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ロック様から花束を受け取り、ニコニコしている彼の顔を見上げる。
深い海のような青い髪。
アクアマリンのような透き通っている碧眼。
背は高く、誰もが振り向くような端正な顔立ち。
ロック様とは所謂幼馴染のような関係だ。
子供の頃から彼のことは知っているし、彼も私のことを知っている。
「ロック様。今日はどうなされたのですか?」
「君とルーファウス様との婚約関係が破綻したと聞いてね」
「……慰めに来てくださったのですか?」
あまり傷ついてはいないのだけれど。
あまり気にしてはいないのだけれど。
ロック様は一度頷き、話を続ける。
「そのつもりだけど、それはあくまで目的の一つでしかないんだ」
「? 他に目的がございますの?」
「ああ。実は僕は君と結婚がしたいんだ。だから求婚に来たというわけさ!」
「…………」
どこまでも真っ直ぐな瞳でそう断言するロック様。
あまりにもストレート過ぎて私はポカンと口を開けて硬直してしまっていた。
「僕は子供の頃からマリアのことが好きだった。しかしいきなりルーファウス様との婚約が決定しただろ? だから落ち込んで絶望していたのだけれど……だが、君たちは婚約関係を解消したと聞いてね。これはすぐにでも求婚せねばと思ったしだいだよ!」
「は、はぁ……え? ロック様が私のことを好き……?」
「そうだ! 僕はずーと君のことが好きで好きでたまらなかったのさ! マリアは僕の気持ちに気づいていなかったようだけどね!」
キラキラと子供のような純粋な瞳でそう言うロック様。
そう言えば昔からそれらしいことを言われてきたような気がする……
『僕はずっとマリアの隣にいるよ!』
『君のためならいつ何時だろうと駆け付けよう』
『僕は何よりも君を優先しよう。そう約束するよ!』
「…………」
ずっと私を大事な妹ぐらいに思っていると思っていたけれど……
そうだったんだ。
よくよく考えたら、そう考えたら、ロック様はいつも好意を真っ直ぐに伝えてくれていたんだな。
私は自分の鈍さと、そして彼の気持ちに赤くなる。
「い、いきなりそんなことを言われても困りますわ……あ、いきなりじゃないのかも知れませんが」
「ああ。僕はいつだって君に気持ちを伝えてきたつもりだったからね。それがまさか、ルーファウス様と婚約するなんてね! あはははは」
大笑いするロック様。
その底抜けの明るさに私はクスリと笑う。
ルーファウス様と一緒にいる時とは違う、とても気持ちよくポカポカした気分。
彼がいるとずっとこうだった。
これが恋かどうかは分からないけれど、ロック様と一緒にいるのはとても楽しく嬉しく思える。
「あの、突然すぎるので答えを出すことはできませんが……前向きに検討させていただきます」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。だけど覚悟していてくれ。もう僕は君を諦めたりしないからね!」
また笑う私。
本当に明るくて元気が貰える。
ルーファウス様との件が無かったように、私は清々しい気分で笑っていた。
深い海のような青い髪。
アクアマリンのような透き通っている碧眼。
背は高く、誰もが振り向くような端正な顔立ち。
ロック様とは所謂幼馴染のような関係だ。
子供の頃から彼のことは知っているし、彼も私のことを知っている。
「ロック様。今日はどうなされたのですか?」
「君とルーファウス様との婚約関係が破綻したと聞いてね」
「……慰めに来てくださったのですか?」
あまり傷ついてはいないのだけれど。
あまり気にしてはいないのだけれど。
ロック様は一度頷き、話を続ける。
「そのつもりだけど、それはあくまで目的の一つでしかないんだ」
「? 他に目的がございますの?」
「ああ。実は僕は君と結婚がしたいんだ。だから求婚に来たというわけさ!」
「…………」
どこまでも真っ直ぐな瞳でそう断言するロック様。
あまりにもストレート過ぎて私はポカンと口を開けて硬直してしまっていた。
「僕は子供の頃からマリアのことが好きだった。しかしいきなりルーファウス様との婚約が決定しただろ? だから落ち込んで絶望していたのだけれど……だが、君たちは婚約関係を解消したと聞いてね。これはすぐにでも求婚せねばと思ったしだいだよ!」
「は、はぁ……え? ロック様が私のことを好き……?」
「そうだ! 僕はずーと君のことが好きで好きでたまらなかったのさ! マリアは僕の気持ちに気づいていなかったようだけどね!」
キラキラと子供のような純粋な瞳でそう言うロック様。
そう言えば昔からそれらしいことを言われてきたような気がする……
『僕はずっとマリアの隣にいるよ!』
『君のためならいつ何時だろうと駆け付けよう』
『僕は何よりも君を優先しよう。そう約束するよ!』
「…………」
ずっと私を大事な妹ぐらいに思っていると思っていたけれど……
そうだったんだ。
よくよく考えたら、そう考えたら、ロック様はいつも好意を真っ直ぐに伝えてくれていたんだな。
私は自分の鈍さと、そして彼の気持ちに赤くなる。
「い、いきなりそんなことを言われても困りますわ……あ、いきなりじゃないのかも知れませんが」
「ああ。僕はいつだって君に気持ちを伝えてきたつもりだったからね。それがまさか、ルーファウス様と婚約するなんてね! あはははは」
大笑いするロック様。
その底抜けの明るさに私はクスリと笑う。
ルーファウス様と一緒にいる時とは違う、とても気持ちよくポカポカした気分。
彼がいるとずっとこうだった。
これが恋かどうかは分からないけれど、ロック様と一緒にいるのはとても楽しく嬉しく思える。
「あの、突然すぎるので答えを出すことはできませんが……前向きに検討させていただきます」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。だけど覚悟していてくれ。もう僕は君を諦めたりしないからね!」
また笑う私。
本当に明るくて元気が貰える。
ルーファウス様との件が無かったように、私は清々しい気分で笑っていた。
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