5 / 13
5
しおりを挟む
夜家に帰宅し、今日あったことを両親に報告した。
お父様は額に欠陥が浮き上がる程に怒り、お母さまは今にも人を殺してしまいそうな目つきになる。
「あのバカ娘……もう我慢ならんぞ」
「あの子もそうですけれど、あの男も許すことができないわ。なんでマリアみたいなできた子のことを信じることが出来なかったのかしら……」
「その程度の男だったということだろう。うん。マリア。あんな男はソフィアにやればいい」
「そのつもりですわ、お父様」
両親は私のために怒ってくれていた。
二人が普通の感性の持ち主で良かったわ。
これでソフィアの味方をするような人たちだったら……頼れる人もいないし、困り果てているところだ。
「それで、あのバカ娘はいつ帰ってくるのだ?」
「さあ? そのまま向こうに住みつくつもりじゃないですか?」
「どっちにしても、もう家の敷地に足を踏み入れさせないつもりだがな! 皆にもよく伝えておいてくれ」
お父様の言葉にお母さまが頷く。
「この家の者は、全員マリアの味方ですから。喜んで協力してくれることでしょう」
「あの子がいなくなって、皆清々してるんじゃありませんか? 相当苛め抜かれたようですから」
「ふん。向こうの家でもそれは変わらないだろうな……嫌われなければよいが、それは無理だろうな」
お父様とお母さまは顔を合わせて笑いあう。
二人ともあんな害悪でしかない不良物件を引き取ってくれて嬉しいみたいだけれど、あの家に仕えている人たちが不憫でならない……
またソフィアは同じことを繰り返すだろう。
だけどもう私たちには関係の無い話。
もうあの子とは縁を切ったようなものだ。
これからは穏やかな時間を過ごすとしよう。
◇◇◇◇◇◇◇
ルーファウス様との婚約が破棄となった。
その噂は瞬く間に貴族の間に広まっていたようだ。
ルーファウス様の屋敷から帰って来た翌日のこと――
突然我が家へ来訪者が現れる。
「あの、マリア様」
「どうかしたの?」
部屋で本を読んでいた私の下に、侍女が声をかけてきた。
「お嬢様にお会いしたいという男性がいらっしゃっていますが……」
「男性? 誰かしら?」
私はあまり深く考えずに、昼過ぎの廊下を歩いて行く。
玄関に到着し、私に会いに来たという男性の姿を見て、私は感嘆の声を上げた。
「ロック様!」
「やあマリア。君に会いに来たよ」
彼はロック・ヴァフリン。
綺麗な花束を持って私に会いに来てくれたようだ。
だけど何故、急に会いに来てくれたのだろう……
その理由が見当たらずに、私は首を傾げていた。
お父様は額に欠陥が浮き上がる程に怒り、お母さまは今にも人を殺してしまいそうな目つきになる。
「あのバカ娘……もう我慢ならんぞ」
「あの子もそうですけれど、あの男も許すことができないわ。なんでマリアみたいなできた子のことを信じることが出来なかったのかしら……」
「その程度の男だったということだろう。うん。マリア。あんな男はソフィアにやればいい」
「そのつもりですわ、お父様」
両親は私のために怒ってくれていた。
二人が普通の感性の持ち主で良かったわ。
これでソフィアの味方をするような人たちだったら……頼れる人もいないし、困り果てているところだ。
「それで、あのバカ娘はいつ帰ってくるのだ?」
「さあ? そのまま向こうに住みつくつもりじゃないですか?」
「どっちにしても、もう家の敷地に足を踏み入れさせないつもりだがな! 皆にもよく伝えておいてくれ」
お父様の言葉にお母さまが頷く。
「この家の者は、全員マリアの味方ですから。喜んで協力してくれることでしょう」
「あの子がいなくなって、皆清々してるんじゃありませんか? 相当苛め抜かれたようですから」
「ふん。向こうの家でもそれは変わらないだろうな……嫌われなければよいが、それは無理だろうな」
お父様とお母さまは顔を合わせて笑いあう。
二人ともあんな害悪でしかない不良物件を引き取ってくれて嬉しいみたいだけれど、あの家に仕えている人たちが不憫でならない……
またソフィアは同じことを繰り返すだろう。
だけどもう私たちには関係の無い話。
もうあの子とは縁を切ったようなものだ。
これからは穏やかな時間を過ごすとしよう。
◇◇◇◇◇◇◇
ルーファウス様との婚約が破棄となった。
その噂は瞬く間に貴族の間に広まっていたようだ。
ルーファウス様の屋敷から帰って来た翌日のこと――
突然我が家へ来訪者が現れる。
「あの、マリア様」
「どうかしたの?」
部屋で本を読んでいた私の下に、侍女が声をかけてきた。
「お嬢様にお会いしたいという男性がいらっしゃっていますが……」
「男性? 誰かしら?」
私はあまり深く考えずに、昼過ぎの廊下を歩いて行く。
玄関に到着し、私に会いに来たという男性の姿を見て、私は感嘆の声を上げた。
「ロック様!」
「やあマリア。君に会いに来たよ」
彼はロック・ヴァフリン。
綺麗な花束を持って私に会いに来てくれたようだ。
だけど何故、急に会いに来てくれたのだろう……
その理由が見当たらずに、私は首を傾げていた。
56
あなたにおすすめの小説
〈完結〉姉と母の本当の思いを知った時、私達は父を捨てて旅に出ることを決めました。
江戸川ばた散歩
恋愛
「私」男爵令嬢ベリンダには三人のきょうだいがいる。だが母は年の離れた一番上の姉ローズにだけ冷たい。
幼いながらもそれに気付いていた私は、誕生日の晩、両親の言い争いを聞く。
しばらくして、ローズは誕生日によばれた菓子職人と駆け落ちしてしまう。
それから全寮制の学校に通うこともあり、家族はあまり集わなくなる。
母は離れで暮らす様になり、気鬱にもなる。
そしてローズが出ていった歳にベリンダがなった頃、突然ローズから手紙が来る。
そこにはベリンダがずっと持っていた疑問の答えがあった。
優柔不断な公爵子息の後悔
有川カナデ
恋愛
フレッグ国では、第一王女のアクセリナと第一王子のヴィルフェルムが次期国王となるべく日々切磋琢磨している。アクセリナににはエドヴァルドという婚約者がおり、互いに想い合う仲だった。「あなたに相応しい男になりたい」――彼の口癖である。アクセリナはそんな彼を信じ続けていたが、ある日聖女と彼がただならぬ仲であるとの噂を聞いてしまった。彼を信じ続けたいが、生まれる疑心は彼女の心を傷つける。そしてエドヴァルドから告げられた言葉に、疑心は確信に変わって……。
いつも通りのご都合主義ゆるんゆるん設定。やかましいフランクな喋り方の王子とかが出てきます。受け取り方によってはバッドエンドかもしれません。
後味悪かったら申し訳ないです。
俺って当事者だよな? 知らぬ間に全てを失いました
碧井 汐桜香
恋愛
格上であるサーベンディリアンヌ公爵家とその令嬢ファメリアについて、蔑んで語るファメリアの婚約者ナッツル・キリグランド伯爵令息。
いつものように友人たちに嘆いていると、第二王子であるメルフラッツォがその会話に混ざってきた。
完璧な妹に全てを奪われた私に微笑んでくれたのは
今川幸乃
恋愛
ファーレン王国の大貴族、エルガルド公爵家には二人の姉妹がいた。
長女セシルは真面目だったが、何をやっても人並ぐらいの出来にしかならなかった。
次女リリーは逆に学問も手習いも容姿も図抜けていた。
リリー、両親、学問の先生などセシルに関わる人たちは皆彼女を「出来損ない」と蔑み、いじめを行う。
そんな時、王太子のクリストフと公爵家の縁談が持ち上がる。
父はリリーを推薦するが、クリストフは「二人に会って判断したい」と言った。
「どうせ会ってもリリーが選ばれる」と思ったセシルだったが、思わぬ方法でクリストフはリリーの本性を見抜くのだった。
婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
私の元婚約者は、新しく婚約した妹の酷さを知らなかった
天宮有
恋愛
公爵貴族ジェードが、侯爵令嬢の私アイリスとの婚約破棄を言い渡す。
私の妹クーナスを新しく婚約者にするようだけど、ジェードはクーナスの酷さを知らない。
私が忠告するけど聞き入れず、ジェードは後悔することとなる。
その後、私に新たな婚約者が決まった頃に、謝罪に来たジェードが再び婚約して欲しいとやって来た。
ジェードは必死に頼むけど、私がジェードと婚約することはなかった。
元平民の義妹は私の婚約者を狙っている
カレイ
恋愛
伯爵令嬢エミーヌは父親の再婚によって義母とその娘、つまり義妹であるヴィヴィと暮らすこととなった。
最初のうちは仲良く暮らしていたはずなのに、気づけばエミーヌの居場所はなくなっていた。その理由は単純。
「エミーヌお嬢様は平民がお嫌い」だから。
そんな噂が広まったのは、おそらく義母が陰で「あの子が私を母親だと認めてくれないの!やっぱり平民の私じゃ……」とか、義妹が「時々エミーヌに睨まれてる気がするの。私は仲良くしたいのに……」とか言っているからだろう。
そして学園に入学すると義妹はエミーヌの婚約者ロバートへと近づいていくのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる