mで広がってゆき 魔力で強化された聴力はその反射音を拾い、崩れ去った廃ビルの惨状を完全に掌握した
そして、そこに拘束された両親の姿も見つける。
「・・・ふ~~」
だが、リリィは動かない
卓越された五感が さらなる危機に警鐘を鳴らしたのだ。
「ほんっと・・・どこまでもどこまでも」
歯を噛み締め、空を見上げる
「どこまでも・・・!」
筋に血管を浮かび上がらせ、魔力を体にまとわせた。
「どこまで私達の邪魔をするんだ!!」
見上げた空には無数の小さな影が黒雲に紛れながら向かってきている。
「鳥・・・!」
レイヴンが視認できる距離までに近づいてきているそれは鳥の『軍隊』であった
背には魔力の雷光の漂うミサイル発射台が背負われていて、アーミーの『G.Iジョー』の影響下にあるのが一目瞭然だ
その羽音を立てる無数の脅威は二人をゆっくりと一体感のある動きで包囲していった。
「早く・・・解放してあげたいのに!」
周りをミサイルで武装した鳥に囲まれ、二人は動きを止める
少しでも動けばすぐにでも攻撃が開始されるだろう
鳥の姿を介してでも感じられるハッキリとした殺意が、あと10mの所にいるリリィの両親を途方もなく遠く見せた
そして、鳥軍隊の中の一羽がアーミーの声で話し始める。
「命を捨てる思いで戦ったようだが、わたしの兵は無尽蔵だ お前達が1200人分の兵力と戦っている間にわたしは3000の兵を増やしたぞ」
その圧倒的な数が字面だけで2人を震撼させる
数の暴力とは言うが、武を伴った暴力ほど始末の悪いものはないだろう。
「わたしは、無敵だ」
『無勢の将軍』はその姿を敵の前に見せることなく、勝ち誇り
傷を負うことなく、敵を死の谷底に放り込む。
「アーミーよぉ~」
殺伐とした雰囲気のど真ん中で能天気にレイヴンが口を開いた
アーミーは返事を返さなかったが、構わず話し続ける。
「中途半端に強い力を持つってのは考えもんだよな」
低い声が空に届く。
「どうしたって心のどこかで慢心ってやつが生まれちまう」
鳥の羽ばたく音が静かに響く中、背のミサイルが怪しい輝きを見せ煙を上げて発射段階に入る。
「ま、何が言いたいかっつーと、お前は無敵なんかじゃねぇ、そしてオレより強くもねぇ」
今度は不敵に笑って見せた
同時にリリィの手を優しく握る、小さなリリィの手は大きなレイヴンの手にすっぽり隠れてしまった。
「ちょっ、急に・・・なに?」
その突然の握手へのリアクションに困ったが
レイヴンの真剣な視線に隣で息を飲んだ。
「『G.Iジョー』を解除する方法はもう一つある・・・」
「なん・・・なのよ・・・」
レイヴンの角から出力された魔力が腕を伝ってリリィの体に流れ込む。
「ま、またあああああああああああ!!?」
再び流れ込んできた魔力は体内でスパークしてリリィの体を一瞬で埋め尽くす
そして、その代わりにレイヴンの体からはみるみる魔力が減っていく。
「それは、シンプルにアーミー本体を倒す事・・・リリィお前ならできる オレの魔力全部やるよ」
全魔力を注ぎ込まれたリリィの体細胞は活性化し、一時的に人間のそれとは全くの別物に生まれ変わる
生命エネルギーである魔力の特性は他のエネルギーの増幅
凝縮された生命エネルギーが力を上の段階へ押し上げるのだ。
「ウッ!こっ・・・これキツイッ!破裂しそう、なん・・・だけど・・・!?」
だが、大量の魔力を扱うにはそれ相応の許容が必要
元々魔力許容量の少ない人間の体に魔族の生命を注ぐということが無茶なのだ
それは小さな紙コップにマグマを流し込むようなもの、体内に収めきれず爆発的魔力が肉体を突き破ろうと暴れまわり、リリィはその焼かれるような痛みに悶えまわる。
「それ、見たことか!!」
敵の不幸を喜ぶそんな声をアーミーが発した
すでに追い詰められた相手が目の前で自爆したのだ
自分と肩を並べるであろうレイヴンが、意外な底力を見せたリリィが、共倒れ、敵対する者としてはこれはなんとも喜ばしい事と言えよう。
「さあ、トドメと興じようじゃないか!」
悪魔のような いや、悪魔そのものの笑い声を上げながら鳥の群衆は背に負ったミサイルに魔力を点火させた。
「あっはははははははは!!!!」
勝利の可能性も・・・
つけ込むスキも・・・
「燃えカスも残らぬほどにッ!」
逃走経路も・・・
逆転の一撃も・・・
「粉々にッ!吹っ飛ばしてやるぞッ!!」
何一つとして、無い
それなのにレイヴンはまた不敵に笑った。
「見ぃぃい~つけた」
周りを取り囲む鳥の包囲の中で腕を擡げ、苦しむリリィの隣で、どこか遠くを指差す。
「ちょうど1時の方向、3km先の廃ビル、地上から45m そこにいるんだろ?アーミー」
「な!?」
一匹の鳥がアーミーの声を漏らした
思わず出てしまったという感じの声だ
レイヴンがどうやってその情報を知ったのかはわからないが どうやら図星らしい
だが、それだけで形勢逆転できるほどこの状況は甘くない。
「大当たりだ・・・が、貴様らの命は我が手中にある 逆転は無い・・・」
レイヴンの言う3km先の廃ビルで静かにほくそ笑むとアーミーは 冷酷に告げた。
「あばよ・・・全弾発射」
脳に魔力の指令が送られると鳥たちが背負ったミサイルが紫色の稲光を散らせながら発され、地上に立つ革命者二人を狙い、飛ぶ。
「早口で言うけど聞きとれよ」
その刹那、レイヴンが胸を押さえ苦しむリリィの肩に手を置いて上体を起こすと、耳元に言葉を吹きかけた。
「苦しいんなら、解放しちまえ」
「ど、どういう事・・・あっ、そうか」
ミサイルが着弾するまで一瞬の猶予も無い 極限状況の中で、極限状態だからこそリリィはレイヴンの言わんとしていることを瞬時に理解し 行動に移した。
「でも、できるかどうか・・・」
「できるかじゃねえ、やるんだよ」
「無茶・・・言うね」
ソッと背中を押すと魔力に焼かれるリリィの体が立ち上がり、『竜舞脚』の構えをとった
その間なんと0.2秒
「ま、やるけどね!」
レイヴンを真似してニッと笑うと
足先にキャパオーバーした魔力の塊を集める
一瞬 脚が破裂したと錯覚する程の激痛が走ったが、男勝りの根性でそれを堪え
魔力の強化により加速する意識の中で龍の舞を披露する。
「3km先のあいつの顔面蹴っ飛ばしたれ!」
「おっシャア!」
レイヴンがそう言うと同時に、聞いているのか聞いていなかったのか 気合の叫びを上げ
リリィは軸の太い体を大振りにグリンと回し 魔力で膨れ上がった右脚が弧を描き、遠心力を付け
蹴りと遠心力の勢いに乗せて魔力によって魔力を解き放つ!
舞い踊る龍が、解放される!
「『龍舞脚・夜空遊泳』!!」
リリィの蹴りが一閃となって瞬きを追い抜き、脚から放たれた極太の魔力光線が龍に姿を変えた。
「な、なんだ!この馬鹿げたパワーは・・・元の魔力量をなぜ遥かに上回っている!?」
進行方向にあるもの全てを消し飛ばしながらアーミーへ一直線に向かってくる龍に生物としての本能が叫んだ「逃げろ!」と
しかし・・・
魔族の高いプライドが「人間に臆するな!」と本能の判断を抑えつけた
だが、本能が・・・【恐怖】が、理性とプライドを跳ね除けて アーミーの体を逃走へ導いた
魔族の全力逃走、それでも遅かった
『G.Iジョー』発動中はアーミー本体は動くことができない
対して『夜空遊泳』は真一文字に、容赦なく向かってくる
つまり、この状況で能力解除のわずかなタイムラグが
命取りとなった。
「行っけえええええええええええええええええええええええ!!!!」
ミサイルの速度を上回ってリリィの咆哮が響き・・・
その咆哮を追い抜いてリリィの一撃がアーミーのいるビルを貫いた。
「クソがぁぁああ!わたしがッ!このオレ様が!!人間などにッ!?」
レイヴンの頭上では、アーミーの断末魔を叫びながら周りを囲っていた鳥たちが身悶えしながら地に落ちていく
同時にそれらが発射したミサイルが空中でピタリと静止して 蒸発するように煙と帰し、夜空に舞い上がって見えなくなった。
「ハッ・・・ハッ・・・」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
魔族と少女の二人は肩を浮かせて、汗をダラダラ流しながら息を切らす
だが、その表情は爽やかだ。
「スゥゥゥゥウ・・・」
ゆっくりと落ち着き払って、息を吸うのと同じ速度で二人とも目を閉じる
一瞬・・・
鳥も飛ばず
戦火の音も消え
・・・空の幽けき音が聞こえそうなほどの静寂が訪れた
そして、
「ぃよおッ!シャァァアアア!!!!」
歓喜が、爆発した
拳を突き上げ、叫びが天高く打ち上がる。
「勝ったのね!?私達!本当に!」
目に歓喜の涙を浮かべ、弾けるような笑顔でレイヴンに抱きついた。
「ああ、お前のおかげだ!愛してる!!」
レイヴンの方もリリィのハグに照れる様子もなく無邪気に笑うと、相手の背に手を回してハグを返す
そして、不意打ち気味に彼女の頬に軽くキスをした
柔らかな感触が唇に心地よい。
「え・・・っ?ちょっ・・・と!?」
リリィは飛び退くように手を離してレイヴンから離れると先ほどキスされた頬をソッと撫でた
レイヴンは恥ずかしげもなく それをやってのけたが、生娘であるリリィはそうはいかなかったようだ。
「な・・・な・・・!」
突然のことで思考が追いつかなかったが、リリィはすぐに なにをされたかを理解した
それと同時に両頬が桃色に染まっていく。
「なにすんのよ!このカサノバ野郎!!」
「痛っデェ!!!」
照れ隠しでレイヴンを蹴り飛ばす
二人とも体力の限界を迎えていたので蹴られたレイヴンも蹴ったリリィも勢いのまま地面に倒れ込んでしまう。
「フッ・・・あっはははははは!」
「ははは!くっだらねー!!」
緊張が解けたせいか おかしな笑いがこみ上げてきた
疲れによるナチュラルハイ、俗に言う深夜テンションである。
「そうだ・・・!魔力が消えたって事は!」
「ああ、親御さん解放されてるぜ」
その言葉を聞いてリリィの表情がパアッと明るくなった。
「早く行きましょ!手ェ貸して」
「すまん、オレも立ち上がれない わははははははははは!」
大口を開けてやけにバカっぽく笑い声をあげる、彼自身の言う通りレイヴンの手足はガクガクと痙攣を起こして とても力が入っている状態には見えない。
「ええ~!?じゃあどーすんのよこの状況」
「体力が戻るまで待つしかね~な」
「何時間かかんのよ!?」
「さあ、何日かも」
「もう!魔力絞り出しなさいよ!唐揚げの横についてくるレモンのように!あんた魔族でしょ」
「無茶言うな」
リリィがワーワー言う隣でレモンの絞りカス、もといレイヴンは視界の隅に動く影を捉えた
不思議に思いふと、目線をズラす
するとそこには知り合って余り時間は経っていないが よく覚えている人間の姿があった。
「おい、あそこ!」
こんどはレイヴンが騒ぎ出す
「あれ見ろ、あれ見ろ」とうるさくどこかしらを指差した。
「言う事なす事全部唐突ねあんたは」
見ろったって私眼が見えないってのにさ・・・などと考えながらレイヴンが指を差す方向へ耳を澄ませる
魔力が尽きて聴覚も鈍ってきているが、隣で無駄にデカイ声を出す男がいるおかげでエコーロケーションに困ることはなかった。
「むっ・・・これは・・・」
時間が経つほどその音の跳ね返りが重複してきて目標の形を正確に、立体的に捉えられるようになってきた。
「あっ!やっぱり!」
その姿を聴き取ると同時にリリィの顔から笑顔と涙が溢れ出した。
「お母さんッ!!」
「リリィッ!!」
そう、そこにいたのはシズクだった
頬を赤らめ、嬉しそうに涙を流す娘にすかさず駆け寄って行く。
「良かった、本当に・・・!無事で」
駆け寄ったその先にいる娘を抱き上げると、シズクの方も泣き出してしまった。
「お母さん、うぅぅ・・・身体に異常とかは?」
泣く最中の嗚咽を混じらせながらリリィは健気にも母親の安否を確認する
それを前にしてシズクは聖母のように優しく微笑んでその胸に抱き寄せた。
「うん、平気・・・このとおりピンピンしてるわ」
それを聞いてリリィは抱かれる胸の中で安堵の表情を浮かべた
そして、その後ろの大きな瓦礫の影に隠れるようにして見つめる男が一人・・・
「あなたも出てきたらどうよ、恥ずかしがるようなことでもないんだから」
後ろに振り返り、シズクがそれへ声を掛ける
そう言われて隠れている者は少し強張ったように震えて、瓦礫の影から姿を現した。
「・・・この音・・・いや、感覚は・・・」
顔を埋めていた母の体から顔を上げ、その気配を察知すると、またもやリリィの目から止めどなく涙が溢れ出した。
「お・・・父さん」
彼女の顔は涙で乾く暇がない、顔をくしゃくしゃにしながらボロボロの体でゆっくりと立ち上がり、フラフラと酔っ払いよりひどく頼りない歩き方で父親に近づいて行く
当の父親のマクシムもその距離を歩み寄って崩れ去るように倒れこんできた娘を力強く、その腕で抱き寄せた。
「大きくなったなぁ・・・リリィ・・・」
「おかえり・・・お父さん・・・」
こうして親子で抱き合うのは実に15年ぶり
マクシムはリリィが3つの頃に魔族からの攻撃を受け、意識が闇の中で彷徨っていた
それがなぜ今目を覚ましたのだろうか
なぜ止まっていた時間が動き出したのだろうか
アーミーの『G.Iジョー』の影響か?
戦闘中リリィに後頭部を強く蹴られたことによるショック療法か?
なぜかは分からない
しかし、親子が抱き合うのにそんな理由などは必要ない。
「レイヴンくん」
「あ、どうも」
抱き合う父と娘の姿を見守る一人の魔族に元戦士の現母親が優しく声を掛けた。
「私どうなってたのか意識がなくてわかんないんだけど、助けてくれたのよね リリィと一緒に」
「いやぁ・・・ハハハ、頑張ったのは娘さんですよ、僕はそのお手伝いをほんのちょっぴり」
「ちょっぴりってどのくらい?」
「・・・7割くらいですかね」
「だいぶやってるわね」
レイヴンの頭部にある二本の角の事に話題を触れず
決戦後は緩やかな時間が流れていく
戦闘中も戦闘後もレイヴンは相変わらず惚けた顔で笑っている
その笑顔で何を思うのか
その笑顔は本心なのか、それともただの仮面なのか
しかし、今自信を持って言えることは 今のレイヴンは世の救世主として純粋に笑っている
ただ、簡単なそれだけだ。
To Be Continued→
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